「なんて人間があやふやで移り気な存在なのか!」
そんな哲学的憂鬱にさいなまれた瞬間があった。たまたま同じ日に2つのニューモデルに試乗してしまったことからはじまった。お昼過ぎにホンダの新型軽自動車「N BOX(エヌ・ボックス)」に乗り、夕刻アルファロメオのジュリエッタ(写真)のステアリングを握った。
「N BOX」は、当初ダイハツ・タントの亜流に過ぎないと高をくくっていたが、大外れ。1966年デビューし当時の若者に大うけしたN360のコンセプト。「まずキャビンから設計をはじめました」という半世紀前の旧くて新しい概念を持ち出し、ホンダが本気になって「日本のKカーをつくりなおした」という代物だった。シャシー、トランスミッション、エンジン、ボディなどすべてゼロベースから作り出しただけに、操縦安定性、動力性、停止時の静粛性など並みのコンパクトカーを蹴散らす勢い。なにしろ2520ミリというフィットより20ミリ長いホイールベースに開発者の本気度が読み取れる。ただし、唯一の欠点(というか宿痾)は、加速中のエンジン音。これだけは依然として「軽自動車している!」とつい名刺を動詞化したくなる。
「N BOX」は、日本独自の茶の文化、狭い茶室のなかで展開する世界観を思い起こさせた。
ジュリエッタは、これとは180度異なる世界。ズバリ言えば思わず触りたくなる!≪エロいエクステリア≫と1400ccにもかかわらず、ターボのおかげで官能的ともいえる加速フィーリングで、いっきに試乗した日本の街をトリノあたりのイタリアの風景に変えてしまう。イタリア語をしゃべりだすのだ。うれしいことにアイドリングストップ機能付きだ。わずか60分ほどの試乗だったが、変なガタツキもなく静粛性が高く、信頼耐久性もドイツ車並みと直感できる。しかも現在ユーロ安もあり、318万円台という価格設定。
古典的なスポーツカーのお約束で低い位置のドライビングポジションに座ると・・・クルマとひとくちにいっても幅広い。一台のクルマだけで済ませるにはあまりにも人生は短い。金子みすゞじゃないけど、「みんな違って、みんないい」・・・クルマの世界にもそれが言える。そんなよしなしごとを底冷えする日に感じた。
トヨタは、米国現地生産の第1歩として、1984年にGMと合弁でNUMMI(ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング・インク)を設立、日米共同による自動車生産をスタートさせた。カルフォルニア州フリーモントにあるGMの遊休工場を活用したもの。GMは、そこで日本式の効率的なモノづくりを学び、トヨタは現地での部品調達や労務管理のノウハウをその後の単独米国進出に生かすことになる。いわゆるWINWINのビジネスだった。NUMMI工場の生産は、GMの平均的工場の生産性の約2倍となり、NUMMIの奇跡とまで称された。トヨタの方は、翌年の1985年にケンタッキーに100%出資の子会社を設立。ホンダや日産より後発ながらスピーディに北米のオペレーションを展開できたのもNUMMIで培ったノウハウが生かされた。
トヨタ生産方式を導入した高い品質管理を設立当初から実践した結果、同社で生産された車両は米国ユーザーから高く評価され、アメリカを拠点とした世界的な市場調査企業で、自動車関連の顧客満足度調査の結果は、ブランドイメージや販売実績に大きな影響を与えるJDパワーによる顧客満足度調査で、数々の賞を受賞している。
日本メーカーによる米国現地生産が本格化したのちも、NUMMIは従業員数約4700名で、小型車やピックアップ・トラックの生産を続けていたが、GMの経営破綻にともない合弁事業を2010年4月に解消し、25年の歴史に幕を下ろした。この工場の一部を使ってEVスポーツカーメーカーのテスタ・モータースがモノづくりを始めている。
1984年12月にNUMMIでラインオフした、スプリンターをベースにしたGMの「シボレー・ノバ」は、販売面では成功したクルマではなかったが、米国における自動車生産の日米協力のシンボルとして記念すべき1台であることはたしか。
製材所から出る大量の大鋸屑(おがくず)あるいは間伐材の木粉と、ポピュラーな石油由来樹脂PP(ポリプロピレン:クルマのバンパーやインパネの素材)をブレンドして、そこへ特殊な鼻薬(添加剤)をブレンドすることで、自動車部品を作り出すことができたという。リアゲートを開けると顔を出す「リアシェルフ(荷室の棚のこと)」である。
