みなさん!知ってますCAR?

2010年12 月 1日 (水曜日)

手の込んだ整備士コンテストの世界とは?

VWコンテスト風景 秋になるとインポーターのサービスマンコンテストがあちこちで展開される。要するに日頃実力を培っている全国の優秀なメカニックやアドバイザーと呼ばれるディーラーの現場のスタッフのコンテストである。
例年、何かひとつ感心させられることがあるが、今回はVWのアドバイザーのコンテストだった。「20キロ離れた自宅から不満をぶつけに来たお客様で、その不満とは外気導入にすると車内のニオイが酷いというもの」だった。お客様は、TVにも出てくるという俳優さんだ。そのクルマちょうど車検を前にしていたタイミングだったこともあり、選手は異口同音に「エアコンのフィルターが交換次期に来ています」という説明。つまりエアコンのフィルターが駄目になったからニオイが酷くなったというステレオタイプの発想をした選手がほとんど。このお客さんのクルマは普段木の下に停めていて、落ち葉がフードとフロントガラスの根元に溜まり、それが腐ってニオイを発していたことを突き止められなかった。VW車の多くは、溜まった落ち葉を除去しづらい構造になっているのだ。だから、役者であるお客様は、開いた口が塞がらないというわけで極端に言葉少な目。車検プログラムの提案をしても「検討します」というばかり。この場合の、「検討します」はほかのディーラーに行くよ、に限りなく近い!? だから、「いつご返事いただけますか?」とお客様に切り返すべきところなのであるが・・・10名の選手の誰からもその言葉は聞けなかったという。わずか15分間のコンテストだが、中身がいっぱいだった。

2010年11 月15日 (月曜日)

GT-Rのエンジンは手組みだが、手組みはどこがいいのか!?

GT-R手組み よく知られるように日産のGT-Rのエンジンは、横浜工場に所属する「匠(たくみ)」と呼ばれるベテラン作業員の手で1基ずつ組み立てられている。530PS,612Nmの超ドキュウのパワーとトルクが出ているか、エンジンダイナモのパワーテストで確認する。その手前まで、わずか1人の作業員の手で、約380個のパーツをひとつずつ組み上げ、ボルトというボルトは履歴が残るトルクレンチで限りなく正確に締められていく・・・。しかも、その工場は、チリやホコリのないクリーンルームと呼ばれる作業室である。匠は3つのピラミッド型構造になっていて、日々研鑽し、互いを高めあう作業集団だという。勘とコツの世界を伝承しつつより精度の高いエンジン組み付けを持続する集団でもある。大量生産ではない、見えない付加価値を売ろうというビジネスモデルといえる。
50年以上ものモノづくりの歴史を持つ自動車工場が、モノ余り時代に生き残るひとつの道なのかもしれないが、ユーザーにとって本当に勝ちあるものなのかは、実は別問題。というのは、匠のひとりに「ユーザーにとって手組みエンジンはどこがアドバンテージなのですか?」の質問の答えに窮してしまったからだ。「・・・・機械で組むとどうしても不具合が出る恐れがあるので・・・」と、つまりそれは、機械での組み付けは当たり外れがあるということ? と重ねて聞くと・・「その通りです」と返答。ということは量産車には当たり外れがあるということをいみじくも告白したってこと!?

2010年11 月 1日 (月曜日)

60年前に活躍した木炭自動車に驚く!

