みなさん!知ってますCAR?

2020年8 月 1日 (土曜日)

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ちいさなブレーキ博物館 下町のモノづくりの心意気!

下町のブレーキ博物館  東京の墨田区は、江戸の昔から続く伝統工芸のほかに、明治初期には時計、革靴、革鞄、肌着、石鹸など日用品の生産地として親しまれてきた。そのスミダに、小さな「ブレーキ博物館」が誕生して約20年、すっかり下町の博物館のひとつとして馴染んでいるという。
  今回初めてうかがったのは、コロナ禍で来場者数が減ったということもあるが、うっかりすると消えてしまう恐れがあるからだ。なくなってからでは遅い。
  この博物館、中山ライニング工業というブレーキ専門メーカーが母体である。日本のモータリゼーションが始まった昭和40年ごろから、ブレーキに特化した街の工場である。“ライニング”というぐらいだから、ドラムブレーキの時代からである。いまではディスクブレーキが主流である。といっても曙ブレーキのように摩擦材からつくるのではなく、摩擦材を専門メーカーから購入し、すり減ったブレーキ素材に新しく摩擦材を張り替えるという、リビルトなどを手掛ける企業である。
  この工場の得意技のひとつは、摩擦材の張替え作業だという。トラックなどのライニングはリベットを取り外せばいいが、乗用車、それもいわゆる旧車といわれる使い込んだ車のブレーキパッドの再生は、裏金(うらがね:怪しげに聞こえるが摩擦材の裏側にある金属の意味である)と呼ばれるパッドの金属ベースを回転する砥石を使い、古い摩擦材をきれいに削り落とすことから始まる。ここに角板と呼ばれる新品の摩擦材(肉厚約10㎜程度)を樹脂系とフェノール系の2液タイプの接着剤をつかい張り付ける。この半製品を約200°Cで30分以上焼き上げ、最後に角をけずったり、厚みを整えたり、面粗度を整えて製品化する。「ブレーキ時の鳴きをなくしたい」とか「ホイールに付着するダストを少なくしたい」そんなユーザーの要望(日本のユーザーは昔からこのあたりの要求が強いとされる)に応えるため、5種類ほどの摩擦材から選択するのだという。「ワンオフですから、価格は純正より当然お高くなります、まぁ1.5倍以上ですね」(高須さん)というが、ブレーキにこだわりのあるユーザーはいつも一定数いるという。
  ところで博物館は、クルマのブレーキとは何だ? その構造はどうなっている? ということから始まり、新幹線のブレーキは? ブレーキを無視するとどうなるか? スーパーカー・フェラーリにブレーキパッドは? といった日頃のブレーキにまつわる疑問にズバリ答えてくれる、そんな場所である。ごくごく小さい博物館なので、30分も時間があればOK。錦糸町の駅から徒歩12分だ。写真は、シミュレーターマシン。ブレーキペダルを踏むとその仕組みがわかるだけでなく、べーパーロックで制動力ゼロ状態や、アンチロックブレーキ装置のABSの効き具合も体験できる。℡03-3632-6931

カーライフ大助かり知恵袋1

日産をつくった男・鮎川義介の光と闇!(第8回)

ウイリアム・ゴーハム  ところが、満州事変がキッカケで景気が良くなり、とりわけ金価格が上昇したことから、日本鉱業の業績がいちぢるしく好転し、日本産業は飛躍の機会を得た。そして創立4年後の昭和7年に、日本産業は当初からの方針の持ち株の公開と、傘下企業範囲の拡大を図り、そのために短期間のうちに旧来の三井、三菱に匹敵する日産コンツェルンを形成するのである。日産自動車は、こうした巨大企業グループの支援の下に、日本最初の本挌的な自動車産業を目指すのである。
  「満目荒涼、地に一木一草の影をとどめなかった。折からの夕陽を浴びた富嶽(ふごく:富士山のこと)は、その雄大秀麗な全景をあらわし、この不毛な原野に、何人も企画しえなかった難事業が開始される」
  いま読むと肩ぐるしいが、これは昭和8年12月22日、日産横浜工場の地鎮祭を描いた社内報の記事である。表現は大時代で苔が生えかかっているが、当時の工場建設の前風景がよく伝わる。“見渡す限り、荒れ果てて寂しい感じで、地面に目をやると草木の1つも生えていない。遠くに富士山が夕日を浴びて美しく輝き、このなにもない原野に、これまでだれも考えだにしなかった自動車産業という未知のビジネスを始める”といった感じか。
  とにかく、日本でこれまでになかったマスプロダクションの自動車工場が自分たちの手でつくり上げ、世に自動車をどんどん送り出していく、そんな意気込みが感じられる。
  工場の建設自体、未知の世界で、難事業である。新工場に据え付ける工作機械類を買い付ける役目をしたのは、アメリカ人技師のウイリアム・ゴーハムだった。鮎川義介の人脈のひとりだったゴーハムは、8歳若い1888年生まれ。サンフランシスコでエンジン製造会社を営んでいたのだが、子供の頃父に連れられ、訪ねた日本が恋しく1914年、ゴーハム36歳のときだ(写真;桂木洋二著「日本人になったアメリカ技師」より)。鮎川の面倒見の良さもあったようだが、日本人の勤勉さと優秀さ、それに日本の風土に魅せられたようだ。

