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2013年2 月15日 (金曜日)

TOP NEWS

発見! クリーンディーゼルの落とし穴

ディーゼルエンジンの予測されるトラブル  輸入車だとメルセデスベンツEクラス320CDI、国産車だとマツダ・アテンザとCX-5,日産エクストレイル、三菱アウトランダーにデリカD:5と、ここにきてにわかに“ディーゼルエンジン乗用車”が再浮上の様相を見せつつある。背景には、日本人のディーゼルアレルギーが和らぎつつあるのと、車両価格がやや高いものの、やはり燃費がよく、従来の固定観念をくつがえす静粛性や走りの良さが見直されているからだ。
  ところが、ディーゼルを取り巻くトラブルを取材したところ、ガソリン車にはない深刻なトラブルが見え隠れしていることが判明した。といっても上記のクリーンディーゼル車そのものの“トラブル例”そのものではなく、トラックディーゼルだ。働くクルマのトラックは、一足先にクリーンディーゼル化されているので、今後予測される乗用車のクリーンディーゼルの不具合をリアルに教えてくれるのだ。一番心配なのは、ガソリン車よりより緻密に燃料を制御するインジェクターが不具合を起こしたケース。たとえば、幼稚園バスのように高速走行はいっさいせず、ごく低速走行99%のような使い方。まぎれもなくヘビーコンディション状態である。インジェクターの噴射部周辺に汚れが溜まり、DPFと呼ばれるフィルターを駄目にし、インジェクターの交換を含め修理代100万円台となるケースも少なくないという。
  インジェクターの汚れをモニターする装置は運転席には付いていないので、こうしたトラブルを事前に防ぐには、走行4万キロごとにスキャンツールと呼ばれるコンピューター診断機にかけインジェクターの健康具合をジャッジするしかない。基本的にクリーンディーゼル乗用車も、同じ構造なので、こうしたことを頭においてイマドキのディーゼル車と付き合うしあないようだ。写真は、インジェクターの不具合が原因で、インテークマニホールドに付着した鍾乳洞のようになったスラッジ。

カーライフ大助かり知恵袋1

現存する最古の国産乗用車アロー号のナゾ 第5回

村上義太郎  村上義太郎は、西南戦争における軍需物資の荷役の莫大な利益を元に運輸、港湾、都市事業などの幅広い事業を展開、当時「博多一代男」の異名を持つ実業家として認知された。この利益の一部で長崎のグラバー商会(経営者トーマス・グラバーは岩崎弥太郎や坂本龍馬との交流があった)からフランス製の反射鏡を取り寄せ、博多湾の海辺に博多灯台を作った。灯台を目指して入港する船舶から「灯台銭」という名目で金を受け取るという目論見だ。ところが、これが大問題となる。灯台は本来、公的な設備であり私的な利益を上げるべきではない。すったもんだの末、村上は役所にその灯台を高い値段で売りつけることに成功。
  村上は、日本の資本主義社会形成初期に登場する怪しげな政商のひとりではあるが、時代を読んでダイナミックに活動した大人物。村上は、垣根を越えて展望ができる人物だったらしく、茂登子(もとこ)夫人を通じて現在の福岡女子大学の前身・福岡県立女子専門学校の創立にも支援を惜しまなかった。茂登子は、近代日本の草創期の官僚・政治家である安場保和(やすば・やすかず:1835~1899年)の息女。戊辰戦争に参加した経歴の持ち主で、岩倉使節団の一人でもあり、明治初期にオランダ人技師のファン・ドーンを招き、安積疎水(あさかそすい)を完成させるなど、東北・北海道開拓に尽力したのが安場和正。安場は、福岡県知事をしていて、藩士の娘を東京に進学させた。茂登子夫人は、そのうちのひとりで、御茶ノ水高等師範中退後、横浜のフェリス女学校を卒業、地元に戻り、村上と結婚して、女子教育に尽力している。夫婦仲はよかったようだ。

