今年100年を迎えたBMWは、やけにチャレンジングである。
「新たな時代を切り開く!」とばかり実用的なEVのⅰ3と、がぜん街中でひと目を集めるスーパーカーのプラグイン・ハイブリッドⅰ8の2台を発売した。後者のⅰ8は,2000万円もするので、庶民には論外だが、ⅰ3は、「一充電229km(JC08モードで)走れ、ボディも最先端のカーボンファイバー強化樹脂(CFRP)。価格は499万円!」となると、背伸びすれば買えなくもない読者もいる!?
10分足らずだが、お台場に出来たばかりのBMW巨大ディーラーお披露目取材で試乗した。
全高が1550ミリとやや高いこともあり、運転席からの景色は広々していて開放感が大いにある。ケナフ麻とかユーカリ、といった植物由来のバイオニックなトリムやインパネは、意外と素朴で21世紀的運転席を演出しているようだ。電動式のパーキングブレーキを解除して、発進させると、電気自動車特有のトルクフルな加速感に圧倒される。グイグイ加速してくれる。カタログデータではゼロから時速100キロまでを7.2秒で駆け抜けるそうだ。ハンドリングもとくに違和感がなく、扱えた。気になったのは、ブレーキペダルとアクセルペダルが右にオフセットしているので、ひごろ両足操作を常とするドライバーはやや戸惑うかも。両足操作ができなくはないがやや窮屈。それとクリープがないのも、戸惑うところだが、このあたりは慣れるしかない。
すごいと思うのは、アルミ合金のシャシーにボディがスチールにくらべ半分の重量で収まるCFRPを採用したので、車両重量が1260kgとリッターカー並みになっている点。フロアにリチウム電池を敷き詰めているのだが、車高の高いクルマにありがちな乗降時の不満は感じなかった。
最大のアドバンテージである“一充電229km”ということは、実用上1回の充電で150kmは走れるということ。東京から箱根にいくと想定して、日産リーフなら途中どこかで充電しなくてはいけないところ、安心して走行できるということだ。
リアドアのところで下に落ちているサイドビューのデザイン。これに違和感をつよく覚えるが、Bピラーがなく、リアシートへの乗り込みのしやすさ(リアドアが軽くなり、リアの視界がよくなる)ことを思えば、ひとつの回答(見識?)なのかもしれない。やはり一番のウイークポイントは5人乗りではなく、定員が4名ということだ。