ちょうどバブル期の頂点1989年にデビューし、人馬一体というキーワードでいい走り味を追求してきた2シーターライトウエイトスポーツカー・ロードスター。その4代目が、もうすぐ発売される(発売日は未定だが)。
発売を前にして、先日、東京ディズニーランド近くにある巨大ホール(なんとシルクド・ソレイユを演るホール)で世界プレミアムと称して、スペイン、カルフォルニア同時のイベントでその姿を表わした。時代もグローバルになったもので、クルマも世界同時お披露目の時代なのだそうだ。
気になるスペック(燃費とか、価格とか)はまったく発表されなかったが、マツダのお家芸である『スカイアクティブ技術』を投入し、ホイールベースと全長をより短くし、よりコンパクトで、走りの楽しみを満喫できるクルマに仕上がっているようだ。車両重量は、重箱の隅をつつくというか、各部の贅肉をそぎ落とすことで、100kg以上の軽量化を図ったという。
エクステリアは、どことなくフィアットのバルケッタと3代目ロードスターを足して2で割った感じ。アルファロメオの次期スポーツカーをマツダが供給する、マツダの広島の工場で生産するという取り決めがフィアット社とのあいだで、なされている。だから、なんとなくフィアット臭がするわけだ。
ちなみに、シャシーモデルを公開したが、フロント・ウッシュボーンのFRレイアウトで、プロペラシャフトのところに補強梯子状の部品が付いているところなど、初期型のロードスターとほぼ同じで、初期型オーナーである筆者はどことなく安心した。それにしても初期型が発売され、四半世紀。25年たったクルマはド中古なのか、はたまたクラシックカーなのか、微妙だ。誕生から25年の女性なら、人生のピークなのだが、25年たったクルマとなると!?
順風を身に受けた片山は、ダットサンブランドをさらに高めるクルマの企画を暖めていた。
スポーツカーである。それも世界に通じるアメリカ仕様のスポーツカー。そこにはそのクルマ独自の思想を注入しなければいけない。そのクルマのレゾーンデートル(存在意義)がなくてはいけない。本質を認識し、その精神を込めて生産されるべきクルマ。
片山の頭のなかには、1962年の全米モーターショーで登場したフォード・ムスタング(写真:二玄社「世界の自動車46」より)の威厳のある圧倒的な存在感があった。ムスタングは、アメリカのスポーツカーとしてアメリカ人の原風景になっている。輸入車でいえば当時一世を風靡したジャガーXK。ロングノーズでシャープなエクステリアのXKが前を走り去るとき、人はその姿に思わず時間を忘れ、この世の美の一つに熱いまなざしを向けたものだ。
広大な北米でジャガーがベストセラーカーになるには、大きな障害があった。初期のダットサンのように商社扱いだったため、アフターサービスが整備されていなかったからだ。片山には、アメリカ日産のサービスシステムの充実ぶりで、早晩ジャガーに勝てると踏んだ。足を使ったドブイタ的営業をコツコツ培ってきたゆえに、その判断に自信があった。口にこそ出さなかったが、のべ6年間のアメリカでのカービジネスでアメリカ人の心をつかむ自信があった。
日産の横須賀市追浜にある工場は、ブルーバードの生産を始めて、今年で54年の歴史がある。現在、電気自動車のリーフ、キューブ、ジューク、シルフィーの4車種を1本のラインで混流生産(マーチはタイ工場に移設している)。生産能力24万台規模、2700人の従業員の平均年齢43歳という。
そのいささか老朽化した工場であるが、女性の作業員のために組み立てラインの高さを10センチ刻みで調整できる仕掛けを導入したり、フローリングもどきの床にしたり『ひとにやさしい工場』を目指しているという。より効率のいいモノづくりをこのマザー工場で編み出し、世界に複数ある日産系工場にノウハウやスキルを輸出するという役割を担っている。取材して面白かったのは、海外生産拠点で活躍する人たちを教育するトレーニングセンターだ。これは2005年からスタートしたもの。累計1500名の卒業生を送り出しているという。中国、ロシア、タイなど6ヶ国語での授業が展開されていた。
