みなさん!知ってますCAR?

2022年5 月15日 (日曜日)

いまどきのネジメーカーには“ねじガール”がいる!

興津螺旋1

興津螺旋2

  ふと耳を澄ませると、女性にまつわる独特な響きを持つ言葉が流通している。
  山をこよなく愛する女子を称して「山(やま)ガール」、広島カープの女性ファンを称して「カープ女子」、バイク好きの女性を「バイク女子」、あるいは白衣をまとった理系の女史を称して「リケジョ」。
  “これまで男性100%と思われてきた世界に飛び込んだ勇気ある女性”を指す言葉。当事者の女性たちが自らを称して、そう名乗るわけではない。周囲の男どもが羨望と冷やかしの気分が混じって、そう呼んでいるだけ。長く続いてきた“家父長社会のしっぽ”を断ち切れない日本男子の自嘲の思いがにじむ言葉、と言えなくもない!?
  とはいえ、言葉はいつも挑発的。新しい概念を伝えるには、新しい風をまとう必要がある。
  今回取材した静岡にあるネジをつくる専門メーカーには、「ねじガール」が活躍していた。「ねじガール」とは、簡単に言えば男性だけだったネジの製造ラインに女子、それも若い女性が進出し、ある意味旋風を巻き起こしている。
  静岡県清水区興津(おきつ)にある従業員数80名ほどの日本でも有数のねじメーカー「興津螺旋(おきつ・らせん)株式会社」だ。JR東海道線の興津駅から歩いて約15分、国道52号線沿いにある。
  国道52号線といえば、戦国末期から続く甲斐・山梨と駿河(静岡中部)を結ぶ身延道(みのぶどう)がそのルーツである。太平洋の大海原を背景に富士山が雄大にそびえ、景勝地日本平からも遠くない、まさに日本の原風景が広がるのどかな場所に、そのねじメーカーがある。そこで9名ほどの「ねじガール」が奮闘中なのである。
  最近の合理化された工場の例にもれず、一日になんと200万個~300万個という莫大なネジ生産量に比べ工場のスタッフはわずか30名。そのうちの9名、つまり3割が女子なのだ。
  「ねじガール」が誕生したのは、10年前の2012年のこと。はじめは男の世界バリバリのなかで、内心舌打ちし、違和感を伝える古参スタッフもいた。男子に比べ質問の量が多い女子に対し、うまく言葉にできない男子スタッフもいて、職場内に不協和音。でもそれは杞憂だった。やがて女性従業員の仕事に対する熱意が徐々に部内に伝わり、「ねじガール」が文字通り螺旋階段を着実に登るように、社内に新風を吹き込んでいったという。
  これまで気づかなかった感性や着眼点の異なる女性が増えるに従い、オトコ同士のコミュニケーションも活発。「女性には無理」という、これまで訳もなく思い込んでいた思いが単なる思い込みに過ぎなかった。「工場で機械を触るのは男の仕事」という長く続いた固定概念も霧消。「機械に強い人は女性にもいるし、機械に弱い人は男性にもいる」この当たり前の常識が社内に定着した。国公大の工学部出身の女性も、入社してきた。
  そして女性が働きやすい職場は、ひとえに男性にも働きやすい職場と同義語であることに気付いたという。これって難しく聞こえるかもしれないが、ジェンダーフリー。21世紀が目指す社会のひな型!?
  (次回から数回にわたり、“ねじガール”のいる最新の「ねじメーカー」の面白情報をお届けします)

2022年5 月 1日 (日曜日)

トヨタbZ4Xはまるで“走る! プチ・モーターショー”!?

