自動車整備業界の人間でない限り、整備機器総合商社のことに気付くことはまずない。
日本にはおよそ7800万台の乗用車が存在し、9万軒ほどの整備工場があるという。整備工場といっても2人ぐらいで営む田舎の修理工場から整備士50名前後をようするメガディーラー工場までさまざま。そうした自動車の整備をおこなう工場を顧客として、ジャッキやリフト、車検機器といった整備機器からハンドツールまでを供給する役目をするのが「整備機器総合商社」である。大手商社としてバンザイ、安全自動車、イヤサカの3つがあり、それぞれスタッフ数は300~400名程度の規模だ。ふだんユーザーからはあまり顔が見えない存在。
先日、そのひとつイヤサカを取材したところ、思いのほかビジネスが受けにはいっていることがわかり驚いた。
ここ数年少子化と若者のクルマ離れが加速し、どこの自動車販売業も頭打ちの状態だということはよく知られている。ところが、とくにディーラーなどは、利益を挙げるため新車販売から軸足をクルマのサービス(整備ということだ)に移しつつあることから、新規の整備機器類の販売が好調で、イヤサカはじめ整備機器業界はホクホク顔というわけだ。しかも、ただ顧客の注文に答えるだけがビジネスではない。車検やクイック修理、板金修理だけでなく、ホイールアライメントテスターを導入してのアライメント調整、ハイブリッドカーの修理、洗車、室内リフレッシュ、タイヤやバッテリーの販売など幅広いサービスの展開を進めている。ユーザーから見るとワンストップ自動車サービスということだ。ディーラーから言えば、これまで外注していた業種も内製化することで、より利益を上げていこうということらしい。生き残りをかけてシノギを削っている。
ちなみにイヤサカは、アメリカのハンター(写真)というホイールアライメント・ブランドの日本代理店権を持ち、かれこれ60年。アライメントの大切さがなかなか日本では浸透しないなか、現在でも1台500万円ほどするアライメントテスターが月に20台は販売しており、日本でのこの分野のシェアは6割だという。
当初はビッグ3の牙城が厳しく、日本製の乗用車は思うように売れなかった。そこで片山は、日系人の家に一軒一軒回り、ダットサンのピックアップトラックの便利性と使いよさを説明して売り歩いてもいた。何ゆえピックアップトラックか?
本社からの指示もあったが、1961年から62年にかけて、ダットサンブランドで一番売れたのは実はダットサントラックで、約45%も占めていた。とくにカルフォルニアなど西部では乗用車を逆転し、ダットサントラックのほうが台数で勝った。これは価格の安さ、頑丈で経済的で悪路にも強く、小回りがきき機能性が高かったからだ。日本では考えられない使われ方がされたことも、その背景にあった。DIY精神が豊かな西海岸では大型ホームセンターがあり、そこから木材などの素材を購入し、自分で家を作ったり、修復をしたりする習慣があり、そうしたライフスタイルの中でピックアップトラックが大活躍したのである。
それまで、こうしたトラックがアメリカには存在していなかったため、燎原の火のように広まり、ダットサントラックがピックアップトラックの代名詞とまでなったほど。
片山の目覚しい努力がようやく実を結び、アメリカでの販売実績はどんどん上向きになった。とくに西部の売り上げは本社の予想に反して東部の約3倍にも昇った。人口の比率にしても道路網の充実にしても、はるかに東部のほうが有利にもかかわらずそうした結果であった。本社もこうした片山の実績を無視することができず、1965年に片山はアメリカ日産の社長に就任する。とりあえずは、報われたというべきである。
NCAP(ニュー・カー・アセスメント・プログラム)というのをご存知だろうか?自動車安全評価テストのことだ。
1997年からヨーロッパからスタートし(これをユーロNCAPと呼ぶ)、乗員保護、歩行者保護、チャイルドプロテクション、安全運転支援機能・・・この4つの観点からテストをおこない、星の数でどんなユーザーにもわかりやすく表示している。評価基準は年々厳しくなっていて、自動車メーカーとしては売り上げが左右される評価だけに、神経を尖らせる側面は否定できない。
日本にも、もちろんジャパンNCAPがあるが、スタッフ数がユーロNCAP400名に対し、その10%にも満たなくて、欧州のユーロNCAPの後追いというのが実情である。世界のモータリゼーションの一角を担っている日本としては、かなりお寒いと言わざるを得ない。
