「隣のクルマのドアが開いた拍子に傷つくドアパンチ。停めていたクルマに自転車がぶつかり線状のへこみができる。あるいは布団バサミが2階のベランダから落ちてきてボンネットとかルーフをへこませる。まぁ、この3つのアクシデントのどれかでやってくるお客様が大半です」と明快に答えてくれたのが、小平市花小金井にあるデントリペア専門店「インプレッション」の店長・高橋人史さん(55歳)。
デントリペアとは、雹(ひょう)の被害で凹んだボディをスチール製の特殊な工具で、修復するところから始まったテクニカルな技だ。通常は2か月の研修を受け、その後武者修行に近い努力をおこない一人前になる、という職人技だ。使う工具を見せてもらったところ、100本ほどの先端が異なったツールは、プッシュ式とツイスト式の2カテゴリー。通常はプッシュ式で、てこの原理で、凹みを少しずつ修復。ツイスト式は、ドアパネルなどプッシュタイプでは不可能なところを工具をツイストさせて凹みを徐々に元通りにする。・・・・と言葉にすると、簡単に聞こえるが、やってみると逆に傷が広がること請け合い。
ひとつとして同じ凹みがないので、その都度何処に支点を設けるか、工具をどう挿入するかなど、頭はフル回転する。傘の先端で鋭く凹ませた凹みは、パネルが伸び切っているので、修復ができない。逆に凹み面積が大きくても深くなければ修復可能だという。
面白いというと語弊があるが、お客様はリピーターが多く、男性ユーザーが99%だという。女性は年に一人ぐらい。塗装がはがれたりしない限り女性は、平気でいられるのだろうか? 謎である。