三菱自動車が中心で開発したもので、今年の春のニューモデルに採用されるという。ちなみに、この木屑を使うことで、従来の石油由来100%の製品にくらべ約20%のCO2削減になるという。面白いことに、木屑は昔もいまもバカ安。しかも輸送によるCO2の排出も中東や南米から運ぶことを思えばごく少ない。
調べてみると、同じ三菱自動車では3年近く前から、この木屑とフェノール樹脂を混ぜ合わせて作ったクルマ用の円筒形の灰皿を商品化している。試作品だが、このほかにオイルフィラーキャップやインシュレーターと呼ばれる小さなエンジン回り部品もつくれるという。これらは従来品よりもCO2の削減率が16%だという。いっときエコ製品というと多少値段が高かったが、いまや安くできて環境にやさしくないと訴求しない。ハイブリッドカー、プラグインハイブリッド、あるいは電気自動車などエコカーが主流になりつつあるが、自動車部品のエコも徐々にではあるが、進んでいるようだ。
“台湾工具、侮るなかれ!”である。
倉庫型スーパーマーケットCOSTCOで発見したラチェットハンドル。ブリスターパックにはいっているユニークな4つのラチェットハンドルのうちの一つを、今回は見てみよう。はじめに告白すると4つで、なんと価格が1880円とウソみたいな値段。1個あたり470円なり! デノミもここまできたかっている感じ!?
いまや価格だけで判断する時代ではない。この工具を使うとそんなことが痛いほどわかる。
そもそも鏡面加工で、一見するとスナップオンと錯覚するほどフィニッシュがいい。それだけでなく、基本が指し込み角1/4インチ(6.35ミリ)のラチェットハンドルなのだが、逆側に、同じく1/4インチのビッドを差し込める仕掛けになっている。全長86ミリ、単体重量が105gと実に小柄で軽量。手のひらに隠れるほど。エマージェンシー工具の仲間に入れておいたり、オートバイでのツーリングツールなどにもってこい。切り換えレバーのフィーリングも悪くないし、ギアも72と細かいので、振り角5度だ。ブランド名はMASTERGRIPだ。
三菱自動車は、ここ数年電気自動車の《アイミーブ》以外にとくに目新しい商品はなかった。一昔前まで勢いのあったパジェロも売れず、コンパクトカーのコルトもフィットやヴィッツの陰に隠れている感じ。
そんな三菱にひさびさのテクノロジーのニュースが飛び込んできた。
新型MIVECとアイドリングストップ機構を組み合わせた燃費向上技術である。6年越しに開発した三菱オリジナル技術。ハイブリッドや電気駆動ではない、いわゆる第3のエコ的存在だ。
新型MIVECは、エンジンのバルブタイミングとバルブリフト量を自在に変化させるだけでなく、吸気バルブが閉じるタイミングを自在に変化させることでポンピングロス(燃焼室に空気を取り入れるための仕事)を低減し、燃費向上を図る仕掛け。シリンダーヘッドはまったくの新設計ながら、コストを抑えた機械式であるところがミソ。
アイドリングストップ装置は、エンジンのコンピューター、トランスミッションのCVT、ブレーキ、エアコンなどをトータルでコントロールし、自然流のアイドリングストップができるというものだ。これまでのギクシャクしたガサツなアイドリングストップではなく、再始動時に静粛性を維持し、振動を抑制したタイプ。強化型のバッテリーと強化型のスターターを追加するぐらいでコストアップも抑制したという。
気になる燃費向上度は、従来エンジンの12%~13%アップでRVR1800ccの場合、10・15モードで、17km/Lだという。この新型MIVECとアイドリングストップ機構を組み合わせた車両はRVRのほかにギャランフォルティス1800やデリカD:5(2000cc)にも採用された。“リッター30キロ戦争”といわれる今日いささかその数字だけ見ると精彩は欠けるが、2012年にデビューする新型ミラージュに期待がかかる。
いまや忘れ去られつつある世界巨大自動車メーカー、トヨタとGMの協業の話である。
