今回の東京モーターショーは、未来のクルマにもわくわくさせられたが、近未来の部品にも大いに関心を持った。
たとえば、TACHI-S(旧立川スプリング)という企業が提案した「コンセプトX-2」という名の近未来ドライビングシート。CFRP(カーボンファイバー強化樹脂)で構成されたシート構造は、従来のフレーム構造とはまるで異なり、人間が座ったカタチから発想したものだという。そもそもシートバックの根元が座面に食い込んでおり、これにより骨盤を囲い込んだ形状ができたのだという。シート操作するレバーはPP(ポリプロピレン)にグラスファイバーを混ぜた樹脂である。
このシートの面白みはもうひとつある。表皮自体をユーザー自らの手軽な作業で、交換できるのだ。表皮自体も合皮、皮、ポリエチレンの織物と複数選択でき、進化したデジタルプリント技術で、カラフルなデザインもシックなデザインも製造の自由度が高くなっているという。クルマのシートはホーム用の椅子より数倍の耐久性が要求される。
ちなみに、ポリウレタンを4層ほど重ねて創る合皮の表皮は、耐久性が10年以上大丈夫だともいう。