平成生まれのクルマ好きはおそらく、“タイミングベルト”と聞いてもわからないかもしれない。オルタネーターベルトなどの補機ベルトと混同するひともいるかも。
タイミングベルトとは、エンジンのクランクシャフトとその倍の速さで回るカムシャフトをつなぎ、同期させているゴム部品だ。カムシャフトは、吸排気バルブの開閉をになう部品である。
イマドキのエンジンはベルトではなく、金属製のチェーンが使われ、それがタイミングチェーンと呼ばれている。1970年代後半ごろまでは、チェーンが主流派。ところが、チェーンでは静粛性に課題ありとして1980年代から90年代後半まではベルトが多数派を占めた。ベルトはエンジン長をながくし、それに10万キロごとの交換でメンテ費用が高く、万が一途中で切れたりするとエンジンの修理代がバカにならず・・・そのうち静粛性の高い金属チェーン(サイレントチェーン)が登場してチェーンは一生モノと落ち着いたものと思われた。ここまでは「チェーンの逆襲」が功を奏したカタチだった。ユーザーもベルト切れの心配から解放された!
ところが、世の中不思議なもので、こんどは「ベルトの逆襲」が起きそうなのである。
ドイツの巨大部品メーカーのシェフラーは、2017年にタイミングベルト駆動のシステムを世に出すというのだ。一昔前の乾式ではなくオイル潤滑の湿式タイプで、耐久性が30万キロに近いという。なぜベルトに回帰するのか? チェーンにくらべフリクション(抵抗)が小さくでき、クルマの燃費がよくなるからだという。まさに燃費戦争は、重箱の隅をつつく戦いだということだ。日本の場合、チェーンメーカーとベルトメーカーは別なので、なんだか禍福(かふく)はあざなえる縄のごとし。幸福と不幸は、縄をより合わせたように入れ替わり変転するものだ。そんなことわざが頭に浮かぶ。
1960年代、商社などに頼っていては、クルマは売れない。幸いにも、カルフォルニアに広がる広大な自動車市場は、ヨーロッパとの経済的かつ文化的なつながりが薄いため、地理学上からもNYなどの東海岸市場より日本車を受け入れる土壌は十分にあると考えた。
アメリカの西海岸ではどんなクルマが売れるのか、いわゆる市場調査も怠らなかった。ダットサン310に近いクルマ、コンペティターは、オースチン、英国フォード、オペル、フィアットなどがあったが、その中で、一番ダットサンに近いリアエンジン・リアドライブのルノー・ドルフィン(写真:世界の自動車「ルノー」より)というクルマの比較データを本社に送り、時期ニューモデルづくりの基礎固めとしている。
ダットサンの販売に関して大至急改善しなければならない事項は、パーツの管理だった。
よく知られるように、自動車は、通常の商品、たとえば食材や衣料などと異なり、売りっぱなしというわけにはいかない。自動車を売るということは「走ることができる状態のクルマ」を売るわけなので、ユーザーの手に渡ったときから、サービス、パーツの補給が整備されていなければならない。
1960年代のダットサンはパーツの管理ひとつとっても、いまから見ればずいぶんお粗末だった。設計変更のたびに部品が変更されるのだが、部品番号がきちんと管理されていなかったり、古い部品が欠品していたりして、オーダーしても間違ったパーツがきたり、欠品が多くお話にならなかった。迅速なサービスをおこなううえで大きな障害になっていた。
クルマ初めて物語をひもとくと、初期のクルマはオープンカーだった。
その後、全天候(雨が降ろうが乗れる!)タイプの乗り物として「ハードルーフ」つまり屋根付きが持て囃されたが、人間はどこかないものねだりで、ときどきは空肩に感じ運転したいもの!? その欲望を満たしてくれるのがガラスルーフなのだが、ガラスは実は鉄板ルーフより重くなり、時代にそぐわない。そこで登場したのが樹脂ルーフ。先日の「自動車技術展」で登場したのは、次世代型樹脂ルーフ。樹脂自体はポリカーボネートと呼ばれるヘッドライトなどに使われる高級樹脂だ。ソーラーチャージャー、IT技術を組み込めるシャークフィン型のアンテナ、リアビューカメラを組み込み、しかもシェードとルーフを一体化し、部品点数を減らしコスト削減したという。従来のガラスルーフの厚さより10%薄くでき、樹脂コーティング剤の開発で耐久性が格段向上したという。
この多機能樹脂製ルーフは、すぐにでも商品化できるという。豊田自動織機からの提案なので、トヨタの新型ハイブリッドあたりに採用される可能性があるようだ。現行のプリウスの採用例よりもより魅力的なので、オプション価格しだいでは大いに流行するかもしれない!?
