矢沢のエイちゃんがTV画面で、ハンドルから手を離し「やっちゃえ日産!」と叫ぶ。インパクトのあるCMが何度も繰り返し流されるのを見るにつれ、これまで何度も裏切られたにもかかわらず、「今度の日産はいいのかな?」とつい判官びいきしたくなった!?
いち早く試乗した友人から聞くと、その表情はかんばしくない。「アクセルとブレーキを制御することで、前のクルマに追従する機能。ハンドルを制御することで走行レーンを維持する機能。この2つでプロパイロットと呼ぶセレナの半自動運転は構成される。でも、もたもたした加速とタイミングが悪いブレーキング動作で未成熟さはぬぐえない」とのこと。アイドリングからの再始動時の不具合問題もあり、どうやら「やっちゃえ日産!」のトップバッターは、討ち死に寸前!? 三菱ほどではないが、トヨタやホンダ、それにマツダなどのこのところの果敢なビジネス戦略の前にあせりが出てしまったのかもしれない。
ライバルよりも一刻も早い開発。一方クルマは安全性を十分確保しないといけない。しかもクルマは電子制御のカタマリ。あらゆる面での製品の確認作業には愚直さが求められる。ここに社風が色濃く現れると考えると、わかりやすい。
とはいえ、新型セレナは、このジャンルでの販売台数NO.1を長く維持していただけに、なかなか魅力的装備を備える。8人分のシートアレンジの妙、上部ガラス面だけでも開けられるリアゲートの手の込んだ構造、リアのスライドドアを車体下部に足を押し入れるだけで開閉できる機構(ハンドフリー・オートスライドドア)、USBコネクターが各シートに付くなど、使い勝手の面では、いまのところライバルを凌駕しているようだ。ただし、燃費性能はいただけない。マイルドハイブリッド車なのでJC08燃費で17.2km/l。ノアなどのストリングハイブリッド車は23.8km/lだから、明確に後塵を拝している。「やられた! 日産」と揶揄されないように、技術陣は励んでほしい。
スバル360の正式発表は昭和33年(1958年)3月3日で、発売は2ヵ月後の5月ときまった。
その前に運輸省(現国土交通省)による新車認定試験をパスしなければいけない。当時の認定試験は通称・村山試験場と呼ばれた工業技術院機械試験場での基本的な試験(最高速100km/hほどしか出せなかった!)。それと箱根と西湘バイパスでの運行試験の2本立て。江ノ島・小田原間での燃費テスト、箱根13キロの登坂テストなどである。もちろん定員の大人4人乗せてだ。
このときちょっとした事件がおきた。箱根湯本から宮ノ下まで直線距離で5キロほどテスト走行するのだが、運輸省の検査官が乗車すべきところ、「乗車拒否」にあった。「こんな小さなクルマに乗って、万が一谷底に落ちたらえらいことになる!」として乗車を拒んだのだ。いまなら職場放棄として責められるところだが、当時はお役人には逆らえなかったようだ。そのときテストドライバー役であった福島時雄は、腹をきめ、人間一人分の重りを載せ、所要時間30分以内とされていたコースを見事22分で走りきった。このとき福島は、少しでも軽くしようと、真冬にもかかわらず作業着の下には何も着ないで走行テストに臨んでいる。燃費は24.5km/l、乗り心地を示す指数も当時の国産車を凌駕したものだった。
整備工場やディーラー工場で、なくてはならないものの機器のひとつがリフトだ。
クルマをうえに持ち上げ、エンジンまわり、サスペンションまわり、排気系まわりなどを点検したり、修理するさいに大活躍する。直接クルマと接するポイントは、文字通りリフトポイントと呼ばれるボディ下部のサイドシルと呼ばれるドアの真下。ここに、ゴム製のアタッチメントを介して油圧でクルマを持ち上げるわけだ。ゴムを使うのはもちろん、クルマを痛めないため。
ひごろぼんやりクルマを眺めている読者には、オドロキに聞こえるかもしれないが、そのジャッキアップ・ポイントの形状は、大げさに言えば、クルマごとに異なる。汎用タイプで間に合うこともあるが、クルマによっては適合しないアタッチメントで持ち上げると、キズが付いたりすることもあるようだ。そこで、さまざまな形状のゴム製のアタッチメントが存在するということになる。素材自体は天然ゴム製。ちなみに、このゴム製アタッチメント、ネットで価格を調べると4個で1万~1万5000円と意外とお高い。