木炭自動車 キーをひねる、あるいはスターターボタンを押せばらくらくエンジンが始動し、すぐに走り出せるイマドキのクルマ。そんな便利さはごく当たり前のため、“このクルマ”を前にしたら、思わず卒倒しそうになった!
“このクルマ“とはトヨタ博物館(愛知県)にある木炭自動車(木炭を燃料とするクルマ)のことだ。
あまり知られていないが、今から60年ほど前の昭和21年のデータによると、実在車両が日本に約13万台いて、内44%が、代燃車だったという。代燃車は、第二次世界大戦後石油の輸入が滞った時期に、ガソリンに代わる燃料で走らせていたクルマのこと。代燃車のうち24%が木炭車で、次いで石炭ガス車、薪車が続いている。これらは、通常のガソリン車にくらべ、大幅にパワーが低下し、たとえば木炭車では50~60%だった。坂の途中で力がなく登れなくなった木炭車バスは、乗客が降りて後ろからバスを押して峠を登ったといわれる。
博物館にあるのは、当時官公庁の公用車として活躍していた1937年式のキャデラックのトランクに『愛国式』と呼ばれる木炭ガス発生装置を取り付けたもの。もともと木炭車は、欧州で一足先に発明された。木炭を燃やし、発生するガスを燃料としたもので、ガス発生炉、発生ガスの清浄器、冷却器などで構成されている。50kgの木炭で平坦路約100km近くが航続可能距離。スタートする前に、炭をふるいにかけ、炉内の炭落しを専用の工具でおこない、ガスの発生を待ち、さらに木炭に着火し・・・と走り出すまでに小1時間かかったのである。もちろん定期的に釜の掃除などのメンテナンスも大変だった。

2010年10 月15日 (金曜日)

都バスのクラッチはここで再生され、第二の人生に飛び出す

東京クラッチ ここ数年自動車部品のリサイクルは、環境意識の高まりからか、ずいぶん認知されてきたようだ。リビルト部品も、中古部品と同じくらいポピュラーになりつつある。
リビルト部品というと、ドライブシャフト、オルタネーター、スターター、エンジン、トランスミッション、パワーステアリングのラック、噴射ポンプ、ターボチャージャーなどが思い浮かぶ。大型トラック&バスの世界ではブレーキシューなどが昔からリビルト事業がおこなわれている。ところが、意外と知られていないが、クラッチディスクの再生事業というのがあるのだ。
川崎にある「東京クラッチ」という企業は、半世紀以上、再生クラッチの製造をおこなっている。スタッフ数10名ほどの小さな工場だが、そこで月に500~600個のクラッチディスクを生産されているのだ。クラッチといえば、マニュアル車。とくにクラッチ操作の頻度の高い路線バスがおもなお客様である。コア(素材)として入庫してくる中古のクラッチは摩擦材が紙のようになっていたり、ところどころベースの金属が顔を出しているものなど、限界まで使われたものばかり。10年前までは比較的景気がよかったので、再生率が70%近くまであったが、リーマンショック以降メンテナンスにお金をかけたくないせいか、再生率が40%だという。価格は、新品にくらべ30~40%安いが、まだまだ新品信仰があるせいか、市場の1割も満たないシェアだという。

2010年10 月 1日 (金曜日)

近未来のぶつからないクルマ! 緊急操舵補助装置とは?

ESA  自動車ジャーナリストを生業にしていて、よかったと思うことはあまりないが、たまにはある。時に近未来のクルマのハンドルを握れることが、そのひとつ。
  世界の3大自動車部品メーカーのひとつであるコンチネンタル・オートモーティブが先日、技術を公開したなかで、興味が大きかったのはESAという仕掛け。ESAとはエマージェンシー・ステアリング・アシストの略。日本語でいうと緊急操舵補助装置。ときいてもピンとこない!?
  早い話、走行中前方の障害物にハンドルを切って避けようとしたとき、その補助をしてくれる仕掛け。レガシーやボルボなどに付いているプリクラッシュ・セーフティ(障害物衝突防止補助装置)があればいいじゃないかという読者がいるはず。ところが、実際にはハンドルで障害物を避けようとして、避けられず、あえなく衝突というアクシデントがある。EASは、これを防ぐ装置。
  ステアリングの切り方が不足したり、あるいは車両が不安定になり2次的事故に遭遇する・・・そんなシチュエーションである。ESAの構成部品は、77GHzのレーダーシステムで障害物をキャッチし、ESC(横滑り防止装置)でリアタイヤを制御、かつリアタイヤをステア(操舵)することで、危険を回避するというものだ。ESCが早めに作動し、リアタイヤを低速では逆相、高速では同相(フロントタイヤに対し)させることで車両をすばやく姿勢変化させ、安定方向に持っていく。実際、ESA付きの車両をドライブして試してみると、いささか違和感があるもののベテランドライバーもできないような素早い事故回避ができた。まるで忍者の如し!?
  ところが、これを実際実用化するとなると、ブレーキとステアリングの依存度をどうするかなど、多くの課題がある。たぶん2~3年後あたりに登場するのではなかろうか?

