ダブルフォールディングタイプのリアシートを床に格納すると、26インチと20インチの自転車が見事同時に立てた状態で積載できる。しかも、10・15モード燃費がこのジャンヌのクルマとしてはトップクラスのリッターあたり22.5kmをマークするワンボックスがスズキから登場した。
写真でもわかるように文字通りのワンボックススタイルだが、ハンドルを握り走らせると活発に走ってくれる。エンジンとトランスミッションは、スイフトとまったく同じ。吸排気にVVT(バルブタイミング機構)を取り付けた1.2リッター4気筒エンジンと副変速機付きのVVTとの組み合わせ。新型プラットフォームで軽量化に意を注いでおり、車両重量もGタイプは1000kgとかなり軽い。最近の流行で燃費の良い運転を支援してくれる「エコドライブ・インジケーター」付きである。
このクルマの面白いところは、直接のコンペティター(競合車)が存在しないということだ。あえて言えば、トヨタbB,ホンダフリードあたりになるが、彼らはコンパクトカーのジャンヌ。ソリオは、あくまでもワンボックスなので、居住空間がライバルを蹴散らすほど広い。ふた昔前のスバルのドミンゴ(1983年~1998年)あたりが、このクルマに近い!? かつてのワンボックスは、広いだけで、乗用車のような静粛性は望めなかったが、このソリオは上々と見た。リアシートにもリクライニング機構が付いている。クルマを道具と見た場合、このソリオはかなりいい線いっているといえる。ただ、自動車という商品は、変な話時代の風を背負わないと売れないというシロモノ。ソリオも、21世紀の風にのれるか、今後の動向が注目だ。価格は、128万円からとかなりリーズナブルだ。
三菱500のときもそうだったが、三菱の自動車が押しなべて高い性能や高い商品性にかかわらず販売では不振をかこつケースが多かったが、その代表選手とでもいうクルマが1964年7月デビューのデボネアだ。このクルマは、当初から大衆を狙ったクルマではなく、どちらかというと三菱同族会社のビップカー。同じ車型で22年間という超寿命記録を打ち立てたクルマでもあった。ちなみに、これを上回る長期間製造車はトヨタの初代センチュリーで、1967年~1997年の約30年間である。いずれも「走るシーラカンス」と揶揄(やゆ)された。
初代のデボネアは、角ばった独特のエクステリアに魅せられ、ごく普通のおじさんが買い求めるケースもなくはなかったが、先に話した通り大部分は三菱御用達クルマだった。
構造は、モノコックボディに前輪ダブルウッシュボーン独立サスペンション、後輪半楕円リーフスプリングの固定サスペンションでFRタイプ。エンジンは、京都製作所で開発した排気量1991ccのKE64型直列6気筒OHV(105馬力)。ツインキャブレターでしかもデュアル・エキゾーストタイプ。6年後の1970年9月に直列6気筒エンジン6G34型SOHCサターンエンジン(130馬力)が載せられている。さらにそこから6年後の1976年には、オイルショックの影響を受けることになる。コストと排ガス規制で厳しい6気筒エンジンをやめ、直列4気筒の排気量2.6リッターG54B型アストロンエンジン(120馬力)に変更している。
エクステリアデザインは、元GMのデザイナーであるハンス・ブレッツナーが担当したといわれる。そのころの2リッタークラスでは一番長い全長4670ミリ、ホイールベースも最長の2690ミリ。航空機の生産の伝統技術を生かしたユニット・コンストラクションと呼ばれるフレームなどを取り入れ、当時の技術の粋を随所に投入した高級車であった。
デボネアは、1986年に2代目のバトンタッチしている。このときFRレイアウトからFFレイアウトになり、技術供与先である韓国の現代自動車がグレンジャーという名称で現地生産・販売をしている。3代目のデボネアは1992年に登場したが、ディアマンテのシャシーにV型エンジンを載せたモデルで、数回のマイナーチェンジのすえ1999年に生産が取りやめられている。
12月の台湾取材で面白かったのは、意外と独自性を持つ台湾のチューニングメーカー。「D2(ディツー)レーシングスポーツ」がそれ。
