昨年の税制改正で、それまで右肩上がりだった軽自動車の売り上げに陰りがみえた、というエコノミストの声はあるけど、どっこい日本の軽自動車市場は活気がある印象である。
とにかく、いまや200万円近くになったとはいえ維持費の安いカテゴリーのクルマにしては、ハイテクがガンガン投入されているので目が離せない。たとえば、先日フルモデルチェンジしたスズキのワゴンRは、軽自動車初のハイブリッドが投入された。いわゆるマイルドハイブリッドだが、燃費が、かるく30キロ越えの33.4km/lというから恐れ入る。動力系だけでなく、シートからシャシーから、そこいらじゅうを見直し、車両重量を20kgも軽くしたことも効果を上げているようだ。
自動ブレーキだって、ひところのカメラひとつで障害物を見つける「なんちゃって自動ブレーキ!」ではない。単眼カメラと赤外線レーダーで前方のクルマや歩行者をとらえ、ブレーキによって衝突を回避、または衝突時の被害を軽減する本格派なのだ。たとえば、時速約5キロから時速約100キロなら、自動ブレーキが働くので、よほどの悪条件でない限り、前方にある障害物とぶつかる可能性が少ない。もちろん、車線逸脱警報やフラツキ警報などの安全機能が付いている。ヘッドライトのローとハイを自動で切り替えてくれる「ハイビームアシスト機能」まで付く。
ただ、個人的に気にいらないのが、エクステリアだ。前モデルが営業的に成功しているので、イメージを踏襲しすぎた。なんだか、学食の定食を前にした気分になる。いくら食材が滋味豊かでも、これでは食欲がわかないのだ。質実剛健なスズキと言えばいえるが、眺めればながめるほど退屈な外観である。いちおうスティングレーというスポーツ版があるが、フロントグリルのオメカシを少し替えているだけで、いまどき、こんなのでユーザーを騙せない!
価格は、ハイブリッド仕様で117万円台から。
若き日の松田さんも、こうした統制経済化でできた「大阪自動車用品配給統制会社」に配属された。統制会社とは奇なモノだった。同業者とはいえ、昨日まで異なる組織でビジネスをしていたもの同士の寄り集まり。いわば呉越同舟の組織。伝票一枚切るにも3~4つのハンコが必要だったり、1台のクルマにスパークプラグの割り当ては「1本だけ」という実態を無視した妙な統制があったりで、満足な仕事ができなかったという。
シボレーとフォードはスパークプラグとコンタクトポイントがまったく同じ部品なので互換性があった。ところが、クルマのことなど何も知らない上層部が机の上で決めたため、価格差が生じ、松田さんたち現場のスタッフを混乱させたという。
この配給統制会社には、社員が全部で60名ほどいた。なかには統制違反を犯し逮捕された仲間もいたという。もちろん工場自体が軍需工場に塗り替わっていたので、満足に商品である部品が入手できるわけではなく、ないない尽くしの状態で時間が過ぎていったという。時には徴用といって国が国民を呼び出し強制的に仕事をさせ、大阪府下の軍需工場で慣れない工具を手にして、工員としてモノづくりに従事させられたという。
当時の日本はいわゆる「皆兵(かいへい)制度」を採っていた。健康な男子であれば誰しもが戦争に駆りだされた時代。昭和17年、18歳になった松田さんは、徴兵検査を受け、乙種合格、2年後の9月に香川県の善通寺にある部隊に配属された。その時代は自動車関連の仕事をしていた若者はごくわずか。ここでも現場を見ない上層部がいたようで、松田さんは≪自動車に関してはまんざらシロウトでもない≫という理由で、自動車連隊に配属されたという。
(写真は当時の木炭自動車。日野自動車の博物館「21世紀センター」で撮影)
ハイブリッド車は、燃費がよくて財布にやさしい“いいこと尽くめ”のクルマだと思っていたら、いきなり暗がりでパンチを食らうほどのショックを受けた(少し大げさだが)。ヒーターがほとんど効かないのだ。外気温が5℃以下になると、いくら車内とはいえブルブル! 昔のクルマなら、しばらく走ると徐々にモヤ~ッとヒーターが効き、車内の居心地がよくなる・・・そんな空調感覚はいまや昔物語となった。
筆者のシエンタは、あらかじめメーカーオプションで、シートヒーターが付いているので、それなりに快適なのだが、シートヒーターなしのハイブリッドカーは、震え上がる(シートヒーターのスイッチを入れ忘れてその辺は確認済みだ)。
このシートヒーターは、フロントガラスのUVカットなどとともに3万円と意外と安いTOYOTA罪滅ぼしプライス!? で付くのだが、もしこれを付けていなかったとなるとゾッとする。(リアシートにはシートヒーターなどない!)
