みなさん!知ってますCAR?

2008年12 月31日 (水曜日)

愛車メンテのプラスアルファ情報

TOPのショート・メガネレンチ

Img_2240 エンジンルームの込み入ったところにある、たとえばオルタネーターを取り外すときに威力を発揮するのがショートタイプのメガネレンチ。
長いレンチだと振り角度が小さくなり、いちじるしく使いづらいか、もしくは全く使えないケースがある。無論そんなときには素早く作業ができるはずのラチェットハンドルはまずお呼びじゃないのだ。その点ショートタイプのメガネレンチは、相手のボルトの頭にレンチをかける回数こそ多くなるが、実に小回りが利くハンドツールの一品だ。
新潟三条市は、知る人ぞ知る金物の町。その工場団地の一角にあるTOP工業(http://www.toptools.co.jp)の製品群のなかに「両口ショート・メガネレンチ」というのがある。小さいサイズだと5.5×7ミリ、一番大きなサイズで17×19。その間に7サイズだから計9サイズのシリーズ工具。使用頻度が高いのは10×12ミリ。価格は1330円とお手ごろ。メガネ部の立ち上がり角度は45度(オフセット角度ともいう)で使いやすい。ちなみに、KTCにも同じタイプがあるが、全長が127ミリ。TOPのほうは115ミリとより短いので、私はこちらに軍配を上げる。

カーライフ大助かり知恵袋2

ESC(横滑り防止装置)の普及率はわずか10%だが・・

12 ESC(エレクトロリック・スタビリティ・コントロール)のアルファベット3文字を聞いて即座に「横滑り防止装置」のことね、と答えられる人は少ないと思う。ESCのことをホンダではVASと呼び、トヨタではVSCと呼び、日産ではVDC,ベンツではESP、BMWではDSCと呼ぶなど、ユーザーそっちのけで、てんでバラバラだということもある。
この装置はメカニズム的にはABSを進化させたもの。車輪速度センサー、操舵角センサー、ヨーレートセンサー、加速度センサーの4つのセンサーにアクチュエーター(制御コンピューター+油圧ユニット)で構成。急ハンドルや滑りやすい路面を走行中に車両の横滑りを感知すると、自動的に車両の進行方向を保つようにコントロールするかしこいシステム。センサーから入手した情報を元にコンピューターが各車輪に適切にブレーキをかけたりスロットルバルブを閉じたりすることで、クルマを安全な方向に制御する。これを付けることで単独事故が半減するというデータもある。
ところが、このシステム、4~5万円ほどの上乗せで取り付けられるものの(メーカーオプション)、日本ではわずか生産車10%の装着率。アメリカでは2012年までに4.5トン以下のクルマにすべて標準装備を義務化される。欧州でもその動き。日本は今のところ、義務化までには至っていないのが現状。

カーライフ大助かり知恵袋1

旧きをたずねて新しきを知る! 重次郎とマツダヒストリー 第5回

265_6505 「旧きをたずねて新しきを知る! 重次郎とマツダヒストリー 第5回」
東洋工業は、のちに社長となる息子の松田恒次(つねじ)などの市場調査を踏まえ昭和5年に3輪トラックの設計に着手。その頃の3輪トラック業界は、ウェルビー号の独壇場の時代だった。ウェルビー号というのは、空冷4サイクル単気筒350㏄イギリス製JAPエンジンを搭載し、前進3段の変速機から電装品に至るまですべての部品を輸入品でカバーしていた。しかも車体は、鋼管をガス溶接でつなげた自転車組み立て方式をそのまま使い、ドライブトレインもバイクと同じチェーンドライブ。走行中、フレームの溶接が外れ走行不能になったり、コーナリングが左右で異なるフィーリングを与えるなど現在でいう欠陥の多い3輪車だった。
だが、これでも当時としては、進んでいた。というのは、ウェルビー号が登場する前までの3輪トラックといえば、荷台が前方の「フロントカー方式」(前2輪、後ろ1輪)だったので、これから見れば操縦安定性もお話にならないほど向上したのである。しかも、「リアカー方式」(前1輪、後ろ2輪)になったことで、フロントカー方式より50%も積載量を増やすことができたのである。
設計技師の竹林らの狙いは、こうしたユーザーの不満点を解消し、免許なしでも乗れ、ライバルたちよりも性能が高く最大容積の3輪トラックを作り上げることだった。エンジンはもとより、部品もできる限り国産化することで、一貫的な生産を可能とするなどの点におかれた。設計・試作にあたってはイギリス製JAPエンジン、トランスミッションはやはりイギリスのバーマン社のものをモデルにしている。車体は、当時乗用車やトラック、郵便車として少数輸入され活躍していたドイツのDKW社製3輪車のフレームを参考にしている。
こうして昭和5年秋にようやくマツダ3輪トラックの試作車が完成。
この試作車には東洋工業特許による直線操作式後退付き変速機(リバース機構を持ったトランスミッション)や後車軸差動装置(リアデフのこと)、それにシャフトドライブ方式を採用。むろんエンジンも自前で作り上げている。こうした主要部品を自らの手で作り上げ、しかも素材、設備、工作法などの技術を同時に確立し、量産へのめども立てたのである。このことは、日本の3輪トラック史上画期的な事件だけでなく、のちの4輪製造につながる技術となる。