とはいえ、知りたいのは今後のクルマの安全性だ。
2日にわたるセミナーのキモは、ズバリ言えば3つほどにまとめられる。
衝突安全装置が今後一般的になるが、たとえば時速30キロ以下でしか効かない自動ブレーキから時速80キロ100キロからも効果がある自動ブレーキの時代が来ること。カメラとレーダーなど2つ以上の装置を付けることになるが、それは全自動運転車につながるということ。2つめが、側面衝突の規制が厳しくなることで、今後パーテーション(敷居)のあるクルマも登場する可能性がある。側面衝突時(写真)、横の人間がとなりの人間の凶器になるのを避けるためで、衝撃で床からせり出すタイプになるかもしれない。3つめは、交通弱者である自転車やバイクのライダーへの安全対策が大きな課題となる。クルマとの衝突時フードが持ち上がるだけでなく、エアバックをフードの根元に付けるとか、ライダーみずからがエアバックを装着する時代がくる可能性も考えられる。車内のシートベルトも、老人には逆に凶器となりあばら骨を破損することもあるようで、この対策シートベルトも登場する可能性も高い。
エンジンを労(いた)わるひとなら5000キロごと、筆者は1万キロごとにおこなっているのがオイル交換とフィルターレンチの交換だ。
そのとき、かならず必要となるのが、オイルフィルターレンチ。
オワンタイプのフィルターレンチはある意味安定して使いやすい(でも、時として旧いフィルターが外れにくいときもある)が、他のエンジンには使えない。やはり主流は、アジャスタブルタイプだ。ストレートで新型のアジャスタブル・フィルターレンチが発売されたので、さっそく手に入れ使ってみた。1580円という激安でニコニコ顔だったのだが、使ってみて見る見る顔色が変わるほど絶望の表情に激変した。まず差し込み角が3/8インチではなく1/2インチで、エクステンションバーとラチェットハンドルをドッキングさせると、イジワルされたほどに重くなる。これでは下からオイルフィルターを捉える場合は、しんどくてたまらない。だいたい1/2インチのソケットツールなど工具箱に入れていないひとも多い。3/8インチに変換するアダプターに頼るしかない!? この製品自体が460グラムと、ライバルのKTC(こちらは差し込み角3/8インチ)に比べ160グラムも重いのだ。しかも、スプリングが強すぎ、最大開きにしてかぶせようとしても、すぐ戻りうまくいかない。くわえても、相手のフィルターに噛むはずの爪がすべり気味で空転するばかり・・・。価格が7700円と、ストレートの5倍近くのKTCの偉大さが図らずも、この製品で知ることになった。ストレートファンとしては、すばやく改善製品をリリースしてもらいたい。
17万台以上のリコール問題を起こしたフィットとヴェゼルは、今後のクルマ作りに大きな課題を突きつけている。
JC08モードで、36.4km/lというクラス断トツの好燃費でデビューしたフィット、およびその姉妹車ヴェゼルが、発売早々好調な滑り出しをみせ販売数がぐんぐん伸びていた。
ところが、エンジンとトランスミッションにまつわる複数回のリコールで、このところホンダの信頼度は落ちたかに見える。ドライバーが意図しない状況で、急発進するという不具合は、数日前免許を取得した女性ドライバーでなくても、度肝を抜く不具合。原因は、クラッチの摩擦特性とマッチしないエンジンの制御コンピューターのプログラムの不適切だとされる。
早い話、このフィットもヴェゼルも、ドイツのシャフラーというボッシュと並ぶメガサプライヤー(部品製造企業)と共同で開発したツインクラッチ(DCT)がらみの不具合なのだ。1モーター内蔵の7速DCTに高容量・高出力のリチウムイオン電池、電動サーボブレーキ、それに電動のエアコンのコンプレッサーと新技術がてんこ盛り。燃費だけでなく、胸のすく走りを実現したいというホンダ側のココロザシを熱かった。リコール自体はプログラムの書き換えで解決したのだが、あまりにも高いハードル(もちろん対トヨタとのバトルもあって)を設定したのが遠因といえる。
これで、シャフラーとの技術協力がゼロ戻しになるという一部の見方もあるようだが、関係者に取材すると、「この経験を、チャレンジングなクルマづくりの糧にする」。ということは、今後発売予定の新型フリードハイブリッドやステップワゴンハイブリッドにもシェフラーのDCTが組み込まれると見ていいようだ。
