トレッドの裏側に張り付けられた小指の先ほどのセンサーで、タイヤの空気圧を読み取り、ドライバーに知らせる「タイヤ空気圧モニタリング・システム」。日本では装着規制がないため、あまり知られていないが、すでに欧州市場ではポピュラー。このほど、そのシステムに付加価値として、“タイヤの残り溝”まで読み取ることができる仕掛けが完成した。
ドイツ生まれの自動車メガサプライヤーのコンチネンタル社が開発したもの。2019年以降からこのシステムを搭載した市販車がデビューするという。従来のタイヤ溝測定は、デプス(DEPTH:深さ)・ゲージというゲージを使うか、タイヤ溝にあるスリップサインが残り溝の目安としてきた。スリップサインが顔を出すと残り溝1.6ミリとなり、これ以上擦り減ると法令違反で車検には通らない。思えばこうしたやり方は昭和の匂いがする旧式だ。
コンチネンタルの“タイヤ溝検知システム”は、まさにスマートな次世代型。ただし、その原理を理解するのは、“昭和の頭”に凝り固まる筆者にとってはチト難解。「タイヤの内側に張り付けた指先大のセンサーが接地荷重を10数秒間ごとに測定。そのデータが新車時のデータとどのくらいの開きが出るかで、タイヤの残り溝を推定する」というもの。測定誤差は±1ミリという。タイヤの新品時のタイヤ溝が約8ミリ、タイヤメーカーの推奨残り溝が3ミリとして、走り方にもよるが5000キロで1ミリ減るとすると、2万5000~3万キロで交換というのが平均的とされる。
窒素ガスを充填すれば3ヶ月ほどは目立った空気圧の変化はない。今後ますますタイヤのメンテナンスフリーかが進むだけでなく、「通信でクルマのタイヤ情報をタイヤショップが把握し、セールスに結び付ける」(同)つまりタイヤにまつわるニュービジネスが生まれるという。結果、命を載せているタイヤへのユーザーの無関心が広がるかも!?