みなさん!知ってますCAR?

2009年12 月15日 (火曜日)

TOP NEWS

ABSの製造から25年たったコンチネンタル社

IMG_7367少し運転に自信のある読者なら、ABSの効き具合をふだんの運転のなかで体験することがあると思う。たとえば、路上に砂がのっているところで、少し急激なブレーキングをすると、ABSが効くのが分かるし、濡れている路面でも同じように体験できる。
そのABSの製造開始から今年で四半世紀(25年)を迎えた企業がある。ドイツの企業コンチネンタルである。コンチネンタルというとタイヤメーカーとしてのイメージが強いが、実は、ブレーキをはじめとする安全装置をつくる企業でもある。ABSの世界シェアは35%。日本でも5台に1台はコンチネンタル製のABSが採用されているという。そのコンチネンタルが世界初の一体型ABSを製造したのが1984年。マツダのコスモやリンカーンコンチネンタルに採用されている。このときの単体重量がなんと11.5kg。それから25年、軽量コンパクトになった。重量は初期モデルの約1/10の1.3kg(写真)。しかもABSだけでなく、横滑り防止装置ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)も組み込まれている。
驚くべきデータだが、すべての交通死亡事故数の約4割はなんらかの“横滑り現象”を起こしているという。そのうちの8割は、ESCが装着されていれば防げたというリサーチがある。欧米では新車時のESCの装着義務付けが法制化されつつあるが、日本ではほとんどオプション設定が少なくない。日本でも法制化が急がれるところである。

カーライフ大助かり知恵袋1

旧きをたずねて新しきを知る! タイヤBSのルーツは足袋だった・石橋正二郎物語 第2回

IMG_5347   正二郎の事業努力の裏にはいくつもの見るべき特徴がある。ひとつは石油発動機の導入をはじめとする機械化と能率向上。1911年久留米に電力が供給されると、石油発動機に変えて5馬力のモーターを据え、積極的導入で能率を高め、生産高を増やした。
 第2の努力は、資金面での努力。足袋という履物は冬場に使われる季節商品のため、製品ストックが多かった。その結果つくりだめのための大量の運転資金が必要となる。銀行や個人からの借り入れが必須となるが、「志まや」は後発の足袋専業メーカーのため、信用が不十分で借り入れが容易ではない。そこで、正二郎は信用第一をモットーとし、借入金の返済期限を厳守、銀行からの信用を勝ち得ることができた。3つ目に挙げられる努力目標は、同業他社との市場競争に打ち勝つことだった。当時「福助足袋」や「つちや足袋」など岡山や東京に大きな足袋業者があり、互いに競争を激化させていた。そうしたライバルたちと競っていくために、広告手段の開発に重点を置いた。
 正二郎が23歳のとき(1912年)に商用で始めて上京し、赤坂溜池にある大倉財閥系の自動車輸入販売会社「日本自働車合資会社」を訪ねている。このとき生まれて始めて自動車に試乗するチャンスを得、時代の先端を切り開き、機動力のある乗り物を使い宣伝・広告をすることを思いついた。スチュードベーカー(写真)を購入し、自動車による広告・宣伝を展開したのである。ちょうどそのころ,九州すべてに卸業者を擁することになっていたため、この思い切った宣伝作戦は功を奏したのである。
 ちなみに、その当時全国でも自家用車の数はわずか354台。九州にはまだ1台も存在していなかった。九州の消費者たちの目を丸くさせた。正二郎は、これと相前後して「足袋のできるまで」という映画を製作し、劇映画とともに各地を巡回させ、「志まや足袋」をポピュラーなものにしていった。むろん、地方にはまだ映画館がなかった時代で、芝居小屋、学校の講堂、寺院の本堂などを借りての無料上映であったという。

