2013年10 月15日 (火曜日)
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ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、3つのパワーソースで選べる新型アクセラ
もうすぐ発売となる新型アクセラは、スタイルからパワーソース、走りの性能、インテリア、安全性どこを切っても21世紀型乗用車。マツダの持てる力をフルに投入した車両ともいえる。
そこで、ここでは少し異色な側面でこのクルマを眺めてみよう。
アクセラは、実は、マツダの稼ぎ頭。発売から10年で、グローバルで370万台を超え、マツダの販売実績の約3割を占める。このクルマ、スポーツコンパクトと謳いながら、実は、3ナンバーなのである。車幅が1795ミリで、5ナンバー車幅枠の1700ミリ未満という条件を超えるのだ。(ちなみに全長と全高は5ナンバー内だが、ひとつでも超えると3ナンバー)
あまり強く認識していなかったが、マツダの乗用車で5ナンバーに収まるのは、デミオしかない。実はマツダは3ナンバー車でのビジネスを大きく軸足をかけているということだ。
2つ目はエクステリア。つまり外観。マツダの新世代商品共通のデザインテーマである「魂動(こどう)―SOUL OF MOTION」。デザイン哲学めいた、ダイナミックで生命感あふれるスタイル。欧州や最近世界シェアを増加させている韓国車に迫るカッコよさ。好き嫌いはあるが、たぶん多くのユーザーに受けるスタイルだ。
3つ目のポイントは、日本車初の3つのパワーソースを選択できる点への疑問。ガソリン1.5と2リッター、2.2リッター・ディーゼル、それにハイブリッド。いずれを選択してもらっても「マツダ車らしい走りを楽しめる」と社長以下エンジニアが自負する。とくに1・5リッターガソリン車は、170万円台からと手に入れやすい。高くても300万円止まり。細かくいえば、このパワーソース4つは、ユーザーの選択肢が広がり喜ばしいことにつながるのか、はたまた政治家が耳障りのいい公約を並べるような希薄さに結びつくのか?
ちなみに、このクルマのコンペティターは、スバル・インプレッサ、カローラフィールダー、プリウス、それにゴルフあたりだが、バトルの激しい日本市場でさらなる橋頭堡を築くことができるかが注目だ。
カーライフ大助かり知恵袋1
今年103歳を迎えたミスターK物語 第6回
慶応義塾大学に入学した豊(ゆかた)青年は、その夏43日間をかけアメリカへの旅に出た。当時の学生の海外はいまから見るとひどくイレギューラー。貨客船「ろんどん丸」のパーサーのアシスタント兼雑用係として働きながら洋行することができた。大阪商船所属の7190トンの貨客船。関東大震災ではたまたま横浜港に停留中だったため、救助活動に大活躍した船であった。当時は太平洋の船旅は片道約2週間。シアトルに着いた豊は、最新型(1928年式)の高級乗用車スチュードベーカーに乗せてもらったり、大型バスを生まれてはじめて目にして度肝を抜かれる。当時日本ではバスといえば関東大震災後に登場した円太郎バス(T型フォードを改造した10数人乗りのバス:写真)だったので、40人も乗ることができる大型バスが活躍するのを見て驚くばかりだった。
この43日間の旅行は世界の広さを実感させるだけでなく、豊に新しい世界を見る目を植え付けさせた。
「米国への旅から得た経験が印象的です。船の中で働きながら船員達と交歓する初めての洋上の日々、寄港した先々で見聞きした事柄、到着地で味わった初めての食べ物、素敵な人々との出逢い等々。しかし、一方で、大恐慌に続く第二次世界大戦への暗い影が忍び寄っていて、自分の兵役を避けたい気持との葛藤に悩んでいました。アメリカからの帰路で生涯の友人となる若き日の博物学者マイルス・ピールさんと出逢い、戦争をしない宗教こそ真の宗教である事など、自分が中学時代に教わった事象を自分が実際に発見し、復習して、興味を惹くものに向かっていく生活を楽しむ様になりました」
カーライフ大助かり知恵袋2
今後増加をたどる見込みのヘッドアップディスプレイ
ドライバーから約1.5メートル先の空間(フロントガラスの先)に架空の映像を見せるという最新技術がヘッドアップディスプレイだ。旧くは、1980年代後半に登場したシルビアの速度計を思い出す。
1910年ごろ自動車誕生した頃は、メーターといえば速度計と走行キロ数表示の2つだったが、それから100年以上たち、ドライバーが受け取る情報量は、数え方にもよるが10~15ほどになった。新型アクセラなどは、車速やナビ、ルート誘導などの「走行情報」をドライバーの真正面に表示、エアコン・オーディオなどの快適情報をドライバーの左側に納めている。そうした表示手段で、最近注目されるのが、ヘッドアップディスプレイというわけだ。
