みなさん!知ってますCAR?

2015年2 月 1日 (日曜日)

ナットメーカーの凄み!

ナット  取材にいくと、相手の圧倒的な情熱や実力を垣間見ることがあり、自分のだらしなさが情けなくなることがある。とくになんでもないと思ってきた変哲のない部品だと、件(くだん)の感情が加速度的に襲い掛かる。
  先日東京ビックサイトでおこなわれた「オートモーティブワールド」と呼ばれる自動車をテーマにした4つほどの見本市でのこと。大阪府松原市にある「松本ナット工業」(http://www.matsumoto-nut.co.jp/)では、昭和28年からナット一筋の工場。ナットフォーマーと呼ばれるマシンでM6からM22まで、自動車産業、建設機械、農機などで使うナットを大量に製造しているのである。
  驚くのは何万個という膨大な数だけではなく、その精度である。日本のモノづくり世界では、ネジ部と座面の精度がとくに要求される。JISではたとえば0.3ミリの誤差範囲ならOKだが、この工場では50ミクロン以内の誤差としている。つまり、0.05ミリである。「座面の精度はシール材を使わずシールの役目を期待されることもあるので、とくにうるさいです」(担当者)
  つまりナットの精度が上々なら、シール材という追加の部品を使うことなく、目的が達成。それによりコストダウンが大幅にできる。ボルトやナットはICなどとともに「産業の米」とも言われる基本パーツ。見過ごしがちなナットにもこんな物語があるのである。

2015年1 月15日 (木曜日)

「フロントガラスの進化とは?!」

クールベールプレミアム  クルマのフロントガラスというのは、厚さ2~2.5ミリの2枚の生板ガラスの間にPVBフィルムという厚さ0.76ミリの樹脂フィルムがサンドイッチされている。サイドガラスやリアガラスが生板ガラスの3~5倍の強度を誇る強化ガラス(熱を加え徐々に冷やすことで強度を高める!)であるのに対し、フロントガラスは、万が一衝突しても助手席人員の頭部が割れたガラスが大きなダメージを受けない配慮。中の樹脂が破損時にバラケない接着の役目をするからだ。
  ところがこのフロントガラスに、付加価値を持たせた製品が登場している。UV(ウルトラ・バイオレット:紫外線)をカットするものだ。これはサンドイッチ樹脂の素材に紫外線を撥ね退ける役目を持った素材に変えたもので、「クールベール」という商品名でおなじみ。つい最近さらにこの上をいく「クールベール・プレミアム」が登場している。UVには、UV-AとUV-B、それにUV-Cの3つの測定領域(周波数領域)がある。UV-Cは地上に届く前に消滅するので、AとBが重要。とくにUV-Aは肌の深い部分に影響し、日焼けによるしわやたるみの原因となるという。女性ドライバーの存在を無視できない自動車業界には、この「クールベース・プレミアム」は絶好のセールスポイント。なお、暑さの原因となる中紫外線も90%以上カットするので、夏場での車内温度の抑制にもつながり、エアコン使用時の燃費向上にも貢献するという理屈。アフター(修理のタイミング)でもこのフロントガラスに交換できる。直射日光のまぶしさを抑制するシェードタイプも選べる。GLASS PIT http://www.glasspit.com

2015年1 月 1日 (木曜日)

新型アルトのリッター37キロの秘密とは?!

新型アルト  このほどデビューしたスズキの新型アルトは、JC08モード燃費でリッター37kmを叩き出している。つい先ごろまでリッター30キロをめぐる競争をダイハツと争っていたことを思えば、「すごいもんだ!」あるいは「やればできるじゃない!」という声が聞こえてきそうだ。これなら、なにもコストアップが避けられないハイブリッドにしなくても、リッター40キロが夢ではない気がしてくる。
  リッター37キロの背景とは何か?
  ズバリ言えば、車体の軽量化、エンジンの高効率化、トランスミッションの進化など、合わせワザ。なかでも、軽量化はアルトの場合、新プラットフォームを採用し、車両重量610kgのモデルを登場させている。これは従来車にくらべ大人ひとり分の60kgの軽減。詳細に見ると、ボディで約35%の寄与率、足回りで20%の寄与率、外装部品と内装部品で各10%の寄与率、エンジンでも5%の寄与率とありとあらゆる部位の見直しで、軽量化してリッター37キロを達成している。いまのところ、これは「ガソリン車№1の燃費チャンピオン」である。
  このリッター37キロは、副変速機付きのCVTの組み合わせで達成しているのであるが、面白いのは、8代目のこのアルトでは“電子制御のマニュアル・トランスミッション”(AMT,スズキではオートギアシフトAGSと呼ぶ)を登場させたことだ。欧州の乗用車や大型トラックの世界では。ポピュラーになりつつある2ペダル式MTは電子制御の進化で、比較的違和感なくあつかえ、しかも燃費もよく、従来のATにくらべてエンジン回転数を低く抑えられるので静粛性にも貢献する。クリープ機能も持っているので、駐車時の扱いもらく。エクステリアも凛としたシンプルでどこかかわいらしい感じがしないでもない。CMキャラクターにベッキーを登用するなど、スズキの意気込みは小さくない。価格は、84万円台から。

