みなさん!知ってますCAR?

2013年11 月 1日 (金曜日)

人気のホンダフィットHVのツインクラッチはドイツと日本の合作

シェフラーとホンダ  たとえば、自動車のエンジンは、クランクシャフト、コンロッド、シリンダーブロック、シリンダーヘッドの4部品以外関連会社または部品メーカーに依存している。ことほど自動車のモノ作りは自動車メーカーだけでは成り立っていない。3万点もの部品の多さを思えばこれはごく当然。そんななか、実は、エンジンの制御、トタンスミッション、衝突安全装置など自動車のキモともいうべき装置が、実はドイツのメガサプライヤーと呼ばれる部品メーカーが担っていることを案外知られていない。ボッシュ、コンチネンタル、シェフラーの3社は横浜に研究所を創設。そこが日本の自動車メーカーへの窓口となり、日々営業活動をしているのである。たとえばボッシュなどは、驚くべきことに2000人ものエンジニアが働いているのである。
  日本の自動車メーカーとともにシステムを開発する状況も生まれている。たとえば、販売の好評な、ホンダフィットのハイブリッドシステムのキモのツインクラッチ(DCT)は、シェフラー社との4年近い長きにわたるカンカンガクガクの開発を通して誕生したものだ。カタログ上ではアクアの燃費を超えた燃費チャンピオン車だけでなく、ファン・ツー・ドライブなクルマとして、フィット全体の7割を占めるにいたっている。モーターをトランスミッション内部に入れるなどの工夫をしている。
  ツインクラッチは、1985年にポルシェがレースの世界で導入したもの。マニュアルギアに2つのクラッチを取り付け、奇数段と偶数段で、走行中次にギアを準備させることで瞬時に変速が可能となる。イージードライビングと鋭い加速、それにマニュアル車並みの燃費の良さ。理想に近い走りができる仕掛けとして、欧州のスポーツカーやスポーティカーに採用されてきた。どちらかという付加価値の高い値段の張るクルマが多かったのだが、フィットでの採用で、いっきに普通のクルマにも増殖する動きが出てきた。
  ちなみに、シェフラーは、日本ではあまりその名が知られていないが、19世紀後半に誕生した老舗の自動車部品メーカー。クラッチやトランスミッションのLUK(ルーク),ニードルベアリングから始まりエンジン部品のINA(イナ)、ボールベアリングからはじまりホイールなどのFAG(エフエージー)の3つのブランドを持つ。

2013年10 月15日 (火曜日)

今後増加をたどる見込みのヘッドアップディスプレイ

ヘッドアップディスプレイ  ドライバーから約1.5メートル先の空間(フロントガラスの先)に架空の映像を見せるという最新技術がヘッドアップディスプレイだ。旧くは、1980年代後半に登場したシルビアの速度計を思い出す。
  1910年ごろ自動車誕生した頃は、メーターといえば速度計と走行キロ数表示の2つだったが、それから100年以上たち、ドライバーが受け取る情報量は、数え方にもよるが10~15ほどになった。新型アクセラなどは、車速やナビ、ルート誘導などの「走行情報」をドライバーの真正面に表示、エアコン・オーディオなどの快適情報をドライバーの左側に納めている。そうした表示手段で、最近注目されるのが、ヘッドアップディスプレイというわけだ。
  ところが、このヘッドアップディスプレイ、2つの鏡を使い、反射させて、前方に映し出すという仕組みなので、どうしてもユニット自体が大きくなる。一眼レフカメラの図体がでかくなるのと同じ理屈。お弁当箱2つ分ぐらい。これをいかに収めるかが大きな技術的な課題だという。
  ヘッドアップディスプレイは、原理的には無数の情報を提示することができる。しかも読み取り時間は従来にくらべて25%ほど時間の短縮となる、という研究結果も出ている。ところが、実際の人間には情報を読み解く能力限界があるので、それを絞り込み、いかに見せるかが腕の見せ所。今後、この技術は自動運転技術と組み合わさり、ポピュラーな自動車の仕掛けのひとつになると思う。

2013年10 月 1日 (火曜日)

昭和30年代の整備士は、ボックスレンチを自作していた!

