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2021年5 月15日 (土曜日)

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イーロン・マスクの野心は中国で実を結ぶか?!

テスラと中国  アメリカには、織田信長のような野心家が、綺羅星のごとく現れる。
 イーロン・マスクもその一人だといっていい。アメリカ人の技術者の父親とカナダ生まれ南アフリカ育ちのモデルの母親との間に、生まれたイーロンは、南アで育ち、アメリカのシリコンバレーで成功した青年実業家(49歳だけど)である。宇宙開発事業のスペースXの創設者であり、電気自動車メーカーのテスラ・モーターズのCEOである。
  テスラ・モーターズが、企業価値で昨年トヨタを抜き去ったと聞いて驚いたが、あれよあれよという間に日本の自動車メーカー9社の時価総額をもすでに軽く抜き去っていたのだ! 
  そのテスラ・モーターズが、先月中国で開催された上海モーターショーで、ハプニング的な事件が勃発した。
  モーターショーのブースで、ひとりの中国女性が、いきなり展示してあるテスラのニューモデルの屋根に登り、大声で抗議したという。彼女が着るTシャツには「ブレーキがきかない!」と中国語で大書。すぐ警備員に取り押さえられたが、不具合での対処に問題があったようだ。ひとりのユーザーがこれほど怒りを爆発させたのは、よほどひどい仕打ちを受けたのか?
  電気自動車で先行している中国では、世界に先駆けEVの比率を増やす政策が進行中だ。新エネルギー車と呼ばれるEV,PHV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池車)以外を締め出す策である。トヨタが得意のHV車(ハイブリッド)が入らない。
  こうした情勢でイーロン・マスクのテスラは、一昨年に上海にEV生産工場を作り、中国市場にガンガンご自慢のEVテスラを販売している最中なのだ。昨年の中国での販売台数は約14万台で、今年はその2~3倍になる見込みだ。
  14億人が住む中国市場を席捲すれば世界の自動車市場の3割は支配できる! そんな雰囲気だ。
  ところが、テスラ・モーターズの前に、いろいろな課題が襲い掛かっている。
  さきのモーターショーでの女性ユーザーの抗議もそれだ。不具合をめぐる対応は、経験とノウハウが必要とされる。経験知の浅い自動車をはじめモノづくりメーカーにとっては死角なのだ。
  もう一つ危惧されているのは、最近中国政府や人民解放軍のあいだでテスラのクルマに乗ってはいけない、という指示が出されたという。自動運転を支えるカメラやセンサーが搭載されているテスラ車に乗ることで、中国要人の機密が外国に漏れる恐れがあるというのがその理由。ビッグデータの海外持ち出しについても懸念しているのである。
  イーロン・マスクは中国側に丁寧な説明して火消しをおこなっているようだが、バイデンの対中国政策を見ると、今後の見通しにややもやがかかった。「テスラは対中国対策の人質になる」そんな見方をする向きもあるようだ。習近平、バイデンそしてイーロン・マスク、この3人の三国志物語!?

カーライフ大助かり知恵袋1

遅れてきたお雇い外国人 ウイリアム・ゴーハム伝(第10回)

