ひさびさに栃木の「ツインリンクもてぎ」に出かけた。
一般ドライバー向けのドライビング・スクールが、このところキャンセル待ちも珍しくないほど人気だという評判に誘われたからだ。いったいどんな人が、どんな目的でわざわざ都内から2時間ほどかかるもてぎまで出かけているのか? これを探るためだ。
中級から上級まで10クラスほどあり、ランチ付きで2万円前後と決して安くはない。取材したのは上級の中クラス。受講生14名。持ち込み車両は、RX-7,RX-8,BMW、アウディ、インプレッサ、トヨタ86、ロードスター、ロータス・エリーゼなどスポーツカーもしくはスポーティカーである。驚いたことに50歳前後の女性が2名、60歳代のシニアが4名ほど、20歳代はわずか1名で、平均すると40歳代だ。若者のクルマ離れがこんなところに如実に出ている!
一周約1.2㎞の舗装路ショートコースの一部を使い、ブレーキングの練習、コーナリングの練習など正味5時間ほど、みっちりスポーティ走行が楽しめる。レシーバーでインストラクターが、その都度アドバイスを与えてくれたり、褒めてくれたり……。いわばマンツーマンで教えてくれる。
受講者にインタビューすると、「一度事故をしたことがあり、限界の走りの体験の大切さを知ったから」とか「いまはクルマを持っていないけど、スポーツ走行の面白さに目覚めまして」「バイクの事故で車椅子ですが、もともとクルマが好きなので」。女性の一人からは「フルブレーキングをしたかったのがきっかけですが、いまは毎日でも来たいです!」という声も聞こえた。最後に、インストラクターの厳しい評価表までもらえ、今後の課題を教えてくれる。
一日受講者に寄り添い眺めていると、たとえば「首都高でコーナリング中に障害物に出くわし、とっさに速度を落としたり、ハンドルで逃げる」そんなアクシデントに対応できる技量が身に付く。普通の教習所ではご法度な急ブレーキなど、“急の付く運転”を体験するこのスクールの偉大さが見えてくる。