昼間でもエンジンルームという世界は、存外薄暗いものである。夜になればむろんさらに暗くなり作業などできないので、作業灯が必要となる。ところが、光は直線でないと進まないので、作業灯だけでは今ひとつのケースもある。そこで、作業灯の角度を変えたり、セット位置を変えたりする・・・。
台湾からやってきた「TOPTUL」(トップツール、と読むらしい。詳細はhttp://www.can-corp.jp/)はソケットのボス穴にLEDを組み込んだタイプ。たとえまわりが暗かろうと相手のボルトやナットの頭をクリアに照らし出しぴたりとソケットを使うことができる、というものだ。
写真に見るようにソケットに樹脂製の赤いスイッチを付いていて、これでLEDのON/OFFができる。差込角3/8インチはドライブ側の穴が小さいので1/2インチにし、アダプターを追加することで、3/8インチとしている。ボタン電池3個で、約48時間点灯するという。スペア電池1セット付きで3/8インチが3000円、1/2インチが2800円だという。
これから夏場にかけて大活躍するカーエアコン。
ところが、快適な装置であるはずのエアコンがスイッチをONにしたとたん逆効果になるときも。嫌なにおいが車内に侵入することが珍しくない。エアコン使用後(駐車中)エアコン内部が高湿度になることでバクテリアやカビが発生。これが不快なニオイの元だ。カー用品の香水でごまかすという手もあるが、神経質なドライバーには気になるニオイである。
VALEO(バレオ)の「わさびデエール」なる製品は、エアコンのフィルターに簡単に取り付けて手軽に効果を確認できる消臭抗菌剤という触れ込み。
さっそく、6年目になりエアコンスイッチONで露骨に嫌なニオイが出てくる愛車に取り付けてみた。フィルターは助手席のグローブボックスを外せば引き出し式にすぐ顔を出す。フィルターの凹凸を利用してクリップで留めるというもの。作業時間約10分間だった。さっそく、取り付けためしてみると、予想外にその効果が表れた。わさびのエキスが意外と効果を表したのかもしれない。
価格は2480円で、効果は約1年だという。少し値段が高い気もする。それに、純正の薄いタイプなら簡単にいくが、長寿命のエアコンフィルターはろ紙自体が厚いのでうまく取り付かない。このあたりを解決するとさらに売れるかもしれない。
第4ブロックは、「下回りの検査」である。「下回りの検査」は、車両を電光掲示板の指示にそってピットのある位置に動かす。
さらに「ブレーキを解除する」とか「ハンドルから手を離す」などの指示が表示されるので、それにそって操作する。下のピットでは検査官がチェックをするのである。かじ取り装置(ステアリング系)に異常はないか? サスペンションなどに異常はないか? ブレーキの作動不良、液漏れはないか? エンジンやミッション回りからのオイル漏れが起きていないか? マフラーの取り付け具合は大丈夫か、マフラーに穴があいていないか? 燃料が漏れていないか? シャシーに異常はないか・・・などなどを検査官が点検していく。この間わずか3分前後。
下回り検査が終了したら、車両を前に動かし、記録紙を機械に差し込み記録し、隣の総合判定室に書類一式を持参し、そこの検査官に書類を確認してもらい問題がなければ元の受付に戻り新しい車検証とステッカーの交付を受けおしまい。もし再検となった場合は次回に説明しよう。
教科書や参考書のなかの歴史は退屈で面白くもなんともない。でも、足元にあるヒストリーや当時を知る人の話を直接聞くときほど興奮を呼び起こすものはない。
先日、大阪取材で出会った部品商「廣見商会」の松田鶴義(まつだ・つるよし)さん。82歳には見えないカクシャクとした松田さんは「30年前の自動車部品はまだごく新しい領域」だとおっしゃる。廣見商会の部品棚には、戦前から戦後にかけてのタクシーやハイヤー、トラックのお宝部品がぎっしり。
必要な人にはお宝だが、そうでないひとにはただの厄介モノとも言えるが、心動かされたのは、松田さんの話から湧いてくる大阪の旧き良き自動車部品の歴史。大正6年に大阪自動車が誕生し、大正14年には大阪の鶴町に日本ゼネラルモータースができノックダウンにより大量のアメリカ車が生産されている(前年の13年に横浜新子安で日本フォードが設立し同様にノックダウン生産)。この当時の自動車保有台数は2万6000台を超えていたのである。
道路はいまと異なり未舗装路のガタガタ路面、自動車各部の信頼耐久性もお世辞にもよくなく、故障の頻度が高かった。それでも自動車の魅力は現在の数倍、数百倍。
こうした背景で補修部品の世界が勢いを得ていた。大阪の福島(現在の大阪駅の近く)を中心に部品商、零細部品工場が40件~50軒もあったという。
当時の乗用車はフロントサスがリジッド(固定式)だったため、現在では単なる概念でしかないキングピンを持っていて、そのキングピンが1~2年で摩耗。リアサスのリーフスプリングのシャックルと呼ばれる部品も同じようにガタがくる。補機ベルトも数万キロも走るか走らないうちに切れてしまう。そんななかで部品商、部品商社、部品メーカーが出現、大いに潤ったという。
「折れて曲がる」というフレーズは当時をよく表した言葉である。新品部品でもすぐ壊れてしまう、でもそんな部品でも必要としていたし、ユーザーからも文句が来なかった、という意味だそうだ。言葉は時代を表す、とはよく言ったものだ。