「二兎(にと)を追うもの一兎をも得ず」という言葉あるが、こと工具に関しては、このコトワザは当てはまりそうもない。
TONEの4WAYラチェットめがねレンチ(RMW300)は、8ミリ、10ミリ、12ミリ、13ミリの4つのサイズに対応する。8ミリの裏が10ミリ、12ミリの裏が13ミリという具合で、片側に切り替えレバーがあるので、締めと緩めが自由自在だ。切り換えレバーのフィーリングも具合がいいし、ラチェットのクリック感も悪くない。重量は88グラムとさほど重くない。
柄は細やかな梨地仕上げで、ドライブ部は12ポイントの黒染め仕上げ。
柄の中心部に近いところに小さな穴があるのは、高所などで作業する際、あらかじめ紐をとしておくと落下防止ができるということのようだ。サイズはこの上の12×14×13×15ミリ、14×17×18×19ミリ、16×17×18×19ミリなどがある。価格は4000円~5200円。http://www.tonetool.co.jp
いよいよ、クルマの完全自動運転化の流れが見えてきた。
すでに、高速道路上での自動運転に近い機能を持つクルマも現れ、徐々に、ステアリングから手を離す「ハンドルOFFする!」(写真)ことができる時代がやってくる。ボッシュと並ぶドイツのメガサプライヤーのコンチネンタル・オートモーティブ社では、この技術を確立するためソフトエンジニアと呼ばれる技術者をグローバルで1万人に増やしたという。自動車部品メーカーにとって、かつてないビッグビジネスであることは間違いない。
むろん、自動運転への実現には、法的な縛りをクリアする必要がある。現状では、ハンドルを放すと安全運転義務違反となるからだ。これはたぶん近々コンセンサスがとれるだろう。
そこで、気になるのがハンドルから手を離したドライバーが、たとえば東京から名古屋までの5~6時間をどう過ごすかだ? コンチネンタルは、このほどこれについてのアンケートを欧米と日本、中国などでおこなったという。「音楽を聴く」が45%、「同乗者とおしゃべりをする」が41%、「電話をかける」が34%と上位ベスト3。あと「メールをする」が21%、「新聞や本を読む」が20%、「ネットで検索する」が18~23%(世代で異なる!)。面白いのは「何もしたくない!」が2%だったという。
このなかには、「車内で映画を見る」も「キャンセルして自分で運転する」がなかったが、いずれにしろ、クルマの自動運転化で、人間の行動は大きく変化することは間違いないようだ。
ここまで書いてきて気付いたのだが、自動運転車とはいえ“ぶつけられる可能性を残している”。たとえば反対車線から飛び出したクルマとはぶつかる可能性があるし、併走するクルマが何かのトラブルでぶつかってくる可能性もある。ハンドルでこれを避けられるとしたら、ドライバーの腕次第。あるいはその瞬間宙に浮く機能を持たせるか? 自動運転のクルマ以外は走らせないか? ここまで考えると、交通事故ゼロへの道は難しい!?
