2013年1 月15日 (火曜日)
TOP NEWS
ピンクの新型クラウンの意味とは?
このほどクラウンが新型となった。昭和30年1月にデビューした初代のクラウンから数えて14代目。ドライバーズカーに生まれ変わったゼロクラウンが12代目だから、そこから数えて3世代目となる。いわゆる土台となるプラットフォーム自体は、ゼロクラウンと同じだが、顔つきがアウディ風にがらりと変貌を遂げ、各部を見直したという。
良きにつけ悪しきにつけ、ジャパニーズカーの代表選手クラウンはどう変わったか?
これまでV6エンジンのハイブリッド版が、直列4気筒エンジン、それも直噴ガソリンエンジンとの組み合わせのハイブリッド版に変更、さらに燃費を高めたことが注目点。基本的には既存のカリーナハイブリッドとシステムはさほど変わりないが、燃費がJC08モードで、コンパクトカー並みの23.2km/ⅼというのは圧倒的な魅力だ。それでいて、静粛性と走りのパフォーマンスは、従来のV6とほぼ互角だという。サスペンションは、フロントがウイッシュボーンで、リアがマルチリンク方式は従来どおりだが、リアのサスペンションアームを開断面化するなどの細やかなチューニングで、「張り」と「いなし」の特性を充分の発揮し、高級車でありながら走る喜びを楽しめるという。重量配分がフロント51対リア49というのも走りを確かにする要素だ。ハイブリッドバージョンの価格は、ハイブリッドでないタイプにくらべ約57万円高の410万円から。
現在日本では約5800万台(トラックなどを含めると7500万台)の自動車が走っているが、高級乗用車市場は約200万台で、その半分の100万台をクラウンが占めるといわれる。熾烈な競争のなかで、トヨタの屋台骨のひとつであるクラウンは生き残れるか? ≪再生≫の意味である[RE:BORN](リ・ボーン)を標榜するクラウンは、ボディカラーになんとピンクを設定している。クラウンとピンク。いわばレディガガとジャパニーズ高級乗用車の組み合わせに近い!? 保守的なクルマの中にいかにアバンギャルド(先進)さを組み込み、再生を果たすか? ピンクカラーはそんな狙いのようだ。
カーライフ大助かり知恵袋1
現存する最古の国産乗用車アロー号のナゾ 第3回
天は少年を見放さなかった。青空に舞うゴム式模型飛行機を差し置いて、矢野倖一少年の自作エンジン付き手作り模型飛行機がみごと最高の金賞に輝き、イーストマン・コダックのカメラまで副賞でもらった。手作りエンジンへの挑戦が審査員たちの心を掴んだのだ。倖一の空への憧れは、同じ福岡出身で14歳年上の矢頭良一(やず・りょういち:1878~1908年)からの影響だといわれる。矢頭良一も、忘れられた天才エンジニアのひとり。鳥の飛翔に興味をいだいた矢頭は13歳で、大阪に出向き、英国人の私塾に通うなどして数学、工学、語学を学ぶ。手回しの機械式の計算機や漢字早繰り辞書や歯車式計算機などを編み出す一方、鳥類の飛翔を研究。福岡日日新聞に「空中飛行機研究家」として15回ほど連載記事を載せている。たぶん、こうした記事で倖一少年はすっかり飛行機少年になっていたらしい。ちなみに、矢頭良一は、井上馨(明治維新の立役者の一人)や鮎川義介(日産の創業者)などの援助で、東京・雑司が谷の工場で試作エンジンをつくりかけたが、悲しいことに明治41年にわずか31歳で病没している。
明治という時代は、パソコンのOS(オペレーティングシステム:基本ソフト)が一新したようなもの。時代の風を受け、さまざまな分野で秀でた人材を輩出したようだ。人間の能力とは不思議なもので、時代の変化を追い風にしたり、人との出会いでいわば化学反応がおき、飛躍する人もいる。矢野青年にも人との出会いで大きく化学変化を起こす出来事であった。
カーライフ大助かり知恵袋2
ヨコハマの次世代タイヤとは
タイヤほどごくごくポピュラーだが、重要な役割を反している部品はない・・・とは分かってはいるが、タイヤ専門家ではないので、正直ノーテンキ!? 先日幕張であった東京オートサロンで、タイヤの最新技術にいささか驚かされた。「黒色の部品もここまで考えられて、つくられている!」ということだ。
素人には、外見と手で触ること、それに実際クルマに装着しフィーリングを知るしか手立てはないタイヤ。その外見をよく見ると、そのタイヤはサイドウォールには小さな丸いヘコミがたくさんある。内側のサイドウォールには等間隔にフィンが着いている。外側のディンプルは空気の流れるつくり空気抵抗と低減するという。ゴルフボールのディンプルとまったく同じ理屈。
内側のフィンは、タイヤハウス内に空気の渦を誘発させ、タイヤハウス前面の圧力を高めて車両を前方に押し出すチカラを発生。これにより空気抵抗をダウンさせるという。トレッドパターンは、極太溝2つと細溝2つの構成で、転がり抵抗とウエット性能、それに操縦安定性を確保するという。タイヤ内部のコンパウンドはナノブレンドゴムで、やはり転がり抵抗低減とウエット性を確保、それに耐摩耗性も充分考慮している。この次世代型タイヤはむろんEV用ではあるが、黒い色の部品タイヤにもこんなに物語を秘めているのだ。
愛車メンテのプラスアルファ情報
ギア数90にKTCのモノづくりが見える!?