bZ4X

BZ4X2

  「ホームプラネットである地球という美しい故郷を、次世代に引き継いでいくことを目指して作りました!」
  こんなイマドキ美辞麗句を並べ立てて、登場したトヨタのBEV(100%電動自動車の意味)。
  今年中ごろから日本、北米、中国、欧州で販売される“bZ4X(ビージーフォーエックス)”だ。この車名、はやりの欧文と数字だけなので、いくら眺めていても頭に入ってこない。
そこで、昭和人間は、ついつい連想してしまう・・・・ビージーフォーといえば、正式にはスペシャルが付くが・・・・あのグッチ裕三やモト冬樹が参加した不思議と本格的名演奏で一世を風靡した80年代のものまねコミックバンド。脇道にそれました!
 まじめな話、このトヨタ車、日本では定額制、つまりサブスクリプションでの販売(トヨタのKINTO)となるが、スバルでは通常通り「ソルテラ(SOLTERRA)」という車名で店頭販売(600万円前後)。
  トヨタのサブスクKINTO(キント)はカローラクロスやRAV4,ノア/ヴォクシーなどで既に展開。車両代はむろんのこと自動車保険、税金、保守点検費などの費用を月額で支払うため、ユーザーは駐車代と充電費のみ負担。
  10万円から手に入るランクルより高価なbZ4Xだからこそ、KINTOで初期費用の負担増を減少して、ユーザーの負担感を軽減する作戦らしい。もう一つの狙いは、EV独自の課題である電池の回収リサイクルがある。
  7~8年前だったか・・・・「LAの修理工場には、劣化したプリウスの電池が山のように廃棄されている」という生々しい情報を現地に住む友人を通して耳にした。「すわっ! 日本でも同じ問題が!」と思いきや日本では走行キロ数が短いのとリサイクルのループが構築されているため、そうした問題が起きていない。
  でも世界的にみると、じつはBEVには、劣化したバッテリーの廃棄問題が横たわっている。サブスクのKINTOを導入することで、確実に使用済みバッテリーがメーカーのもとに戻り、高価な素材が回収できる。この電池リサイクルを確実なものにすれば、BEVのコストダウンにつなげられ、中古車価格の暴落も防げる。ひいてはユーザーにもプラスになるという青写真。少し前に起きた日産リーフの悲惨な中古車暴落を横目で見ているだけに、トヨタの深謀遠慮がこの売り方に見える。
  bZ4Xには、もうひとつ注目点がある。一部車種にステア・バイワイヤーを導入したことによる異形ステアリングの登場だ(写真)。ステア・バイワイヤーとはリンクなどによる従来から続いた機械式のハンドル構造ではなく、エレキ仕掛けでステア(ハンドルを切る)できる夢のハイテクメカニズム。四角いかたちのハンドルを約+-150度クイッと動かすだけでUターンでき、峠道を意のままに走行できる。丸いハンドルで、手を持ち替えクルクルと回す労働からドライバーを開放。これなら箱根の旧道を走っても疲れない。
  オプションで付けられるルーフソーラーパネルにも注目だ。従来型プリウスにも同じような装備があったが、せいぜい夏場の車内の熱気を外に排出するためのファンを動かすほどでしかなかった。今回のルーフソーラーは、がぜん性能アップし、年間で走行キロ数1800kmに相当する発電量を稼ぎ出すという。頼もしいソーラーパネルだ。
  とまぁ、このクルマ、総額700万円近い高級車だ。日本では、スバルあわせ年間約7000台売るという。
  庶民には、とてもじゃないが手が届かない。次ぎ、もしくはその次に出るBEVが手に届く車両になるに違いない。でも、bZ4Xをつくづく眺めていると、地球のことをホームプラネットというだけに、ハイテクがてんこ盛り! そこへオールデイズの楽曲が流れる……これって“駆け抜けるプチ・モーターショー的クルマ”ではないかと思えてくる。

2022年4 月15日 (金曜日)