ところが、このヘッドアップディスプレイ、2つの鏡を使い、反射させて、前方に映し出すという仕組みなので、どうしてもユニット自体が大きくなる。一眼レフカメラの図体がでかくなるのと同じ理屈。お弁当箱2つ分ぐらい。これをいかに収めるかが大きな技術的な課題だという。
ヘッドアップディスプレイは、原理的には無数の情報を提示することができる。しかも読み取り時間は従来にくらべて25%ほど時間の短縮となる、という研究結果も出ている。ところが、実際の人間には情報を読み解く能力限界があるので、それを絞り込み、いかに見せるかが腕の見せ所。今後、この技術は自動運転技術と組み合わさり、ポピュラーな自動車の仕掛けのひとつになると思う。
愛車メンテのプラスアルファ情報
ハゼットの新型ドライバー
前回のビーハのドライバーも魅力的だったが、同じドイツのハゼットにもお勧めのドライバーがある。品番802というタイプで、「ヘキサナミック(HEXANAMIC)」というカテゴリーのドライバー。従来ハゼットのドライバーは、3角断面の黒い色の樹脂グリップを特徴としていた。「三角」はギリシャ数字でトリなのでトライナミックといった。3角断面なので、手のチカラの伝達能力が高く、しかも作業台のうえで転がりづらくて都合がいい、という評価をかつてしたことを憶えている。あれから10数年、評価基準は高まるものだ。当時の言い分が恥ずかしくなるほど、実は802は魅力的なのだ。
見るからにグリップ断面が大きい。事実測定すると“胴回り“が120ミリもあるオデブちゃんだ。6角断面だが、交互にヘコミをつけているので、12角ともいえる。ところで、握ってみると、実に手のひらにピタリ張り付く感じ。これなら何時間使おうが指が痛くならないのでは? と思わせるほど。しかも見た目にくらべだんぜん軽い。今流で、グリップエンドにマークが付けられプラスかマイナスかがひと目でわかる。試しに家庭用洗剤を付け握って見たが、今までのドライバーに比べ滑りづらいようだ。http://www.hazet-japan.jp
2013年10 月 1日 (火曜日)
TOP NEWS
岡山の地元企業の底力! 魅力あるEV参上
一大ブームを巻き起こした朝の連続TVドラマ「あまちゃん」のメッセージのひとつは、≪地方の底力、地方の魅力再発見≫だったように思う。長いあいだ東京を中心にした一極集中の文化、産業をイメージしていたが、実は地方にこそ高い技術力の潜在能力を持っている。考えてみれば、明治維新だって長州(山口)、薩摩(鹿児島)の青年が核になって成し遂げられた。
都会の閉塞感は、地方のチカラが打ち破るのかもしれない。この電気自動車を見て、あまり根拠はないが、ふとそんなことを考えた。
岡山県にある自動車関連企業、要するに部品工場16社と地元大学と三菱自動車工業などの英知で創り上げた最新型の電気自動車である。EVというと、日産リーフの売り上げが思うように伸びない。2016年までに世界でEV150万台販売をめざしていたが、あまりの売れ行きの悪さに2020年と4年も達成目標を遅らせるほど。その背景には1充電での走行キロ数があまりに少なすぎるのと、充電設備が少ないのと充電時間が急速でも30分かかる、高価な車両価格、この4重苦があるからだ。
この『OVEC-ONE』(OVECは岡山ビークル・エンジニアリング・センター)は、ギャラン・フォルティスをベースとしてはいるが、今後の技術革新が見込まれるホイールインモーター。つまり4つの車輪の内部にモーターが組み込まれている。20世紀初頭ポルシェ博士が24歳の時に数台作り上げたものが起源とする斬新なものだ。最高時速160キロ。しかもフロントにストラット、リアにマルチリンクと走りと量産性を意識したものだ。屋根には、鋼板よりも40%も軽いソーラーパネルを装着し、発電量を70Wとしている。バッテリーはリチウムイオン電池2台分。ブレーキは電子式だ。一充電の走行キロ数は不明だが、すでにナンバーを取得し、街中を走れるという。最大出力180kW,最大トルク1800Nm。車両重量は1650kg。
このプロジェクトが、今後どんな具合に進化するのか大いに注目したい。
カーライフ大助かり知恵袋1
今年103歳を迎えたミスターK物語 第5回
「自動車の体験は鎌倉に住まいを移った12歳からです。近くのタクシー会社でアメリカ製のクルマを使っていて、よく乗せてもらいました。中学3年生の頃、藤沢駅前でBriggs & Strattonという名の手作りとも思える軽量なクルマを初めて見ました。大変、感銘を受けました。草刈り用のスミス・モーターを第5輪に取り付けた2人乗りで、上品な紳士がドライブしていたのが印象的でした。また、ハーレーダビドソンを持っている人が近くに住んでいて、排気の甘く香気に満ちた匂いにも感激しました」
