先日1と月ほど車庫に入れていたオンボロ・ロードスターを走らせるため、あらかじめ取り外しておいたバッテリーを充電しエンジンをかけ近所をドライブ。
ところが、右にウインカーを出すたびに点滅回数がカチカチカチとやたら早い。てっきりバルブが切れていると思いきやそうではなく、バルブがテールレンズから外れそうになっていて、アース不良だったのだ。
たぶんバッテリーを取り付けたとき(NA6CEはリアにバッテリーを積んでいる)、作業着の袖は触れバルブが外れかかったらしい。あるいは振動で、外れかかったのか・・・。
いずれにしても語るほどのないトラブルだが、もし夜間のクルージングでライトトラブルが起きたらかなわない。危険が乗数的に増えるからだ。
そこでいわゆる≪指示用のランプ≫であるクリアランスランプのバルブ、パーキングランプのバルブ、テールバルブ、それにヘッドライトのバルブあたりはグローブボックスかトランクルームに在庫しておきたい。
ディーラーやカーショップなどでは「ランプキット」なるものが手に入るから、これを1セット購入しておくのも手だ。
フロントフェンダーを交換するのは車種により多少の違いはあるものの、やってみると意外と大変であることはすでに話した。そして部品の注文は、昭和メタルパーツセンターに電話して欲しい。フリーダイヤル0120-815-301だ。部品を特定するために必ず車検証を手元において電話すること。
取り外しの概要はこうだ。まずヘッドライト、バンパーなどを取り外す。フェンダーを車体に取り付けているビスなどがこうした部品の裏に隠れているからだ。さらにインナーフェンダーと呼ばれるフェンダー本体の下部に取り付いている樹脂部品を取り外す。泥が付着している場合はきれいにしてからでないと取り付けビスが発見できないので注意。
あとはフードをあけフェンダー上部の取り付けボルトを外し、ドアヒンジ近くにあるフェンダーを車体に留めているボルトをソケットツールを使い取り外す。
フェンダーを取り外すとき必要な工具は、ドライバー、ソケットツール、メガネレンチがあればできるはず。取り付けは取り外しと逆だが、ボルトの数が多いので最初に全てのボルトやビスを仮止めしたのち、しかる後に本締めすること。これを守らないと取り付け穴位置がずれ難儀するからだ。
新型パジェロは、これまでの防錆鋼板使用率を40%からいっきに70%台に引き上げた。
さっそく“錆(サビ)博士”の異名をとる10年来の友人エンジニアのUさんに電話を入れたところ「赤字覚悟でやりました!」との第1声。
防錆鋼板は通常の鋼板より15%も値段が高いからだ。「世界で活躍するクロスカントリー車の認知度を高めスリーダイヤモンドマークのブランド力を高めたいッ」という気分もあるが、冬季の融雪剤に対する錆対策に防錆鋼板は一番有効だからである。
ところが、日本では表面錆と穴あき錆保証はそれぞれ3年/5年(一部の軽自動車は1年/3年だが)となっているが、欧州ではリサイクル法が施行された8年ほど前から穴あき錆び保証12年(表面錆び保証はない)となっている。
これは1㎡あたりの亜鉛メッキ層の厚みの違い。5年vs12年! これほどクルマという商品に対する彼我の違いを端的に示した数字はないと思うね。ちなみに欧州向け日本車は12年保証を付けているし、日本で販売している欧州車も12年保証である。
ロボット化するクルマ、といってもあまりピンとこないかも知れない。
「知能化するクルマ」と言い換えたほうが分かりやすいかもしれない。すでにいま販売している大部分のクルマは「電子制御スロットル」なる装置を付けている。エンジンに入る空気量を調節しエンジンパワーを調節するのはドライバーの右足で踏み込むアクセルペダルだけだと思いきや、実はコンピューターが制御してスロットルバルブをコントロールしているのである。ドライバーの右足の踏み込み量を参考に燃費、排ガスなどを勘案したうえで最良のスロットル開度を決めているのである。
操舵系、つまりステアリングにもこれと同じメカトロニクス的装置が登場した。イチローと渡辺謙を起用したTVコマーシャルでおなじみの新型スカイライン(排気量2500㏄と3500㏄の2本立てで、270万円台から最高380万円台)に採用された「4輪アクティブステア(4WAS)」がそれ。
4WASは、ハンドル操作に対する前後のタイヤの切れ角を車速に応じて調整し、極低速では少ないステアリング操作で前輪が大きく切れ車庫入れしやすく、時速40~80キロでの市街地や幹線道路走行でも小さなステアリング操作で前輪が大きく切れ、さらに後輪が同じ方向に切れるため安定して思った方向にキビキビ曲がれる。時速80キロ以上の高速走行ではハンドル操作に対する前輪の切れ角が抑えられ,さらに後輪も前輪と同じ方向に切れるためレーンチェンジ等で車体がぶれることなく、安定した走りができる・・・というものだ。
つまり街中やワインディングではキビキビ走れ、運転しやすく、なんだか運転が一段上手くなった感じになるのが狙い。クルマは今後、こうしていくつかの小さなロボット要素が付け加わり、ドライバーの支援をする。いつも鉄腕アトムのような善良なロボットでいてくれるといいのだが・・・・。
いまどきのクルマはトラブル原因がどこにあるのか調べるには外付けのコンピューター診断機が必須だが、修理の基本は悪い部品を交換するということには変わりない。
