欧米では高級車の自動運転が注目されているようだ。ところが、日本では路線バスやコミュニティバスが一足先に自動運転化される公算が高い感触だ。同じルートを低速で走るバスが、自動運転化されれば運転手不足、シニア層の足の確保など当面の課題が解決されることにつながるからだ。
2月7日に横須賀のYRP(横須賀リサーチパーク)で行われた「ヨコスカ・スマートモビリティ・チャレンジ2020」でお披露目された埼玉工業大学の自動運転マイクロバスは、新しい地平を開くコミュニティバスとして注目されていい。
このマイクロバス、レベル4の自動運転システムを組み込んでいる。屋根の上にユニコーン(一角獣)のようなRAIDERセンサー、グローバル・ナビゲーション・サテライトシステムGNSSアンテナ、車両の前後にレーダー、フロントガラスには3個の障害物を検知するカメラと道路の白線などを認識させるモービルアイ。いわば完全武装を思わせる複数のセンサーと東大発のベンチャー企業ティアフォー社の自動運転OSであるオートウエアを駆使して人工知能AI化。
プロトタイプとしては、自動と手動の切りかえのスムーズさやコーナーでのベテランドライバー並みのハンドルさばきなど、試乗した印象は悪くない。コースが箱庭的で十分吟味できなかったが、完成度は高いと見た。
着想がユニークなのは、この自動運転マイクロバス、福祉車両をベースにしている点だ。ステージ3とかステージ4の自動運転車両となると運転手が必要。福祉車両をベースにしたことで、従来のような高い運転技量がいらない。つまり運転技術のハードルを下げ、公共交通のドライバー不足を解消することにつながる・・・・。
担当の渡部大志(わたべ・だいし48歳;写真)教授の説明はより具体的だ。「極端な話ドライバーは、身体障害の方でもできる。それに、シニアでまだまだ運転がある程度できる方は世の中に少なくない。こうした方の働きの場所を創設するクルマがこれなんです」。完全無欠の自動運転レベル5ではハンドルもドライバーも不要となるが、それまでにはまだ10年前後の時間が必要とされる。だとすれば、運転手不足の解消策も視野に入れる渡部教授の着想は、絵に描いた餅ではない。
ちなみに埼玉工業大学は、自動運転マイクロバスを製作し、全国のバス事業者に意見を聞くとともに、他校に先きがけAI専科を設け約40名の次代を担うエンジニアを養成し始めている。モノづくりでの実証と人材の育成。
エンジンは、先行して開発した水冷4気筒直列4気筒の排気量700㏄と800㏄。4輪トラックの「ニューライン」に積んだエンジンと同系だ。ダイハツとイタリアのデザインの融合で誕生したクルマは商用車のバン(写真)だった。
これを昭和37年の全日本自動車ショー(いまの東京モーターショー)で出品した。「コンパーノ」、イタリア語で仲間とか同僚という意味だ。
このバンは38年5月に発売、翌6月にはコンパーノワゴン800も発売した。月産1000~1200台となり、一般ユーザーからの要望を受けセダンタイプの「ベルリーナ」を昭和39年にデビューさせている。ベルリーナは、イタリア語で「セダン」を意味する。
こうしてダイハツは、小型4輪乗用車の市場に船出したのである。この年の9月には、昭和5年から数えてダイハツの自動車生産類計台数が100万台を越えた。
昭和30年代の後半になると、軽乗用車の需要が急速に増加してきた。昭和40年には約40万台と全乗用車の約2割を占めた。これに伴い、これまで車庫証明不要だったが、人口10万人以上の都市部で必要になり、制限速度も時速40キロから60キロと小型乗用車並みに引き上げられた。ときには、「いざなぎ景気」とのちに言われる時代で、カラーTV,クーラー、カーの3つのCが、“新3種の神器”ともてはやされた。日本の自動車生産が228万台(昭和41年)となり、アメリカ、西ドイツに次ぎ世界第3位となった。
このところのコロナウイルス問題で小康状態だが、インバウンド需要を狙った“観光地の魅力度向上作戦”は、あちこちの自治体で熱を帯びている。
150年前はわずか500人程度の貧しい漁村でしかなかった横浜市もその例にもれず、ずいぶん熱心だ。昨年1年間でみなとみらいにやってきた観光客は8300万人というからすごい。
そこで打ち出したのが、国産の新型連節バスによる新路線バスルートだ。
横浜駅東口から、みなとみらい、イベント会場の横浜パシフィコ、赤レンガ倉庫、大さん橋客船ターミナル、中華街をへて、山下ふ頭までの約5キロの行程を113人乗り新型連結バスが結ぶというもの。「IRがだめなら、観光資源があるので、それを魅力あるようにつなげていきたい!」とついゲスの勘繰りをしたくなるが、いざそのバスを見たとたん、「意外とこれ、イケるかも!」と正直、これを企画した人物の頭脳をリスペクトしちゃいました。ブルーのメタリックのバスのカラーリングと、フツーのバス2台分の長い路線バス、他にはない斬新性。乗客を一度に大量に運べるという機能性だけではない。そこはかとない美意識をいたく刺激された、といえば理解してもらえるか?