どこがユニークかというと、まずトイレ。サークル形状の扉を開けると、なんと洗面所の前にパソコンのモニター画面があり、いつもエンターテイメントなウエブを楽しめる。昨年完成したという社屋はまるでイタリアのカロッセリアをホーフツとさせる。
この企業は、スタッフ120名ほど。社長みずからが香港・マカオを転戦するレーシングチームを持っている。ここまでは、「フ~ン」という感じだったが、感心したのが、ただ単にとんがったレース上がりのチューニングパーツ企業ではなかった。たとえばショックアブソーバーを開発するときは、かならず6名の社外スタッフに評価を依頼するというのだ。6名とは、25歳の男性と女性、30歳の男性と女性、35歳の男性、それに40歳の女性である。幅広い年齢層にターゲットをあわせた商品作りをおこなっているらしい。日本専属の女性営業スタッフに悩みを聞いたところ≪日本市場の難しさ≫をこんな風に説明してくれた・・・「台湾製と中国製をゴチャゴチャに考えていることです。我々はMADE IN TAIWANに誇りを感じて仕事をしています」。チクリと痛いこたえが返ってきた。
数号前に紹介したMASTERGRIP(マスターグリップ)のハンドツールである。
マスターグリップとは、カルフォルニアのロングビーチに事務所のある輸入工具企業。台湾製のツールを扱っており、日本のCOSTCOで手に入れた。ちなみにCOSTCOとは、アメリカに本拠地を置く会員制倉庫型卸&小売業で日本には現在9店舗あるという。
今回紹介するのは、差し込み角3/8インチのスイベルヘッド・スタビラチェットレンチ。横浜にあるCOSTCO金沢シーサイド店でたまたま見つけたもの。
スイベル(SWIVEL)とは、自在継ぎ手のことで、要するに頭部がクルクル回せる仕掛けを持つ手のひらサイズのラチェットハンドルである。このハンドル、何がいいかというと、通常のラットハンドル同様に使えるだけでなく、ソケットとハンドルを直線状にしても使えるため、手が入りづらいところにあるボルトやナットの脱着に活躍する。グリップは樹脂製で親指が収まるところに滑り止めデザインを施した凹みをつけるなど手が込んでいる。日本人にはやや重い(実測:270g)のでは? と思うが、全体のフィニッシュは最近の台湾ツールの例に漏れず誉めていい。
大幅な補助金制度がなくなったいま、乗用車の世界での話題がリッターのガソリンで0.5キロでも多く走れるかのバトルになってきた。
このほどデビューしたダイハツの新型ムーヴは、ハイブリッドカーを除くガソリンエンジン車の世界で、最上の燃費チャンピオンとなった。リッター27キロなのだ。従来型車よりもリッター5km、ライバルに比べリッター2~3kmほど水を開けたことになる!? その燃費向上の秘密は、どこにあるのか?
ボディ骨格のスリム化、インパネやドアトリムのスリム化など車体側で約35kgの軽量化を実現させたこと。それにプラスして、より使いやすくて静粛性の高いアイドリングストップを導入したことも大きいが、一番の立役者は燃費性能を進化させた第2世代のKFエンジンを実現させたからだ。樹脂製のスロットルボディでCVTとの協調制御させていること、ウォーターポンプの効率向上、エンジンのムービングパーツ(稼動部品)の機械的抵抗を減らしたこと、ⅰ-EGR(アイ・イージーアール)と呼ばれる排気ガスの一部を吸気に戻すシステムをより緻密にできたことなどの合せワザによる。ⅰ-EGRというのはスパークプラグをセンサーにして燃焼室内のイオンの量をチェックしながらEGRの量をコントロールするもので、世界初の仕掛けだという。なお、カタログ燃費向上だけでなく、実用燃費向上のため、エアコンの制御に力瘤を入れたということだ。
ちなみに、新型ムーヴは全車オートエアコン付きとなり、価格は、112万円からだ。
三菱500のエンジンは、NE19A型と呼ばれるもの。加速ポンプを付加したソレックス・キャブレターを付けた空冷2気筒OHV493㏄(圧縮比7.0)で21PS/5000rpmの最高出力と3.4㎏-m/3800rpmの最大トルクを発生。3速マニュアル・トランスミッションで、最高速度90キロだった。