部品はボルトとナットで留められているケースが大半なので、ボルト・ナットの知識を身に付けておいて損はない。通常のボルトは頭に6角部を持ち、そこにスパナやメガネレンチなどのレンチをあて脱着する。ボルトを“示す(呼ぶ、という)”ときはネジの直径で相手に伝える。たとえば一番使用頻度の高いM8ボルトというのは、ネジ径が8ミリで、ネジのピッチが1.25ミリ。6角部の2面幅(つまり使用する工具のサイズと同じ!)は12ミリ、あるいは13ミリである。
M8についでポピュラーなのはM6ボルトで、これはネジ径が6ミリ、ピッチが1.0ミリ、頭の2面幅が10ミリ。足回りなどに多く使われているM10というのはネジ径が10ミリで、ピッチが1.25ミリ、頭の2面幅が14ミリ。M12ボルトは、ネジ径12ミリ、ピッチ1.5ミリ、頭の2面幅が17ミリ。
頭が6角ボルトタイプのほかにも内6角ボルト、あるいはヘキサゴンボルトとも呼ばれるボルトもポピュラーだ。エアバックなど作り手側からいじられたくないところにはトルクスボルト(あるいはいじり止めのトルクスボルト)なども登場している。これらのボルトを脱着するには専用のレンチが必要となる。
フロントフェンダーは、バンパーとともに一番こすりやすい、破損しやすい自動車部品だ。
もし、不幸にしてフロントフェンダーが破損したら、リサイクルパーツで手当てしてやりたい。同じ色なら塗装処理なしに修復でき、家計に大助かりだからだ。ただし、フロントフェンダーの脱着は、やってみると意外と大変。
車種により多少の違いがあるが、フロントバンパー、ヘッドライト、クリアランスランプ、樹脂製のインナーフェンダーなどフェンダーを取り巻く部品を取り外す必要があるからだ。取り外す部品数が多いということは取り外すボルトやビスの数も多いということ。
でも、ソケットツールやメガネレンチ、ドライバーなど手持ちのハンドツールで作業ができ、集中すれば2時間前後でできる。DIY旺盛な読者はぜひチャレンジして欲しい。詳細は次号で説明します。
ところで、フロントフェンダーとリアフェンダー。言葉としては後者のリアフェンダーは存在するが、博物館にある旧いクルマ(たとえば、ロータスセブンなど)を除きいまどきのクルマのリアフェンダーは部品としては存在しない。≪リアクオーターパネル≫あるいは≪サイドアウターパネル≫の一部に過ぎない。
クルマは約2万個の部品から成り立っているから“家電とは比べものにならないほど凄い”とか、逆に“航空機は約200万点の部品だからクルマ作り世界はたいしたことない”とかいろいろな比較評価がなされる・・・。
ディープな話だが、部品同士の組み付けはボルト止め、リベット止め、溶接などがあるが、もうひとつ樹脂ファスナーというのがある。ドアのトリム(内張り)やトランクルーム内はじめクルマのいたるところで使われているもので、さほど強度はいらないがワンタッチで締結ができるメリットを備え、鉄のように錆びることがない。1台のクルマには100個以上の樹脂ファスナーが活躍している。
先日、この樹脂ファスナーの専門工場に取材に行った。当初せいぜい樹脂ファスナーの種類が500ぐらいだろうとたかを括っていたところ、なんと3万アイテムだと聞いてのけぞってしまった。挿入しやすく外れにくいが求められる樹脂ファスナーの基本だが、この工場では年間2000型以上の金型をつくり次々に新製品を世に送り出しているという。チャンスがあれば、ぜひこのマニアックな樹脂ファスナーからクルマの世界をリポートしたい。
いきなりですが、ここで質問です。かなりの難問だ。
「クルマの神経系統、あるいは血管と呼ばれている部品は何ですか?」
答えはワイヤーハーネス。
“自動車用の組み電線”と呼ばれるもので、ワイヤーは電線の意味、ハーネスは馬車の引き具のことを指し、クルマの電線がこれと似ているところから命名されている。電気の供給や電子部品間の伝達など重要な役割をにない、隣接した回路への電磁気的なリーク防止、電気ショートの排除などの機能が求められる進化するクルマのエレクトロニクスを支える基本要素だ。
クルマ1台分のワイヤーハーネスは平均で1.5~2キロにおよび、重量は40~50kg(ヒューズボックスからコネクターなど全部を含むのでこんなに重くなる!)とされる。
このワイヤーハーネスの素材(被覆)はこれまで低コストな塩化ビニールだったが、塩ビは燃やすことで有毒ガスのダイオキシンを発生することから代替物が求められている。つまりハロゲンフリー化(ハロゲン:塩素のこと)である。ちなみに電気が流れる導体は銅だ。
ハロゲンフリーのワイヤーハーネスの主役に躍り出つつあるのがPPO(ポリフェニレン・オキサイド)という樹脂。この新素材の被覆は、塩ビコードのような金属水酸化難燃材を使わなくてもいいので、軽量化かつ薄肉化ができ、従来の電線より重量で26%減、断面積も44%もダウン。耐熱性もいまのところ120℃前後はOKで、今後の研究でエンジンルーム内でも使えるように180℃を目指すという。ところが至れり尽くせりのいいことづくめ、と思いきや、PPOを素材にしたワイヤーハーネスは今のところコストが2倍近い。
クルマには縁の下の力持ち的な部品は数多い。ワイヤーハーネスもその代表選手だが、超地味な部品にもこんな物語があるのですね。
(写真左がハロゲンフリーハーネス。右が従来品。いずれもインパネ下部のワイヤーハーネス)