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2022年12 月31日 (土曜日)

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中国のBYDは自動車の“黒船”になりうるか!


BYDの東福寺さん

  19世紀中ごろ、ペリーの黒船が江戸湾に来航し、これをきっかけに日本は永い眠りから目覚めたがごとく、近代国家への道を歩んだ。以来≪黒船の来航≫という比喩は、海外からの新しい商品などがやってきて、安定していた市場を瓦解に追い込み、やがては新しい景色を作り出す・・・・。来年1月からの中国製EVの本格参入は、さながら、この黒船来航に匹敵するのだろうか?
  「EVの販売台数で世界第2位のBYDは、比較的格安で性能のいいリチウムイオン電池を踏査して、比較的日本市場に受け入れやすいサイズのSUVのEVを投入する!」
  字面(じづら)だけを眺めると、いまにも、日本の自動車市場は、中国車に席巻される気がする。だが、落ち着いて調べてみると、そうたやすく日本の自動車タフ市場が瓦解する要素が見当たらないことに気がつく。
ただ、これもEVが自動車という従来の枠のなかで、とどめて置いての考えか、スマートフォンのように、まったくその市場が存在しなかった、いわばスッピン・マーケットでのEVを考えるかにより、まったく違った景色が浮かび上がる。
  前者だとすれば、トヨタを頂点にした日本の70年にもわたる自動車の市場形成の積み重ねは、そうそう黒船には崩せないほど頑丈だ。BYDの社長は、2022年6月、「日本に2025年までに100カ所ほどのサービス拠点を構築する」とした。現在、輸入車のシェアが、10%ほどだから、これをEVの追加で20~30%に伸ばそうとするには、100カ所ではとても無理だ。と考えると、ハナからチャイナ自動車企業は、短期間での征服の野心は抱いていないようだ。
  EVの価格の高さは、ニッケルやコバルトといった値段の張る貴金属類が入ったバッテリーが主な原因だ。BYDの強みは、こうした高価な金属を使わずにリン酸鉄という安い素材をベースにした「ブラッドバッテリー」といわれるリチウムイオン電池を自社で生産しており、車両そのものも自社での組み付けラインで、トータルでコスト削減を実現しているのが強みだ。この面では、いまのところ、トヨタもホンダも後塵を拝している格好。
  後者、つまりスマホのように、これまでの日本にはなかった市場としてEVを想定すると、まったく違ってくる。EVはエンジンを持たないので、極端な話、デカいスーパーマーケットの片隅に、それなりの設備を整えれば、修理ベイを持ったサービス拠点兼販売店を構築できるのではないだろうか? だとしたら、既存のカーディーラーのようなメカニックを要した大掛かりな設備や人員が不要となる。そもそもEVは部品点数が激減するので、故障率も劇的に下がる見込み。こうなると、従来の修理工場は不要となる。
  ここまでドラスチックなシチュエーションはたぶん想定していないかもしれない。
  日本での総指揮をとっているのが、東福寺厚樹さんという日本人。この人物、もともと三菱自動車で販売を担当し、そののちVWで販売部長として汗を流した男。厳しい言い方だが、実力は未知数だ。BYDのトップなら、トヨタの販売のトップをヘッドハンティングして日本市場で大暴れさせたかったのではないだろうか? まったく異なる風景となる次世代のカービジネスを想定すれば、日本にもかならずや漲るほどの野心と実力のあるカーガイ(自動車野郎)がいるはずだ。こう考えるのは、夢幻だろうか?