連節バスは、すでにドイツ製のタイプが藤沢や神戸などで運用されている。ただ、これらはみな大量輸送が一大目的。横浜での試みは、オシャレな街づくりというか街おこし作戦に連節バスを持ってきたことになる。
このバスはショーケースにたとえられる。道行く人から眺めると“動くショーケース”であり、そのショーケースに乗客が乗りこめ、移動の楽しみを味わえる。水際の整えられた美しい街並みを堪能する。
・・・・そうか、日本の町で一番忘れられている「美しい街づくりのコンセプト」をこのバスで具現化しようとしているのかも? ブルーのメタリックに彩られたバスを見ているうちに、そんなプラスな思考がどんどん広がっていった。(ただし、車内に足を踏み入れ、がっかりさせられたのは、心躍ることのない地味なシート表皮。欧州バスのカラフルさを見習うべきだと思う!)
ちなみに、このバスのエンジン(モーターとのハイブリッドタイプ、エンジンは直列6気筒8866㏄)とトランスミッション(AMTの7段)は日野自動車製で、全長18メートルのボディや足回りなどはいすゞが担当し、組み立ては路線バスの工場である宇都宮でおこなわれるという。連節バスのモノづくりをごく単純化すれば、2台のバスの後ろと前をカットし、定評のあるドイツ・ヒューブナ―社製の油圧制御の連節機でつなぐ、というものだ。最大屈曲度56度で、車両重量はコンパクトカーの約18倍にあたる18トン。12個のカメラを持ち、路線バスでは世界初のドライバー異常時対応システムを備える。
この連節バスの運営は、横浜交通局で、今回同時に4台の連節バスを導入したという。価格は1台約1億円だから合計4億円の買い物。うち半分は国からの補助金でまかない、残りの半分(つまり全体の1/4)は横浜市が負担するという。
チャレンジングのツールを送り続ける兵庫県三木市あるスエカゲツールから、ヘッド部分がとてもコンパクトなラチェットハンドルが登場している。「スマートヘッドラチェット」がそれ。従来のコンパクトヘッドよりさらにスリムでハイトルクにした、というのがキャッチフレーズだ。
手に持ち使ってみると確かにコンパクトなヘッドである。ノギスで測定してみると、ヘッドの幅は22.5㎜で、従来のスエカゲツールの品番STRと呼ばれるものよりも5㎜ほどコンパクトになっている。これは差し込み角3/8インチのラチェットハンドルでの比較なのだが、ライバル品はだいたい28~30㎜に収まるので、22.5㎜がどれほどコンパクトなのかが数字のうえでも十分実感できる。でもそのぶん、高さ方向には、従来品26.7㎜→29.5㎜と3㎜弱ではあるが、高くなってはいる。こうした技術の背景には新型のギア(写真)の採用があるという・・・・。
重箱の隅をつついた世界ではなく、実際使ってみると便利さが理解できた。ヘッド部にはプッシュボタンが付いていて、ワンタッチで、ソケットを取り外せる。大きさとデザインを吟味されたプッシュボタンの操作性も悪くない。プッシュボタンを組み込むとソケットを付けた時のガタが大きくなる傾向にあるが、それもごく小さめに収まっている。
それにスピンディスクといってヘッドの上面に指で回せるリングがあるので、細やかな締め作業と緩め作業ができる。ハンドル全体はいわゆる磨きタイプだが、バランスも悪くない。切り換えレバーも軽い操作力でおこなえるし、作業中にツナギの袖が引っかかって不用意に動くこともなさそうだ。全体の重量は190gで、筆者の手持ちの3/8インチ・ラチェットハンドル(全長は170~200㎜クラスでの)のなかでは、一番の軽量だ(重いものだと300gを超えるものがある!)。言い忘れたが、ギア数は72なので、送り角度5度。価格はNETでの実勢プライスで3000円ほどだ。