TOP NEWS

ホンダの燃料電池FCXクラリティの試乗記(つづき)

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後席に座ると、思わず「ゴージャス」と叫びたくなるほど広い。車高が低いぶん驚き度が高い。ドアの中央部をまるでスプーンでえぐられたような造形にもモダンさを感じる。
広いだけでなく、4人のシートがそれぞれ独立しているため、旅客機のファーストクラスのシートを思わせるラグジュアリーな雰囲気。インパネはホンダ流のレイヤードといわれる奥行きを感じさせるデザインだ。トランクルームも高圧水素タンクを1本にしたおかけで十分の収納容積を持っている。極端な話、今日免許を獲った初心者でもドライブできる。つまり、片寄った癖もないのでふつうに運転できる。人間にも言えることかもしれないが、このことがすごいことだと思う。
メーターの近未来性、居住空間など複数の仕掛け(合わせワザ)で、エンジニアの≪新しいクルマを作りたかった!≫という強い意思が伝わってくる・・・。
100年で、人類はこんなにも静かでスポーティなクルマを獲得できたのだと思うと感慨深い。
走り・居住性とも未来フィーリング120%だが、逆に未来的クルマの課題も見い出した。
走行中のモーター音が多少なりとも耳に付くのである。あまりに静かであるゆえだ。
燃料電池に酸素(空気)を送るエアポンプが作動している音である。このエアポンプにはリシュルム型のコンプレッサーを採用しているが、開発陣に言わせるとこのコンプレッサーの改善と吸音の役目をするチャンバーの追加を現在検討中だという。エンジン付き車両のときは気にならなかった高周波の小音量のモーター音が気になるのである。
1時間ほど乗っていると、このノイズ、なんだかノートパソコンの冷却ファンのモーター音と似ていることに気がついた。このクルマのオーナーになれば・・・機能的な音としてなれるのかもしれない。クルマを降りるときには、自分で勝手にFCXクラリティは≪動くパソコン≫ではないか。そんな思いが頭から消えなかった。
もちろんインフラの充実もあるが、燃料電池車の量産にはまだ数年を時間がかかるようだ。コストも100分の1ぐらいにしないととても21世紀のモデルTはならない。エンジニアにとっては大きな課題だが、これほどやりがいのある仕事はあまりないと思う。

2008年12 月15日 (月曜日)

愛車メンテのプラスアルファ情報

大型タイヤのリトレッド現場

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省資源指向が一段と加速しつつある車社会だが、このほどブリヂストンが、大々的にリトレッドビジネスを打ち上げた。リトレッドというのは、磨り減った使用済みタイヤのトレッド(地面と接するギザギザ部分)の張替え作業のことである。いきなりブリヂストンがこの商売を広げようとしたのは、アメリカのリトレッド専門企業「バンダグ社」を買収したからだ。

 実は、欧米ではリトレッドの需要は約半数。日本では現在1割程度。大型タイヤのユーザーである輸送業界、バス業界は、少しでも安いメンテナンスを求めている。新品タイヤよりも3割ほど安く付くリトレッドはこれから注目されるというわけだ。

 実際取材したところ、実にコンパクトな工場だった。6名のスタッフで一日44本の少量生産。2重3重の受け入れチェック、2重の試験をへてクオリティの高いリトレッドタイヤが出来上がっていた。ちなみに、新品タイヤよりも資源の節約は68%に達し、CO2の削減は1本当たり165kgだという。乗用車用のタイヤのリトレッドは需要も少なくコスト的にも引き合わず、いまのところ存在しないようだ。このリトレッド工場、今後数年間で全国に20拠点程度設置するという。

カーライフ大助かり知恵袋2

耐熱温度260℃の樹脂とは?