学生時代の豊は、みずから語るように充実した時代だった。
「中学時代は人生の黄金時代でした。湘南中学校の校技はサッカーと定められていました。私は体が大きく、キックも強く、サッカーは大好きで、ポジションはフル・バックでした。毎年、他校との試合に出場しました。校長の赤木愛太郎先生の教育方針は、“何事も本物に触れなければならない”。一流の教育環境づくりを徹底され、とくに英語教育は英米人の先生を揃えて“生きた英国語と米国語”を教えられたという。
また、英語を通じて自由な精神を持つ海外の文学者の思想にも接し、大変、感銘を受けてもいる。幾何代数では作図、方程式の魅力に興味が湧き、美術ではモノを見る自由な発想と創造力を美術学校の白浜徴教授を招いての特別な授業だった。「忘れえぬ友人に永島吉太郎君がいます。私より一級上で、お父様はクリスチャンで、内村鑑三の弟子でもあり、家庭環境が大変魅力的でした。内村鑑三は『大切にするべき思想というのは、形への崇拝ではなく、眼に見えない精神に宿り、教えはそこにこそある』と説いていますが、永島君の家族も、この考え方に基づいて毎日を静かに過していました。文化というものを本当に大切にする人々と過した、貴重な時間は、今も忘れ難いものです」と片山さんは当時を振り返る。
カーライフ大助かり知恵袋2
昭和30年代の整備士は、ボックスレンチを自作していた!
年配の整備士さんを取材すると、思わず“じぇじぇじぇ!”と声を発することを耳にすることがある。先日も、品川駅近くにあるサファリ・モータースの超ベテランメカニックの袰岩勝志(ほろいわ・かつじ)さんに工具のテーマでインタビューしていた。そのとき聞いた話は、耳を疑った。昭和33年ごろに彼は岩手の中学を卒業後、東京の日産車を扱う整備工場に入社した。まさに、『ALWAYS 三丁目の夕日』の“六ちゃん”こと堀北真希である。昭和30年代といえば、輸入工具など夢のまた夢、あてがいぶちの国産の工具を軸に仕事をしていたが、やはりより使いやすい工具を渇望していたという。
喉から手が出るほど欲しかったのが、ボックスツールだった。先端にソケットの付いたT型レンチだ。当時そうした洒落たものは輸入工具であったかもしれないが、安い給料ではとても手が届かなかった。ここからが凄い。仕事が引けると、自分たちで工具を製作したという。素材にしたのはほとんどが廃品ばかりだった。まず、使用済みになったピストンピンを酸素バーナーで真っ赤になるまで熱する。そこへ、少し長めのねじ径8ミリボルトに2面幅12ミリのナットをダブルに整列させたものを、打ち込んだという。ピストンピンの円筒部内面に無理やり6角部を作り上げるのだ。この逆側に有り合わせの鉄の棒を溶接し、12ミリのソケットを持つT型レンチを創り上げた。同じように14ミリも作ったという。つまり火縄銃の尾栓のメスねじを創り上げるときの手法だ。
火縄銃の尾栓のメスねじ造りはたとえば滋賀県の国友村は信長の庇護のもと大量生産し、戦国末期には日本には50万丁もの火縄銃が存在したとも言われる。昭和の整備士にこの技術背景を認識していたとは思えないが、符丁するものがあるところが不気味に面白い。
愛車メンテのプラスアルファ情報
ビーハのドライバーには脱帽!
ドライバーという工具はとりあえず使えるものから、垂涎ともいえるハイエンドな製品まで幅広いハンドツールはないのかもしれない。
ドイツのドライバーメーカーWIHA(ビーハ)には、「システム6差替えドライバー」というタイプがある。明らかに後者のハイエンド製品。グリップと軸が差替え式で、いっけん変哲のないドライバーに見えるが、6ミリ6角断面の軸の表面にドットともいうべき凹みが付けられている。グリップ根元にあるスリーブを指で押すことで軸を出し入れでき、任意の軸位置を調節。スリーブから指を離すと、ロックされ42~114ミリの長さに調節できる。驚くべきは、左右に動かしてもほとんどガクガクせず、じつに剛性感が高い。親指が当たるポイントを設けた樹脂グリップは、丸断面に近い多角断面。作業台で転がる心配がなさそうだ。
軸自体は、プラス・マイナスタイプ、ヘキサゴンサイズ違いタイプ、トルクスサイズ違いタイプなどいろいろバリエーションがあり、いかにもプロ仕様だ。そのせいか、価格は、グリップと軸が別売り。グリップが2320円、軸が1200円で合わせて、3520円。ドライバーとしては、かなり高価。聞けば、組み立てランでの作業などもっぱら使われるという。発売元は、ノガ・ジャパン(株)
http://www.noga.co.jp