次世代の乗り物は、EV(電気自動車)でほぼ間違いがないようだ。
EVは、モーターでタイヤを回転させ、駆動するのだが、キーテクノロジーは、高性能なバッテリーである。
高性能とひと口で言うが、早い話、軽くてかさばらず、ワンチャージでできるだけ遠くまで走れ(エネルギー密度が高い!)、しかも短時間で充電ができ、長寿命であること。もう一つ言うならコストが安い!
現在の最先端バッテリーのリチウムイオンよりも、ざっくり2倍強の高性能なものが求められている。移動の自由が今後持続的に可能な、環境にやさしいクルマ社会を維持するためのキーテクノロジーである。
“バッテリーの神様”がいたとしたら、実に虫のいい話である。
この虫のいい蓄電池の開発に世界のモノづくりメーカーは、いまや必死だという。
次世代型の蓄電池は電解液が液体ではない固体の「全個体電池」だそうだ。電解液が固体だと、液漏れによる発熱や火災の心配がないだけでなく、航続距離がより長くとれ、充電時間も短くなるのだという。コストなどが不明だが、現在トヨタは、この「全個体電池」にフルスロットルで研究に取り組み、2年後の2020年の前半には実用化する予定だという。(写真・左がリチウムイオン電池、右がその全固体化。全固体化電池をトヨタと共同開発している東京工業大学の菅野了次教授のホームページから)
じつは、トヨタグループの祖である豊田佐吉翁は、1925年に、飛行機で世界一周できるほどの電池の開発に100万円(いまの金額なら20億~30億円)の賞金を出しているが、いまだに実現されていない。その条件は、100馬力で、36時間連続運転ができ、重量60貫(約225㎏)、大きさ10立方尺(約280リッター)。この条件には遠く及ばないながら、すこしでも近づきたい。開発者のあくなき戦いが展開されているという。