クルマをメンテナンスしたり修理する場合、意外と苦労するのが工具である。
「帯に短しタスキに長し」とはよく言ったもので、ある部品を脱着するときにちょうどいい、つまりスピーディに確実に、怪我をすることなく作業できるハンドツール。これは言葉で言うのは簡単だが、クルマが違えば、あるいは部品が異なれば使える工具も使えないし、逆にほかでは使えない工具が使えることもある。
個人的なさまざまなシテュエーションの整備やメンテ作業をこなすことで、いくつかの工具とその人の個人的物語のページが増えていく。たぶんベテランのメカニックといわれる人物は、経験と、現場を見ただけで即座に「この工具が一番いい」と判断でき、もしダメなら「ではこれでは・・・」ということをイメージでき、その的中率がうんと高い人のことだと思う。
かっこよくいうとクルマの整備というのは、あちこち失敗を重ね、成功の喜びの物語を紡ぎだしながら工具にまつわる、あるいは部品にまつわるお話を蓄積していく。
筆者の場合、写真にあるようなショートメガネレンチを見るとオルタネーターの脱着を思い出す。NA6CEロードスターのオルタネーターの脱着に欠かせない工具だった。これよりも長くても、短くてもダメな工具だった・・・。
マフラーと一言でいってもいろいろな部位がある。前の小さなタイコのことをプリマフラー、後ろのでかいタイコをメインマフラーと呼ぶのが一般的。後ろのマフラーをカットしてみると、バッフルプレートと呼ばれる隔壁で仕切られ、パンチングメタルと呼ばれる穴があいている。排気の流れを追いかけてみるとまるで迷路(ラビリンス)である。マフラーの内部で排気のエネルギーを減衰し、消音させているのである。ただし、いわゆる抜けのいい、パワーを出すマフラーでないと意味がない。そこで、マフラーメーカーは、さまざまな工夫をしてマフラー内部を設計しているのである。
ところで、17年ほど前からクルマのマフラーは穴があかなくなった。それまでは早いもので2~3年で穴があき、車検ごとに交換というケースもまれではなかった。その時代がウソのように、いまどきのクルマのマフラーはほぼ一生モノが多いのは、ワケがある。
ステンレス製に替わったからである。ただ、ステンレスは硬いので従来のアルミメッキ鋼板とくらべ金型の素材を替えたり、モノづくり舞台裏ではそれなりの革新をせざるをえなかったという。
最近は低床化、テールを見せない工夫など、ふだんあまり気にしないクルマのマフラーの世界にも、時代の風が吹いているのである。
第3ブロックは、「ヘッドライトの検査」と「排ガスの検査」の2つだ。
「ヘッドライトの検査」は、頭上の表示板に従いクルマを前進させ、所定の停止線に停め、ハイビームにした状態で待っている。するとヘッドライトテスターが自動的に横から登場し、左右のライトをひとつずつ検査してくれる。検査が終了すると、即座にその結果が頭上の表示板に表れる。×が付いた場合はもう一度やり直し、それでも×ならそのまま前に進む。
車検は初年度3年後、その後2年だが、そのあいだにヘッドライト内のフィラメントが劣化で垂れるなどして光軸が微妙に変化するものらしい。私の経験では事前にテスターで調整しない限り3回に2回の割りで光軸が許容外になっているものだ。(だから事前にプロに頼み調整しておくか、ダメなら再検で調整しなおす、というやり方でもOKだ)
「排ガスの検査」は、アイドリング状態にしておきプローブと呼ばれる検査センサーをテールパイプに突っ込む。検査結果の○(よほどの改造をしていない限りパスするはず!)が表示されるので、最後の第4ブロックへと進む。この第3ブロックではとくに技術を要するところはない。
自動車のメカニズムの世界で、ごくポピュラーになっている仕組みでもそのルーツを探ると、想定外のトリビアな事実が浮かび上がってくる。
電動パワステ(EPS)もまさにその典型例。軽自動車やコンパクトカーをはじめいまや油圧パワステを押しのけ主流派になりつつある電動パワステ。油圧にくらべ燃費で3~5%向上し、しかも技術革新でチューニングの自由度が高くなり、さらに高効率のブラシレスタイプが登場したのを追い風に、それまで取り付け不可能だったSUVなどの重量級のクルマにもぼちぼち採用されつつある。
おそらく数年後にはEPSがHPS(油圧パワステ)を駆逐するのは必至。そのEPSの登場は、EPSのトップメーカーNSKを取材すると、実はバッテリーフォークリフトがそのルーツなのである。1986年というからいまから約21年前。フォークリフトは荷役作業で活躍する。たとえば-55度の冷凍マグロの倉庫内では、コンピューター内部に結露を生じトラブルが頻繁、その後結露した水分を自己発熱で乾燥させる仕組みを構築などでみごと解決している。
その2年後に三菱の軽自動車に採用されたのは自動車用初のEPS。当初は、フォークリフトと同様据え切りの時と時速40キロ以下でハンドルの操作力を軽減するというもの。時速40キロ以上はクラッチでOFFとしていた。今からみればフィーリングもいまひとつだし、なんとも頼りない感じ。
その後、ステアフィールの改善で油圧パワステをしのぐクオリティを実現しつつある。いまやパワステの存在すら、普通のドライバーには意識できないほどナチュラルな仕上がりともいえる。・・・と今回は、かなりトリビアティックなお話でした。