友人のセールスマンに聞いてみると「ハイブリッドカーをお売りするとき必ず、冬場にヒーターがほとんど効かないので、シートヒーターをオススメしています。この説明をしないと、あとで文句がきますからね。どのくらいのハイブリッド車購入者さんがシートヒーターを付けるかですか? 大体20%ぐらいです。通常のガソリン車ならゼロに近いですから、ある程度は私たちの声が反映されている。でも、短い距離しか走らないユーザーさんは、シートヒーターには関心を抱かないですね、ハイ」
トヨタの肩を持つわけではないが、シエンタのシートヒーターは、立ち上がりが素早い。1分たつかたたないうちに、座面とシートバックがポカポカしてくる。それも人間、不満は付き物。ヒーター効果がないので、足先が冷えたまま。そこで厚めの靴下を履くしかない。
理屈を言えば、ヒーターが効かないということは、排気熱が少ないことなので、燃費がいい証拠なのだが、冬場の人間を凍えさせること、ということのようだ。(冬場の寒さ対策を考えるなら、キャンピングカーなどで活躍していて、10万円ほどから手に入るべバスト(WEBASTO)のFFヒーターを考えるしかない!)
掴んで回してみると、「うん、これはアメリカ人向けにつくったスタビドライバーに違いない! 日本人の手には持ち倦(あぐ)ねるほどだ」。
第1印象の通り、名称に「ビッグボール」という文字が入る。スタビタイプとはいえ、これほどまでにずんぐりとファットなドライバーのグリップ部に遭遇したことがない。
メジャーで測定してみると、一番太いところの外周が160ミリ、直径が50ミリ、全長がビットを付けないで85ミリ、付けると100ミリ。重量も実測で123グラムと、やや重い感じがする。だから、白と黒の2トーンで軽やかに見せようとしている!?
「ちょっと、デカすぎて使いづらい・・」と思いながらも、グリップエンドのキャップを回すと、8個のビットがポコっと顔を出した。プラス1番、2番、マイナス4と6、それにヘキサゴンビットの2、3、4、5ミリの計4個が、まるで拳銃の弾倉のように円周状に収まる。美しい佇(たたず)まいだ。
その1本を取り出し、使ってみるとギア数36のせいもあり、ラチェットフィールは軽やか。左右の切り換えは手で確かめる必要があるのが難であるが、ビットの入れ替え作業などはとくに不便を感じない。大きなトルクをかけられそうもないので、自動車の整備やバイクの整備には不向きかもしれないが、家庭で使うとかホビーで使うぶんには重宝する、そんなツールとみた。
価格は、近くのホームセンター・コーナンで、825円だったが、この原稿を書いている時点でのネット調べで、「庫ざらえ商品」(在庫処分の意味)として350円(税別)で売っていた。半値以下とは・・・。正式な商品名は「ビックボールスタビラチェットドライバーセット」である。台湾製だが、㈱コーナンが輸入販売を担当。
VWのコンパクトSUV「ティグアン(TIGUAN)」がフルモデルチェンジしたというので、その発表会に出かけてみた。
会場の有楽町国際フォーラムの中庭にはすでに一般ユーザー向けの展示コーナーを設け、なかなかチカラ瘤を入れているようだ。
ティグアンと聞いてもピンとこない読者が多いはず。その上の大型高級SUV「トゥアレグ」(ポルシェのSUVカイエンとプラットフォームが共通)とゴチャゴチャになっている人も少なくない。かくいう筆者もこの口で、馴染みがない。調べると、このティグアン、グローバルでは280万台以上販売していてVWの主力車種ナンバー4だそうだ。
だが、日本では約8年で、わずか1万2000台しか売れていない。ゴルフが年間約2万台にくらべとトホホ状態。地味すぎるエクステリアが、その原因と見た。
そこで今回フルチェンジした2代目は、全高を35ミリ下げ、全長・全幅・ホイールベースともに伸ばし、より大きく居住性向上だけでなくスタイリッシュに努力。でも旧モデル同様、セクシーさは微塵も感じさせない。エンジンが1400cc直噴ターボで気筒休止システムを導入するなどで、燃費も10%改善し、16.3km/l。カーナビがより便利になるなどインターネットにつなげられる仕掛けがあり、このクラストップクラスを自慢する安全装備を備えるという。
それにしても、旧モデル同様とあまり変わり映えしないエクステリアは、逆に質実剛健が大好きなまじめな人には、受けるかもしれない。価格は360万円台から。
ちなみに、ティグアンという車名の由来は、タイガーTIGERと爬虫類イグアナのドイツ語LEGUANの2つの単語からの造語だそうだ。この車名から眺めると違って見える!?