わきが甘いぞ! 日野自動車のエンジン試験担当者どの

日野自動車不正

  トヨタ・グループでトラックとバスを担当している日野自動車に、いま激震が走っている。
  新車時の排気ガスや燃費測定データを改ざんしたとして、8車種のトラックやバスの「型式指定」の取り消しを食らったのだ。再取得までには数か月がかかるため、企業として莫大な損失を被る模様。ちなみに「型式指定」とは、車検証の上の欄から4行目あたりに掲載される「型式」、そのものを指す(写真)。
  そもそも自動車メーカーがクルマを販売する前にブレーキ性能や排ガス性能といった品質、それに品質管理体制などを詳細に調べ、そのデータを国土交通省に提出。これをパスした車両に与えられ、そこで初めて量産車として、その車両を世の中に送り出せるわけだ。
  だから「型式指定」を取得するということは、そのクルマの販売権を得ると同義語。逆に言えば、これを取れないと売ることができない、いわば市販車のパスポートなのだ。
  今回、報道によると日野自動車のエンジン検査部門は、長年にわたり排ガステストで触媒の性能ダウンを見越して新品の触媒に入れ替えてデータを改ざん、燃費データ測定では流量計を不正に操作していていたという。言葉は悪いが、インチキの限りを尽くし、「型式指定」を取得していたというのだ。
  これじゃカーボンニュートラルやSDGsもあったもんじゃない。モノづくり日本に背を向けた自動車メーカーという刻印を押されかねない。背景には、厳しい納期へのストレスがあったとはいえ、先輩たちが汗と涙で築き上げた自動車づくりの誇りと信頼をないがしろにしかねない、愚かな行為だといわれても致し方がない。
  そもそも、エンジンの開発部門と国に提出する試験部門が同じ部署、つまり同じスタッフがおこなっていたというから驚く。これってわかりやすく言えば、お巡りさんとドロボーが同居しているようなもの。なれ合いが起きないのが不思議だ。厳しさが足りなさすぎる。
  厳しさが足りないといえば…10数年前のこと。日野自動車の整備士コンテストを取材した際、かなりブッタマゲル体験を思い出す。
  全国から選りすぐりの整備士が集まる年に一度の腕を競うあう貴重なイベント。会場は博物館が併設する研修センター。ペーパー競技と実技競技の2本立て。なかでも実車を使った実技試験がハイライト。日ごろ仕事をともにする同僚が見守るなかで、熱いバトルが展開される。トラブルシューティングと12か月点検(トラックだと車検整備にあたる)だが、一番の見所はトラブルシューティング。試験官が意図的に不具合を作り、それを持ち時間内に解決に導くというものだ。
  記事をつくるリポーターの広田は、競技中は遠くから見守るばかりで、どんな課題でどんなふうに修理しているのかは、ほとんど読みとれない。そこで、日を改めて、日野の本社に出向いた。問題を作った試験官をつかまえ質問攻めにして、4ページをつくる目論見だ。こうした整備士コンテストの取材を年に10回近く15年間にわたり行っていた。なかには、「(なかば冗談だとは思うが)今回は広田さんが喜びそうなトリッキーな課題を作りました」とばかり鼻をピクピクさせながら説明する試験官(出題者)もいた。
  ところが、その日野自動車の出題者は、当初出題した課題の中身を掘り下げて話してくれなかった。その問題の正解とは何か? そもそも、その問題の狙いは何か? 正解率は何パーセントぐらい? といった質問を次々に繰り出すも担当者はモゴモゴと言葉を濁すばかり。挙句に、貝のように口を閉してしまった。これでは取材にならない。そこで、ズバリ「なぜ、教えてくれないんですか?」と思いきって尋ねた。
  …どんな返事が返ってきたと思います? 「来年も同じ問題を出すので、言えないんです」
  二の句が継げないというのは、このこと。いっけんギャグのようで、じつは本当の話が世の中にはあるなんて。
  実力が判断できるバランスのよい問題をつくるのは、そうたやすくはないことは判る。だけど、回答を想定しながら問題作成するのは、知的で刺激的な作業。クリエイティブな能力が問われ、出題者側も真剣勝負が要求され、切磋琢磨できる。そんな実力向上の絶好のタイミングを、この担当者は逃がしていることになる。思わず、その人の顔をじっとのぞき込んでしまった。
  ちなみに、このまますごすごと引き下がってはこちらも予定のページが白紙となるので、食い下がり何とか妥協した線で取材にこぎつけた。でも、この一言で熱意が冷めて、差し障りのない熱の冷めた退屈な記事になってしまった。これって近江商人の“三方よし”の真逆で、売り手悪し、買い手悪し、世間悪し、だよね。

2022年4 月 1日 (金曜日)

ど~なる? これからのクルマ社会!