2014年12 月15日 (月曜日)

ボディリペアの革命的な乾燥機が登場!

3M乾燥機  指折り数えると40年以上の自動車ジャーナリスト稼業。超マニアックな取材に巻き込まれることがある。
  自動車補修業界の大手企業3M(スリーエム)が発売した新型ボディ塗装乾燥機の取材が舞い込んだ。3Mとは16号線沿いの橋本5差路(はしもとごさろ)近くにある企業で、少し前まで「住友3M」という名称で親しまれてきたというのは知っていたが、実は、はじめて伺う企業である。B-Bの企業はあまり取材対象ではなかったのだ。しかもボディリペアの世界。正直、不案内。そもそもボディなんか多少錆びていようが色ムラがあろうが、あまり気にしないユーザーの筆者だから、「補修の段階で塗った塗料が早く乾かせる新兵器」といっても心動かない。
  ところが、担当者から2時間ほどレクチャーを受けるとがぜん興味が湧いた。我ながらゲンキンなものだ。心動かせられたのには、もうひとつあった。その乾燥機、イタリア製というだけあり、見るからにかっこいいのだ。F1というかフェラーリをイメージしてしまうほど。赤と黒にカラーリングされたマシン。日常のなかに非日常を忍び込ませる。イタリアの美学にはかなわない!?
  この取材で、面白いことが分かった。イマドキのクルマの塗料は環境にやさしい水性塗料なのだが、補修の段階では依然として溶剤(揮発性がある!)タイプの塗料が90%以上だという。欧州はすでに補修段階でも水性塗料なのに「遅れているぞ、日本!」なのだ。日本のレギュレーション自体が遅れているというのが現状のようだ。
  この3Mの近赤外線を使った乾燥機、従来の乾燥機なら40分かかるところ、15分ほどで乾かせるため、水性塗料でもすばやく作業ができ、しかもエアで早期乾燥しなくていいのでホコリの付着の心配がないという。BP工場側での作業性が高まり、ユーザーにとっても作業時間が短縮し、代車を借りなくてもいいケースが出るなど、いいこと尽くめという触れ込み。ただし、値段を聞いて腰を抜かした。1基2000万円近い。マジでフェラーリじゃないか。日本には3万3000ほどのBP工場があるが、月150台以上をこなす工場はわずか1500ほど。といわれるだけに、このマシン、さほど売れないのでは、といらぬ心配をしてしまう。

2014年12 月 1日 (月曜日)

プジョーとシトロエンの1.3リッターエンジンはお重を横にした!?

プジョー3気筒エンジン  輸入車のエンジンルームを覗くことはあまりないため、時として驚かされる発見に出会うこともまれではない。先日プジョーとシトロエンのサービスコンテストの取材で、初めて目にしたバランスシャフト付き3気筒1.2リッターエンジンが載ったエンジンルームは衝撃だった。3気筒といえば日本が誇る軽自動車か、遠い昔、愛用したダイハツの3気筒1リッター・ディーゼルエンジンしか思い浮かばない。ところが、プジョー208とシトロエンC3に載っている3気筒エンジンは、ズバリ言えば21世紀型ガソリンエンジンなのだ。どこが21世紀といえば、上部に見える部品、たとえばシリンダーヘッドカバー、吸気マニホールドなどはみな樹脂(たぶんナイロンにガラス繊維を混ぜたもの)というだけではない。上から見ると、左からエンジン+エアクリーナーボックス(その下にはおそらく5速の電子制御トランスミッション)+バッテリーというレイアウト。まるでお正月のお重を横にしたような感じなのだ。
  これは何を意味しているのか? ここからは推理なのだが、組み立て工場ラインでの組み付け性が劇的に向上したこと。もうひとつは、フード(ボンネット)との距離が増えるので歩行者保護が飛躍的に向上したことだ。歩行者を跳ねたとき歩行者の頭部がフードに当たり、致命傷を与えることから逃れたいというデザインだと思う。で、肝心の整備性だが、筆者が見たところ“エアクリーナーケースを外すのはやや厄介そう”程度で、とくに問題はなさそう。メカニックに聞いたところ「オイル交換とか、エアクリーナー交換とかはとくに不便はないですね」と同じ意見だった。ちなみに車両価格は200万円前半だ。