KTCのトップブランドはNEPROS(ネプロス)と呼ばれる。トヨタでいえば、レクサスブランドに当たる。このネプロスシリーズに、ギア数90というラチェットハンドルが登場した。
従来品のネプロス3/8インチのラチェットハンドルが36ギアだから、2倍以上。ギア数が多いだけでは、送り角度が小さい(この場合4度)だけだと思われるかもしれないが、使うたびのフィーリングに天と地ほどの違いが生じる。むろんフィーリングがギアのかみ合いを、いかに吟味するかに左右されるが、ギア数が小さければ話にならない世界ともいえる。KTCの技術陣がすごいところは、ヘッド内部の限られたスペースの中に納まるパウエルと呼ばれる左右切り換え機構と本体ギアとの噛み合い部を従来の1ピースから2ピースに大改革したこと。これで、いっきに36ギアから90ギアまで広げてしまった。実際手に持ち、動かしてみる。カチェカチェではなく、えも言われぬ音色とクリック感に驚かされる。その奥には、「そんじゃ、そこいらの台湾ツールとは違います」となにやら京都弁が聞こえてきそう(KTCは京都機械工具株式会社でもともと京都生まれ)。
いまや日本のハンドツールの市場は、20年前とはまったく異なり、それなりに愛用できるほど上質の台湾ツールが、シェアを伸ばしつつある。ツールのユニクロ化が進行中。ジャパーニーズ工具の地盤が揺さぶられている。ネプロスNBR390はそんなKTCの危機意識から生まれた製品ともいえなくもない。価格は1万1700円とリーズナブルだ。
2013年1 月 1日 (火曜日)
TOP NEWS
フォレスターのX-MODEに見るスバルの技術力
ときどきスバルのクルマに乗ると、その技術力に舌を巻くことがある。
このほどフルモデルチェンジした4代目のフォレスターは、世界のSUV市場で善戦できる素質を持ったクルマだと言えそう。スバルのクルマは、おしなべて低重心でシンメトリカルなボクサー(水平対向)エンジン、AWD(四輪駆動)それに鍛え上げられたボディとシャシー性能、この3つのコアテクノロジーで勝負している。フォレスターはその代表選手。
センターコンソールにあるスイッチを押すと、X-MODEという悪路走破性の高いモードに切り替わる。エンジン出力、トランスミッション(この場合リアトロニックと呼ばれるCVT)それにECS(横滑り防止装置)が最適にはたらき、写真のような、こぶのあるモーグルと呼ばれるオフロード路面を着実に走行できる。ふつうのクルマではありえないパフォーマンス。ランクルやパジェロなどの本格的クロスカントリーカーがようやく走行できる悪路を走破できるということ。もちろん、本格クロカンほど最低地上高(220ミリ)がたっぷりでないので、限界はあるが・・・。急な降雪や予想外の震災時など環境変化でも、とくにすぐれた運転技術を持たない女性ドライバーでも、同じ走りができるところがミソ。理屈は、ECSの応答性を通常よりも6割り増しで素早く、しかも2~2.5倍強く制御することで、スリップあるいは空転したタイヤの逆側の駆動力を意図的に高めてやることで、こうしたマジック走行ができるということだ。
時速40キロ以内でのスイッチONで、それ以上になるとこのモードが解除される。LSD(リミティッドスリップ・でフ)などの特別な装置なしにこれを成立させたスバルの技術陣はすごいと思う。新型フォレスターの価格は208万円台からで、X-MODE付きは240万円台からある。
カーライフ大助かり知恵袋1
現存する最古の国産乗用車アロー号のナゾ 第2回
主人公は、明治25年(1892年)に福岡県遠賀郡芦屋町の造り酒屋の長男として生まれた矢野倖一(やの・こういち)だ。身近にあった時計を分解したり、叔父が近所で営む精米所の精米機の動きを日長一日眺めていた。すでに子供時代から機械いじりに異常な関心を抱いたという。
