インドでは、生産の苦労をしただけあって、販売は極めて順調だった。普通の市民にとってこれまで高い関税(なんと170%!)に阻まれ、いいクルマに恵まれなかったのが、インド製の価格が安くて高品質なスズキブランドのクルマが販売されたのだから、インドの街中にスズキのSのマークのクルマが増えるのは時間の問題だった。
インドで作られたスズキ車も2016年3月から日本で販売されている。5ドアのハッチバック「バレーノ」(BALENOはイタリア語で“閃光”のことだという)がそれで、1リッター3気筒直噴ターボエンジンと1.2リッター直噴4気筒ガソリンエンジンの2本立て。車格はスイフトと同じだが、ボディサイズはスイフトよりも一回り大きい。その後、5ドア・クロスオーバーSUVの「イグニス」(エンジン1242㏄4気筒)も登場している。
いま(取材当時)では、インドの新車登録台数の約半分はスズキ車だという。インドは人口が約13億人。自動車の販売需要はここ15年で約4倍に増え、年間販売台数でいうと、中国の2800万台、アメリカの1780万台、日本の500万台、ドイツの370万台に次ぐ世界第5位の市場ということになる。