そのゴム製アタッチメントに組み合わせる“延長台”と呼ばれる円筒形の金属もさまざまにスタンバイしている。アタッチメントと延長台を集めると、こんなにあるという光景が、先日クルマサービスの商社であるバンザイを取材して判明。
スポーツカーなどの低床車と呼ばれるクルマをリフトアップするには、受け金部がより薄いタイプが必要とされている。通常受け金とアームの高さが120ミリあったのが、苦心のデザインの変更でわずか95ミリとしているタイプもあるという。
アイディア商品とは、2つのカテゴリーがある。ひとつは、これまで誰もが考え付かなかったまったく新しい商品。もうひとつは、従来から似たようなものはあったが、ひと工夫ふた工夫で、思いもよらなかった斬新な商品を生み出したケース。3分間で出来上がるインスタント・ラーメンが前者なら、後者はスティーブ・ジョブズが開発の中心にいたⅰPhoneかもしれない。
先日︎アメリカン・タイプの倉庫型巨大スーパーマーケットCOSTCOで見つけた「フォールダブル・ステップ・スツール(無理に日本語に直すと、“折り畳み式踏み台”)」も、まさに後者のカテゴリーである。
工具はおろか、人のチカラさえも不用! 上部の取っ手を持つだけで、踏み台だったのが、あっという間に薄型物体(厚み30ミリ)に変身する。逆に踏み台にするときは、上部を手で押し広げるだけで、チカラは限りなくゼロ。バージン材の樹脂を採用しているとはいえ、これでよく100kgの荷重に耐えられるものだと、ふとクエスチョンマークが浮かぶ。裏側をのぞくとなるほど合点がいった。20ミリ間隔にリブ(RIB:肋骨の意味)が施されているのだ。これなら100kg近いデブがのっても大丈夫と思われる。
使い方は、踏み台としても使えるが、タイヤまわりの修理をするさいの腰掛け椅子として重宝する。価格は、高さ22センチと39センチの2個セットで、1、390円とバカ安だった。ちなみに、ヘルスメーターを引っ張り出し、重さを測ったところ、高さ22センチが1050g、39センチの方は1530gだった。数字でも軽いことが確認できた。
たとえば2つの国を超えてモノをつくる世界といえば、映画の世界を思い浮かべる。言葉の壁、映像技術の壁、機器類の壁を越えて……それ以上のあまりある新境地を目指してふたつの文化がぶつかり合い、いくつもの合作映画がつくられてきた。いまや2つの国の合作映画はさほど珍しくはなくなった。ところが、クルマの世界ではどうだろう? こちらも意外と粛々と進んでいるのである。たとえばルノーとニッサンとか、最近発売をうわさされるマツダのロードスターとアルファロメオのスポーツカーとかだ。ひとことでいえば「グローバル化」。
来年2月発売予定の車両価格2370万円もするホンダのNSXは、アメリカのオハイオ州を生まれ故郷としている。日本での発表は、先日東京ビックサイト特設会場で華々しく開かれたのだが、挨拶にたった開発責任者と生産責任者は、2人ともアメリカ国籍(生産責任者はインド生まれのアメリカ人)。初年度販売数100台だそうだ。
NEW SPORTTS EXPERIENCE(スーパースポーツ体験)を旗印に、「スポーツ・ハイブリッドSH-AWD」を組み込むことで、究極のハンドリングカーに仕上がったという。このスポーツ・ハイブリッドSH-AWDは、ミッドシップにレイアウトした新開発のV6 3.5リッター・ツインターボエンジンと、高効率モーターおよび9速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)、加えてフロントの左右独立モーターなどの組み合わせによりリニアで力強い加速と、すぐれたコーナリング性能を具現化したという。後部を上から覗き込むとチラッとV6エンジンが誇らしげに見える。低く構えた2シーターの余裕のスーパースポーツのエクステリアとインテリアは、オーナーの心をくすぐるに余りある!? 駐車場の手当てとお金の余裕があればぜひマイカーとして手に入れたい1台だが、こうしたクルマは富士山みたいなもので、遠くから眺めているだけでいいのかもしれない。ちなみに車両重量は1780kgと軽い。意図的なのか? カタログには燃費データが掲載されていないところも、エコ疲れしているユーザーには新鮮!?・・・気になり、調べてみるとJC08でリッター12.4km/lと意外と悪くない!?
