「しずしずとゆるゆると小型バスが走る!エンジン音がなく、運転席もハンドルもない!」
小型バスなので、もちろん線路の上ではなく、舗装路の上を走る! 速度が時速10キロ前後なので、じれったいといえばじれったいが、なんだかこれまでのクルマとは世界観というか概念が異なるので、すべてのこだわりや悩みが洗い流せる・・・・。まるでヨガの世界か、はたまた瞑想の世界!?
電車でもないし、これまでのバスとはまるで異なる不思議な世界を作り出したのは、フランスからやってきた「ナビヤ・アルマ(NAVIA ARMA)」という小型のバスだ。レベル4の自動運転のEVシャトルバス。日本ではソフトバンク系の企業SBドライブが扱う。
全長4750㎜、全幅2110㎜、全高2650㎜というから、いま街中でよく見かける日野のポンチョ路線バスに比べ、全長で約1~2m短く、全高で0.4m低く、全幅がほぼ同じ。車両重量は、2400㎏なので、ポンチョの約半分しかない。一回り小型のかわいいバスである。
面白いのは、デザインが前後とも同じ、前が後ろで後ろが前!ライダーセンサーを車体の前後側面に計8個付け、ルーフにはGPSで位置情報を確認しながら、時速20キロ弱で走る。車内には、運転席もないし、メーターもない。タブロイドのモニターに行き先を入力し、GO! すると、側面のでかい折り畳み式観音開きのドアが閉まり、ゆるゆるとバスが動く。シートの数は補助席入れて11席、吊り革が4つあるので、定員が15名ということだ。
低床(最低地上高が200㎜)なので、乗り降りがしやすく、乗り心地も悪くなかった。このバス、フランスのベンチャー企業が製作で、すでに世界で120台ほどが走っていて、日本にも4台導入され、あちこちで実証実験やデモ走行をおこなっているという。福島第1でも従業員のシャトルバスとして動いているという。4輪操舵なので、小回りが利く。回転半径4.7m。これはポンチョのショートボディより2.2mも小さい。
試乗して、途中でちょっとしたトラブルがあった。車両が歩道橋の下に入ったところ、GPSの電波が入力しづらくなり、止まったのだ。そのとき、車中にいた担当者が、ゲーム機のコントローラーのようなものを取り出し、リセットし、無事動き出した。現在ナンバー取得に動いているという。