数年前から始まった軍備拡張予算をきっかけに、財政は軍事支出を中心に急速に拡張し、資金と貿易面から直接経済統制に踏み切った。日中戦争を継続させる上で生産力の増大を図る必要があったからだ。
昭和13年には国家総動員法が制定され、政府が国会の承認なしに経済と国民生活全体にわたって統制する権限を得る。まさに軍需産業優先の経済シフトである。翌昭和14年になると国民徴用令により、一般国民が軍需産業に動員された。既成財閥系の大企業が軍需品を積極的に生産し、財界代表が内閣に加わるなど、大企業は≪国策≫への協力を求められた。
自動車関連では、こうした統制令や総動員法をうけて・・・商工大臣(戦後総理大臣になり安保条約の締結をめぐる責任で退陣を余儀なくされた岸信介)の通達により乗用車の製造が原則禁止され、自動車用の資材の割り当てなどの統制が実施された。そして、昭和14年12月、日本フォードと日本GMでのアメリカ車ノックダウン生産が中止されたのである。
自動車をめぐる統制経済はそれだけではなかった。
同じ年の昭和14年に外国製の自動車、用品、部品すべての販売が全面禁止された。さらに自動車統制会の傘下のもとに「日本自動車整備配給会社」が設立され、自動車の販売店を1県1ヶ所の配給会社とし、自由なクルマの販売ができなくなった。生産された(国産の)自動車は優先順位をつけられ配給されるという、今の時代からはとても想像できない息苦しい社会へと変貌していったのである。(写真は、このころ石川島自動車製作所とダット自動車製造などの合併会社が1940年につくったバス。日野自動車の博物館である21世紀センターで撮影)
天井裏の点検といえば、5年前の中央高速笹子トンネル崩落事故を思い出す。
のぼり車線のトンネルが突然崩壊して、9名の死者をだし、長いあいだ通行止めとなり物流に多大な影響をおよぼした。この背景には、杜撰(ずさん)な天井裏の点検作業があったといわれる。
東日本大震災のときに、九段会館の天井が崩落し死者を出していることからも、大地震でも崩落しやすいのは天井でもある。天井は建造物のウイークポイントなのかもしれない。
天井裏の事前の点検は、6年ごとに義務化されているといわれるが、これまで機器の不足で、十分に行われてこなかったという。このほど千葉工業大学が試作し、大成建設が実証実験などで協力して作り上げた「天井裏点検ロボット」は、見たところなかなかに完成度が高く、従来より小型軽量を追求した頼れるロボットの印象だった。
千葉工業大学は、スカイツリーのビル8階に特別なキャンパスを持っていて、そこでの発表だ。写真で見るように、女性でも楽に抱えられるほどの大きさと4.5kgの軽量だ。少しでかいラジコンカーぐらいである。
ボディ両サイド、ボディのコーナー4ヶ所、計6個のクローラー(CRAWLER)が付いていて回転前進、後進を無線でコントロールする。パソコン画面を見ながらジョイスティックで遠隔操作。記者の携帯電話の電波に邪魔され、始めうまく動かなかったが,邪魔な電波を取り除くと,150ミリの段差もものともせずにスイスイとロボットは進んだ。聞けば100ミリの隙間があればそこもすり抜けられるという。原発の処理段階でも活躍が期待されそうだ。
今年にはいり今のところ、関東の平野部では積雪はないが、昨年11月に実は積雪があり、大いに戸惑ったドライバーも少なくないと思う。
朝一番、急いでいるときに窓ガラスや屋根に積もった雪を取り払うのは、意外と厄介。とくに、屋根の高いワンボックスやSUVだと背伸びしてホーキで雪を払う・・・なんてことも。
そんなとき、これがあればスマートに朝のスタートができる。
「ミシュラン製」とは銘打ってはいるのでフランス製かと思いきや、小さな文字で“メイド・イン・チャイナ”とある。価格も1180円(コストコ調べ)で、手に入れたので、「あまり期待できない!」。ところが・・・じっくり眺めるとなかなか悪くないことに気づいた。
英語の「VERY LIGHT AND VERY STURDY」はけして大げさではない。実測0.455kgと軽く、本体の軸部分がアルミ製なので、数回使って壊れるという製品ではないと見た。(辞書を引くとSTURDYはSTRONGより堅い用法で、こんなときに使うんだ)
使い勝手もよく考えられている。全長を77ミリ、95ミリ、115ミリと3段階に可変でき、背の高いクルマの屋根にも有効だ。ただ、一番長くしたときヘナヘナになるのでは? と考え、目いっぱい伸ばしてグニュグニュ動かしてみたが、問題なしのようだ。
幅30センチほどのブラシ部分は、ワンタッチで柄に対して角度を直角、ストレートに変えられ、しかもブラシ部を取り外せるので、ガラス部に付着した雪落しにまことに便利。逆側のスクレーパーは、付着した氷を削り落とす役目だが、幅が110ミリもあり、なかなか頼もしい。色もブルーとシルバーのツートンで悪くない。
トランプ大統領が、中国貿易を締め出せば、こんなに安くていいものがアメリカ国民のみならず日本のユーザーが手にできなくなる! スクレーパーを眺めながら、そんな心配までしてしまった。