2014年11 月15日 (土曜日)

新型レジェンドのLEDヘッドライトの斬新性とは?

レジェンドのランプ  イマドキのクルマのなかには、やけにヘッドライトがいかしているクルマがある。
  新型レジェンドのヘッドライトもそのひとつ。写真でみるように、磨き上げられた光学レンズがまるで宝石の輝きを連想させる、実に豪華に見えるヘッドライトである。
  調べてみると、構造がユニークであることが分かった。これまでのLEDヘッドライトは、配光性能を確保するために、奥行きを必要としていたが、この「ジュエルアイLEDヘッドライト」と呼ばれるものは、ロービームを2回の反射により配光特性を高め、短い奥行き構造にしている。ランプを点けていないときにも、リフレクター(反射板)が外光を反射させ、見栄えのいい高級感あふれるもの。また、主光源とは別にブルーLEDを内蔵させることで、夕暮れ時の表情をより美しく演出できたということのようだ。コンパクトカーでは望み得ない世界!?
  実はこのヘッドライト見栄えだけではなかった。従来のヘッドライトにくらべると、指向性を7度ずつ変えることで路肩まで鮮明に照らし出すことができ、夜間のドライビングをより確かなものとしているというのだ。
  ただ、禍福はあざなえる縄のごとしで、万が一のフロントクラッシュで破損しやすいのはヘッドライト。となると、その価格が気になるが、おそらく目の玉が飛び出るほど高いことになるに違いない。

2014年11 月 1日 (土曜日)

スバルのフラッグシップ、レガシーの本気度はどこに!?

レガシー  スバルのフラッグシップカーであるレガシーがフルモデルチェンジされた。
  1989年に初デビューし、今回で6代目だという。実はレガシーは日本の道路ではあまり見かけない。年間1万2000台ほどしか売れていない。主要市場は北米(アメリカとカナダ)で、日本の10倍以上を売るという、スバルにしては、とりあえず北米に顔を向けておけばOKということらしい。日本仕様は2.5リッター4気筒NAエンジンだけ。エンジン各部を見直し、お得意のリニアトロニックCVTも見直し、静粛性と走りをチューンしたというが、全体的にはあまりやる気が感じさせない。
  そのやる気のなさは、フロントグリルのデザインにも現れている。
  あの旦那車の代表選手というか、保守的なクラウンですら、自己革新を迫られ、押し出しの強いフロントグリルに変貌を遂げた。大きな声ではいえないが、実はクルマの販売は、女性や子供の意見が大きく左右される。カッコよさの大部分が判定されるのはクルマの顔であるフロントグリルだ。
  地味すぎるフロントグリルを眺めると、そのことをスバルの首脳陣はどうも理解していないようだ。エクステリアデザインの担当者に聞いても、そうした考えを申し立てるデザイナーはスバル内にはいなかった口ぶりだ。要するに富士重工のデザイナーのなかには、いい意味での異端児がいないのかもしれない。せっかく水平対向エンジンや衝突安全技術で高い評価を受けているスバルのクルマがいまひとつ訴求しない理由が垣間見えた気がした。価格は313万2000円から。

2014年10 月15日 (水曜日)

ホンダが提案! 水素ステーションがこれまでの1/10でできる!?

