みなさん!知ってますCAR?

2011年6 月15日 (水曜日)

TOP NEWS

ハイブリッドではない! リッター30kmのデミオのナゾ

新型デミオ   プリウスやインサイトといったハイブリッドカーならわかるけど、“普通のエンジン”を載せたコンパクトカーがリッター30km(10・15モードで)を叩き出すなんてことは、Kカーでもせいぜい27km/lであることを思えば、5年前までは誰も考えなかった。このほどマイナーチェンジされたマツダのデミオのことだ。
  エンジンの圧縮比を14にしたり、各部のフリクションを低減したり、アイドリングストップ機構を見直したり、発電制御を見直し無駄な電気エネルギーを削減したり・・・もちろん、ボディの軽量化を進めたり、トランスミッションのCVTをより効率よくシフトしたり・・・。とにかく燃費チャンピオンに仕立てるためにエンジニアたちが一丸となり、たぶん3年間ほどの捲土重来(けんどちょうらい)の気分で作り上げたのが、今回のデミオといえそうだ。ハイブリッド技術でトヨタやホンダなどに水を開けられていた、マツダのがんばりの結晶といえる。
  なかで注目なのは、エンジンのインジェクターがディーゼル並みに6つの噴射口を備えたマルチホールタイプにした点。霧状のガソリンを燃焼室に直接噴射(直噴エンジンだから!)し、気化潜熱でシリンダー内を冷やしエンジンがもっとも嫌うノッキングを効果的に押さえ込んでいる。そのために、中央にキャビティと呼ばれる凹みを持つユニークなピストンを備えている。
  マツダ独自のアイドリングストップⅰ-stopも、今回大きくテコ入れされている。再始動時の振動を小さくするため吸気バルブをやや遅く閉じさせている。バッテリーを2個から1個にし、さらにこれまでDレンジのみだったⅰ-stopの作動領域をNレンジ、Lレンジなどに拡大している。ボディの世界では、スポーツカー並みに、樹脂製のアンダーカバーを取り付けCd値(空気抵抗係数)をクラストップの0.29(ちなみにプリウスやインサイトは0.25、GT-Rは0.27)。こうしたいわば涙ぐましい努力で、リッター30kmを達成している。むろん、燃費がよくても走りが不十分ならクルマとしての存在理由がなくなるので、マツダらしい爽快な走りができる責任者は胸を張っていた・・・。ちなみに、従来エンジン搭載車のデミオは、23.0km/lだったのだが、新型デミオは、エンジンで24%、トランスミッションで2%、ボディで4%、計30%の燃費向上を実現して、30km/lとした。

カーライフ大助かり知恵袋1

時代を画した7台の名車で語る自動車125年の歴史 第2回

カール・ベンツ   ベンツ・パテント・モトールヴァーゲンが誕生。それから18年後にライト兄弟が、動力飛行機(複葉機)をノースカロライナ州キティホークで世界に先駆け飛ばした。その動力がオートバイ用の4気筒水冷式12馬力を流用したことを思えば、カール・ベンツ(1944~1929年)がつくった車両のエンジンが自らの手で苦心してつくったことは特段に評価してもいい。
  そのカール・ベンツとはどんな人物か?
  17世紀から続く鍛冶屋に生まれ、代々技術者の血を受け継いだ男。技術への関心が高く、15歳で、カールスルー高等工業学校(のちの工科大学)の試験に合格。そこで数学と機関設計の学位を得る。カールスルー工機械工業社に入社し、機関車の製造に従事する。自動車作りへの情熱を持っていたカールは、その後エンジンの研究をはじめ、15年の歳月ののち1886年世界で初めての実用的な乗用車を完成させた。それがベンツ・パテント・モトールヴァーゲン。この開発成功の裏には、愛妻ベルタの献身があったといわれる。
  そのベルタをめぐる面白いエピソードが残っている。
  カールとのあいだに生まれた2人の息子(15歳と13歳)を連れ、夫がまだ就寝中に、そのガソリン自動車を使い自宅のマンハイムから、親戚が住む約100km離れたプフォルツハイムに出かけた。当時は未舗装路で凸凹した路面が多かった。登板能力もままならず、坂道がくるたびにクルマから降りて後ろを押したり、あるいは途中チェーンが伸びてスプロケットから外れたり、あるいは燃料パイプが詰まったり・・・埃まみれだったが、最高速度15キロなので、当時の路面状況から勘案すると、おそらく10時間近くかけて、トラブルに見舞われながらも目的地に到着。夫であるカールに「無事にプフォルツハイムに到着!」という電報を打ったという。
  夫の作ったガソリン自動車が世間に認められなかったので、いわば命をかけたキャンペーンだったとみられる。当時ガソリンスタンドはもちろんなかった。どこで燃料のガソリンを手に入れたかというと薬局だ。ベルタは途中薬局でガソリンを購入している光景を描く記念切手が残っている。ちなみに、このキャンペーンにもかかわらず営業的には成功したとはいえなかったが、ベルタには“世界最初の女性長距離ドライバー”の栄誉が与えられた。

カーライフ大助かり知恵袋2

軽くて疲労感が少ない! ネットタイプのシートが主流となるか?