カーライフ大助かり知恵袋2

鉄・アルミ合金・チタン合金の3つの素材

ストラットタワーバー  自動車にはさまざまな鉄の素材が使われる。軽量化のためにはアルミ合金がなじみだが、最近では、チタン合金やマグネシウム合金もごくまれだが見ることがある。マグネシウム合金は、たとえば、とにかく燃費チャンピオンを獲得するため軽くすることをいちずに考慮して開発した初代インサイトのオイルパンやBMWなど高級車のステアリングホイールの芯金に使われている。
  こんななか、1月に幕張メッセで開かれた東京オートサロンで面白い展示を発見した。あるチューニングショップのブースだ。スバル・インプレッサGRB用のストラットタワーバーとして、スチール製、アルミ合金製、それにチタン製の3つの異なる素材の商品を展示していたのだ。ストラットタワーバーというのはフロント・サスペンションのストラットと呼ばれる構成部品の左右上部を連結させることで、コーナリング時のサスペンションのジオメトリー(整列)の乱れを抑制し、剛性感の向上に役立てるものだ。これを付けた場合と取り外した場合とではまるで異なる走行フィールをもたらす。
  とくにスポーティに走りたいインプレッサの場合、取り付ける部品は軽ければ軽いほどいい。スチール製では、3.0kgだったのは、アルミ合金では半分近い1.6kgとなり、チタン製ではさらに0.5kg軽い1.1kgなのだという。チタンは軽いのが身上だが、TIG溶接と呼ばれる特殊な溶接でないと加工できないため、素材だけでなく高価になるという。価格は、それぞれ、スチール製が2万4150円、アルミ合金製が2万9400円、チタン合金製が6万9000円と軽くなるほど高くなる。

愛車メンテのプラスアルファ情報

1/4インチのソケットホルダー

1/4ソケットホルダー  差し込み角1/4インチ(6.35ミリ)のソケットをホルダーから取り出すとき、かなり苦労するはず。とくに油の付着した手でレールから外そうとするときがそうだ。
  より理にかなったソケットホルダーはないものか? そんな思いでいたところ、かなりイケそうなものに出会った。兵庫県三木市にある藤原産業製のSSH210Nという品番の1/4インチ専用ソケットホルダーである。10個の収容能力で、価格が400円とかなりリーズナブルなので迷うことなく購入した。レール自体は、板金製なのだが、ホルダーのコマ(クリップ)が樹脂(ポリアセタール)製。オレンジ色のホルダーには、横にツメが生えており、ホルダーに付いたソケットを取り出すときに、このツメを少し押し下げると、ソケットとクリップ間の密着が緩まってらくらくソケットが取り出せるという仕掛けだ。実際使ってみると、なかなか具合が良く、ストレスなくすんなりと脱着できる。ただ、残念なのは、横幅が約30ミリと通常の約2倍も大きいことだ。全長は210ミリ、重量は、72グラム。
  購入先は、アストロプロダクツ。www.astro-p.co.jp

2013年2 月 1日 (金曜日)

TOP NEWS

1/fのゆらぎを搭載しようとしたマツダ・アテンザ!?

アテンザ  クルマの開発エンジニアにインタビューしていると、時々思わぬところから矢が放たれ、ドキッとするときがある。マツダ・アテンザのNVH担当エンジニアに向き合ったときが、まさにそれだった。
  NVHとは、ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス、つまり騒音・振動・荒々しさ。自動車100年の歴史は、この3つをいかに小さくするかの技術者たちの血が滲む努力の世紀だと読み変えてもいい。彼の任務はその最前線といえる。ところが、ここ数年のトレンドは、静粛性や振動の少なさの追求だけでなく、心地のいい振動を求めて研究を進めているという。永年目の上のタンコブの『ざわめき』のいいところだけを引き出す、あるいは“出来の悪い息子にも意外といいところがある”そんな見直しに近いのかもしれない。
  そのひとつが、数年前から、欧州の自動車メーカーなどが水面下で研究している『1/fゆらぎ』という。『1/fゆらぎ』と聞いて、パナソニックの扇風機を思い出す人もいるかもしれない。一定のパターンの風を送るのではなく、自然の風の動きに近い、不規則な風を送る・・・。人間の心拍のリズムや音楽のなかにもあるといわれる、快適性をもたらす『1/fゆらぎ』。小川のせせらぎを聞いていると、なぜかしら心地よくなるのもこれだ。このコンセプトをクルマにも取り込み、より心地いいエンジン音をドライバーに伝え、感性に訴える一味違った上質なクルマ作りを目指すというものだ。
  では具体的にはどんなチューニングが施されているのか?
  人間の心拍数から、「1/fゆらぎ」を取り出すのは比較的簡単だという。だが、クルマのような工業製品から「1/fゆらぎ」を追加するとなると、まだまだ分かっていないことが多いともいう。そもそも、機械的に大量生産された製品である自動車は、「1/fゆらぎ」とはまったく縁のない代物だからだ。でも逆に言えば、それだからこそやりがいのある仕事。
  マツダ・アテンザの売れ筋のクルマのひとつがクリーン・ディーゼル車。かつてのディーゼル車がうるさく振動が大きな乗り物だったのが、圧縮比の低減や燃焼の緻密化で、ガソリンエンジンに迫る見違えるほど静粛性の高いクルマに変身している。さらにここに「1/fゆらぎ」という新しい魅力が付加できれば、マツダのクルマはまた新しい伝説を生み出せるかもしれない。担当エンジニアの目は輝きを増していた。