ホンダ水素ステーション  トヨタが価格700万円の水素自動車「ミライ」を発売、11月にもさらにもう一台の水素自動車がデビュー予定。ホンダも年内には、量産型の水素自動車を世に送り出す模様。だが、水素ステーション自体の数が少なく、よほどの好き者か変わり者でない限り水素自動車をファーストカーにはしない。日本には現在水素ステーションは10個前後。いっぽう自動車先進国ドイツでは、現在16箇所の水素ステーションが稼動するなど、やや日本より進んでいる様子。
  いずれにしろ、廃棄物は水だけという、ゼロエミッションカーの切り札である水素自動車は、水素充填速度はガソリン車並みの3分ほどだし、航続距離も500キロ以上。2020年の東京オリンピックのマラソンの先導車にもなる予定だし、近未来の移動手段(モビティティ)のエース中のエースであることには間違いない。ところが日本で水素ステーションを1軒つくるには4億円とも5億円とも言われている。
  いくら環境にいいとはいえ、これでは無理!? そこで、先日幕張メッセで開催されたITとエレクトロニクスの見本市CEATEC(シーテック)に登場したのがホンダの世界初のパッケージ型の小型水素ステーション。電気と水道水で、1日1リッターの水素を作り出すプラント。リッター100km走るので、年間5万キロの水素カーなら賄えるという計算。今後、よりコンパクトに高効率なものに進化できれば、コンビニなどに設置できる・・・電気もソーラーチャージャーで作り出せば・・・と夢が広がる。いまのところ価格は5000万円だそうだ。

2014年10 月 1日 (水曜日)

新型フィエスタに採用! オイル潤滑式タイミングベルト

湿式タイミングベルト  エンジン内部など、どうでもいい読者には、関係ない話かもしれないだが、フォードの新型フィエスタ(コンパクトカー)は、メカニズム的にも注目だ。先日、豊橋でおこなわれたサービスマンコンテストで登場したフィエスタの3気筒ガソリンエンジンの内部を見て、たまげた。
  このクルマ、半年ほど前に日本上陸したようだが、湿式のタイミングベルトを採用しているのだ。昨年の東京モーターショーでドイツのコンチネンタル社あたりが、参考出品していたと記憶するが、たぶんこれを採用していると思われる。
  そもそも乗用車エンジンは、バイクのようにギア駆動方式もあったようだが、タイミングチェーンからはじまり、70年代にタイミングベルトが登場し、80年代にサイレントチェーンが登場し、現在はローラーチェーンとサイレントチェーンでいずれにしろ金属チェーン方式が全盛。タイミングベルトは無給油というメリットがあり静粛性も有利である一方、幅があるのでエンジン全長が長くなりがちで、しかも10年10万キロを目安に交換(レーシングカーは2万キロごと)と面倒。使用途中で切れるなどのトラブルに見舞われるとヘッド交換やピストン交換などの大枚が消える修理ケースがあり、これがきっかけでクルマを手放すユーザーもいたほど。
  そして時代は、ふたたびタイミングベルト時代が到来!? フィエスタのエンジンのタイミングベルトは、従来型のベルトの2/3ぐらいと巾を狭まくしエンジン長を極力短縮。しかもオイル潤滑方式が斬新。一段の静粛性とコストが狙いと思われる。むろん一生モノと謳っているはずだが、今後の広がりなど動向に注目したい。

2014年9 月15日 (月曜日)

日産追浜工場のトレーニングセンターを拝見!

日産の研修センター  日産の横須賀市追浜にある工場は、ブルーバードの生産を始めて、今年で54年の歴史がある。現在、電気自動車のリーフ、キューブ、ジューク、シルフィーの4車種を1本のラインで混流生産(マーチはタイ工場に移設している)。生産能力24万台規模、2700人の従業員の平均年齢43歳という。
  そのいささか老朽化した工場であるが、女性の作業員のために組み立てラインの高さを10センチ刻みで調整できる仕掛けを導入したり、フローリングもどきの床にしたり『ひとにやさしい工場』を目指しているという。より効率のいいモノづくりをこのマザー工場で編み出し、世界に複数ある日産系工場にノウハウやスキルを輸出するという役割を担っている。取材して面白かったのは、海外生産拠点で活躍する人たちを教育するトレーニングセンターだ。これは2005年からスタートしたもの。累計1500名の卒業生を送り出しているという。中国、ロシア、タイなど6ヶ国語での授業が展開されていた。
  オモチャのレゴを使って順序だてて考える習慣を身につけたり、江戸時代のカラクリ人形を用いて、機械の動きを学んだり、ボルトの締め付け方法を体験(写真)させたりと座学と実習の両面。とくにボルトの締め付けでは、角度とかトルクなど23のノウハウがあるそうで、左手の使い方をメトロノームで拍子を取りながら学ぶのだという。いまや日本の自動車工場はますますマザー工場化し、付加価値をいかに付けるかにかかってきたようだ。

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