みなさん!知ってますCAR?

2011年5 月15日 (日曜日)

TOP NEWS

オドロキ! 台湾のベラボーに安い車検システム

台湾の車検場   台湾には、ここ数年シェアを伸ばしつつある韓国車も見ることはできるが、トヨタ車や三菱車などいわゆるジャパニーズカーが圧倒的ともいえる多数派である。とくに黄色のボディのタクシーはトヨタのウッシュが大半を占めている。つまり活躍するクルマが左ハンドルでクルマが右側通行という違いこそあれ、台湾のクルマ事情は、日本のそれとさほど異ならない・・・かに見える。
  ところが、調べてみるとタマゲルほどの大きな違いを発見した。
  “車検制度”である。日本の車検は、世界でも最も厳しいとされ、安全を担保する国民性として、それはそれで誇るべきこと。だが、ユーザーとしては、頭の痛い≪関所≫である。そのつど保険に入りなおし、税金は取られるし、安くない≪車検整備代≫なるものを支払わなくはいけない。だから、「この際、軽自動車に乗り換えようか?」あるいは「新車に乗り換えるか?」という気分にもなる。
  ところが、台湾のユーザーに聞いても、車検を少しもハードルと感じていないようだ。だいたい、フロントガラスに車検期限を示すステッカーすらないのである。
  台中にある「清水金龍験車廠」という名称の車検センターを取材した。ここは文字通り「車検」だけの整備工場だ。リフトやタイヤチェンジャーなどが置いてある整備ヤードの周りに円弧状の“車検ライン”を設け、そこで検査をするのである。下回り検査こそないが、サイドスリップ、ブレーキ試験、速度計の検査など、だいたい日本の車検と同じメニューだ。受付して検査終了まで約15分前後。もし不具合や、ユーザーから「この際だからエンジンオイルも交換してほしい」「ATFの交換をしてほしい」といわれればサービスをおこなうが、2時間の取材時間でわずかハイマウントランプのバルブ切れが1件あっただけ。
  そこで気になる≪車検費用≫を聞いたところ、なんと450元。1元は約2.8円なので、日本円で約1260円だ。大型車でも650元(約1820円)。しかも新車時から5年前は車検免除で、5年~10年は1年ごと、11年以上たつと逆に1年に2回の車検となる。それでも、ベラボーに安いので、なんら苦にならない。自賠責保険は、車種により異なり、約1~2万元(2万8000~5万6000円)。ちなみに、警察車両やタクシーは毎年1回の車検が義務づけられているという。車検制度が緩やかな台湾でとくに交通事故が多いとは聞かない。ならば、日本もユーザー本意の視点で、もう一度「車検制度」を見直してもいいのではないか?

カーライフ大助かり知恵袋1

矢野倖一とアロー号 もうひとつの日本車ルーツヒストリー 最終回

矢野のV8エンジン   アロー号の完成後、矢野は、梁瀬商会(現・ヤナセ)福岡支店の自動車修理工場の主任として迎え入れられ、ダンプボディの製作などに従事。その後、1922年、矢野オート工場(現・矢野特殊自動車)を設立、時代の要請にこたえさまざまな特殊自動車の開発・製作を幅広く展開。戦時下の1942年には、矢野式ダンプカーの生産を軌道に乗せている。さらに戦後モータリゼーションが始まった1959年には、冷凍機付き冷凍車の開発に成功している。矢野は、こうした仕事のかたわら、村上(村上は1922年に死去)から託された夢の実現を忘れてはいなかった。「大衆自動車の普及」を目指し、空冷と水冷の2つのV型8気筒エンジン(写真)を試作していたのである。矢野氏は、昭和50年(1975年)に82歳で亡くなったが、晩年までカメラなど機械モノに凝り、立体カメラを自作して孫と楽しみ、海外旅行に出かけ旺盛な好奇心は生涯続いたという。
  現在、アロー号、2つのV型8気筒エンジンなどは、矢野の子息や孫などの手で大切に保存されている。アロー号は2008年、日本機械学会により「現存する走行可能な日本最古の国産乗用車」と認められた。現在、福岡市博物館で常時展示されている。ユニークなV型8気筒エンジンは、昨年トヨタ博物館で公開されているのである。いずれにしろ、矢野倖一と村上義太郎は、日本の自動車産業の先鞭者だったことは間違いない。
  ●参考文献 「国産車100年の軌跡」(三栄書房)/「20世紀の国産車」(国立科学博物館)

カーライフ大助かり知恵袋2

ⅰPadや12インチノートパソコンをクルマのなかで快適に使いたい!