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自動車部品のトリビアな話題をお話ししよう。

 誕生して今年でちょうど30年、トン当たり1万円以上もし、年間わずか4250トンの生産・・・という割には今後大注目の樹脂が存在する。PEEK(ピーク:ポリエーテル・エーテル・ケトン)と呼ばれるスーパー・エンジニアリング・プラスチックである。

 プラスチックは100円ショップで手に入るポリバケツから、エンジニアリング・プラスチック(代表選手が、インテークマニホールドに使われるナイロンやヘッドライトに使われるポリカーボネート)、さらにはPEEKのような耐熱温度260℃で、しかもさまざまな物理的・化学的特性を持つスーパー・エンジニアリング・プラスチックがある。PEEKはそのスーパー・エンプラなのである。PEEKを知るとなんだか樹脂の世界の大部分が理解できた気分になる!?

 当初は航空機の世界で活躍したPEEKだが、現在は身近なところではハンバーショップで活躍する。パンを焼くときの下に敷くフィルムがこれだという。一時ターボチャージャーのコンプレッサーフィンにも使われていたが、いまではエンジンやCVT内部のシールリングなどに使われている。今後、燃料電池の膜、ハイブリッドカーのモーターの構成部品などにも使われるという。

カーライフ大助かり知恵袋1

旧きをたずねて新しきを知る! 重次郎とマツダヒストリー 第4回

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当時の自動車製造を振り返ってみると、ひとことで言うと幼稚というか“か細い”ものでしかなかった。確かに、明治40年に国産初のガソリン車タクリー号が完成してはいたし、明治44年に橋本増治郎が快進社をおこし小型乗用車の脱兎号を作るなどしていたが、いずれもヒト・モノ・カネのいずれかが不足した。舶来品信仰で国産工業製品への信頼性が低かったなどで、苦難に満ちたものだった。量産には程遠かったのだ。

 だが、関東大震災を契機に、東京市にT型フォードトラックを改造したバスが走り、大正13年にはフォードが横浜に、昭和2年にはGMが大阪にノックダウン工場を立ち上げた。またたく間にモータリゼーションの前夜とも言っていい状況が出来上がったのだ。

 世に言うフォードとシボレーの時代だった。昭和4年の末、重次郎の息子で公務係社員の松田恒次(つねじ:のちの社長)と自動車製作担当技師の竹林清三(たけばやし・せいぞう)の2人が、3輪トラックを開発するため関東と関西に市場調査をおこなったのだが、その年、昭和4年の自動車供給データを見ると、輸入組み立て車数が2万9338台、輸入完成車数5018台に比べ国産車数はわずか437台に過ぎなかった。

 大正7年に日本の自動車産業を育成する手段として「軍用自動車保護法」なる法律ができた。これは、政府は助成金を出すことで軍用自動車の基礎となるべき4輪トラックの国産化を促進しようとした。橋本増治郎の快進社などもこの補助法の適用を受けたにもかかわらず、価格面で輸入車と太刀打ちできず次第にフェイドアウトしていった。

 量産体制のもとで廉価で丈夫なアメリカ車が日本の自動車市場を支配していたのである。

TOP NEWS

ホンダの燃料電池FCXクラリティの試乗記

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 今年はモデルTが誕生して100年目。1世紀という気が遠くなるような時間が流れ、燃料電池車がその姿を現したのである。FCXクラリティを3時間ほど試乗した。その印象を今回と次回でリポートしよう。

 動き出すには下準備というか“儀式”が必要だ。エンジンならぬ“FC(フューエル・セル:燃料電池のこと)スタック”を反応させる独自の“儀式”である。儀式というと難しそうだが、メーターの指示にしたがうだけ。キースイッチを入れるとメーターにPUSH POWERの表示が現れる。ステアリングホイール左下部にあるPOWERスイッチを押す。するとSTANDBYの文字がインフォメーションに表示。これでFCスタックの始動準備はOK。後は、プリウスのレバーと酷似しているステアリング左手にある小ぶりのシフトレバーをDに入れ、パーキングブレーキを解除すればクルマは前進する。シフトレバーをRにすれば後進。駐車は、ブレーキペダルを踏んだ状態でPOWERボタン上部にあるP(駐車)ボタンを押せばいいだけ。2~3回やればすぐ慣れてしまう。