耐久走行試験でもっとも難関だったのは、登板路でのオーバーヒートだった。
赤城山の上り坂は当時もっとも過酷な登板路とされた。かつてP-1の走行テストで関東一円の登板路走行試験をおこなった際、箱根や日光よりも赤城山の坂が折り紙付きの過酷な道。距離が長いばかりでなく、さまざまな種類の勾配があり、小さなカーブ少なくてスピードをテストすることもできた。なかでも、前橋郊外からの赤城山への登りは登れば登るほど傾斜がきつくなり「一杯清水」と名づけられたところは傾斜角13度。いったん停車すると再発進が不可能といわれ、当時の国産車でこの坂を登りきるクルマはいなかった。
スバル360で走行すると、たしかにフルスロットルで登板すると、すぐエンジンが焼きつきパワーダウンする。こころもちアクセルを押さえ気味に走ると最後までのぼりきった。そこでより冷却性能を高めるためにファンの設計を見直し、エアインテークが当初左側だけだったのを右側にもスリットを入れることで、冷却性を高め、大人4人でなんとか全開で急坂をのぼりきるレベルまでこぎつけた。東京から来た高級セダンのユーザーがエンジンフードを開け立ち往生している横を360のスバルが4人を乗せスイスイと走った。「ぽかんと口を開けた紳士の顔をいまも忘れられない・・・」当時のテストドライバーの語り草である。
わが愛車ファンカーゴの一番の悩みは、ヘッドライトの“黄ばみ”だった。
よく知られるように、イマドキのヘッドライトは、ポリカーボネート(PC)と呼ばれるエンジニアリング・プラスチック(数ある樹脂の中では耐熱性が高く、高級とされる)。ところが、新車から5年ほどたったころだろうか、どことなく全体が白内障になったように白くなり、そのうち黄ばみ始め、いまやすっかり黄ばみが定着して立派な“中古車ズラ”に成り下がっていたのだ。
ライトメーカーに聞いたところ「そのクルマの使われ方にもよりますが、表面のハードコートが紫外線の影響で黄変します。とくに、ファンカーゴのライトが上を向いている部分が広いので、その傾向が大きいと認識しています・・・」。10年以上たっているので、いまさら文句は言えないが、日本のモノづくりも脇が甘いぞ! とつい言いたくなる。
たしかに補修ケミカル部品の存在は知っていたが、二の足を踏んでいたところ、このほど「ヘッドライトリフォーマー」を取材できた。これは、表面の旧いハードコ-トをそぎ落とし、改めて2液タイプのエアゾル式の新しいハードコートをコーティングするというもの。下準備で、マスキングするのと旧いハードコートをいくつものペーパーを段階的に使い、そぎ落とすのに意外と時間がかかった(約40分)ものの、出来上がりは、予想以上だった。新品然に戻り、たまげているところ。エアゾル自体は定価5000円(1本で約2台分)とリーズナブル。ただ、トータル時間1時間強かかるところが、ビジネスとしてはネックなのかもしれない。ケミカルメーカーに言わせると3年近くは大丈夫だという。問合せ先は・・・㈱ECN 電話03-6205-4783 である。
ドライバーの世界ほど、何でもあり!の世界はない。
たとえば、SUNFLAGの「ラッチェットPRO」は、家庭でちょっとした作業には、ベストフィットであるが、バイクやクルマの整備に本格的に向き合うには、いささか危なっかしいというか、役不足である。
1/4インチ(6.35ミリ)の汎用ビッドを流用でき、ラチェット機構を持ち、付属のビット自体(全長110ミリ)が+1番、2番、3番、それにマイナス6.0の両頭タイプ、ハンドルエンド部には「ヒートン回し」といってプラスアルファの機能も付いている。≪これ1本でいろいろできそう≫なので、いっけん、なかなかよく出来ているように見える。
ところが、肝心のラチェット機構は、わずか10ギアで、なんとも心もとない。ギアフィールは軽すぎ、軸自体のブレが大きすぎて高級感とは程遠い。左右の切り換えは、グリップのスライドボタンを動かすのだが、指で押すとへこみ、軍手で動作させようとすると上手く動いてくれない。
近くのホームセンターで、わずか805円(いまどき日本製でこのプライスは凄い!)で入手した製品。だから「文句言うなよ!」という声が聞こえてきそうだが、それなら間違ってもPROという名称を商品名に付けてもらっては困る。ホーム用とすべきだ。PROとあればプロ向けと思い込み、購入したお客がガッカリして、そのブランドを結果として貶めることにもなりかねない。大阪の老舗ドライバーメーカーSUNFLUGだけに期待値は大きいのである。