クシカー  ゴーハムは活動の不自由となった櫛引のために、特別な片足でも運転できる3輪車を作ってあげたのである。
  友情から誕生した手作り3輪車。これがクシ・カー号、のちに量産されてゴルハム式自動3輪車の原型となるクルマだ。大正8年(1919年)ごろの話だ。エンジンやフロン回りは、オートバイ・ハーレーダビッドソンの部品を流用し、後ろのシートは人力車のように2人掛けができるバーハンドルタイプの3輪車だ。片足でも運転ができる仕掛けとした。
  ちなみに、大正時代に入ると、日本は政治的にも経済的にも世界の列強の一角に数えられるようになり、都市部ではハイヤーやタクシーの営業が始まり、自動車の保有台数が増え始めていた。これは欧州を舞台となる第1次世界大戦(1914~1918年)の戦争景気による。ヨーロッパ諸国が戦争に熱中する間に、日本が世界の輸出市場をどんどん奪っていった結果、日本に富が集中し始めたのだ。
「足の悪い櫛引が乗れる3輪自動車が登場し、注目を浴びる!」・・・・ということは、おそらく間違いなく、ゴーハムが手持ちの部品でつくり上げたクシ・カー号は、日本初の“初代福祉自動車、ウエルキャブ”の第1号といえる!?
  川崎の企業によるトラック生産事業は、実は途中で資金繰りが苦しくなり、あえなく頓挫してしまった。
  ところが、捨てる神あれば拾う神ありで、フレンドシップからたまたま作りあげ、横浜などを走り回っていた櫛引弓人が乗る「クシ・カー号」が、大阪の「実用自動車製造株式会社」の幹部の目に留まったのだ。
  「実用自動車」は、「久保田鉄工」(現・クボタ)が大正8年創設した会社。久保田鉄工は、農家の末っ子で広島の尾道出身の久保田権四郎(1870~1959年)が起こした企業。15歳のとき大阪に出て丁稚奉公から身を起こし、鋳物工業で天秤秤(てんびんばかり)の分銅(ぶんどう)から始まり水道管などの鋳物製造で財を作り上げ、その余力で自動車メーカーを立ち上げようとしていた。ゴーハムの3輪自動車の製造権利を手に入れただけでなく、ゴーハム自身を好待遇で技術担当者として招き入れたのである。
  のち日産でダットサンの開発の中心人物となる後藤敬義(ごとう・のりよし:1898~1967年)は、当時ゴーハムのもとで薫陶を受けていた。
  自動3輪車の試作のかたわら、工場の設備計画の指導をおこなっていたゴーハムの仕事に打ち込む姿を見て、のちにこう語っている。「アメリカから世界一流の工作機械をはじめ、自動車の資材、ボルト・ナットにいたるまで、すべてゴーハム氏の計画ならびに斡旋で輸入された。準備は周到をきわめ、少しの手落ちもなかったことに社員一同おおいに感嘆した」。
  ゴーハム氏ひとりで、この工場をまとめたといっても過言ではないのかもしれない。

カーライフ大助かり知恵袋2

僕の本棚:梅原半二著『平凡の中の非凡』(佼成出版社)

平凡のなかの非凡  筆者である“梅原半二”ときいてピンときた人は、ほとんどいないと思う。“はんじ”という名前自体、歌舞伎に出てきそうなふた昔前の人みたいだし……。
  一昨年亡くなった哲学者で日本古代史研究家・梅原猛氏(1925~2019年)の実の父親で、トヨタ自動車の技術的基礎を築き上げたエンジニアのひとりである。1903年(明治36年)に愛知県南知多町で生まれ、1989年亡くなっている。
  聖徳太子や柿本人麻呂などをめぐる野心的で独創的な推論を提供した梅原猛。それと初代トヨタ・コロナの陣頭指揮をとったエンジニア。面白い取り合わせである。
  この親子のつながりを眺めると、なかなか興味が尽きない。しかも、この息子は、幼児期に母親が結核で他界し、父親の半二も同じ病を得て長期入院をしたことで、父親の兄のもとで養育される。人生の非情さのなかで、息子と父親がそれぞれ自分のオリジナルな仕事を見つけ懸命に生き抜く…‥。
  この本には、そうした物語を直接描いてはいないが、二人の足跡に思いを馳せざるを得ない。
  仙台の東北大学で、機械工学を学んだ半二は、たまたま豊田喜一郎と同窓が担任教授だったことで、トヨタ自動車に入社する。1936年、昭和11年。卒業後、肺結核にかかり長期入院していたため、数え34歳での就職。
  イチからクルマづくりを始めたトヨタの草創期だ。たずさわったのが熱交換機であるラジエーターだ。ところが、途中で肺炎がぶり返し、ようやく病が収まり、クルマの冷却システムを確立していく。この分野はエンジン本体と比較すると地味な研究に映るかもしれないが、ウォータージャケット、ラジエーター容量、クーリングファン、ラジエーターグリルの容積とデザイン、ウォーターポンプ、サーモスタット、ファンベルトなど空冷にくらべ構成部品がやたら多いが、エンジンの騒音を抑え、そののち注目される燃焼科学や排ガス技術にもつながる分野だ。
  とにかく半二氏は、そののち品質保証担当を18年やり、トヨタ研究所長となっている人物、「コロナの初期の失敗、対米輸出の数々の失敗」とみずから告白しているが、この本、もともと技術本ではなく、エッセイを集めたものなので、筆者(広田)が知りたいこととなると、いささか隔靴掻痒(かっかそうよう)。でも、息子と父親との関係(そもそもこの本の編者は息子の猛なのである)などが伝わる。スタートこそ遅れたものの、自動車メーカーの基礎を築き上げ、晩年は豊田中央研究所の名誉所長として立派な企業人の足跡を残している。
  ところで、『平凡の中の非凡』という、なにやら判じモノめいたタイトルは、いったい何だろう? 
  半二だけに、判じ? 種明かしは本のなかにあった。半二さんの部下だった女子職員が結婚を期し退職する際に、祝福の意味で英英辞典をプレゼント。この辞書の表紙の裏に『平凡のなかの非凡』と書き込んだという。
  女性が結婚を機に家庭に入る、とか辞書を贈り物にするなどいまでは聞かなくなった昭和時代の原風景。この女性は打てば響くような素晴らしい勤務ができたという。「平凡に見える主婦の生活のなかにも、かならず非凡さが必要となる」そんな意味を込めて、書き送ったという。
  ここで、いきなり「水」を例に持ち出し半二さんは説明する。
  「水は古くから節約の対象にならなかったほど平凡だ。ところが自然界で水がもたらす役割が大きい。無色・無味・無臭・透明で常温では液体であるが、空気中に気体として常時存在し、海・川・湖・地中に蓄積され、立ち上がり雲となり霧となり、雨・雪・あられ、霜となって地上に戻る。ときには氷結したり、ツララになり、霧となる。その一つ一つが古来から詩歌の対象となっている。しかも物理的にも化学的にも非凡な特性を持つ。比熱はすべての物質のなかで最大の値を持ち、表面張力・熱伝導率・誘導率などの水銀をのぞくすべての液体のうち最大である…‥」
  なるほど科学者らしいものの見方だし、息子の哲学的観察にも通じる世界観。漱石の弟子・寺田寅彦にも連なる視点。この本も、ところどころに非凡さが隠されていて、未知の世界を発見することが少なくない。