クルマの安全を高めていくには、複数のセンサーやカメラ、レーダーなどが必要だ。これが自動運転ともなるとさらにセンサーの数はうなぎのぼりの状態。
このままではクルマは、センサーという名の部品をあちこちにぶら下げた“お祭りクルマ”になりかねない(やや意味不明だが)。そこで、もっとスマートにまとめられないものか? センサーの数をできるだけ少なくすれば、コストも下がるし、生産性も上がり、軽量化にもつながる。
自動ブレーキ装置のモービルアイの発明からも類推できるが、このへんのテクノロジーは、どうもイスラエルあたりが一歩先進んでいるようだ。
イスラエルの「バイアー(vayyar)・イメージング」という企業が、このほど東京で、4Dセンサーというのを掲げて技術発表会をおこなった3Dは3次元だが、4Dとはあまり聞いたことがない。取材すると3Dプラス時間軸、ということのようだ。つまりこの3Dセンサーは、車内と車外でのモノの動き(人間も含め)をスキャンし画像を提供するというものだ。悪天候や暗闇などの環境要因にとらわれることなくセンシングする。
車内のルーフにセンサー(ベースはC-MOSプロセッサー:写真)を1個セットすれば、乳幼児の車内放置をアラートできるし、シートベルトのリマインダーもしてくれるし、ドライバーの呼吸や姿勢を把握し居眠り運転や健康状態の異変を検知してアラートする。座席位置と乗員の体格などに基づき適切なエアバックの展開もこれでおこなえるという。
「もちろん、車外の障害物をリアルタイムには検知します。ですから、車内に1個、車外では車両の前後、左右2個ずつ、1台の車に計5個のセンサーがあればOKなのです。現在は車外はクルマのまわり30mの範囲ですが、今後100m、300mとロングレンジ・バージョンも出していく予定です」と担当者は大きく胸を張る。
この企業、イスラエルの国防軍のチーフエンジニアが、創業したというから、てっきりこの技術は軍事用の発展版だ、と連想。「いや、よくそう言われるのですが、じつは2011年からスタートした乳がんの早期発見のマンモグラフィーの研究から生まれたものなんですよ」(担当者)とりあえず重層的意味を抱えるイスラエルに注目である。
幾多の改善もあり、ハイゼットシリーズは、販売が好調で昭和39年4月には荷台のスペースに重点を置いたキャブオーバー型のハイゼットキャブを投入、翌年にはキャブバンも追加し、軽4輪初の4段トランスミッションも追加している。
さらに、かねてより開発を進めていた800㏄水冷4気筒OHVのFC型エンジンを載せたピックアップ4輪トラックを「ニューライン」の名称で、昭和38年1月リリースしている。このエンジンは、小型乗用車のコンパーノ(写真)にも載せている。
昭和30年代の中ごろになると、日本は高度成長経済期に入る。昭和35年の池田内閣の「所得倍増計画」が高らかに宣言され、30年代後半には、個人所得が伸び、消費ブームが沸き起こった。
日本が敗戦後初めて、国際舞台に返り咲くタイミングでもあった。言い換えれば、貿易の自由化の波が押し寄せつつある状況。自動車メーカーには、次のステップである乗用車づくりへのヒリヒリするような飛躍・挑戦への時代であった。
ダイハツが、イタリアのカーデザイナーにデザインを依頼したのは、こうした空気のなかでだった。
社内デザイナーはまだ育っておらず、やむなく海外のデザイナーの力を借りて、飛躍のきっかけを作ろうという心づもりだったようだ。ダイハツからフレーム付きのシャシーを送り、ボディデザインを依頼したのだ。
ひと頃から比べると、それほど声高に言われなくなった自動車の軽量化。『クルマをより軽くしたい!』という要望や要求は、モノづくり世界ではごく当たり前のコンセンサスとなったのかもしれない。