ウクライナ戦争

  ただでさえ原油価格が上昇気味だったところ、いきなりのウクライナをめぐる戦争は、クルマ社会にも大きな影を落としつつある。当面の課題は、ガソリンの価格が今後上昇する雲行きだ。
  欧州連合は2035年にガソリン車の新車販売を禁止する予定だし、アメリカもバイデン大統領が2030年に新車の半分は、「排ガスゼロ車」つまりEVもしくは燃料電池車(FCV)にする大統領令にサインした。これを受けて、ホンダは2040年以降のニューモデルをすべてEVもしくはFCVにすると宣言。栃木の真岡にあるエンジン工場を閉鎖するなど大改革が進行中。トヨタも2030年にはEVを全体の35%にあたる年間350万台生産すると宣言。
  となると、ガソリン価格の高騰でいっきに“EV時代”に突入か?
  ところが、自動車をめぐる革命はそう単純ではない。化石燃料からEVへのOS(オペレーティングシステム)の変換は、スマホやPCほどには簡単ではない。
  半導体不足がいわれてからモノづくりがあちこちで滞っているのと、ウクライナでの戦争でニッケルとアルミニウムの価格が最高値を更新。さらには最大生産国のロシアからの輸出が途絶え始めて、クルマを作る原材料、とりわけEVのキモとなるリチウムの供給が需要に追い付かなくなり始めているからだ。こうなると、EV普及のカギを握る低価格EVの生産に強いブレーキがかかることになる。つまり、21世紀最大のモビリティ革命の主人公EVの前に暗雲が立ち込め始めたといえる。
  トヨタは、世の中がどう変わろうが複眼の思想(というかモノづくり)で対応するつもり。じつは、ホンダもエンジン生産を一切やめるつもりはないと思われる。バイクのパワーユニットの大半は今後とも化石燃料を使ったエンジンだし、F1エンジンもレッドブル・レーシングやスクーデリア・アルファタウリなどにとりあえず2025年までは供給を継続することになっている。
  政治・経済・国際環境など複雑なマトリックスのなかで、今後のモビリティの盛衰が変化していくようだ。

2022年3 月15日 (火曜日)

開店休業状態の近所の水素ステーション!

水素ステーション

  都市部には何とも不思議な施設があるものだが、我が家の近くにもそれがある。「横浜南水素ステーション」である。横浜駅から南に約7㎞、交通量の少なくはない鎌倉街道沿いにある。
  ほとんど客が来ない水素ステーションである。6~7年ほど前につくられた設備だが、その前を通るたびに気にかけて観察している。ざっと100回近くは前を通っている。ところが、これまで実際FCVが水素を充填している現場を2~3回ほどしか見たことがない。いつも人影らしきものがないので、不気味と言えば不気味である。開店休業のオーラが充満している感じ。
  調べると、横浜市のFCV保有台数は、多く見積もってもせいぜい500~700台程度。横浜市には計6カ所の水素ステーションがあり、官庁やトヨタの販売店社長あたりが所有するFCV(FCVを個人で所有する人はごくまれだと推理する)のための水素ステーションなのである。
  さらに調べてみると、次世代の環境車として2014年に登場したFCVは、昨年の販売台数が約5600台しかない。現在手に入れられるFCVは、トヨタのMIRAI(ミライ)しかない。累計で1万7000台ほど。ホンダのFCVは昨年いつの間にか生産中止となっている。ちなみに、バッテリーEVは昨年だけで2万2000台売れているので、次世代乗用車はEVに軍配が上がると誰しもが考える。
  FCVはEVと違い燃料(エネルギー)の充填速度が化石燃料並みに素早くできるのが魅力。だが、数多く売れないと量産効果が上がらず、車両価格が高止まりのまま。EVの約1/10。水素ステーションの設置個所もあまり増えていない。全国で現在166カ所。神奈川16カ所、東京21カ所、栃木や山梨は1軒しかない。これじゃとてもじゃないが、FCVでドライブにでかけようと気分にはなれない。だから、だれも買わない。ちなみにEV用の急速充電設備は全国に約7700カ所ある。
  ところが、面白いことにそれでも政府は一度振り上げたFCV推進の環境“旗”は降ろすに降ろせない・・・・。3年後の2025年には、全国に水素ステーションを320カ所までに増やそうとしているのだ。そのため、来年度は今年度より40億円多い150億円を投入するという。FCV普及のために、税金を使って、いわば先行投資している。
  ただ、乗用車の世界は駄目でも、トラック・バスの世界ではFCVは将来有望ではないか、という見方もある。トラック・バスは、たいていいつも決まったところを走ることが多い。だから、水素ステーションの利用頻度が高く、その設置についてもコスパに見合うということらしい。でもFCVトラック・バスが普及するかも、ひとつの賭けだ。
  道路行政に限らないが、世の中やはり複眼でモノを見る必要がある。だが、明らかに無駄と分かった場合は、さっと引き上げる勇気も必要。このへんは民間企業とお役所仕事の違い!? 税金の無駄遣いにならないように今後も注視すべきだ。
  (写真の「横浜南水素ステーション」は月~金が9:15~18:45、土曜9:15~16:45。日祝は休み。のぼり旗ははためくものの客の姿はない)

2022年3 月 1日 (火曜日)

コロナ禍での渋滞都市ランキングをウオッチィング!