カーライフ大助かり知恵袋1

現存する最古の国産乗用車アロー号のナゾ 第4回

村上義一郎  模型飛行機大会から数日後、矢野倖一青年は、ひとりの紳士と運命的な出会いをした。
  明治10年の西南戦争の軍需品輸送で、財を成した村上義太郎(1847~1922年)である。村上はユニークな発想と桁外れの行動力でのし上がった明治期の怪商のひとり。戊辰戦争のとき木更津に滞陣していた福岡藩士の一人。当時、21歳の村上たちが上野に陣取る彰義隊討伐に向かうべく、準備をしていた。ところが、下準備に追われるあいだに、すでに戦は収束したとの知らせが入り、愕然とする。そのとき村上は「迅速な兵站能力の重要性」を痛いほどに感じたという。いまの言葉でいえば素早いロジスティックスの重要性を身をもって噛みしめたのだ。
  その後、村上は、同藩の勤皇の志士のひとり・早川勇(1832~1899年)からこれからは“実業報国”の時代だと教えられる。立派な仕事で国に報いる。さらに福沢諭吉の「西洋事情」を読み、目からウロコの落ちる思いをする。村上は、いま自分が出来ることに頭をめぐらせた。そこで、手始めに大阪の車力(大八車などの荷物を運ぶ職業)の元締めから荷車の製造・運営のノウハウを学び、帰郷後に福岡から鳥栖、久留米、甘木、柳川一帯での物資の輸送に精を出した。
  チャンスは10年を立たずして到来した。明治10年、村上が30歳のときに西郷隆盛と政府軍が戦う西南戦争が起き、福岡が政府軍の物資(兵站)基地となった。このとき、村上は、大八車をかき集め、維新後に職を失った武士たちを雇い、ピストン輸送で前線の熊本方面に軍需物資を運び続け、大儲けしたのだ。三菱財閥の基礎をつくった岩崎弥太郎もこの時期、同じように輸送業務で大もうけしている。だが、田原坂(たばるざか)での激戦における明治政府軍勝利の遠因のひとつを作ったのは村上義太郎だったのだ。村上は、つねに自分ができることを最大限に生かす努力を惜しまない男だったようだ。

カーライフ大助かり知恵袋2

クラッチが見直される時代が来ている!?

ハイパーシングルVF  クルマの歴史の大きな流れは、誰にでも扱える! ということから変速装置は『オートマチック』がひとつの到達点だった。これにより、まさに子供でも運転できるゴーカート並みに、2つのペダルだけで運転ができることになる。ところが、燃費、つまり効率を高めるには『オートマ』では間に合わない。一度死に掛けたマニュアル・トランスミッションを支えていたクラッチが大きく息を吹き返した瞬間だ。VWやアウディなどで盛んに採用されている『ツインクラッチ』は文字通りクラッチの復活ののろし。
  こうしたなかで、もはやシーラカンス的存在と思われていたクラッチが再注目されている。大阪のクラッチメーカーの大手『エクセディ』は、長年ハイパーシリーズと呼ばれるレーシングクラッチを手がけてきているが、このほど『ハイパーシングルVF』という製品を世に送り出した。クラッチは言うまでもなく、まさつの科学で、摩擦材が生命線。新製品は、その摩擦材をハイブリッド化している。耐熱性にすぐれたメタルフェーシングと発進性能にすぐれたオルガニックフェーシングを独自のクッションプレートの技術で使い分ける。半クラッチ性を純正クラッチ同等に高めているのだ。クラッチペダルを踏みつける際の踏力低減も純正にくらべると重いものの、レーシングクラッチの世界では扱いやすいレベルにされたという。
  さらに進化の予感がする。クラッチというどちらかというと“媒体”に過ぎなかった装置が大きな役割を果たしていることは面白い。

愛車メンテのプラスアルファ情報

3ウエイT型ソケットレンチ

3ウエイT型ソケットレンチ  クルマやバイクで一番使用頻度の高いボルトの6角部の頭はなんだろう?
  8ミリ、10ミリ、12ミリの3つだ。たぶんこの3つで、6角部頭のボルトの半数以上を占めるほどだ。ということは、この3つのサイズを一堂に集めてある工具が一番使い勝手のいいことになる。理屈のうえでは。
  いわば、この理屈で、商品化されたのが『3ウエイT型ソケットレンチ』といえなくもない。T型の下部に8ミリがあり、左右に10ミリと12ミリがある。“Tの字”の下部が140ミリ、左右が130ミリだ。重量は180グラムとやや重いが、エマージェンシー用として、バイクツーリング時のウエストバックに忍ばせておくといい。ただ、あまり小さなバックには収まりきれず、収まったとしても、他の道具と絡まりやすいので、収納にはコツがいりそう。さらにデメリットといえば、奥まったところのボルトにはアクセスしづらいという点だ。価格は、600円とリーズナブル。もし折り畳める、フォールディング機構をもたせると、大ヒット商品になる!?
  購入先は、アストロプロダクツ。www.astro-p.co.jp


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