2010年9 月15日 (水曜日)

イマドキのクルマのメンテナンスの必需品!?

スナップオン  イマドキのクルマというのは、エンジンやトランスミッション、エアバック、シャシーなど10個前後の部品ブロックごとが電子制御され、それらはCAN(キャン)通信と呼ばれる通信で結ばれている。だから、たとえばパワーウインドウのモーター1個を交換した場合でも、初期化というかゼロ点調整が必要となる。ステアリングラックの交換時なども同じ。ハイブリッドカーなどの場合は、さらに電子制御の領域が広がり、たとえばブレーキのエア抜き作業などは、通常のクルマのようにやるとエアの混入を促進するなどもぐら叩き状態となりトラブルが広がりかねない。
 自己診断装置(ダイアグノースチック)が付いているので、故障コードを読み取る装置を取り付け、トラブルを診断したり、故障コードを消去する作業をすることになる。その装置が40万円以上となれば、サンデーメカニックにはあまりにも敷居が高すぎる。ところが、サンデーメカニックにも、ようやく手が出せそうな価格の外付け診断機が登場しつつある。文字情報で作業サポートをしてくれるのもある。たとえばスナップオンから出たMTG1000は、定価15万円だが、類似品はネット上で6万円台の販売もあるようだ。数年後には、音声ガイドで、しかもコードレスタイプの、さらに使いやすいタイプが登場するかもしれない!?

2010年9 月 1日 (水曜日)

日産のアラウンドビューモニターが進化

アラウンドビューモニター  日産のエルグランドなどに装着されているアラウンドビューモニターというのをご存知だろうか? 車両の4隅に取り付けられた4個の超広角高解像度カメラ(C-MOS)の画像を処理し、まるでクルマの真上から、見ているような画面をインパネのモニターに映し出し、駐車時などの運転支援をおこなう便利システムだ。そのアラウンドビューモニターが進化した。自車周辺の移動物体、つまり歩行者や犬猫などの移動物体を検知して、画面に映し出すだけでなく、ブザーでドライバーに注意を喚起するというものだ。≪移動物検知機能≫というそうだ。
 今回、この機能をテストコースで確認することができた。結論を言えばなかなかに便利で、安全運転にプラスになる。ちなみに、このアラウンドビューモニターは、2007年10月にエルグランドに始めてお目見えしたのだが、2009年7月、スカイライン・クロスオーバーに駐車の手順を画面表示と音声で案内する≪駐車ガイド機能≫、スイッチ操作で左右の見通しの悪い道でフロントとリアそれぞれの死角を左右約180度の広画角で映し出す≪フロント・リアビュー機能≫、それにナビの地図上に登録した地点に駐車すると、自動的にフロントワイドビューを表示する≪ナビ連動フロントワイドビュー機能≫の3つの機能を搭載したという。

2010年8 月15日 (日曜日)

5年後には自動車ガラスがどんどん樹脂化される!?

