タクシーは年に10数回ほどしか乗ることはないが、路線バスやトラックなどとともに街中の風景を左右する乗り物なので、とても気になる存在だ。
日本では、クラウンコンフォートが、ガリバー的存在。そのトヨタのタクシーがフルチェンジされた。「JPNタクシーLPGハイブリッド」である。JPNとはジャパンのことだ。
トヨタなら、専用プラットフォームの新型タクシーかな、と思いきや…‥手近なクルマをベースにしている。コンパクトカーである量販車シエンタ・ハイブリッドをベースにしたものだ。
今後40年50年街中の風景になると思うと少し肩透かしだが、気を取り直して、眺めると、いろいろな工夫が見える。ホイールベースと車幅はシエンタと同じだが、全長を165ミリ伸ばし、全高を75ミリ高くしている。これにより、左側のスライドドア開口幅720ミリ、開口高さ1300ミリ、乗り込み高さ320ミリを実現(右側リアドアは普通)。人にやさしい乗り降り性を具現化していると思う。重量はシエンタにくらべ約30kg重くなった程度だというから、なかなかだ。
一番苦労したところはどこか? と開発者に聞いたところ「アシストグリップです」とすぐ答えが返ってきた。「邪魔にならず使いやすくするため、トライ&エラーして素材と形状を決めたんです」とのこと。燃費はJC08モードで、19.4㎞/l(シエンタHVは27.2㎞/l)。価格は327万円台からと意外と高い。30万キロ走行後のダンパーなどの劣化具合が気になるところだ。