排気系にカーボンが付着する課題は、オイル添加剤のメーカー・ペンタルーブ(PENTA LUBE)からもたらされた。この市販のオイル添加剤を使うとカーボン付着が信じられないほど減少したのだ。試験してみるとこれまで2000キロでカーボンが付着してパワーダウンに結びついたのが、6000~7000キロまではパワーダウンしないことが分かった。
エンジンが快調に回ると、今度はエンジン各部から発生する騒音を退治することになった。ピストンとシリンダーの摩擦音、駆動系のノイズなどしらみつぶしに対策していった。おもな対策方法は、各部品の工作精度を高めることだった。振動についてはクランクシャフトの2次振動が最大の課題だったが、丁寧に理論を積み重ね、実験を繰り返すことで解決することができた。
エンジン本体のみならず電装品も次々と初期トラブルを発生させた。
軽量小型設計を目指したのでスターターのピニオンギアの鋳物ハウジングが強度不足でクラックが入り、ディストリビューター(配電器)が高圧に耐えられずにリークする不具合が出たものの、そのつど対策品を開発し、耐久性を高めていった。