片山が取り組むべきタフな課題が、もうひとつあった。アメリカ市場における日産の販売網の充実である。それまで外国の新聞・雑誌などに目を通してきた片山には、現地での視察により、当時のアメリカの自動車市場を見通せた。これから何をなすべきかがかなり明確に捉えられた。
1950年代半ば、アメリカでは自動車の需要が伸び、自動車メーカーはその需要に追いつかず、ユーザーはクルマを手に入れるためプレミアム価格で入手している状況だった。こうした隙間を突いて、欧州のVWが、驚異的な速度で販売台数を伸ばしていった。片山はVWの秘密を探れば、日本車を売り込むことができると考えた。VWの強みは、技術的な優秀性、経済性、それにサービスネットワークが整備されていたことだった。同じ欧州車のルノーや、フィアットはクルマの販売に重点を置くあまり、販売してからのサービスがおざなりだった。地道なサービス活動をすれば、ユーザーの信頼を勝ち得て、リピーターにもなってくれる、ということを片山は見抜いたのだ。
当時アメリカにおけるダットサンの販売は、商社にゆだねられていた。西部地域は丸紅飯田、東部地区は三菱商事に販売の一切を任せていた。片山は、西海岸地区を担当したのだが、当時の丸紅が展開する業務というのは、わずか3軒の地元ディーラーにクルマを卸しているだけに過ぎなかった。商社のスタッフは、とくにクルマへの熱い思いがあるわけでもなく、直接セールスマンを雇い、拡販の努力をする気配すらなかった。
初夏に毎年1回、横浜で開かれた「自動車技術展」は全体に小難しいけど、未来を開く自動車部品などを一堂に集まるので、モーターショーよりも関心を集める面がある。
今回関心を呼んだのは、いますぐにでも採用できそうな「ジェットワイパーシステム」。世界ナンバー1ともいえる自動車部品サプライヤーのボッシュ(本社はドイツ)のブースで見つけたものだ。
ワイパーアームの先端にヒーターを内蔵したワイパー。水をジェット水流のごとく拡散するので、拭き取り性が向上して従来のフード根元からの噴射にくらべ、格段に使用水量が減るという。1回の水量が46ccから32ccと30%の削減。
つまり、ウッシャータンク容量を減らせ、全体の重量を9.3kgから8.2kgに12%軽量化でき、ひいては、わずかながらもCO2の削減につながるという理屈。むろん、これによりフード根元のノズルが廃止されスタイルの上からもプラス。ヒーター機能の働きで、冬季のフロントガラス拭き取り性能も劇的に高まるということだ。ただ、問題はコストアップだが、まずは付加価値の高い高級車からの採用という流れのようだ。
福島の原発事故は、日本に暗い影を落としている。故郷に帰れそうにない住民を思い、原発反対運動の報道を見ると、かつての原子力の平和利用の掛け声は地に落ちたかに見える・・・。
第2次世界大戦後を振り返るとわかるが、日本人はあまりに大きな衝撃を受けると、ややヒステリーとなり思考停止に陥りがちだが、冷静に考えればここまで培ってきた世界に誇る原子力へのノウハウがここで断ち切られるのはもったいない。
原子のノウハウは、意外なところで生きようとしている。セキュリティの世界である。
現在自動車のセキュリティはパスワードやプログラミングされた暗号技術で管理されているが、それは所詮モグラ叩きで、ハッキングやスキミングで情報が漏れる可能性があるという。アルファチップと呼ばれる5ミリ四方、1.4ミリ厚(写真左上)の超小型乱数発生器(アトミック・パルス・ジェネレーター:APG)は、原子核の自然崩壊で放出されるヘリウム原子をとらえ、完全なランダムパルスを生成(難しい!)。この原子の自然崩壊は、温度、圧力、電磁波など外的影響を受けないので高い信頼性があるという(さらに難しい!)。
つまり、このチップを組み込んだセキュリティーシステムなら、万が一にも盗難にあわないという理屈だ! 現在、提案中のシステム商品だ。
門外漢には難しい、このシステムは元原子力研究所にいた露崎典平さんが構築したもので、彼が言うのは鉄腕アトムの手塚治虫画伯も理解していたはずだという。www.advanex.co.jp