秋になると、あちこちの自動車メーカーごとに整備士が集結し、技術コンテストが開かれる。日頃はどちらかというと、派手やかなハイライトが当たることのない整備士たちの晴れの運動会のようなものだ。日頃の業務の成果を試すだけではなく、日常生活のなかで、つい忘れがちになる仕事への情熱が同じ職場で切磋琢磨する同僚と交流することで、再認識されるイベントでもある。
10月10日に栃木県さくら市で開かれた“三菱ふそう”の技術コンテストを覗いてみた。
フロントマン1名と整備士2名がチームワークを組んで、持ち時間65分で課題に取り組むというものだ。昨年までは、大型トラックのトラブルシューティングがメインだったのが、今回は4トン・ダンプカーの6ヶ月点検(もちろんいくつかのイジワルな不具合を仕掛けている!)と、それにプラスしたお客様への提案力が試された。しかも、昨年までは各選手1/3ずつだったのだが、フロントマンの配点が半分で、残り半分は2名の整備士、という配点の大変化。
つまり、これまでトラックのサービスの世界は、接客能力がどちらかというと二の次三の次として捉えられていたのが、乗用車並みの接遇能力が求められはじめいるのだ。
今回はダンプカーを持ち込んだのは造園業の社長さんという設定。トラックは生産財(お金を稼ぎ出す財産)であるが、乗用車のように代車を手配できない。コンテストのやり取りを眺めていて、お客様が望むサービスとは何か?フロントマンが耳で聞き、心で聞くことがどのくらいできるのか?お客様にどのくらい丁寧に分かりやすく、説明ができるのか?
ひたむきに挑戦している選手たちの表情を他人事としてみていたら、第3者に分かりやすく説明するという能力は、実はどんな職業でも共通しているテーマでもあることに気が付き、いささか自分が恥ずかしくなった。