カーライフ大助かり知恵袋2

図説「世界の最悪クルマ大全」という単行本の楽しみ方

最悪クルマ大全1

最悪クルマ大全2

  「ボディは2年と持たずに、難破船のごとくサビつく。南イタリアの難破船」1972-84年に販売されたイタリアのアルファロメオ・アルファスッドを一刀のもとに切り捨てる。返す刀で「駄作は駄作! 金の卵を産んだアヒルだ」とばかりに名車クライスラーのエアフロー(1934年発売)を木っ端みじん。このクルマ、じつはトヨタがクルマづくりの時点でお手本にした名車とされているのである。
  日本車にだって容赦ない。たとえば初のロータリーエンジンを載せたマツダのスポーツカー「コスモ」のことを「目をそむけたくなるほどみっともない姿。カモノハシにそっくりだ。陸に上がった巨大魚」と皮肉る。1960年~70年代のクラウンには「調和を欠く見苦しいスタイリングは道路に対して失礼なほど。王座(クラウン)からはほど遠い古き悪しきトヨタ車」と、これ以上ないほどのあしざまな批評。
  1980年代後半に登場したいすゞの「ピアッツァ・ターボ」については、「掃除をさぼるとシル(サイドシル)やドアボトムに大きな穴が開きかねない。王様になれなかったクルマ」とずいぶん手厳しい。この時代の日本車は押し並べて、錆に苦労したことが知られてはいるが、それにしてもだ・・・別の見方をすればかなり古いクルマが多い(全部で150車)なので、自動車メーカーとしては痛くもかゆくもない、のかもしれない。
  筆者のグレイグ・チータム氏は、英国の自動車雑誌AUTO EXPRESSで活躍のライター。監修は、いまは亡き自動車ジャーナリストの川上完さんだ。
  この本、クルマ好きには、ドキドキのしっぱなしだが、冷静に考えれば、本来クルマは趣味の対象であれば「アバタも笑窪」となるが、生活者から見れば、こうした厳しい批評は消費者のためになる。でも、それでも心優しい日本人には、毒が多すぎる!? 英国人の皮肉を日常のなかで、薬としている、そんな人には大いに笑え、涙を流す、そんな本である。版元は「食人全書」、「不潔の歴史」などユニーク極まる人文書を得意とする原書房。初版2010年で、価格は2400円。英語のタイトルは「THE WORLD‘S WORST CARS」である。コロナ禍のなか、毒のあるクルマ本の紹介でした。

愛車メンテのプラスアルファ情報

つかむ! のではなく、叩いて溝をつくり緩める!

なめネジを外すⅰ

なめネジを外す2

なめネジを外す3

  ねじ径が3㎜から6ミリの皿ネジやナベネジ、はたまたトラスネジと呼ばれる「小ねじ」。その頭がつぶれた! この緊急事態に普通の工具では、お手上げだ。緩めることも締めることもできない! 
  こうした状況で、近年一世を風靡したのがネジザウルスをはじめとした“特殊先端部を持つプライヤー”である。相手のネジの頭部をつかまえるべく、縦溝横溝をしつらえた特殊プライヤーで捕まえ、緩める・・・・というものだ。ところが、プロのなかには「数回使うとせっかくの特殊な溝が磨滅し、ふたたび使うのは難しい」そんな評論を下す向きもある。たしかに、微妙な溝なので、チカラを込めてつかむと磨滅するケースもあるやもしれない…‥?!
  今回取り上げる「特殊ドライバー」は・・・・果たせるかな『なめたネジを外すドライバー』(品番:SID-880D)という、その名の通りの商品名。
  なめてしまった小ねじのアタマに、このドライバーの先端部を押し当て、ハンマーで思いっきり叩いて、溝をつける。その溝を手掛かりに再び通常のドライバー(あるいはこのドライバー)で回そうというものだ。つまり、“鏨(たがね)的能力”を持つドライバーといえる。先端部をズームインすると、たしかに、鏨に似た形状をしている。
  手に持つと、ずしりと重い。測定すると130g。非貫通ドライバーより3割増しの重さ。面白いのが、全長だ。170㎜と通常の貫通ドライバー(2番)が210㎜あたりなので、2割ほど小振りにできている。これも「鏨的能力」を発揮させるための作り手側の意図が垣間見える。グリップエンド部は、「うんと叩いても変形などしないよっ」とばかりのデザインとなっている。軸自体は工具なしで抜けるので、先端部が傷んだら新品に交換することができる。
  ホームセンターにて990円で手に入れたもの。どのくらいのパフォーマンスなのか、その機会が待ち遠しい。発売元/藤原産業。


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