1920年のNY

  「渋滞はむしろ車内での会話を盛り上げる特効薬となることも!」 かつてそんなマイナス現象をプラスと見なす考え方があることにたまげたものだ。そうした車内をリビングと取り違えているドライバーは別にして、渋滞はやはり交通の自己矛盾だ。経済活動のマイナスにもなっている。燃費悪化でSDGS(持続可能な開発目標)にも背を向けることになる。
  タイム・イズ・マネーでいち早く目的地に着きたいのに、交通渋滞で無駄な時間が覆いかぶさってきて、その日の計画が台無しということもある。渋滞の解消は、見果てぬ夢なのか?
  そこでコロナ禍で渋滞具合はどう変化したのか? TOMTOM(トムトム)というオランダ・アムステルダムに本社を置くロケーションIT企業の昨年2021年度版の渋滞調査が公表された。世界58か国404都市における緻密なデータだけにかなり信頼がおける。
  それによると、世界の主要都市の渋滞具合は、コロナ禍とそれ以前で意外と大きな変化がある場合と、逆にさほど大きな変化が起きていないところの濃淡が比較的顕著に表れた。
  たとえば、世界で一番の渋滞する都市イスタンブール(トルコ)などは、コロナ禍前の2019年は渋滞率55%だったのが、昨年2021年では62%と7%もアップしている。ちなみに、“渋滞率”というのは、年間を通じてドライバーが余分な運転時間を費やした時間。たとえば、空いていれば30分で着けるところ50%の渋滞率なら45分もかかるということだ。同じくランキング第2位のモスクワは59%から61%とわずか2%の増加。
  東京は、渋滞世界ランキング第17位だが、42%→43%、大阪は34位だが、36%→36%と2年前と同じ。パリはコロナ禍前から4%アップした35%。ロンドンは2%アップの33%。LAは6%アップの33%。日本の主要都市を含め先進国は、コロナ禍よりは渋滞率が高くはなっているが、小幅に落ち着いている。
  これはたぶん、多くの人が公共交通機関の利用を控えマイカーでの移動を優先した分渋滞が増加したものの、渋滞緩和要素があったから。渋滞緩和要素としては、リモートワークの時間が増加し、自宅時間が増加した点。それに日本のように都市間距離が短い場合、自転車やオートバイ、スクーターでの出勤に切り替えたサラリーマンが増えたことも、渋滞緩和に貢献。ちなみにLAでは移動距離が長いので、自転車やバイクは使いづらい。
  発展途上国では、例外こそあるが移動の選択肢が狭いこととリモートでの業務移行があまりなされなかったことで、渋滞が顕著に増えたのではないかと類推できる。
  例外というのは、ムンバイやベンガルールなど渋滞ワースト10に入るインドの2都市は、2年前より渋滞率が10%以上ダウンしている都市もある。この背景は過酷なコロナ禍で、長きにわたり都市機能の停止を余儀なくされたからだ。
  いずれにしろ、パンデミックが未曽有の都市交通に暗くて大きな影を及ぼしていることは確かだ。
  (写真はフォードT型がアメリカを席巻した1920年のマンハッタン。世界初の渋滞風景?)

2022年2 月15日 (火曜日)

エンジンマウントの交換は不文律のメンテナンス!?