 ちなみに、北米では個人ユーザーが取材の時点ですでに3人いて、車両の説明に30分、水素ステーションの使い方に30分のレクチャーを受けたのち納車だという。というのはアメリカでは水素ステーションで燃料補充するときもセルフ方式だからだ。

 さて、アクセルペダルを踏み込むと、車はグイッとばかり加速し、ビュ~ンとばかりスポーツカー並みに走ることができる。普通のスポーツカーならエンジン音がけたたましく響くのだが、FCXクラリティはあくまでもサイレント。静粛の世界の中で以上の加速をすべて執り行うのである。21世紀にふさわしい加速フィーリングとでもいおうか、ある意味官能的なのである。

 ドライバーはこのとき、心の中が高鳴る。始めて大排気量のバイクに乗ったときに似ているというと理解しやすいのかもしれない・・・。

 写真にあるような3Dホーン形状のメーターは実に近未来そのものである。3Dというのは3つのディメンジョン(次元)のことで、出力計が上部にあり、両翼に水素燃料計とバッテリー容量計がある。出力計というのは燃料電池車の最重要ユニットであるFCスタックの出力を表示するもので、回生状況もひと目でわかる仕掛け。さらに近未来感覚を誘うのは、メーター中心にあるH2ボールメータと呼ばれるもの。走行状況に応じた水素の消費状況をボールの色と大きさの変化でドライバーに知らせる。消費量が多いときは、アンバー(琥珀色)で大きく、少なくなるにつれイエローからブルーに変わり、ボール自体も小さくなる。

2008年12 月 1日 (月曜日)

愛車メンテのプラスアルファ情報

カプリングソケットハンドル・セット

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前回デジタルトルクレンチを紹介したが、同じスエカゲツール(http://www.suekage.co.jp)の商品群のなかに、実にユニークで便利なツールセットがあるので眺めてみよう。

 「カプリングソケットハンドル・セット」である。

 カップリングというのは≪連結≫の意味。それ単独ではほとんど役に立たないが、連結することで、あっと驚くほどの機動性を見せるツールといえそうだ。

 300mmの長めのハンドルを軸に、「カプリングソケットヘッド」「カプリングエクス」「カプリングバー」「カプリングアダプター」など8ピース(8つの小部品という意味)で構成される。カプリングという文字が邪魔だが、要するに12段階(360度割る12で1段階30度)の角度がハンドルとのジョイント角度で選択できるのがアドバンテージ、その1.。2つ目のアドバンテージは、ソケットヘッドがサイズ8,10,12ミリと専用で、全高は通常のラチェットハンドルの場合の半分。3つ目の利点は「カプリングエクス」(エクスはエクステンション:延長の意味)を使うことで、手が入りづらいところにあるボルトやナット脱着に威力を発揮する点だ・・・言葉にするのがもどかしいほど使うと、なるほどと思わずつぶやきたくなるツールセットである。

カーライフ大助かり知恵袋2

いまどきの車のバキュームブースターはなぜ薄くなったか?

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最近のクルマのバキュームブースターには、タイロッドと呼ばれるクギ刺し状の棒が2つ付いている。自動車メーカーのエンジニアに聞くと「ブレーキの剛性を高めるのに大いに貢献しています」という答えが返ってくる。

 実は、これ真実であるが、本当のことを隠している答え。

 というのは、ここ数年でバキュームブースターの肉厚がどんどん薄くなっているからだ。その前に急いで説明しなくちゃいけないのは、バキュームブースターの役目。エンジンの負圧(バキューム)を貯め、ブレーキ力を倍力する役目だ。

 ここまで読んで賢明な読者は「それは軽量化のためでしょう」と内心考えたはず。正解だ。軽量化目的で薄くしたバキュームブースターの剛性を維持するために2本の棒(タイロッド)で補強しているのである。

 センチュリーなどは今でも2.3ミリ厚のバキュームブースターでごく例外(つまり昭和40年代ではこの厚みが常識)だが、数年前に1.5ミリ厚になり、現在0.8ミリ厚はふつうなのだ。外板パネルと同じ厚みである。軽量化作戦は、バキュームブースターとコンビを組んで仕事をしているマスターシリンダーにもおよんでいる。内部構造を見直すなどで寸法で半分近く、重量でも4割ほど減量させている。もちろん、これは歩行者保護という安全上の課題解決にもつながるからだ。

 硬いでっぱりが小さければ事故の際に歩行者のアタマがぶつかる可能性が低くなる。ちなみに、マスターシリンダーをつくる工場によると寸法精度は内径で10ミクロン、面粗さで数ミクロンオーだという。

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