樹脂ガラス  30年前のクルマのヘッドライトはほとんどすべてがガラス製で、カタチも丸と四角で、ある意味退屈な自動車部品だった。それが、今日の自動車のヘッドライトはどうだろう。
 いわゆる異型ヘッドライトで、自動車のフロントマスクを構成する大きな要素となっている。ポリカーボネート(PC)と呼ばれる耐衝撃性、高熱にも強い樹脂が使われることで、形状の自由度がぐんと高まりクルマのデザインまでが大きく革新されたのである。しかも意外と認識されていないが、樹脂はガラスの半分の比重。つまり樹脂にすることで、重量が約半減できるのである。
 だったら、フロントガラスは、安全性の上で駄目としては側面とリアガラスを樹脂製にすれば軽量化にもなると、形状の自由度が高まりよりクルマがカッコよくなる!? 先日、世界最大級のPCのメーカーが、自動車ガラスの樹脂か計画を打ち上げた。それによると、樹脂ガラスにすることで、クルマ1台分の重量が平均で約20kg軽くなるという。3次元の複雑な形状のものも、お手の物なので、文字通りクルマの形状の革命になるかもしれないという。
 樹脂ガラスは、インジェクション成型と呼ばれる手法で作られるのだが、これまで表面を強化し耐久性を高める処理技術が確立されていなかった。それもプラズマコーティングという真空技術を使ったやり方で、確立し、今後製品化される見通しだという。

2010年8 月 1日 (日曜日)

クルマの内装ではツヤが下がると質感が向上する!

内装  インドのTATA社の格安クルマNANO(ナノ)ではないが、現在自動車メーカーの最大の研究課題は高い品質を維持したままで、いかに安くクルマを作り上げるかである。
 よく知られるように軽自動車やコンパクトカーのインパネは、一枚モノの樹脂成形品。表面にシボ加工を入れて高級感をかもし出している。筆者も含め普通のユーザーはこれで十分なのだが、自動車メーカーの内装担当者はライバルに差をつけるべく、同じコストでよりハイクオリティにしたい思いで、日頃仕事に励んでいる。
 先日、日産の先端技術を取材したところ、まさにこの世界を垣間見た。担当者いわく、人がツヤを感じるメカニズムというのは・・・物体に光が当たり→光が物体から反射され→反射された光が目に入る→目に入った光の総量がツヤとして脳が知覚する。辞書を引くと、ツヤは艶であり、≪滑らかなものの表面に現れる、潤いのある美しい光≫のことで、どちらかというと誉め言葉。ところが、クルマの内装ではツヤはバツ。目に入る光の量を減らすとツヤが下がり、質感が向上する。従来の樹脂表面はよく見ると反射した光が目に入りツヤと感じる。
 そこで、マイクロゲイン技術と呼ばれる金型を特殊な加工を施し、光を乱反射させることでツヤを落とし、質感を高める。金型の特殊処理とは金型の表面処理腐食工程を通常2回のところ3回にすることだという。この手法で一クラス上の質感を出せる。次期ノートあたりに登場する可能性大だ。

2010年7 月15日 (木曜日)

大型トラック・バス用タイヤのリトレッド

バンダグ  乗用車タイヤではリトレッド事業は聞かないが、大型トラック・バスのタイヤの世界ではこのところリトレッド事業が盛んになりつつある。BSが、数年前アメリカのリトレッド企業バンダグを買収し、2年前から日本でもBS直営のリトレッド事業を展開し始めたからだ。リトレッドというのは、使用済み大型タイヤのトレッド面をきれいに削り、新しいトレッド面を貼り付け新品に限りなく近いクオリティにしてしまうというリサイクル事業のことだ。2億円足らずでできる小規模工場が魅力。リトレッド1回するだけで、165kgのCO2排出削減ができるという。もちろんトラックなどのユーザーである輸送業者の経費も大幅に削減できる。BSは、この再生事業にタイヤのメンテナンスなどを含め、「エコバリューパック」という名称で、全国的に売り始めており、ここ2年間で3万本に迫る勢いだという。工場数も現在の11拠点から2013年までには20拠点に増やすという。
 このエコバリューパック、他銘柄は仲間に入れてやらないといういわば顧客囲い込み作戦。つまり、BSのタイヤで、揺りかごから墓場までのタイヤの面倒を見るという作戦だ。リサイクルを謳うなら、ライバルブランドのタイヤもリトレッドしてしまうぐらいの提案が求められはしないか。
 もし、石橋正二郎が生きていたらどういうのだろうか?

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