エンジンマウント

  森羅万象の事象が掲載されている百科辞書のなかにも、意外と知らない言葉や出来事が見落とされている。それと同じで、完璧と思われる“自動車の整備書”のなかにもスポっと抜け落ちた項目がある。
  さしずめ、エンジンマウントの交換は、その代表例だといえる。
  先日、若い読者Y君からのメールで、「ぼくの19年目を迎えたマークⅡ。走行12万3000kmなんですが、思い切ってエンジンマウント2個とT/Mマウント1個を交換しました」と伝えてきた。「おかげで始動時のブルッという震えが消え、アイドリング時にステアリングに伝わる振動がずいぶん軽減されました。加速時のざらついた振動もほぼなくなり、直列6気筒のスムーズ感が回復した印象です」とそれなりの効果を得られたとのこと。使用済みの部品を目視点検したところ、大きく剥離こそしていないものの、細かな亀裂が入っていたという。
  モノの本によると、人間が騒音と振動を感じる周波数は、20~100Hzなので、これがエンジンマウントの交換で減衰したと読み解ける。ただ、「左右のエンジンマウントが液封タイプのため単価が1万3000円(T/Mマウントは6000円)と高価で、工賃を入れると4万6000円と馬鹿にできない費用になった」とY君はもろ手を上げて喜んではいない。早い話、費用対効果、つまり“コスパ”が大きな課題というのだ。
それを聞いて昔の体験がよみがえった。KP47スターレット(エンジンはOHV1200㏄)のエンジンマウントを走行8万キロあたりで交換した。騒音計で測定したところ、たしか4デシベルほど車内騒音が低下して、びっくりしたことがある。当時、部品代も気にするレベルではなかった。
  この経験があり、90年代にエンジンマウントの開発担当者数名に寿命を聞いたことがある。「たしかに80年代あたりまでは亀裂が入って迷惑をおかけしたこともありましたがいまは一生ものと思ってください」と太鼓判を押された。
  そこで今回、あらためて知恵袋のトヨタディーラーの1級整備士Kさんに聞いてみた。
  「エンジンマウントの交換作業依頼は、数は少ないです。整備士歴30年のあいだに10件ぐらいかな。むかしのFR車は交換作業が楽でしたが、いまどきのクルマとくにFF車(イラスト)とか、縦置きエンジン車でもV6だと横の出っ張りがあるので、車体を持ち上げた状態でエンジン本体だけを浮かすことが難儀なクルマが少なくない。なかにはフロントサスの一部を取り外すとかしないと、作業スペースがとれないケースもあります。だからクルマにもよりますが、作業時間が4~5時間に及ぶことも…‥」となると、部品代込みで10万円近くになる計算。
  ところが、このエンジンマウントは定期交換部品には入っていない。トヨタの整備士向け技術テキスト(イラスト:少し古いが1995年版)には、「エンジンマウントは、振動騒音の伝達系の重要部位なので、アライメントは正しく保つ必要がある」そこで「エンジンマウントのスグリの隙間をチェックする」あるいは「同系他車との比較をする」とあるだけ。
  「自分たちのエンジンが市場でどうなっているのかをときには自動車解体屋さんで中古エンジンを購入して研究することもあるんです」とざっくばらんに楽屋裏を吐露してくれたダイハツのエンジン開発部長がいた。その彼から「クルマの耐久性を突き詰めていくと、ゴムにいきつくんです。一定以上の耐久性を持たせようとすると、量産車の領域を超え、宇宙開発技術の世界に踏み込む……」という意味の部品についての踏み込んだエピソードが耳に残る。
  いずれにしろ10万キロとか15万キロを後にしたゴム製品は、劣化が進んでいるとみて間違いない。・・・・でも、これってエンジンレスのEV時代になると、まったく意味をなさなくなる!?

2022年2 月 1日 (火曜日)

道路運送車両法のルーツは、“自動車取締令”だった!