デミオのFシート   ジャパニーズカーのシートは、1980年代まではかなりトホホなものだった。当時は、ドイツ車のシートやフランス車のシートにひどくあこがれたものだ。ところが、時代が移り21世紀になって日本車のシ-トは、それほど不満がなくなった。一番コスト意識にさらされる軽自動車のシ-トだって、80点を挙げてもいい。ではシートは自動車部品の世界では話題にはなりにくい、あるいは卒業しつつある技術、と思いきや「いやいや技術はこれからです!」とそんな声がしそうなシートが登場した。
  いささかもって回った前振りだが、新型デミオのフロントシートは大いに注目していい。
  見た目は、ふつうのシートだが、これまでのシートがSバネと呼ばれるスチール製のクッション構造を持っていたのだが、ペットボトルと同じ素材のPET樹脂をベースにした編み物、つまり「ネット状クッション構造」を採用しているのだ。そのうえに、1.5ミリのウレタン層、さらには布の表皮で覆われているので、ふつうのシートと同じに見える。が、従来シートにくらべ接触面が20~30%増加し、そのぶん姿勢の崩れが少なく、不要な筋肉の動作が少なくなり、疲れの軽減に結びつくという。しかも、このシート、シートバックフレームを成形後に高周波焼入れでは硬くし、結果として肉薄素材にしている。クッションとフレームの両面で軽量化が進み、1台あたり1.5kg軽くできたという。シートにも革新の波が寄せつつるようだ。

愛車メンテのプラスアルファ情報

1本290円のスクリュードライバーは使えるか?

290円ドライバー   先日も、ふと友人との会話の中で「関西人は値段が先にたつから・・」と苦々しく評価された。関西人の特徴は、モノの価値を優先することなく、イの一番にその商品がいくらだったかを話題の先にするというのだ。関西人の末席に座る筆者としては、半ば納得するが、「たかが値段・されど値段」である、といいたい。価格が安く良品であれば、とりあえずハッピーな気分だからだ。
  ということで、見つけてきたのが1本290円なりのドライバー。STRAIGHTなので、台湾製だ。使ってみると、これが悪くないのだ。悪くないどころか、手持ちのブランド品に比べても遜色がほとんどない。笑われそうだが、書斎の一角には2番のプラスとマイナスの6×100が各80銘柄ほどある。ベッセル、ANEX,スナップオン、KTC,ネプロスなどとくらべて、グリップに滑り止めのイボイボがあるので一見安っぽくは感じる。だが、このイボイボが有効。というのは油のついた手でも滑らない。親指のあたる部位にも滑り止めのイボイボがあり、具合がいい。樹脂製グリップは2種類の樹脂を使い分けている。ドライバーという工具は押し付けながら回すという、意外と難しい動作をしないと、相手のねじの頭を壊す恐れがある。ただ、気になるのはやや軽すぎる点。実測してみると、93g。KTCが120g、ネプロス142g、木柄のANEXが113g(以上いずれも貫通タイプ)。貫通でないRICKの103gよりも10gも軽い。適度に重いのがいいのか、軽いのがいいのか、このあたりはさらに使い込まないと結論が出せそうもない。

2011年6 月 1日 (水曜日)

TOP NEWS

発見! 理想のコイルスプリングの謎

FSDスプリング   ふだんクルマを運転していても、サスペンションに文句を言う筆者ではないが、たまにサーキットを走ったり、あるいは高級車の試乗に恵まれると、「同じクルマなのに、なぜにこんなに乗り心地、操縦安定性が違うものなのか?」初心者のような疑問が頭に浮かび、つぶやかざるを得ないときがある。
  足回りの性能は、足回りの形式、ジオメトリー、バネ常数、ダンパーの容量、ホイールベース、トレッド、速度域など、いくつものファクターで左右される。もちろん、そこにドライバーの好みや同じドライバーでも、そのときに気分で評価が大きく変わることもある。実に厄介なものだ。「厄介なだけに、深みがあり、面白い」とする、私から見ると少しおかしいジャーナリストもいるほど。
  足回り性能を大きく影響する部品といえばショックアブソーバー(ダンパー)を思い出すが、もうひとつにスプリングがある。乗用車の場合はコイルスプリングである。通常コイルスプリングは同じ線径(太さのこと)だが、「これでは巻き数ごとに応力が微妙に変化するのです」(日発のエンジニア)という。つまり下から力が加わると、応力振幅と呼ばれる荷重が巻き数ごとに凸凹するのである。「そこで、理想は、一部テーパー状にすることでより理想に近づけられる」という。たとえば、通常直径15.8ミリだったのを12ミリのところと16.4ミリのところを作る。もちろんコンピューター解析でどこを細くし、どこを太くするかを決めるのだ。こうすると、理想に近づき、サス特性が劇的に向上するという。15%ほど軽量化にもなる。
  実は、このことはサスペンションに関わる技術者の中では、昔からの≪常識≫だという。モノづくりの課題もすでに解決済みだという。今年中にこのFSDスプリングを採用したクルマが登場するかもしれない。FSDとはフリー・ストレスド・デザインの略で、“全周均一な荷重を与えるデザイン”という意味だ。いやはや、30年以上クルマのことを学んでいても知らないことが、まだまだある!