手作り工具  年配の整備士さんを取材すると、思わず“じぇじぇじぇ!”と声を発することを耳にすることがある。先日も、品川駅近くにあるサファリ・モータースの超ベテランメカニックの袰岩勝志(ほろいわ・かつじ)さんに工具のテーマでインタビューしていた。そのとき聞いた話は、耳を疑った。昭和33年ごろに彼は岩手の中学を卒業後、東京の日産車を扱う整備工場に入社した。まさに、『ALWAYS 三丁目の夕日』の“六ちゃん”こと堀北真希である。昭和30年代といえば、輸入工具など夢のまた夢、あてがいぶちの国産の工具を軸に仕事をしていたが、やはりより使いやすい工具を渇望していたという。
  喉から手が出るほど欲しかったのが、ボックスツールだった。先端にソケットの付いたT型レンチだ。当時そうした洒落たものは輸入工具であったかもしれないが、安い給料ではとても手が届かなかった。ここからが凄い。仕事が引けると、自分たちで工具を製作したという。素材にしたのはほとんどが廃品ばかりだった。まず、使用済みになったピストンピンを酸素バーナーで真っ赤になるまで熱する。そこへ、少し長めのねじ径8ミリボルトに2面幅12ミリのナットをダブルに整列させたものを、打ち込んだという。ピストンピンの円筒部内面に無理やり6角部を作り上げるのだ。この逆側に有り合わせの鉄の棒を溶接し、12ミリのソケットを持つT型レンチを創り上げた。同じように14ミリも作ったという。つまり火縄銃の尾栓のメスねじを創り上げるときの手法だ。
  火縄銃の尾栓のメスねじ造りはたとえば滋賀県の国友村は信長の庇護のもと大量生産し、戦国末期には日本には50万丁もの火縄銃が存在したとも言われる。昭和の整備士にこの技術背景を認識していたとは思えないが、符丁するものがあるところが不気味に面白い。

2013年9 月15日 (日曜日)

時速50キロまでをカバーする緊急ブレーキ装置

衝突安全装置  コンチネンタルの試乗会で興味深かったのは、新しい取り組みの衝突安全装置。前方に障害物があるとき、すばやく反応して急ブレーキをかける自動緊急ブレーキだ。
  デジカメなどでよく使われるCMOSカメラと赤外線レーダーを一体にしてフロントガラスの上部に組み込んだもの。車両自体が時速50キロからでも障害物を感知しその手前で急ブレーキをかけたり、ドライバーにインフォメーションすることができる装置。CMOSカメラは前方の障害物の画像をキャッチ。赤外線レーダーは、センサーから発射された赤外線が障害物にぶち当たり、返ってくる時間と自車の走行速度を差し引き、すばやく演算して、制動を加える。
  スバルのステレオカメラに比べ検知能力は同等以上に高く、しかもコストが確実に安いという。衝突軽減装置が付くのが当たり前の時代、今後は車両速度の範囲の広さ(速度領域)とコストの安さが注目されるということのようだ。その先はもちろん自動運転システムだが、この流れは徐々に進み、2025年には、完全版の自動運転車が市販される見込みだという。“よそ見”したり、走行中に助手席にも移れるし、運転中パソコンで原稿も書ける!? むろんそのためには、法規制をクリアしないといけないが。

2013年9 月 1日 (日曜日)

チャイナツールの日本上陸で選択肢が増える!?

P8220348  街の工具屋さんは確かに消えつつあるが、郊外型のホームセンターと輸入工具中心にビジネス展開する工具専門販売店など、販売面の劇的変化だけでなく、品質面で互角に戦える台湾ツールの日本市場への進出なども、日本の工具市場の大激震の大きなキーワードになっている。
  工具好きのユーザーから見ると、こんなワクワクする時代はかつてなかったともいえる。いわば飽和状態の日本の工具市場は、これ以上の大変化はおこらない!? 
  ところが面白いことにほかの国から見ると成熟した市場は、ビジネスチャンスだと見えるようだ。なんと、中国製のハンドツールメーカーが、世界で一番厳しいユーザーのいる日本に殴り込みをかけてきたのだ。というといささかブッソウな表現だが、取材をするとその工具メーカーは、日本の大学で経済学を履修した若きビジネスマン・洪さん(写真中央)。日本の市場を熟知した日本人スタッフと組んで、チャイナツールを売り込もうというのだ。ジェイテック・ツール・プレミアムという名称で。「日本にはアメリカのスタンレーやスナップオンといった本当の意味での総合ツールメーカーはありません。アジアに唯一の総合ツールメーカーを打ち立てたいんです」と洪さん。自社製造率を高めた総合ツールメーカーの夢をこの中国人は抱いているのだ。1年後には年商2億円、3年後には年商5億円を目指すという。
  日本製、欧州&米国製、台湾製、それに中国製。近い将来、大きく分けてこの4つのツールを選択できる時代がきそうだ。

2013年8 月15日 (木曜日)

バンパーが破損! 即新品に交換の時代がなくなる!?