愛車メンテのプラスアルファ情報

「多機能ホームペンチ」って使えるの!?

ホームペンチ1

ホームペンチ2

  人は自分の欠点は棚に上げ、ついつい身近な人には過大な要求を求めがちになるものだ。
  「この道一筋の職人肌をリスペクトする」その舌の根も乾かぬ間に、「作詞して謳って、踊れて演技までするマルチなタレント」にあこがれる。人間とは、そんな矛盾した存在が人なのかもしれない。
  これって「マルチ工具」を求める気持ちとどこか似ていなくもない。単能工具にひたむきさを見るか、マルチツールに見果てぬ万能感を宿すか? 
  今回取り上げる工具は、後者である。
  「多機能ホームペンチ」である。家庭内で活躍をになう(・・・・ことを目指す!)万能ペンチ。つかむ・切る・皮むき・かしめる、この4役を一つの工具でやってしまおうというのがこの工具。
  まず、じっくり眺めてもらいたい。先端部はたしかにペンチである。ところが、通常のペンチの上下のあご(ジョー)の隣には配線の端子をかしめられるようにウエーブ状に加工してある。そしてピポッド部(上下のあごが交差するところ)をよく見ると、意味ありげな小さな穴が4つか5つある。4㎜までの小さなボルトを切断することもでき、φ3㎜までの針金を切断するための穴がしつらえているのだ。
  その下のハンドル部にズームインしてみよう。
  上下のあごにスラント状に小穴の半円が向き合っている。配線の被覆を剥くとき使うワイヤーストリッパーである。径が1㎜、1.5㎜、3㎜、5㎜、そして7㎜の配線の被覆を除去する機能だ。
  そして最後に、ハンドル部の内側が円弧状になっていて、ジャムの瓶を開けるときに重宝する役割となっている。
  なるほど、これは使える感じがしてくる。一家に1丁! と言いたくなりそうだが、待てよ! このペンチ、やや重すぎないか?! 実測すると、122gもある。全長は200㎜。男性はともかく女性(主婦)が使うには、やや重い感じがする。しかも色が黒づくめ。クルマだって、自分好みのカラーがないと買いたくない女性ドライバーがいるのだから、黒づくめはいかがなものか?
  この工具、ひとつ不明な箇所があった。ハンドル根元に小さなレバーがあり、これを動かすことで、先端部のあご幅に1㎜ほどの隙間を生じさせる。針金をねじるときに、使う! とあるが、その意図がよくわからない。アゴ幅にある一定のクリアランスが必要なのだろうか? ちなみに、ホームセンター価格は1813円だった。


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