矢野青年の記録に残るモノ作りの始まりは、「模型飛行機大会」。旧制・福岡県立福岡工業学校の機械科の4年生、19歳のときに福岡日日新聞社(現・西日本新聞)の主催で自作の模型飛行機を飛ばし、その飛行と技術を競うイベントがあった。ライト兄弟が始めて飛行に成功したのが1902年。それから8年後に東京の代々木練兵場(現・代々木公園)において、徳川好敏(1884~1963年)と日野熊蔵(1878~1946年)の2人が、ヨーロッパから持ち帰ったフランス製のアンリ・フォルマン機(空冷7気筒エンジン)とドイツのグランデ単葉機(空冷4気筒エンジン)で、日本初飛行に成功している。
連日10万人ほどの観客が集まったといわれ、当時の飛行機への熱い思いがうかがわれる。福岡で開かれた模型飛行機大会も、その熱気を込め熊本県人吉出身の日野熊蔵大尉も審査員の一人として立ち会っていた。
この模型飛行機大会の出場者の大部分がゴム巻式のプロペラ機だったが、唯一エンジン付きの模型飛行機が登場した。これが倖一青年だ。200回転、4気筒1/12スケールの手製のエンジンを取り付けていたのだ。ところが、期待を一身に集めた倖一青年の模型飛行機は、飛び始めてしばらくたった時点で、あえなく失速し墜落してしまった。倖一青年の希望も墜落しかけた・・・。
カーライフ大助かり知恵袋2
タイヤ空気圧警報システムの可能性
「タイヤは命を乗せている!」
これほどタイヤの重要性を一言で表現したフレーズはない。なかでも空気圧の適正化は、クルマの歴史100数十年来の夢。空気圧がダウンすると、タイヤが偏摩耗して寿命が短くなるばかりか、乗り心地が悪化し、燃費も悪くなる。いくらいいエンジン、理想的なサスペンションを作ってもタイヤの空気圧がでたらめならすべて駄目になる。死者がともなう重大事の1%は、空気圧の管理不足が原因とされる。
そこで、こまめに空気圧チェックをおこなうことが大切だが、人間もともと怠け者なので、それも困難。タイヤの空気圧の見張り番の装置があれば・・・。後付けのタイプはたしかに10年以上前から登場しているが、値段が高いこともありポピュラーにはならなかった。しかもタイヤ交換時の移設も面倒。メガサプライヤーのコンチネンタルが、今年中に商品化し、新車装着されるのが、eTIS(エレクトロニック・タイヤ・インフォメーション・システム)。バルブに装着するのではなく、タイヤのトレッドの裏側にゴムベースを介して装着する。重量が11グラムと軽く、空気圧を伝えるだけでなく、タイヤにかかる荷重を検知。将来的には、4つのタイヤの荷重差で、カーブを曲がる際の安全性のフィードバックまでしてくれるという。
いずれにしろタイヤ空気圧システムは、2005年から北米で、2012年から欧州で、2013年から韓国でも、安全性を高める目的で装着が義務付けされている。軽自動車の販売が半分の市場の日本では、バルブタイプは装着性に課題があり、国土交通省が義務化に二の足を踏んでいるともいわれるが、このトレッド裏側装着なら課題はないといえそうなので、ちかぢか義事務化がおこなわれる!?
愛車メンテのプラスアルファ情報
ショートラチェット・コンビ
FF車のオルタネーターを取り外すときなど必要度を痛いほど感じるのが、短めのメガネレンチだ。しかも、それがラチェット機構を持つものなら、スピーディに作業ができるのに!
そんな痒いところに手が届くハンドツールが、この「ショートラチェット・コンビ」ではないだろうか。片側にスパナ、もう片側がラチェットタイプのメガネレンチになっているので、≪コンビネーションレンチ≫の仲間である。写真はサイズ10ミリだが、全長94ミリで文字通り手のひらサイズ。サイズ12ミリでも全長104ミリしかない。重量はサイズ10ミリで、60グラム、サイズ12ミリでも80グラムしかない。メガネ部のギア数は72なので、送り角度はわずか5度。締める方向と緩める方向が黄色と黒のリングで識別できる。もちろん本締めができるほど、保証トルク値は高い。
アイテムは8ミリから、10,12,13,14,17,19,21ミリまで、8種類。価格は、たとえば10ミリで1380円だった。(ホームセンター調べ)これはRCWシリーズと呼ばれるものだが、メガネ部が首振りをするFRCシリーズもスタンバイしている。発売元は、新潟県三条市にあるTOPだ。