バンパーの修復  考えて見れば、クルマのバンパーというのは、モノにぶつかり、大切な命やエンジンを守る役割の部品。ところが、日本では厳しい車検もあるし、車両保険さえ入っていればわずかなお金で修理できたこともあり、少し傷んだバンパーは即座に新品に交換する・・・というのが長いあいだのお約束事項だった。
  ところが昨年から車両保険制度が変わり、このあたりの事情ががらりと変化。
  多少のキズなら保険を使うより、ポケットマネーで修理するケースが多くなった。バンパーのキズならできるだけ修理でリカバーするというのがいまや常識化しつつある。
  こうした時代の要請に合わせた修理方法が、ドイツからやってきた。ステイネル(STEINEL)の「プラスチック・リペアキット」がそれ。まず傷口をきれいにし、それ以上キズが大きくならないようにドリルで小さな穴をあける、というのが前工程。あとは、傷口に付属のステンレス製メッシュをあて、AC100V電源でヒーターガンを650℃近くに温め、母材の樹脂と棒状の追加樹脂を応援団に加えながら、これらを溶かしながら・・・修復するというものだ。むろんあとはパテを塗り、塗装しなくてはいけない。
  塗装技術を除けば、このリペア手法、それほどの技術力が要らないので、もし普及すれば、修理コストは劇的に下がるはず。ちなみに、修理キットは7万円弱で手に入るという。

2013年8 月 1日 (木曜日)

これぞリアル!? 大型トラックの整備士コンテストの現場

トラックコンテスト  どこの世界でもそうだが、切磋琢磨することで、技術スキルが磨かれる。
  自動車の整備士の世界も、一年に1度晴れの舞台が用意される。ブランドごとにおこなわれる整備士コンテストである。先日、三菱ふそうの整備士コンテストを取材する機会があった。日頃、大型トラックの整備をしているメカニックたちの頂点を決める競技会である。
  見上げるほど大きな大型トラックがドンと置いてあり、あらかじめ何かしらのいたずら(不具合)をしてあり、60分のあいだに点検整備とトラブルを見つけお客様にソツなく説明できるかどうかを競う。フロントマン1名、整備士2名、ユーザー役の試験官1名、それに純粋な試験官2名が近くで逐一チェックしている。意図的な課題は、ナンバー灯が切れていたり、事前に前回りの板金修理をおこなったため外気温センサーが効かなくなった・・・というもの。
  見ていて笑えたのは、競技が終盤にかけてだ。修理が一段落し、ユーザーに修理内容を説明すると、ユーザーが修理代を値切るのである。マイナートラブルなので、たぶん1万円以下の修理代をなぜか値切るのだ。大阪から応援に駆けつけた先輩もしくは同僚のフロントマンに聞くと、「あの程度は生易しいものでっせ」。つまりリアル世界では、もっとえげつない値引き交渉が展開されるということらしい。同じクルマでも乗用車とはまったく異なる世界があるようだ。

2013年7 月15日 (月曜日)

なぜ輸入車は、修理代が高く付くのか!? その秘密の尻尾を捕まえた

P7100257  一度は輸入車のオーナーになりたいという気持ちがないわけではない。先日も近くの幹線道路脇にある中古外車屋さんに、とんでもなく安いスポーツカーP車を発見。100万円とある。原寸大のプラモデル車として、一台所有したいという誘惑に駆られた。
  でも、輸入車は部品台が高く修理代も高い。少し取材をしただけで、たとえばある欧州車のヘッドライトは、新品で50万円もする、と聞くと尻込みせざるを得ない。ライトぐらいなら中古で探すという手もあるが、エンジンが壊れたら・・・。
  そんなおり某輸入車総代理店のY社の修理部門を取材することができた。ベンツのメカニックだけで40名もいるといえばすぐわかるが、ベンツの隣のアウディのヤード。エンジンが抜け落ちているクルマがあった(写真)。エンジンだけでなく、フロントバンパーとエンジンサポートなども外されている。直列4気筒のアウディA4だ。オイル消費の過大。1000キロ走ると1.1リッターの大食いで、オーバーホール中。ピストンリングの摩耗によるオイル上がりだ。エンジンを降ろし、エンジンをスタンドに載せ、ピストンを取り替え、再びエンジンをクルマに載せる・・・これをひとりのメカニックが1日半でおこなうという。やはりプロの凄ワザ・凄スピードだ。そのことにも驚いたが、エンジンを降ろすのにわざわざフロントバンパーまで外す! 聞けば、アウディのクルマはおおむね、エンジンルームの広さの割りに、でかいエンジンを積むので、これが当たり前だという。こんな整備性はジャパニーズカーではまずお目にかかれない。
  同じフロアの50メートル離れたところでは、シボレー・コルベットのリアにあるトランスミッションを降ろしていた。聞けば、燃料フィルターを交換するのだという。燃料フィルターが納まるタンクを外すには、プロペラシャフトとリアのトランスミッションを降ろす必要があるというのだ。コルベットは、なんとFRスポーツカーの王道レイアウト・トランスアクスル方式だったのだ。
  輸入車は、国産にはないユニークな味があるというのはウソではないが、そのユニークさは時として、整備性の悪さを持ち込んでいる。そこに修理代が高騰する理由があるようだ。いやはや。

2013年7 月 1日 (月曜日)

7年後の2020年には完全自動運転カーが登場!