ⅰPADマウント   街中を散歩するように、ときどきは博物館やイベント会場を散歩すると面白い。目的もなくただぶらぶらすると・・・目を吊り上げた取材モードでは発見できないものが目に飛び込んでくることがある。
  台湾の台北で4月の中ごろにおこなわれたAMPAショーというクルマのアクセサリー、部品、工具の見本市でも、そんなシチュエーションで発見したものがある。
  「カー・ラップトップ・マウンティング・ソリューション」というずいぶん長い名称のカー用品だ。音楽家が演奏のときに使う“譜面台”のようなもの・・・と説明すると理解してもらえるだろうか? 早い話、クルマのなかで、12インチのノートパソコンやⅰPadを安心して使いこなせる「台」なのである。アルミ合金製のロッドとトレイから構成され、ロッドは途中で折れ曲がっているので、好みの角度と高さにアジャストできる。マウント方法は、助手席のシートレースの前方取り付けボルトに共締めする。あるいはフロントガラスに吸着させる。後席で使うのなら、前席のヘッドレストを利用して取り付けることができる。0.8~1.3kgと軽量で、耐荷重性は2.5kgだという。
  もちろん、パソコンやⅰPadだけでなく、コンビニで手に入れた食べ物を楽しむフードテーブルや、車内で書き物をするための“ワークテーブル”としても使える。この製品わずか半年ほど前に完成したもの。いかにも台湾のモノづくりらしい製品だ。ONYX社製で、詳細はホームページ(www.pjaps.com.tw)を見てほしい。

愛車メンテのプラスアルファ情報

薄いナットがらくらく回せるモンキーレンチとは?

スマートモンキー   数あるハンドツールの中で、一番あてにならない工具と問われれば、即「モンキーレンチだ」と答えることにしている。アゴの幅が調節できるので、いっけん便利そうに見えながら、ガタが多く下手をすると相手のボルトの頭を痛めたりするだからだ。
  ところが、そんな見掛け倒しのモンキ-レンチにも、見上げたところのある仲間がいる。
  「スマートモンキー」という名の全長155ミリの比較的小型のモンキーレンチである。このモンキーは、先端部が肉厚2ミリと極薄設計。従来のモンキーではとても対処できなかった、薄型のナットの取り付け・取り外しができるのだ。薄型のナットはどんなところで使われているかというと、キャスター、同軸コネクターなど、比較的日常の世界に存在する。クルマやバイクの世界ではダブルナットを緩めたり締めたりするときにも、この工具があれば便利だ。
  このスマートモンキー、先端精度が2~1.7ミリと緻密にできていて、口開幅は24ミリ。M16ボルト・ナットに対応。重量は、130g。価格は3250円とやや高いが、必要な人には安いといえる。あつかいは㈱エンジニア(www.engineer.jp)である。

2011年5 月 1日 (日曜日)

TOP NEWS

マツダ台湾のトップメカニックにインタビュー!

台湾のリュウさん   台湾に世界選手権で優勝したメカニックがいるというので、出かけてみた。
  2008年のマツダのサービスマン・コンテストで優勝したというリュウさん、35歳である。
  リュウさんは、整備関係の専門学校を終え16歳からメカニックを経験している。トータル19年間のうち、ここ8年間はマツダのディーラーで腕を振るっているという。これまで100名近くの自動車整備士さんにインタビューした経験で言わせてもらえば、整備士の多くは電気が弱いというケースが多い。ところが、リュウさんは、「電気が大得意です」と、かなり異端!? 小学生のころからプラモデルで遊ぶのが大好きで、学生時代はモノを壊したり組み付けたりすることに大いに関心を抱いたという。
  そんなリュウさんの大きな悩みは、英語力を磨くことだという。「中国語で書かれた整備書には時々ニュアンスの違いで、勘違いさせられることがあるからです」という。「原書の英文に当たるとその辺がすっきり解消するのです」。たぶん、これはどこの世界にも当てはまることかもしれない!? リュウさんとは通訳を介して1時間ほどの話をしたが、なかで一番面白かったのは≪リュウさんの愛車管理術≫。父親から譲り受けた1995年式のいささかくたびれたシビック。何と走行キロ数は25万キロを超えているという。「でも、まったくノートラブルです。足回りのブッシュに亀裂こそあるものの、エンジンのオイル消費は問題ないです。きちんと5000キロごとにオイルとフィルターの交換をしているからです。この調子でいけば、あと10万キロは大丈夫ですよ」と胸を張った。よほどクルマに優しい走り方もしているはずだ。