時計の針を40年ほど戻してみる。1970年代の2度の石油危機をへて、自動車は低燃費でコンパクトなモデルが主流になってきた。とくに、アメリカでは高品質な日本車の人気が高く、輸入台数の急増により乗用車部門でのジャパニーズ・カーのシェアが20%になった。1980年代に入り、GM,フォード、クライスラーのいわゆるビッグ3といわれるアメリカの自動車メーカーの経営がいずれも赤字に転落。そうなると、自国の経済を守るためにアメリカは、日本車の輸入規制の動きが加速、「日米自動車摩擦」が勃発。このままでは貿易立国・日本の屋台骨が崩れる! 日本の自動車メーカーは、相次いでアメリカへの工場建設を開始し、日本の自動車産業はほぼこぞって米国製生産へと大きく踏み出すことになる。かの地に工場を進出することで雇用を確保し、ビジネスを成立させるという戦略だ。
だがそれはアメリカ人にも痛し痒し!? フォードのモデルTに代表するように≪自動車はアメリカの象徴≫。それがアジアの一国である日本に凌駕される!・・・大半のアメリカ人の目にはそう映った。クリント・イーストウッドが演ずる映画≪グラン・トリノ(GRAN TORINO)≫(2008年製作で日本での上映が翌2009年)の中で、そうしたアメリカ人の気持ちを代弁するせりふがある。朝鮮戦争での戦役がある孤独な頑固親父役のイーストウッドは、フォードのトリノを大切にしているフォードの元工員。燃費がよくカッコいいジャパニーズ・カーがはびこる状況のなか。「米の飯を食べている奴らがつくるクルマなんかに乗れるかいっ!」という捨て台詞に、当時のアメリカ人の心情が込められた。トヨタは、米国現地生産の第1歩として、1984年にGMと合弁でNUMMI(ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング・インク)を設立し、日米共同による自動車生産をスタートさせた。
安ければいい! というわけではないが、それでもプライスは安いにこしたことはない。入手しやすい価格で、安心できるタイヤを提供し続ける「タイヤショップショウワ吉川店」が昨年12月10日に店舗面積を大幅に広げて、リニューアルオープンした。
遅ればせながら、12月の中頃に覗きに出かけた。店内は、以前にも増して明るくクリーンな感じ。キッズコーナーあり,リビルトバッテリーコーナー,リサイクルパーツコーナー,オーディオコーナー,もちろんホイールコーナーありと,タイヤショップのわりにはバラエティに富んでいて、クルマが好きな読者は3時間いても飽きない。オープン当初は、大抽選会もあり、近隣のお客さまだけでなく遠くからも来店されたという。気になる価格は、フィット、ヴィッツクラスの175/65-14で1本3700円。軽自動車向けの155/65-13あたりで1本1700円の中古タイヤ、新品でも3500円、なかには新品で4本セット9800円という耳を疑うロープライス商品(中国製だが)もあった。うれしいのは、「タイやお預かり1セット(4本)で1年間6000円」というサービスメニュー。夏場に邪魔なスタッドレスタイヤを置かせてもらえるということだ。
中古タイヤ販売歴18年の星野店長はいわば≪タイヤ博士≫。疑問をぶつければ即座に答えてくれる。
スパークプラグの清掃・交換作業は、近頃ではあまりやらなくなった。10万キロ無交換のイリジウムプラグなどがポピュラーになったからだ。
それでも、旧いクルマのユーザーには、自分のクルマのエンジンにあったプラグレンチを持っていたいものだ。プラグレンチのサイズは、スパークプラグの6角部の2面巾できまる。14ミリ、16ミリ、18ミリ、それに20.8ミリの4サイズがある。差し込み角は使用頻度の高い3/8インチ(9.5ミリ)がいい。最近そのプラグレンチの決定版ともいえる製品が出ている。
KO-KENの新シリーズZEAL(ジール)の品番3300CZだ。
最新のプラグレンチはどこが違うかというと、薄肉で軽いという点。ポピュラーなサイズの16ミリでいえば、従来品が91gだったのが71g。サイズが18ミリのスパークプラグレンチの場合、従来品が140gもあったのが、ほぼ半分の75gというのには驚く。劇的な軽量化の背景には、外形の形状を見直し、中間部の贅肉を落としたからだ。プラグ本体の保持スタイルは、クリップタイプでフィーリングも悪くない。作業性がだんぜん向上したといえる。価格は、20.8ミリのみ3180円で、他のサイズは2710円だ。http://www.koken-tool.co.jp/