リアエンジン・リアドライブリブのRR方式である。ボディはもちろんモノコックである。サスペンションは、前後ともトレーディングアームとコイルスプリングの組み合わせで、タイヤは5.20-12インチ。時速30キロ定地燃費が30km/リッターとまさに国民車構想どおりの好燃費。奇しくもリッター30kmとは、走行モードこそ異なるが、いまの小型車の燃費競争のひとつのゴール数値である。ステアリングはラック&ピニオン方式。
価格が39万円と国民車構想のコンセプトには及ばなかったが、他メーカーのエンジニアはこのクルマに込められた高い技術力に驚嘆した。イメージキャラクターとして当時人気絶大だったハナ肇とクレージーキャットを起用している。だが、三菱500は営業的には失敗だった。三菱の販売力不足がその主な原因だといわれる。当時の庶民の心を捉えるに十分でなかったのだ。翌1961年にテコ入れのためにエンジンを594㏄にしたスーパーデラックスを追加した。がそれも市場での人気に結びつかず、同年早くもフルモデルチェンジして三菱コルト600(排気量はスーパーデラックス同様の594㏄)を登場させた。排気量の前にコルトという愛称を付けたのである。この三菱コルト600(写真)は、フロアシフトからコラムシフト(当時はコラムシフトのほうがいけていた!)に変更し、シフトパターンもH型としている。ちなみに、立ち上がりから約2年で生産中止となった三菱500は、累計でのべ5203台ラインオフしている。
昨年の夏は≪酷暑≫だったためエアコンの使用率が高く、いきおいバッテリーへのストレスが激しかったようだ。筆者のふだんの足とするコンパクトカーもその例に漏れず、11月に入り、夏の疲れの症状が出始め、エンジン始動時にやや時間がかかるようになった。これは早晩バッテリーがやばい。そんな直感がしたので、バッテリー交換を実行すべし。
カーショップで求めてもいいが、ここはひとつより安く確かな中古バッテリーを手に入れたい。近くの解体屋さんで、元気なバッテリーを求めに行った。バッテリー本体上部にある記号を読み取る。サイズは≪50B23R≫である。ここでおさらいだ。50は性能ランクを示し、数値が大きければ大きいほどより大きな電気の出し入れができる。Bはバッテリー短側面のサイズで単位はミリ。23というのはバッテリーの長さを示し単位はミリ。最後のRは、プラス極面から見た端子の極性位置を示し、Rは+端子が右側にあるタイプ。
ところが、同じサイズが見つからず一瞬困った。ところが、端子位置が合致し、クルマに収まれば問題ないことを思い出した。60B24Rというのが在庫していたのだ。少し横長だが、目測で判断して収まる。果たせるかな、実際試してみたところ、ぎりぎりセーフ。これで、(経験上だが)少なくても2年はバッテリーに問題が持ち上がらないはず。価格は1000円だった。
手ごろな価格で手に入る輸入工具を30年近く手がけている東京のサンケン(www.sanken-co.jp)。そのサンケンで、ユニークな工具がデビューした。「オイルチェンジャーガン」がそれ。
見てのとおり全長560ミリ、重量1.6kgの円筒形で家屋の補修などで使うコーキングガンを2回りほど大きくしたような形状。アルミダイキャスト製のグリップの前後に2つのレバーが付いており、ここをカクカクッ握ると、オイルや液体を吸い込んだり吐き出したり吸い込んだりすることができる。これに似たものにサクションガンという工具があるが、ギアオイルなどの粘度の高い液体は吸い込みづらかった。
このオイルチェンジャーガンは、このサクションガンの欠点を解消した製品ともいえる。ごくふつうにレバーをしっかり握りカクカク動かすだけで、ギアオイルやエンジンオイルを吸い込むことができる。約24回のストロークで1リッター(1000cc)を吸い込むことが可能だ。もちろんパワステオイル(写真)やブレーキオイルにも使える。先端部にシャットオフバルブが付いているので、作業中にこぼれて周囲を汚すこともない。30センチのビニールホースと23センチのスチールチューブが付いている。エンジンオイルの吸引用のテフロンホースは、今年の夏前にデビューするので、これが付いてから購入するのがいいのかもしれない。現時点での価格は、9975円。