カーライフ大助かり知恵袋1

半世紀にわたる愚直なリビルトビジネスに“日本のモノづくりスピリッツ”を見る

昭和1

昭和2

  「日本のモノづくりが弱くなった」といわれ続けずいぶんな時間がたつ。
  高度成長経済で満開になった日本の製造業は、その後発展途上国の追い上げと国際間の貿易などいろいろな要素で、揺さぶられ、かつてのゆるぎない自信が揺らぎ始めているかに見える。
そもそも「モノづくり」とは何かを考える。
  作ったものがバンバン売れれば、人は考える余裕は生まれにくいが、大きな壁にぶち当たると人は立ち止まり、そして考えざるを得ない。いいものを、つまり量産型でだれもが買いたい、欲しい、あるいは使いたいものをどんどん作り、売れれば、モノづくりはとりあえず大成功! というわけではない。“売り手よし、買い手よし、世間良し”というそんな単純なものではない。
  そこには、大げさに言えば哲学があり、従来製品よりも付加価値が高いものを作り出すことが、目指すべきモノづくり。そんなふうに、ととりあえず結論付けたい。
  先日、名古屋のリビルト工場を取材したところ、そのことを裏付ける現場を見ることができた。名古屋市のほぼ中心に位置する(株)昭和(www.Turbo.com)。
  創業当時から燃料噴射ポンプとターボチャ―ジャー、この2つのクルマの補器に特化した再生工場である。リビルト、リマニファクチャリングなどさまざまな言葉で呼ばれる機能部品の再生事業は、リサイクル精神の代表選手として、ここ10年~20年のあいだで、急速に知る人ぞ知る存在となってきつつある。
  故障して不具合となった高価な機能部品を、一度全部バラシ、悪いところの小部品を新品パーツにリプレースし、ふたたび組み直し、最後に品質テストで完成するという流れ。コトバでいうのはごくごく楽チンだが、その部品への幅広い知識、高いスキル、部品の手配など一朝一夕には獲得できないノウハウが詰まっている。
  たとえば半世紀前につくられたディーゼル機関車のボッシュ製列型噴射ポンプも新品同然にしてしまうし、最新の欧州のスポーツカーに採用される電動モーターによるアクチュエーター付きボルグワーナー製ターボチャージャーも、再生してしまう。ターボチャージャーの再生では、1/1000グラム単位でのバランス取りがおこなわれる。専用のバランサーにかけどの部位に、どれだけリューターで削るか、で仕上げていく。インジェクターの再生では失くしそうな小さなピン、鉛筆の軸ほどの極小のスプリングの1個1個を緻密にバラシ、目視で異常がないかを見て、再組立てし、噴射量を専用テスターで測定する。
  こうした作業の精密さは、作業台に整理整頓されたハンドツールを見ただけでピンとくる。使い込んだ工具は、まさに手の延長。ベテランスタッフの動きを眺めていたら、なんだか、機械と対話している空気感がただよっていた。

カーライフ大助かり知恵袋2

ぼくの本棚:リチャード・サットン著『ビジュアル博物館・自動車』(同朋舎出版)

