マフラー回りなど熱でがちがちに堅く締まり、あらかじめ浸透潤滑剤を塗布しても・・・通常の工具ではとても間に合わない!
そんな時活躍するのが、ヒンジハンドル(別名:スピナーハンドル)である。ラチェットハンドルにくらべ約2倍以上の長さがあるため、大きなトルクをかけることができるソケットツールの仲間である。
柄が長いためエンジンルームなどの手が入りづらいところではほとんど出番はないが、足回り、下回りではこのヒンジハンドルの登場する作業は少なくない。
ヒンジハンドルは先端に差し込み角部を持っていて、そこにソケットを差し込み相手のボルトやナットに対するのである。ラチェットハンドル同様、柄の部分がローレットタイプ、樹脂タイプ、磨きタイプなどがあるが、このへんは好みである。とりあえずよく使う差し込み角3/8インチと1/2インチの2本を持っていればパーフェクトである。柄が長いぶんソケットがボルトの頭から抜けがちとなるので、この工具の使用は意外と難しい面がある。基本は、ソケット部を押さえて力を加えること。
もし、ヒンジハンドルでも堅くて緩まないときは、パイプを注ぎ足し用を足そうとするが、原則的にいえばNGである。工具を破損したり、ケガに結びつくからである。
(写真は上が樹脂グリップのMACツール、下がKO-KENロングタイプ:いずれも差し込み角3/8インチ)
シートを交換する、というケースはごくふつうのユーザーにはまずないと思う。でも、狭い車内の中で、コンビニで買った飲み物がこぼれた、乳児に哺乳瓶でミルクを飲ませていてこぼしてしまった・・・ということからシートの汚れがひどくなり・・・そんなケースは考えられる。走り屋さんにとっては少しでも上等なシートに交換したいという欲望もあるはず。中古のシートはほとんど再使用することなくダストになるため中古シートは驚くほど安く手に入る。だから手軽に交換するひともいるほど。
シートの取り外しはソケットツールがあれば大丈夫。シートのベースとなっているのはシートレールと呼ばれる金属部。これが車体にボルト4本(前2本、後ろ2本)で留まっているので、このボルトを緩めればいい。このボルトの頭はたいてい12ミリか14ミリ。まずシートを一番後ろにスライドさせる。すると前側のボルト2本が顔を出すので、これを工具で緩めて取り外す。今度は逆に一番前にシートをスライドさせ、同じようにボルトを緩め外す。なかにはボルトの頭部に樹脂カバーが付いている車種もあるので、あらかじめ取り外しておく。
電動シートなどにはシートの底にワイヤーハーネス(電線)が付いているので、ボルト4本を外した時点でゆっくり底を観察しコネクターを指で取り外す。シートを車体から出すときは、サイドシル(敷居)に傷が付くので、あらかじめサイドシル部にガムテープを貼り保護をしておくといい。取り付けは、これと逆の手順だが、かたよって締めると無理がくるので4つのボルトは少しずつ何度にも分け締めるといい。
地球環境にやさしいリサイクルパーツは、ユーザーの財布にもやさしい。新品部品にくらべ、リサイクルパーツは確実に安い。
リサイクルパーツの仲間に「リビルトパーツ」というのがある。これは簡単に言うと不具合になった部品を専門家の手ですべて分解し、機械加工で元通りにしたりゴム類などの消耗部品を新品に交換し、再組み付けしテストし完成させた部品。エンジン、AT(オートマチックトランスミッション),ターボチャージャー、ディーゼルエンジンの噴射ポンプ、スターター、オルタネーター、ドライブシャフト、エアコンのコンプレッサー、ステアリングなど機能部品を中心に10~15品目ある。アメリカの部品市場では、ブレーキキャリパー、インジェクションノズル、バルブボディなど全部で50品目もある。新品よりも安く、保証も6ヶ月~12ヶ月と長期間付くため、長くクルマを使うユーザーにはお勧めする。英語ではリビルトパーツの別名でAS GOOD AS NEWという言葉もあるほどポピュラーな部品。今後のリビルトパーツが増えるというのがもっぱらの予測だ。ちなみに、昭和メタルパーツセンター(フリー℡0120-815-301)でも、リビルトパーツを扱っているので、詳細はフロントの方に聞いてもらいたい。
ながねん自動車ジャーナリスト稼業をやっていると「クルマって、一体なんだろう?」と疑問が頭の中に巣食うことがある。
自動車メーカーはニューモデルを市場に出す前に事前にジャーナリストの便宜を図るべく、試乗会なるイベントをおこなう。これは販売店などでおこなう近所をぐるりとおとなしく回るようなものでなくて、じっくり1時間程度山道などを走り、動力性能・ハンドリング・静粛性・ブレーキフィールなどを試すことができる。試乗会の楽屋裏では駆り出された自動車メーカーの実験部がブレーキパッドとローターの交換を強いられる・・・そんなシビアな走りがおこなわれるイベントである。6月末にマツダのアクセラ、ダイハツ・ソニカ、ジャガーXK(写真)と立て続けにニューモデルのハンドルを握り、なかでもアクセラの2リッターにクルマとしての出来にとても心を奪われたのだが、今回はその話ではなく、高級車なるものと軽自動車との≪内なる心のバトル≫である。