カーライフ大助かり知恵袋1

矢野倖一とアロー号 もうひとつの日本車ルーツヒストリー 第3回

アロー号の制作費一覧表   こうして矢野の情熱と、村上の支援、それに多くの人の協力で、「アロー号」は完成した。1916年(大正5年)のことだ。村上義太郎が68歳のときである。全長が2590ミリ、全幅1170ミリ、全高1525ミリ、ホイールベース1830ミリ。車両重量272kg。エンジンは水冷2気筒サイドバルブ方式で排気量は1054cc。最高馬力は12PSで、最高速度は56km/h、乗員4名だったという。
  面白いのは、矢野は「アロー号の全製作費の詳細一覧表」を残していることだ。
  全製作費の総額は1224円75銭。朝日文庫の「明治・大正・昭和・値段の風俗史」によると、大正5年当時の家賃が7~8円だった。ということは、現在の値段に直すと、約1300万円といったところか? これには、旋盤工3名、仕上げ工2名、鍛造工2名、計7名の職工の約3ヶ月にわたる給料、計334円31銭。福岡工業高校で工作機械を借用したときの4円85銭、上海でキャブレターを購入したときの費用49ドル30セントを含まれている。このほか、木型製作費48円45銭、鋳造費6円85銭、アルミ鋳物10円80銭、歯車18個工作費75円、東京向柳原にあった武田鉄工所に外注したベベルギアの歯切り代金76円、東京の鶴岡工場に外注したスプリング代16円、ヤマトメタルから購入したエンジンのメタル代2円60銭、ホイールのスポーク171本分の代金17円25銭、東京・渋谷の業者に依頼して作らせた幌の曲げ木代2円50銭、グッドリッチ製のタイヤ4組が116円、リム4本で20円・・・ときわめて詳細である。これを見ていると当時の日本のモノづくり世界が透けて見えてくるようだ。

カーライフ大助かり知恵袋2

こんなところで造られていた樹脂製のオイルチェンジャー

オイルチェンジャー   樹脂製のオイルチェンジャーというのをご存知だろうか?
  かれこれ10年ほど前から、この工具を使いオイル交換をしている。オイルレベルゲージに樹脂製のパイプを差し込み、白色の樹脂製タンクにつなげて、自転車の空気入れ(エアポンプ)よろしくハンドルを数回上下することで、タンク内を負圧にし、その吸引力で古いエンジンオイルを吸い出す・・・という工具だ。クルマをジャッキアップして、オイルパンにあるドレンボルトを緩める従来式のオイル抜き方式にくらべて作業効率が高く、使う工具も少ない。
  この工具、どうやら・・台湾製だろう・・・とは理解していたのだが、今回台湾に取材に出かけそのルーツが判明した。台中にあるJSAPというごく小さな工場で作られていた。造られていたとはいうが、実はこの工場では、ほかの工場で作られた10個近い樹脂部品を組み立てていたといったほうが正確だ。つまりカッコよく言えば、アッセンブリー工場というわけ。最新型のオイルチェンジャーは、私が愛用しているのとはかなり異なり、吸い込み力を高め、従来ありがちな不具合部位を解消し、しかもエアツールにつなげても使える2ウエイ方式。ここ10年で確実に進化している。この工場では、ある一定のトルクで締め付け力をストップさせるトルクプロテクト・ソケットやプラグソケットレンチなどアイディア商品を作り出していた。これらすべて創業者である52歳の社長ジョニー・チャングが工夫を凝らしたものだという。

愛車メンテのプラスアルファ情報

ホニドライバーのソケットとは何だ?

ホニトン   ホニドライバー(HONIDRIVER)というのをご存知だろうか?
台湾の台中にある工具メーカーHONITON(ホニトン)が特許を持ち、そこで作り出している少し奇妙な工具のブランド名である。
  通常のレンチやソケットは、1つのサイズのボルトの頭にしか対応しないのだが、このホニドライバーは、6つの異なるボルトの頭に適応するという、いわばマルチな工具なのである。たとえば、サイズが10ミリなら、メトリックサイズの6ポイント、12ポイントはもちろんのこと、Eトルクスのボルト、SAEの3/8インチのボルト、四角頭のボルト、それに“頭がなめたボルト”などに適合するのである。このホニドライバーを採用した製品は、ソケットだけでなく、メガネレンチ、コンビネーション・レンチ、板ラチェットなどがある。パテントは、台湾はもちろんのこと、日本、アメリカ、ドイツ、EU、インド、中国などワールドワイド。この不思議な味のある工具のナゾを追いかけ、台湾に出かけてみた。発明した創業者のテイ・メイソンさん(78歳)に、完成するまでの苦労話を聞いたところ、「あまり覚えていないけど、材質は独自のもので、完成させるのに10年かかった」というだけ・・。どうも台湾の人のメンタリティは、過去にこだわらず楽天的だとは聞いていたが、これほどのものなのか? 過去にこだわりすぎる自分が馬鹿馬鹿しくなった!?


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