オモチャのレゴを使って順序だてて考える習慣を身につけたり、江戸時代のカラクリ人形を用いて、機械の動きを学んだり、ボルトの締め付け方法を体験(写真)させたりと座学と実習の両面。とくにボルトの締め付けでは、角度とかトルクなど23のノウハウがあるそうで、左手の使い方をメトロノームで拍子を取りながら学ぶのだという。いまや日本の自動車工場はますますマザー工場化し、付加価値をいかに付けるかにかかってきたようだ。
大部分の工具がそうだが、本当にたまにしか出番がないが、絶対必要となるシチュエーションがある。さしずめ『ハンドナッター』もそのひとつ。似たような工具にリベット止めをおこなう「ハンドリベッター」があるが、ハンドナッターは、何もないところにナットを作り上げる工具である。たとえば、ボルトで部品を取り付けたい場合、ボルト穴がないとしたら、新たにナットを創設するという役目である。
今回の場合、オフロード・バイクのガソリンタンクの根元のネジが駄目になった。もともとM6(ネジの径が6ミリ)のナッターが使われていたのだが、そのねじ山が数回の転倒でぐちゃぐちゃになり駄目になったということだ。クルマの場合なら、ブラケットにネジ止めする場合、を考えればいい。
『ハンドナッター』とは、ハンドルを閉じた状態で、ナットリベットと呼ばれるコマを先端のネジ部に取り付け、ハンドルを思い切り開く。すると、ナットリベットの中間部が取り付け面に沿ってツバができ、板と一体になる。ナットリベットの素材にはアルミとスチールがあり、ネジ径はアルミでM3×0.5,M4×0.7,M5×0.8,M6×1.0、スチールでM5×0.8,M6×1.0,M8×1.25がある。作業性は意外と悪くなく、仕上がりが上々だった。工具の価格は5480円と格安。ナットリベットも10個入りで200~300円レベル。ストレートwww.straight.co.jp
スバルという自動車メーカーは、世界でもかなり特異な自動車メーカーだ。
けっして悪いイメージではない。航空機メーカーの流れを汲んでいるだけではなく、小なりともいえ独自性を出そうと長年頑張ってきたからだ。
そのスバルからニューモデルが登場した。「WRX S4」である。
1992年から、WRXシリーズが登場し、世界ラリー選手権でも何度も優勝し、その名を高らしめてきたブランドだ。でも、これまでのWRXはインプレッサをベースにしたいわばチューニングカー、バツの悪い言葉で言えば改造車みたいなもの。今回デビューしたのは新しいカテゴリーとしてひとり立ちさせたWRXなのである。300PSで、400Nmというラリーバージョン仕様に限りなく近い。つまり、スバルの狙いは、エコカーがはびこる世の中で、かなり尖ったキャラクターのクルマを登場させたわけだ。
でも、一昔前のプロしか扱えない車ではない。高トルク対応のリニアトロニックと呼ばれるCVT(つまり2ペダル)で、時速50キロまで対応の衝突予防装置(アイサイトのバージョン3)、ダイナミックな走りからジェントルな走りまでを選択できるSiドライブ機構を装備。しかもJC08モード燃費13.2km/lでエコカー減税対象車。S4というのはスポーツ・パフォーマンス、セーフティ・パフォーマンス、スマート・ドライビング、ソフィストケーティド・フィールの4つのSだという。
つまりこのクルマは、WRXの尖った部分を持ち、安全とクルマを操る楽しさを兼ね備えた、提案型のクルマなのである。気になる価格は税込みで334万8000円からだ。月販400台が目標だから、しばらくは、これを軽く超えることは間違いないが、それがいつまで続きロングセラーカーになるかどうかが注目だ。
片山は、立場からいえば人の上に立つ立場にはなったが、偉い人になったといって、のけぞって生きていくという俗人のタイプからは遠く離れていた。日本での勤務時代、経営陣との軋轢や人間関係に翻弄され、苦しんだ経験から多くを学んだからかもしれない。
