いきなりですが、ここで質問です。
「自動車のピストンって、どのくらいの重さだと思いますか? 1分間にアイドリング時でも650回転ほどエンジンの中で上下するピストン」
答えは乗用車用のアルミ合金製でだいたい300~400g、スポーツカーのピストンになると300gを切っています(例えば手持ちのフェラーリのエンジンのピストン、マーレ製ですが275g!)
ところが、地上を走るクルマのエンジンもいろいろです。トラックの、それも大型の6気筒で排気量12.8リッターのエンジンのピストンを先日、京都の某リビルトメーカーから頂戴してきて、ここ3週間ほど眺めて暮らしています。50万キロ以上走ったピストン。眺めているとなんだか鼓動が感じられる。
その中間報告ですが、なんと重さが! 1個のピストンですよ、驚かないでください。1個4.7㎏もする。普通のガソリンエンジン用ピストンの12倍強。ピストンピンだけでも2㎏ですから、普通のガソリンエンジンのピストンの6個分! ボアは、132ミリです。こちらは2倍はいきませんが。ピストンの高さは2倍近い110ミリもある。ピストンピンのボス径が56ミリもある。
驚くべきは、その置かれた環境だ。燃焼圧は25MPa(メガパスカル)前後なので、ガソリンエンジンの2倍近い。熱負荷は、ガソリンエンジンのピストンがせいぜい300℃に対し、ディーゼルは500℃レベル。高出力化でますますストレスが大きくなる傾向だ。だから、アルミ合金ではなく、鋳鋼製なのだという。