円太郎バス

  クルマを日本の道路で合法的に走らせるオキテ(法律)は、いうまでもなく「道路運送車両法」である。
  ヘッドライトの明るさはどうのだとか、ブレーキはどうのこうのとか、車体に尖った部分がないとか(尖っていてもある一定の柔らかさであればいいとか)、そんなモロモロの取り決めである「保安基準」もそのなかにある。2年に一度の車検というのは、この取り決めを犯していないかをチェックすること。(詳細は拙著「新クルマの改造〇と×」〈山海堂〉を参照)
  「う~ん・・・・そんな退屈で面白くないこと、なぜいま持ち出すの?」と言われるかもしれない。
  ひとことで言えばルース・ギンズバーグ(1933~2020年)を描いた映画「ビリーブ」がキッカケ。性差別の撤廃で活躍し、27年にわたりアメリカの連邦最高裁判事をつとめた、この女性はハーバード・ロースクルール(HLS)の出身。1817年創立だから200年以上の歴史を持つ法科大学院がアメリカという国家の大きな重石となっているに違いない。このことに直感した。
  そこから芋づる式で、HLSそのものを詳細に解説した田中英夫氏の著書「ハーヴァード・ロー・スクール」、HLSを舞台にした青春映画「ペーパーチェイス」、HIS教授アラン・ダーショウィッツの自己啓発書「ロイヤーメンタリング」、HLS出身のサスペンス小説家が描く法廷小説、さらには日本が近代化を推し進めるうえで明治期に急速に法整備をした背景を克明に描いた「法学の誕生」。この労作を通して渋沢栄一の長女・歌子の夫穂積陳重(ほずみ・しげのぶ)が貢献していることが分かった。例の小室圭騒動でアメリカのロースクールへの関心がいや増す事態になった。
  ジュリストの世界から見るとまるで宇宙人だったのが、“にわか法律オタク”(むろんナンチャッテという枕詞が付くが)になった気分。そこで、ふと我に返り、日本の道路運送車両法は、欧米の法律を参考にしたんだろうか? だとしたら、ドイツか? アメリカの法律か? 戦後6年目にできたのだから当時アメリカの支配下にあった日本(昭和27年、サンフランシスコ平和条約が発効し、占領政策が終了した)は、アメリカの影響が大きかった。
 事実は小説よりも奇なり! 道路運送車両法のルーツそのものは、明治36年(1903年)の「自動車取締令」だった。
  なにがキッカケでできたというと、同年の第5回目の内国勧業博覧会。これは上野で3回、京都、大阪で各1回開かれ、なかでも大阪での延べ153日間になんと530万人という人出。当時日本の総人口4500万人だから、10人にひとりが博覧会に出かけたという計算だ。
  このとき“乗合自動車”を最寄りの駅(梅田)から会場(天王寺)まで走らせている。おそらく蒸気自動車だったらしい。このとき、主催者側から「カクカクしかじかのクルマを走らせます」という申請を主催者側の政府に申請した。この申請を受け、急遽作られたのが、「自動車取締令」というわけだ。愛知県令、長野県令、京都府令など1905年にかけて合計20の府県において、名称はいろいろだが「自動車取締令」が出された。
  その内容は、タイヤ、ブレーキ、警笛、屋根、泥除け、前照灯、後尾灯が付いているかどうかの確認、といういたってシンプルなもの。原動機(エンジン)は、営業開始日までに県庁の指定する日時場所で検査を受けること、それ以降は毎年1月と7月に検査を受ける…‥とある。どんな検査なのかが気になるが、たぶんエンジンがかかり、異音がなければOKだったのではなかろうか? そのころは馬車が10万台、牛車3万台弱、荷車135万台、人力車18万5000台で、エンジン付きのクルマはごく数えるほどののどかな時代。
  でも昭和8年、1933年になると、クルマの保有台数が7000台となり、内務省令の「自動車取締令」が少し充実してくる。ブレーキにおいては時速50㎞で、22m以内で止まれること。前照灯については、50m前方の障害物を認識できる光度を要する、といった具合。自動車にまつわる法律は、アメリカの商務省からの圧力で規制緩和するなどの事例はあるものの、どうやら日本オリジナルが基本だった、といえそうだ。
  (写真は、関東大震災後に走り始めたフォードTTベースの11人乗り「円太郎バス」。庶民が自動車の存在を強く意識し始めた先駆けとなった)

2022年1 月15日 (土曜日)

こういうことなのか? ソニーがクルマを作る意味とは?

