ダイヤモンドフリー号の販売好調に気をよくして、翌1954年には、本格的なオートバイ、つまり2輪の完成車を発売している。エンジンは、4サイクル単気筒90㏄で2PSを発生。このエンジンは、OHVではある。エンジンについては、戦前に購入し、研究した英国製オースチン・セブンの反映だとされる。
7リッター入りのティアドロップ型の燃料タンクをはじめ、車体回りは当時としてはとても洗練されたデザインだった。自動進角装置の付いたフライホイール・マグネット点火方式を採用し、国産量販車としては初のスピードメーターを備えていた。車名の「コレダ号」(写真)は、「オートバイはこれだ!」といういささか人を食ったネーミングだった。(スズキはそののち短絡的というか、わかりやすいというか青山のホンダから見ると奇妙なネーミングの製品を世に送る傾向がある)
とはいえ、コレダ号はそののちスズキの代表的バイクのブランドとなり、1961年には、「コレダ250TB」(価格は17万5000円)というスポーツタイプのダブルシート、バーハンドル、メッキフェンダー、後端を絞ったテーパーカットマフラーなどを採用し、人気を博している。エンジンは2サイクル2気筒で246㏄20PSだった。