どうしたら社員が働きやすく、力を発揮してくれるか? 「仕事をするために同じ会社で働くことになった人間同士、上司も社員もなく、繁栄については全く同士だ」 これが片山の持論であった。自分の仕事部屋のドアはいつも開いている。そう社員にいつも伝えていた。
片山たちの努力が実を結びつつあった。ダットサンというブランドがアメリカ人のあいだにも浸透し、その当時の輸入台数2万台では間に合わない状態だった。1967年にデビューしたダットサン510(国内ではブルーバード510)はアメリカ市場でも飛ぶように売れた。このクルマは、L13型1296㏄とL16型1595㏄エンジンの2タイプあり、L16仕様車には独立サスペンション、ディスクブレーキなど当時の最新メカニズムを注入し、三角窓を廃止、ドアガラスに曲面ガラスを採用するなどでのちの世に4ドアセダンの原型とまで言われた名車である。
坂道発進に車庫入れ・・・ふだん自動車免許を取得するべく、悪戦苦闘する光景が展開する東京都多摩市にある自動車学校で、風変わりなレースがおこなわれた。中・高校生による「手作り電気自動車のコンテスト」である。正式名称は「都立大エコ1チャレンジカップ2014」だ。
全長3メートル以内、全幅1.2メートル以内、全高1.6メートル以内の車体に、DCモーターひとつと12Vのバッテリーが2個、定員一人乗りでゆるゆると走る。最高速はせいぜい時速20キロぐらいか? あるいは歩くほどの速度のマシンもいるので、時速5~6キロかも。1周500メートルを10周、つまり5キロをどれだけ速く走れるかで競われた。出場台数は18台。
マシンをつぶさに観察すると,ホイールは自転車のホイールとタイヤを流用,ブレーキも自転車用を組み込んでいるチームが多い。フレームは木製あるいは鉄のパイプ、あるいはアルミ製で,ボディはプラスチック製のダンボールあるいは発泡スチロール。後方視界を確認するサイドミラーと他車に注意をうながすホーンこそ付いているが、ヘッドライトやウインカー、ストップランプなしだ。ただし、車体デザインは電車、シンデレラの馬車など多彩。制作費は、そんなわけで平均10万円、なかには3万円というマシンも登場していた。製作日数は6ヶ月前後。
当日は、レース直前まで降っていた雨のため、コーナリングがうまくゆかず速度が乗らないマシンやクラッシュして応急修理で汗を流すチームもあった。なかには、モーターの回転を制御する基盤の接触不良などのトラブルで途中棄権も珍しくない。
ひとことでいえば、モノづくりの喜び、レースで他者と競いあう喜び、環境を少し考えることがそれに加わり、当事者だけでなく観る側、取材する側も充分楽しめた。
スタビドライバーという、ドライバーの仲間では一番小柄なドライバーをご存知だろうか?
スタビとは英語のSTUBBYのことで、「短くて太く、ズングリした」とか「ビールの小瓶」を指す(この場合はもちろん前者)。あまり使用頻度は高くはないが、インパネの裏側など手が入りづらいところにあるネジを緩めたり締め付けたりするとき、活躍する。
ところが、このスタビドライバーは、使ってみるとわかるが、長すぎたり、チカラが入りづらかったり、ピタリ具合のいいものは意外と世の中に少ない。
先日、横浜みなとみらいにあるホームセンターをぶらついていたら、かなりイケそうなスタビドライバーを見つけた。サンフラッグ(新亀製作所)の「ウルトラミニ99」というのがそれ。99というのは品番で、サンフラッグというのは、大阪にある1952年創業の老舗のドライバー専門メーカーである。
グリップが、トルクスのような形状をしていて、デザイン上のアクセントともなっているクッションリングが指先に密着し、トルク伝達を助けてくれる。全長わずか30ミリのビットの両端には、プラス2番とマイナスの6ミリを設けてあり、差し替え方式で使う。このメーカー、ビットメーカーとしてもトップメーカーだけあり、ビットの完成度が高く、しかも差し替え時のフィーリングも悪くない。台湾製や中国製ではこうはいかない。しかも購入価格が税込み306円とリーズナブルだった。ちなみに重量は、15グラム(実測値)と軽い部類だ。