ここ数か月“バスの世界”にすっかり嵌っているせいか、長距離の深夜バスへの好奇心が高まる一方。
たまたま、北陸小松にあるJバスの取材のため、ゼロ泊3日の旅を計画した。世にいう「弾丸ツアー」である。
木曜の深夜に横浜を立ち、翌金曜日の朝小松に着く。午前は同市にある日本自動車博物館、午後Jバスの工場取材、そのあと最寄りの小松駅に戻り、夜8時半発の深夜バスで帰路。横浜に戻るのは3日目の早朝、という強行軍だ。乗車前にあらかじめ調べておいた最寄りの銭湯でリフレッシュし、ゆったり地元飯も楽しむ予定だ。
行きも帰りも、日野のセレガの一代前の貸切バスだった。薄手のダウンジャケット、耳栓、空気枕、それに睡眠導入のためのトラベルミンを携え、いざ乗車。3列シートなので、リクライニングはほぼフラットに倒れ、悪くない。ところが、タイヤが路面の継ぎ目を超えるたびにガタガタっと突き上げが来る。最近の大型バスは、電子制御式サスで、ダンパーの減衰力を好みに変えられる。たぶんドライバーの好みの“高速での安定性を重視して”一番硬くしていたようだ。このおかげでなかなか寝付けなかったものの、帰りは微妙にその突き上げが少なく、おおむね快調。
ところが、帰路で「なんだなんだ!」という体調異変が不意に襲いかかった。明け方、埼玉の三芳サービスエリアでバスを降りトイレに行こうとしたら、足がふらつくのだ。同じ姿勢で9時間ほどじっとしていたため、「エコノミー症候群」の兆候を見せ始めたのだ。やはり、眠い目をこすりながらも、休憩時には積極的に体を動かす必要があるようだ。トイレから戻ると、さっきは気づかなかったが、お仲間の深夜バスがずらりと並んでいたのには驚く(写真)。年間の深夜バス利用者はいまや1億人を突破したということがリアルに迫る。
後日譚は、帰宅後疲れがたまっていて、仕事ができず一日ごろごろしてしまった。ちなみに、往復のバス運賃は行き5000円、帰り8000円だった。