ソニーのEV

  「なぜソニーがいまさらクルマ業界に割って入ろうとするか、理由がわからん!」「家電で行き詰った日の丸電気業界のあがきか?」などなど、外野席の不躾な声が聞こえる。ほかでもない、ソニーのEVコンセプトカーをめぐる話題だ。
  でも、一方では・・・・自動車が大きな曲がり角に立っているタイミングで、ココロザシのある企業家が、次世代モビリティに触手を動かそうというのは十分理解できる・・・・。
  そんな折、ラスベガスで開かれたエレクトロニクス展示会「CES2022」(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)に、ソニーのEVコンセプトカーVISION-Sが登場した。昨年はセダンだったが、今年はSUVも登場(写真)。2020年1月が初お披露目だったので、これで3度の露出ということになる。すでに発表されているように、試作車が世界の主要地域で走行実験をされているとの情報もあり、徐々に完成度を高めているようだ。そして、注目なのが、今年2022年春に「ソニーモビリティ株式会社」を設立することだ。量産を視野に入れて本格検討に入ったことを意味する。
  シャシーやボディは、オーストリアの自動車生産委託会社マグナ・シュタイヤ―(ベンツのEクラスやBMWのX3、トヨタのGRスープラなどの開発・製造を担っているスタッフ約1万人の企業)と2018年ごろから取り組みを始めてはいるものの、わずか3年で、試作し、実走実験に入った。一昔前までは考えられないスピード。背景にはITによる技術革新と、グローバルなサプライヤーのネットワークがあるようだ。
  じっさいVISION-Sにはボッシュ、ヴァレオ、コンチネンタル、ZFといったメガサプライヤーのほかに、ボーダフォン、ブレンボ、レカロなどの多くの企業が参画している。
  すでに仮ナンバーをとって走行している試作車には、計40個のライダーやレーダーなどのセンサーが付いていて、車両周囲360度センシングやドライバーモニタリングを実現。レベル4の自動運転を見据えて開発中だという。
  ソニーが目指す次世代クルマの魅力は、安全性の高さだけではなく、適応性(アダプタビリティ)とソフトウエアの充実度にあるという。具体的には、車内にこれまでのクルマにはない、エンタテイメントを持ち込むことだ。プレイステーションなどで築いてきた高い技術を注入する。
  かつてソニーが、ウォークマンで音楽を外に持ち出して若者のライフスタイルを変えたように、モビリティであるクルマに新たなバリューを盛り込み、人々の生活を変革するというのだ。携帯電話が、スマートフォンに変わることで無限の情報やエンタメが外にいながらゲットできる。通話機能は、いわば付録となった。
  それと同じように、ソニーの狙いは、テツガク的に言えば、“クルマを再定義する”ということ。クルマは、これまで期待されていた快適にA地点からB地点に移動するだけではない、新たな価値を付加する、という意味だ。この大変化を担うのは、旧来の勢力ではなく、いつの時代も新勢力だということは、奇しくも歴史が証明している!?

2022年1 月 1日 (土曜日)

手放しで喜べない! トヨタ9年後に年350万台のEV生産。

トヨタ新EV戦略

  トヨタの豊田章男社長は、昨年12月14日いきなり記者会見を開き、今年5月の計画を白紙に戻し9年後の2030年にはEV生産を全体の35%にあたる350万台とすると宣言した。EVの開発や生産設備に4兆円、“電動車”全体で8兆円の巨費を投じるとした。
  会場は閉館間際になったお台場のメガウェブ。未発表のSUVのEVやスポーツカーのEVなどなど10数台を背にしての記者会見は、いやがうえにも世界一の自動車メーカーの一大決意を示すものだった。
  この迫力ある記者会見のおかげで、数週前「全固体電池の5年後導入に向けて2兆円の投資をする!」という日産の宣言はすっかり霞んでしまった。まさに企業規模の違いを印象付けた。
  それにしてもだ。今回トヨタが、半年にも満たないで、軌道修正した理由は何か? 環境保護団体グリーンピースによる気候変動対策の最下位評価やニューヨークタイムズ紙の「クリーンカーを遅らせているメーカー・トヨタ」という悪評をかわす狙いが背景にある。加えてEV専門メーカーのテスラの株式の時価総額がトヨタの3倍以上となったこともある。
  ホンダが2040年までに新車販売をEVかFCVにする、ドイツのVWが2030年にEV販売比率を50%にする、フォードも2030年までにEVを4~5割にするなど華々しくEVシフトを宣言している。トヨタの首脳陣にとって、こうした動きは外堀を埋められつつある気分だった! というのは言い過ぎだろうか。
  それにしてもだ。全体の生産比率から言えば35%はそう多くはない。「テスラモーターは年間のEV生産が50万台に過ぎない。うちは350万台を目標としている。ここを評価してもらいたい」「たとえばノルウエイは水力発電が背景にあり、EV比率が7割と高いが、バイオエタノールを燃料としたエンジンが主役となっているブラジルでは、ガソリンより安いバイオ燃料が背景にあり、そこにEVを売ろうとしても無理がある。トヨタはグローバルにクルマを販売している」世界を相手にしている自動車メーカーであることを章男社長は、強い言葉でにじませた。「急速な脱炭素、つまりエンジン不要となれば100万人の雇用が失われる」という章男社長に次の手はあるのか? そして、安易なEVシフトで、走行時のCO2発生は抑えても、肝心の電気をつくるのに化石燃料を用いてCO2を大量に発生させる! という愚行に陥る心配はないのか? だからと言って原発の活用には踏み切れないし。

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