心を動かされた片山に、経営者の男はこんなことを言った。「まわりの人たちが楽しければ自分も楽しくなれるものだ」すると片山は「私共のクルマをぜひ売ってもらいたい。ディーラーのあなたに、まず先に儲けてもらいたい。あなた方が豊かになれば、その次に私共が儲けることができる」
すると経営者の男は、「お前はへんなことを言うやつだな。生まれて始めてそんな言葉を聞いたよ。アメリカのどこの自動車会社の関係者からも、そんなことを聞いたためしがない」
「大丈夫、あなたが儲けさえしてくれれば、私たちも自然と儲かる。あなたが豊かになれば、こちらも豊かになり、互いに気楽に付き合える。そうすれば互いに信頼感を深められ、仕事を進められ、それだけでもこちらとしては利益になる」言葉だけではない信頼感が二人のあいだに電流のように走った。
そんな出会いは、片山を勇気づけ、これまでの努力がいっきに報われた気持ちになった。
以来、その時、その店主に言った言葉が、片山のディーラーに対する姿勢の基本となった・・・「あなた方ディーラーに、まず先に儲けてもらいたい。あなた方が豊かになれば、わたしはあなたの次に儲けることができる」 ユーザーと直接向き合い最前線で働いてくれる人を豊かにしてから、こちらも豊かになる・・こうして片山は、ともすれば失いかけていた自動車メーカーとしての誇りを取り戻すことができたという。こうした人たちを裏切らないためにも、ディーラーやカスタマーの緊急事態に備えることが信頼の証である。具体的には新車の部品も含めすべてのパーツをストックしていくことを念頭に置き供給率を高めていった。
7~8年前からデジタルの音源、具体的にはⅰPodが登場し、CDの売り上げが激減している。いまや、お気に入りの音楽を買うというのは、ダウンロードでおこなうのがごく一般的になったからだ。音楽ファンはクリックしてわずか数秒で好みの音楽を手に入れられる時代。
カーオーディオの世界も、このスタイルが今後一気に加速するはず。ということは、機械駆動式の記憶媒体を持たないカーラジオが登場するのだ。先日メガサプライヤーのコンチネンタルを取材してわかった。ブルートゥースやUSBなどのデジタル・インターフェイスのみを用いた音楽データを再生できるという。この新世代のラジオは、幅が約18センチ、高さ約10センチの葉書大。奥行きはなんと4センチほど。重量もわずか1.3kgと従来のカーラジより確実に軽く、車両の軽量化に貢献し、燃費向上にも繋がる。インパネ回りのデザインの自由度が向上する効果もある。
このフラットラジオは、USBメモリー,SDメモリーカード,MP3プレーヤーなどのポータブル記憶装置とつなげて,デジタル音楽を簡単に楽しめるだけでなく、ブルートゥースを使えばハンズフリータイプの電話ができるし、電話と同型式のキーパッドを使い、プリセットされたラジオ局のプログラミングやラジオ局へのアクセスが直感的にできるという。フラットラジオはすでに開発が終了しており、アジアと欧州での量産開始がもうすぐだという。
1ヶ月2ヶ月、あるいは6ヶ月乗らないクルマ。バッテリーが自然放電して、いざエンジンをかけようとすると、バッテリーがダウンということはよくある。
自然放電だけでなく、クルマには時計を動かしたり、電装品のバックアップなど、回路が形成されると≪暗電流(あんでんりゅう)≫というのがどうしても流れる。暗電流は、ほんのわずかな消費電流でも、1ト月以上ともなるとバッテリーあがりの原因となるに十分。
そこで、長く乗らないときはバッテリーのマイナスターミナルを取り外す、というのが鉄則。
≪ノブを回すだけで、簡単にバッテリーからの電流を遮断できる≫という用品を見つけた。例のストレート製(www.straight.co.jp)だ。そのものズバリの「バッテリーカット・ターミナル」。マイナス端子を取り外し、これをあいだに入れるだけで、作業はすぐ終わる。クルマを使うときは大きめのダイヤルを締め込めば通電し、逆に緩めれば遮断する。価格も550円とリーズナブル。
ただし、端子の大きさはBとDの2種類があることに注意。軽自動車やコンパクトカーには細身のB端子でマイナス端子系は11ミリ。D端子は1600cc以上のクルマに多く使われ、マイナス端子径は、16ミリだ。ちなみに、プラス端子はそれぞれ13ミリと18ミリで、すべて端子径を違わせることで、万が一の誤装着を防いでいるのだ。