ボッシュの自動運転  「クルマの自動運転」など遠い未来のことだ、と思ってきたが、メガサプライヤーのボッシュによるとそう遠くない将来だという。「自動運転」のメリットは何か? 通常のクルマの運転は回りの交通をつねに監視し、適宜ハンドルを動かしたり、アクセルペダルを踏み込んだり、ブレーキをかけたり・・・長時間になればなるほど疲労が溜まり、危険に繋がる。交通混雑時において快適なドライブができるし、現在9割の交通事故が人的ミスといわれるので、交通事故数が劇的に減少。そればかりか、最適なルート選択で燃費がよくなり地球環境にプラスする。先進国はおおむね高齢化社会に移行しつつある。「自動運転」への期待値は想像以上に高まりつつある。
  開発にはボッシュ所属の約5000名のドライバーのドライビングテクニックがベース。テストはドイツのシュトゥットガルトとアメリカのカルフォルニアでおこなわれている。
  具体的なボッシュの「自動運転」のシステム商品は、2014年以降の「渋滞アシスタント」から始まり、2016年以降予定の「インテグレート・クルーズ・アシスト」。さらには2020年ごろ投入予定の「ハイウエイ・パイロット」と3段階で完成するという。
  「渋滞アシスタント」というのは、高速道路に混雑治における部分的な自動運転システムで時速50キロ未満の領域。主導権はドライバー側にあり、車線変更や障害物回避を自動でおこなうというものだ。「インテグレート・クルーズ・アシスト」は、高速道路と幹線道路で時速130キロ未満お領域。道路標識を認識し、自動で車速調整をし、これも主導権はドライバーにあり、工事ゾーン、交差点、狭いコーナーで自動運転をおこなう。「ハイウエイ・パイロット」はドライバーの介入不要の「完全自動運転システム」。ドライバーの指示にしたがいシステムを作動し、自動で車線変更ができ、ステアリングとブレーキングも自動操作し横方向の挙動をコントロール。工事ゾーンで制限された狭い道路や交差点も自動で対応する。「自動運転」の課題は、自動車保険をどうするかという問題だけにとどまらず、現在各社ばらばらの地図の統一化が最大の課題。地図をベースに「自動運転」をするため、地図のない林道などは適合できないそうだ。

2013年6 月15日 (土曜日)

第4世代のディーゼルエンジンシステムはこうなる

デンソー  よく知られるように乗用車の世界でのディーゼルエンジンは、欧州がリードしている。
  日本ではようやくマツダのCX-5などの成功で、かつての臭い・黒い・汚いというイメージを払拭したクリーンディーゼルが認められつつある。ところが、ディーゼルエンジンのメガサプライヤー(部品メーカー)の一角を日本のデンソーが担っていることは、あまり知られていない。ボッシュやデルファイ、コンチネンタル(シーメンス)などと世界で戦っているのである。
  そのデンソーのディーゼル新技術が、先日“みなとみらい”のパシフィコ横浜で催された「自動車技術展」に顔を出していた。第4世代のディーゼルエンジンである。この新技術のポイントは、より燃料を高い圧力で燃焼室に吹き込むことで、質の高い噴射を実現し、よりきれいな排気ガスにするというものだ。具体的には2000バールだったのを2500バール、さらには3000バールにまで高めるという。ただ高圧だけでは駄目で、内部に圧力センサーと小さなマイコンを内蔵したインジェクターで、緻密に噴射量と噴射タイミングなどをコントロールして、バラツキのない噴射を実現している。ディーゼルは通常ではガソリンエンジンより使用期間が長いので、噴射量の経年劣化による衰えも小さくできたという。サプライポンプと呼ばれる燃料ポンプも2本プランジャーから1本タイプになり、やや小ぶり化されていた。
  エコカーの本命は、ハイブリッドカーなのか、はたまた電気自動車や燃料電池車なのか。ダークホース的存在は、ディーゼル乗用車だというのが、ひとつの見方といえそうだ。

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