≪軽量化→燃費が良くなる&生産時のCO2削減→コストも下がる≫ そんな図式で、軽量化は、いつの時代でも掲げるべき正義なのかもしれない。でも、クルマには、安全性、剛性、強度など数多くの要求も満たさなくてはならないので、軽量化技術は常に狭くて、しかもいばらの道ともいえる。
そんななか、先日ビッグサイトの見本市を取材していたら、面白い軽量化技術を見つけた。
シートの骨組みを旧来のスチールから“樹脂”に変更すること(これ材料置換という)で、約40%の軽量化、コストも約20%低減した、そんなリアシートの骨組みがあることを発見。高級車レクサスLS400(新車価格はざっくり1000~1500万円!)のリアシートの骨組みで具現化したという(写真上)。PPつまりポリプロピレンにグラスファイバー(GF)30%を混ぜた素材で作ったという。
樹脂が通常インジェクション成形なのだが、ここでは、長い繊維を生かし強度を維持する目的でプレス圧縮成型という手法でカタチをつくっているのがミソだ。そのため、薄肉での成型ができ、しかも靭性が高く、加工手順が減りコストもダウンしたという。この部品を試作したラピートという30名ほどの試作会社の社長重友さんに聞いたところ、トヨタ紡織の量産品なのだが、10数回設計変更をおこなったという。よく見ると、座面と背もたれのバックパネルは別々で成形され、金具などでジョイントしている。「ブラケットを追加したり、可動部分を付けたしたり、あれこれやるうちに約4年かかりましたわ」(重友さん)ということだ。この技術は軽自動車にも速やかにコミットしてくといいのだが。
ちなみに、この試作会社、もともとは板金業だったのだが、CFRPカーボンファイバーのホイール(重量が約半減!:写真下:右がCFRP製のホイール)を参考出品していたりして、なかなかに意欲的なのだ。
あまり人には知られたくないが、「自分は頭が悪いな~っ!」と思い知らされることが、ときどきある。
たとえば、スマホにややこしいアプリを入れた時などがそうだが、工具の世界でも、正直あります。
横浜から見ると、神戸の先の三木市に本社があるスエカゲツール(SEK)の工具のなかにもそれがある。
たとえば「カップリング・ラチェット・セット」がその代表格。私の所有しているのは、かなり以前発売されたものだが、基本的にいま販売されているモノとあまり変わらないようなので、話は通じると思う…‥。
そもそもカップリングというのは、カップルという言葉から分かるように「2つのモノ(あるいはそれ以上)を組み合わせる」という意味である。
だから、ソケットツールは、基本的にラチェットハンドルにソケット、あるいはその間にエクステンションバー(延長棒)を介在させるので、カップリング・ツールといえる。でも、SEKのカップリングは、それをこえて「2つ以上のものを組み合わせる工具」という意味合いである。
付属の「カップリングエクス」と呼ばれるグニュッと中ごろでオフセット(クランク)した部品をハンドルとラチェットハンドルのヘッド部分(ラチェットヘッド)のあいだに介入させることで、“(通常の工具ではとてもアクセスできない)奥まったところにあるボルトやナットを脱着できます!”という触れ込みの工具なのである。
ここまでは判ります。工具の意図することがわかります。ところが、これを机上で組み立て、あれこれやってみると、どうも具体的なシチュエーションが頭に浮かんでこない。「もちろん、工具は現場で困ったときに使う道具。だから困ったシチュエーションで使わないとリアリティが出ないよ」そんなごく当たり前のことを再認識させられた。
だから、これまで「困ったぞ」という状況で、この工具のことを思い浮かばなかったのは、いいことなのか、悪いことなのかわからなくなる。写真の6個の部品を見て、頭のなかで使う状況が浮かぶ人はすごいと思う!