カーライフ大助かり知恵袋2

植物由来の樹脂製ラジエータータンク

IMG_7392  植物は、光合成で大気中からCO2を吸収して育つため、純粋な植物由来の樹脂は焼却処分しても大気中のCO2総量を増やさない。樹脂の原料を石油から植物に変更できれば、製品のライフサイクル全体での環境負荷を大幅に低減できる。・・・そんな発想から≪植物由来の樹脂製品≫が自動車部品のなかで大注目されている。
 デンソーがごく最近開発中だと発表したのが、「植物由来樹脂製ラジエータータンク」。
 よく知られるようにラジエーターには上下にタンクを持っている。このタンクは一昔前まで金属製だったが、最近はナイロン系の樹脂製。これを植物のヒマ(蓖麻)から抽出した成分を主原料に使用した植物由来製の樹脂タンクにシフト。ラジエーターはエンジンルーム内で使われるため、高い耐熱性と耐久性が求められ、従来だと重量比20%が限度とされた植物性樹脂使用が、デュポンとの協力で、原材料の4割を植物由来樹脂でカバーしている。ラジエータータンク用としての厳しい要求仕様をクリア。より環境負荷の低減に一歩近づいたといえる。ただし、製品化の時期は不明である。

愛車メンテのプラスアルファ情報

KO-KENのホイールナット専用薄肉インパクトソケット

14145PM  そろそろ冬タイヤに履き替えるシーズン。
 タイヤ交換作業にあると重宝するのが「薄肉インパクトソケット」である。ソケットツールの専門メーカーであるKO-KENの製品。インパクトツールをすでに持っている人にお勧めである。
 ホイールナットの脱着専用に設計したソケットなので、ナット穴の狭いアルミホイールにも無理なく使えるだけでなく、リムの深いホイールにも対応できる全長110ミリである。しかもホイールナットの頭部があたる恐れのある部位に樹脂ストッパーをセットしているので、キズ付きの心配なしの親切設計だという。
 差し込み角は1/2インチ(12.7ミリ)である。サイズは17ミリ、19ミリ、21ミリ、22ミリと4サイズ。軸がそれぞれ青、赤、黄、白とカラーリングされ、加えて白文字で本体にサイズが印字されているので、ひと目で判別ができる。価格はそれぞれ、2,690円、2,770円、2,920円、3,070円。KO-KENのホームページは、http://www.koken-tool.co.jp/

2009年12 月 1日 (火曜日)

愛車メンテのプラスアルファ情報

DEENのアングルアダプター

Img_7298 よく言われるようにソケットツールというのは、1個だけではなんの役に立たない。2つ、3つと組み合わせることで、従来にない工具以上の働きをするものである。少し聞きなれないが、今回紹介するアングルアダプターもまさに、そうした仲間のひとつである。

差し込み角部のオス側とメス側の2つを持つ、写真のような小さな「コマ」状の物体。

どんな具合に使うのか? この工具に定説的な使い方はない。たとえば、スピンナーハンドルの先端に取り付け、ソケットを90度振るという使い方。カラスの足の形状をしたクローフットと呼ばれるソケットツールとハンドルの間に介在させて使う。エクステンションバーの先端に2つのアングルアダプターを取り付け、段差を避けて相手のボルトに対する・・・言葉で表現すると、困難な気分になるが、要するに通常の工具ではなんともならないケースに、このアングルアダプター外力を発揮する可能性が高い、ということだけは確かである。

ファクトリーギア(フリー℡0120-40-2233)のDEENブランドで、価格は3/8インチタイプが900円、1/4インチタイプが750円とスナップオンの半値以下で手に入る。

カーライフ大助かり知恵袋2

目隠しトルクレンチ

Img_7203 ≪小さなボルトは片手で、中くらいのボルトは両手で、大きなボルトは身体全体で締める≫というのは戦前の機械工学での格言!? つまり大昔は締め付けトルク、という概念がほとんど存在しなかった。存在しても実にアバウトであった。
先日、VWの整備士コンテストを取材したら実に面白い光景に出くわした。

出場選手が目隠しされたトルクレンチ(数値の出る部分をマスキングされた)を使い、事前に締め付けられたボルトの締め付けトルク値を推理せよ、という課題に取り組んでいたのである。トルクレンチはもちろんプリセット型で、規定値になると「カチッ」と音がするタイプ。これを2回試みることで締め付けられているボルトのトルク値を推測するのである。M8とM10の2本のボルトでの課題。選手に混じって筆者もトライさせてもらい、20Nmと40Nmという答えをカンピューターで導き出した。
果たせるかな、正解はそれぞれ13Nmと33Nmであった。ということはふだん筆者は、少し固く締めていることが判明。これってマニアックだが、意外と面白いゲーム。友人に同じように問題を出し合うというのも一興だ。でもあまりやりすぎるといつしか「トルク人間」になる!?