ジャガーは1200万円前後。年収3000万以上の50歳代の男性が9割を占め、保有台数は3台・・・というのがこのクルマのユーザー像。ハイセンスなスタイル、ゴージャスなインテリア、それでいてスポーツ心を揺さぶる走りと高いハンドリング・・・まるで新幹線のグリーン車にはじめて乗り込んだ感触!?このままおうちに帰りたくなるほど。一方ダイハツの新型軽自動車ソニカも燃費は23㎞/lとジャガーの6.9㎞/lの3倍以上いい(いずれも10・15モード)。A地点からB地点まできちんと走る。ターボ付きかつCVTなので走りに不満はない。しかも価格はジャガーの約10分の1!電卓を手にkg当たりの価格をはじき出したところ・・・・ジャガーは6982円、ソニカは1447円。このところ≪クルマのシロモノ家電化≫を指摘する向きもあるが、家電でこれほどの価格差があるものはない!?
これは私の推理だがおそらく20年後にはスポーツカーはいまの競走馬のようにサーキットだけでしか走れない特殊車両になっているだろう。となると現在はそのターニングポイント。そう考えると、このkgあたりの価格差もまんざら悪いことではないのかもしれない。
ドアミラーを脱着するときもソケットツールが活躍する。おそらくソケットツールは、クルマの部品脱着作業の世界で半数のシーンで活躍するハンドツールだと思うね。
そのソケットツールの中心的存在は、ラチェットハンドルと呼ばれるハンドルで、先端に四角部分を持ち、そこにソケットを取り付けボルトやナットを脱着する・・・。ソケットツールは、使用頻度が高く、しかもやや高価なので、ブランドにこだわるのは何もハンドツールマニアと呼ばれるひとだけではありません。ピカピカの鏡面仕上げの好きなひとはスナップオンを選択する傾向だし、梨地の質実剛健さを愛するひとはハゼットがいいし、日本人のやや小さな手にジャストフィットするフランス生まれのファコム、それと日本のソケットツール専門メーカーのKO-KENを選択するという友人もいる。(写真は上から以上の順です。指し込み角はすべて3/8インチ)
工具ショップで実際手にとって見てほしい。ラチェットの音のスムーズさと音色を聞いたり、グリップ部を握りその感触(重量も含め)を確認するなどで選択してもらいたい。手に持ち比較すると意外に差異があるのを発見するはずです。同じコンパクトカーでもメーカーが異なるとまったく乗り心地や操縦性が異なるのと少し似ています。数年前から輸入ブランドと国産ブランドの価格差が少なくなり、輸入工具もぐんと身近になったので、選択の幅が広がっています。
クルマの外装部品のなかで、おそらくいちばん破損率が高いのがドアミラーではないだろうか。カタログデーターの≪全幅≫より出っぱっているため不案内な狭い路地に入って角のコンクリートブロックにヒットし、破損する・・・そんなケースが多いようです。最近のドアミラーは電動格納式(略して電格式といいます)なので、部品代だけでも2万円~3万円。これに工賃を加えると4万円を超えることもあります。小破損でもたまげるほど大きな出費を強いられるケースです。
リサイクルパーツなら3000円から1万円弱の超格安。自分で取り付け作業をするなら、それだけの出費でOKなのです。
ドアミラーの取り付けと取り外しは、一度経験しておくと20分もあればらくらくできる作業です。特別な工具も必要なく(とはいえ、あれば便利なのが内張り剥がしのドライバーぐらいです!)素人がチャレンジするにはちょうどいいお仕事ですね。
内張り(トリムともいいます)をまず剥がすのですが、このとき、アームレストやドアロック部のボルトをプラスドライバーで緩め外します。あとは、慎重にトリムを剥がすのですが、このとき専用のドライバーがなければ、通常のマイナスドライバーの先端にビニールテープを巻きつけ使うと具合がいいです。トリムが傷まず作業ができるのです。無事トリムが外せれば、配線のコネクターが顔を見せるはずです。これを切り離し、あとは、写真にあるような車内側から見える三角形の樹脂カバーを取り外す。するとドアミラーを車体に取り付けているボルト3つが見えるので、これをソケットツールで取り外し、ドアミラー本体に付いているコネクターを切り離せば大丈夫です。
言葉で説明するとややこしく聞こえるかもしれませんが実際トライすると簡単なことが理解できますよ。取り付けはこの逆の手順でやります。
地球環境にやさしいリサイクルパーツは、ユーザーの財布にもやさしい。新品部品にくらべ、リサイクルパーツは確実に安い。
では、安くて、安心できるリサイクルパーツを入手するにはどうすればいいのか?