ビジュアル自動車

  カラー刷りの美術全集などと同じ大型サイズの絵本だ。
  絵本だからといって高をくくってはいけない。目次や奥付を含めても70ページにも満たないが、300万点ともいえる複雑な機械、その機械が人間にもたらす喜びや楽しさを瞬間的に理解させるだけのチカラを秘めた印刷物だ。
  本の良し悪しをはかるのは、「内容」と「表現」、この2つである。とすれば、この本は、見事にこの二つを十二分に果たしている。
  目次を見ると・・・・・・「馬のチカラが自力へ」から始まり、「パイオニア時代の自動車」「華麗なる車体」「自動車旅行」「大量生産」「美しいボディスタイル」「街を走る小型車」「アメリカのドリームカー」「レーシングカー」・・・・と19世紀にはじまった馬車なしクルマの登場から、T型フォードで大量生産、それによる人々の暮らしにいかに自動車が広がりを見せ、クルマ自体が生活を彩ったか・・・・そんな歴史と社会的な背景を美しい写真で展開。
  “機能美”という言葉があるが、まさにクルマの内部、たとえばエンジンやシャシーの構成部品をこんなにも美しく見せてくれるおかげで、自動車そのものが機能美にあふれていることに気付かせてくれる。
  添えられている文章もよく洗練されたやさしい間違いのない日本語で語りかける。
  「警報器」のページを眺めると、プオッ~ッとかブ~ッといったどこか気の抜けたホーンの音が時代の空気と一緒に耳に入ってくる気がする。「エンジンの内部」の見開きページを見つめるうちに、まるで自分が一寸法師になってエンジンのなかに紛れ込み、その動きを眺めている気分になる感じ。べたつくオイルが纏わりつきそうな「駆動系」のページでは、ギアのギザギザを指で触り、使用済みギアオイルの嫌な臭いを確かめる気になる。
  なぜ、クルマは動くのか? なぜクルマは曲がれるのか? なぜクルマは止まれるのか? そんな疑問からスタートして、この本を手に取ると、そうした煩瑣な雑音が流れるように消えてクルマという存在がファンタジーとなる。ふと、機械嫌いな友人にこの本を見せたらどんな反応をするのか? そんなイタズラ心が湧いてくる本でもある。著者のリチャード・サットンという人物、調べてみるとカナダのコンピューターの科学者で、MIT(マサチューセッツ工科大学)とスタンフォード大学を卒業したDEEP MINDの研究家だともいう。子供から大人まで夢中にさせる、こんな素敵な本に通底する頭脳の内容を知りたい。(1991年11月刊)

愛車メンテのプラスアルファ情報

1/12の価格で手に入るコンビネーションレンチ。台湾製ツールのビジネス!

アストロプロダクツのコンビレンチ

  今回取り上げるのは、アストロプロダクツ製のコンビネーションレンチ12mmである。
  ごく近く、自転車で15分、以前にはコンビニが入っていた幹線道路の脇にアストロプロダクツがオープンした。
  台湾製を中心にしたハンドツールで、ここ数年ぐんぐん店舗数が増え、ごくごく身近になった工具屋さんである。とにかく、アストロプロダクツは、安くて品質もそこそこ、というのが受けている理由だ。
  かつてヤナセで長年メカニックとして活躍していた友人が、バイク屋さんをオープンするにあたり急いで揃えた工具や機器類はほとんどすべてアストロプロダクツと聞いて、思わず「へ~っ!」と驚いたことがある。あれから10数年たつが、インパクトレンチに不具合があった、あるいは作業台に据え付けて使う万力(バイス)の塗料がはがれたり、鋳物本体の出来が良くなくガタが初めからあった。そんな多少の不満があったようだが、あらためて聞いてみると「意外と信頼性もそこそこで、コスパが高くていいと思いますね」という答え。
  このあたりに、アストロプロダクツのビジネスの極意があるのかもしれない。
  そんななか、アストロの企業案内をチェックしてみたら、面白い記事に出会った。TOP MESSAGE(トップメッセージ)と称して、いまの時代、まさに工具ブームであり、「女性がバッグを選ぶように、男性が工具を選ぶ時代」だというのだ。その背景には、3つの理由をあげている。ひとつは、完全週休2日制で「ゆとりの時代」だから。2つ目の理由は「コストパフォーマンスに優れた工具の登場」。そして3つ目が「ファッション性が高く、眺めているだけで楽しくなる美しいデザイン」。
  なるほど、アストロプロダクツのコンセプトは、かなりいいセンをいっている。ネットでも、近くのリアルショップでも購入できるとなれば、とりあえず鬼に金棒!? …‥あとは、ブランド力である。伝説に裏打ちされたブランド力が必要となる。
  あらためて12mmのコンビレンチを身体検査して眺めてみると、じつによくできた製品だ、と思う。税込み528円。見た目のあまり変わりないスナップオンがAMAZON調べで6389円だから、なんと1/12の超お手軽価格。この価格差をどう読み解くのか? あまりの落差にただボーゼンとするだけだ。


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