カーライフ大助かり知恵袋1

時代を画した7台の名車で語る自動車125年の歴史 第1回

ベンツ 今年は、1886年にガソリン自動車が誕生してちょうど125年にあたる。このあいだに自動車は、多くの人たちの絶え間ない努力と英知の結集で、技術革新を遂げ、人間の生活文化を向上、ライフスタイルまで大きく変化させた。いまやクルマが生活の一部を占め、文化そのもの。いっぽう、地球環境面と資源の有限性から、クルマはいま大きな岐路に立たされている。電気自動車やハイブリットカーなど環境重視自動車が急ピッチで開発されている。
  そこで、かなり無茶を承知で、この125年を7台のクルマを軸に、駆け足で振り返ろうというのが今回からのシリーズ。ヒントは、愛知県にあるトヨタ博物館がおこなった≪クルマ125年の歴史≫を範にした。価値のある自動車約160台を所有する国内最大級の自動車博物館の選りすぐりというわけだ。過去を知ることは、やがて来る自動車新時代に思いをはせることができる。
  第1回目は、ガソリン自動車の誕生した125年前の話。
  いまからちょうど125年前の1886年に、ドイツの田舎町マンハイムで始めて自動車が走った。ベンツ・パテント・モトールヴァーゲンである。車両重量わずか313kg、全長2600ミリ足らずの3輪車である。文字通り「馬なしクルマ」の名にふさわしいスタイル。2ストローク単気筒のエンジンを後方に載せ、その回転をベルトでデフギアの伝え、チェーンドライブを介して後輪を駆動する。シート横の長いレバーを前に倒せば走行し、後ろに引けばブレーキがかかる。前進1段のみで、リバースは付いていない。面白いのは、エンジン下部にでかいホイールのようなフライホイールが横位置に付いていて、これを手でグルッと回すことでエンジンの始動をおこなう。
  フライホイールと同軸上にあるクランクシャフト。長いシリンダーハウジングを持つ単気筒エンジンは、2ストロークだがカムを持ち、現在の2ストローク・エンジンとはまるで異なる構造。だが、熱の発生する燃焼室付近の熱を抑制するため水冷化したり、表面気化式と呼ばれるキャブレター、電気点火方式のスパークプラグなど、その後の自動車エンジンの進化を先取りしたようなメカニズムがちりばめられている。

カーライフ大助かり知恵袋2

新型ヴィッツに採用されたアルミニウム製のワイヤーハーネス

アルミのハーネス   世の中には、目に見えない変革と目に見える変革がある。約3万点もの部品で成り立つ自動車の世界でも、その2つが常に出現している。目に見えるものは、ニュースにしやすいが、そうでないものは話題にのぼりにくい。でも重要なものも多い。
  クルマの中の電線であるワイヤーハーネスのアルミ化もそれに入る。アルミは銅より約3.3倍比重が大きい。アルミ合金の電線でワイヤーハーネスを作ればコストはかかるが、車両の軽量化に一役買う。新型ヴィッツのドアに使われているワイヤーハーネスは国産車初のアルミ製のハーネスである。
  ところが、導電率が銅の約60%なので、電線のサイズアップをしている。しかも腐食性が高いので、端子部に特殊な対策を施している。もちろん、被覆は、燃やしてもダイオキシンを出さないハロゲンフリー樹脂だという。住友電気工業㈱とトヨタの共同開発だが、やはりコスト面での課題があった。でも、アルミはリサイクル性が高く環境負荷は小さい。どんどん使うことで量産効果が生まれコストが下がるので、今後増える見込みだ。

愛車メンテのプラスアルファ情報

精緻に作られた精密ドライバーに昂(たか)ぶる

精密ドライバー   精密ドライバーというのをご存知だろうか? 自動車やバイクの整備やメンテナンスにはあまり使う機会がないが、時計、めがね、ラジオ、オーディオ、デジカメなどで使われている微小なねじを回すときに使うごく細身のドライバーである。別名「時計ドライバー」と呼ぶ人もいる。
  グリップのエンド部が空回りする仕掛けになっている。ここを手の腹部に押し付けることで、ドライバー本体をネジに対して垂直に保つことができる。これにより、指は「掴む」と「押す」という動作から開放され、「回す」という動作だけに集中でき、結果として微妙な回転力を加減できるのである。このほかに、人差し指でドライバーエンドを押さえ、親指と中指で回すというスタイルも取れる。
  こうした独自の使い方をする精密ドライバー。写真は、新潟・三条にあるドライバーの専門メーカーANEX(兼古製作所)のもの。プラスは0と00タイプの2種類、マイナスは刃の幅で1.8,2.5,3ミリの3タイプがある。軸は、ニッケル・クロム・モリブデン鋼だそうだ。


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