近くに自動車中古部品店があれば、直接買いにいくのが一番間違いのないやり方。このとき、現物を持参するか、現物がないときは車検証のコピーを持参して「○○が欲しい!」と説明する。電話、FAX,メールで注文するときも同じです。必ず車検証に書いてあるデータをもとにして必要な部品を≪特定≫することが大切です。車名、年式、車体番号、類別区分番号、型式指定番号などが必要となります。ミッションやトリムなど、なかには車検証だけで部品を特定することができないケースもあります。この場合は、エンジンルームに取り付いているコーションプレートをメモすること。ミッション型式、トリムナンバーなどが明記してある。
チューニングパーツなどの社外品は、この限りでないので、現物を持参して探すしかないが、純正部品なら上記の車検証を元データにするという鉄則は変わらないので、クルマ好きの友人のなかにはつねに愛車の車検証のコピーを忍ばせている御仁もいるほど。
ちなみに、昭和メタルパーツセンター(フリー℡0120-815-301)は、リサイクルパーツ初心者の方にもわかりやすく優しく対応してくれます。
地を這うような取材で現代のクルマ社会をするどく抉り出す(!?)自動車ジャーナリストの広田民郎のサイトにようこそ!
先日、自動車メーカーの塗装ラインにもぐりこむことができたので、駆け足ですがリポートをしたい。その前に読者に質問。「塗装工場ではある動物の一部を活用しています。それは何でしょう」
三菱ふそうの川崎工場に36年ぶりに新塗装工場が完成。この工場、通常の建物なら7階建ての相当する高さ31メートルにかかわらず3階建て構造。乾燥炉のある3階に足を踏み入れたとたんムッとする熱気が身体にまとわりつく・・・。乗用車なら3コートとか4コートといって3度塗り、4度塗りが常識ですが、トラックの場合2回塗り。つまり下塗りである電着塗装をして、上塗りをしておしまい。自動車メーカーのモノづくりの現場、それもノウハウが詰まった塗装工場というのは機密ばかりで第三者に見せることはないのが常識だが、三菱ふそうは例のクレーム隠し問題で社会的制裁を受けた経験からできるだけ情報公開の姿勢にシフトしている。
この塗装工場のすごいところは、VOC(揮発性有機化合物)対策と臭気対策など環境重視型だけではありません。自動車メーカー初という「回転ディッピングシステム」を取り入れています。溶接・組立工程から出てきた半製品のキャブ(トラックの運転席のこと)が、深さ4メートル、長さ100メートルのプールのなかに自在な姿勢で出たり入ったりし、脱脂・洗浄の前処理と電着塗装をおこなう。姿勢変化を変えることができることで仕上げのクオリティが格段にレベルアップするそうです。
上塗りされる前に「ワイプ工程」というのがあった。これは付着したゴミを取り除くためダチョウの羽根を使い、さらにエアブローでクリーンアップ(写真)する。ですから、先の質問お答えは「ダチョウの羽根」が正解。ちなみに、このダチョウの羽根は1年ごとに交換するとのことでした。