カーライフ大助かり知恵袋1

旧きをたずねて新しきを知る! タイヤBSのルーツは足袋だった・石橋正二郎物語 第1回

Img_5349 世界トップメーカーであるブリヂストン(BS)は、よく知られるように創業者の姓である石橋(ブリッジ・ストーン)から由来している。ストーンブリッジでは語呂がよくないから「ブリヂストン」としたとも言われる。でも、これを知る人も、ブリヂストンという企業のルーツが、もともとは足袋(たび)や地下足袋(じかたび)を創って当時の日本人の足元を守っていたメーカーであることは知らない。・・・・今回から世界のタイヤメーカーBSの創業者・石橋正二郎(いしばし・しょうじろう)を探る。

ちょうど100年少し前、いまだ日露戦争の戦勝気分さめやらぬ1906年(明治39年)3月。17歳で九州の久留米商業学校を卒業した石橋正二郎は、兄重太郎とともに家業の「志まや」を引き継いだ。古典的な香りの屋号である「志まや」は仕立物業を生業(なりわい)とした徒弟8,9名を抱える小商い。シャツ、ズボン下、脚絆(きゃはん)、足袋など種種雑多な商品を扱う業種だった。正二郎は神戸高商(現・神戸商大)への進学を志していたのだが、父の徳次郎に懇願され断念、家業を継いだのである。当初、兄が外回り仕事、弟の正二郎が店内部の仕事をしてきたが、その年の暮れに兄の重太郎が軍隊に入ったため、経営のいっさいが正二郎の肩にかかることになる。

これを機会に正二郎はビジネスの大変革をおこなうのである。これまでの種種雑多な品物の注文に応じる非効率的な仕立物業に見切りをつけ、「志まや」の経営を足袋専業に改めることを決断したのである。もうひとつの改善は労務関係。これまで無給かつ無休という慣習だった「徒弟制」を改め、徒弟を職人にして給料を払い勤務時間を短くし、月の1日と15日を休日とするなど思い切った改善を図った。これには父徳次郎の大反対もあったが、見る見る業績が向上したことで、父親も正二郎に従わざるを得なかった。足袋専業になって、朝早くから夜遅くまで稼動し、1日に100足、200足とつくるようになっていった。隣接地に50坪ほどの工場を建て、新しく30名ほどの工員を採用。石油発動機を据付、さらに動力ミシンと裁断機を導入するなどで、生産能力の拡張と機械化を進めた。生産効率が向上することで、足袋専業になって2年後の1909年には日に700足の生産に及んでいる。

TOP NEWS

ステップワゴンの3番目のシートの秘密とは?

Img_7108 自動車開発のエンジニアに話を聞いている仕事のなかで、すごい! とつぶやくときがある。これまでの常識ではできなかったことを事もなげにやってしまった場合である。

ホンダから最近発売されたステップワゴンのサードシートの秘話が、そのひとつである。従来車のサードシートの格納は、サイドに跳ね上げ方式だったが、これではせっかくの広いはずの荷室容積が狭められる。やはりここは床下に格納すべし。
ということで、サードシートを床下に収めた・・・。言葉にするとわずか1行だが、ステップワゴンは5ナンバーで,車幅が1.7メートル以下である。3ナンバーのでかいクルマなら確かに床下格納車はこれまで存在したが,5ナンバーで,3人掛けシートが床下に格納できるタイプはなかったのだ。

ホンダのボディ開発者は、1年半がかりでこれに取り組み、見事やってのけた。リアのサブフレームを巧妙に湾曲させ、軽量・強度、剛性・コストなどの複数の要求を満たすべく具現化したのである。何度もトライ&エラーをして実現にこぎつけたという。ということは「事もなげに」ではなく、≪奮闘努力の末≫商品化したということになる。ちなみに、このサードシート、実測で約30kgもあるが、格納をおこなってみると女性の非力なチカラでも、楽々床下に収めることができた。回転軸にスパイラルスプリングなるバネを仕込んでいるのがその秘密である。


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