みなさん!知ってますCAR?

2021年6 月15日 (火曜日)

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えっ!? SONYが自動車メーカーを目指していた!

SONNY VISION-S  憶えているだろうか? 昨年1月にラスベガスで行われたCES2020での大注目はSONYのVISION-Sという名の近未来コンセプトカー。アメリカの家電のイベントにもともと家電メーカーのSONYが自動車を展示した事件。
  たしかに事件と表現するほどの衝撃だった。まさかSONY自体が本気で自動車メーカーの一角に食い込もうとは思っていなかったからだ。「戯れに自動車近未来の新技術を発表して、願わくば部品のサプライヤーとして新分野を築き大儲けしたい」そんな思惑だと思っていたら、とんでもない。
  本気も本気、心底はSONYはSONYブランドのクルマづくりに勝負をかけていることが、今年のリモートでおこなわれたCES2021でわかったのだ。大きなココロザシを掲げていたのだ。
  クルマづくりは部品点数3万といわれるだけに、広い裾野産業をある程度支配下に置く必要があった。ところが、EVになると、エンジンがなくなり(エンジンだけで約1万点)、トランスミッションも不要となるので、ざっくり言えば部品点数3割減で、シャシーとボディメーカーと組めばできる感じとなった。テスラモーターの短期間での成功を見れば、それが納得できる。
  SONYは、レベル4の自立走行EV「VISION-S」をペットロボット・アイボとエアスピークと呼ばれるドローン、この3つを“インテリジェント・エッジ・コンピューティング商品”ととらえている。3つとも自律的に動く電脳制御商品だ。
  コンセプトカーVISION-Sは、安全、エンタメ、それにアダプタビリティ(コネクティド、クラウドをふくむ概念だそうだ)。この3つを柱として、2018年春に欧州のシャシーメーカーにシャシーを作ってもらい、ボッシュ、コンチネンタル、ZF,バレオ、ボ―ダフォン、レカロなどの欧州系部品メーカーと組んで造り上げたという。昨年末には複数台試作車を製作し、欧州だけでなく、日本でも公道試験を展開しつつあるという。そして日本の部品サプライヤーとのビジネスを広げるという。
  自動運転レベル4を担保するのは、18カ所に取り付けられたレーダーやカメラだという。そのなかで、ご自慢のソニー製「CMOSイメージセンサー」は、従来のサプライヤーが不得意とされてきた暗所での認識能力、トンネルの出入り口での障害物の明確な認識能力を持ち、安全性ではおおいに自信を抱いている感じ。それにSONY大得意なエンタメを車内に持ち込むことで、クルマ自体を「走るエンタメ・モビリティ」という新機軸でクルマの歴史を大きく変革させようとしている。リモートでの取材ではあったが、そんな意気込みがビシビシ伝わってきた。

カーライフ大助かり知恵袋1

遅れてきたお雇い外国人 ウイリアム・ゴーハム伝(第12回)

リラ―号  ゴルハム式自動3輪車の価格は、1300円。大卒の給料が40円の時代。いまの大卒初任給が20万円だとすると、いまの値段で約650万円。人力車の動力版としては高価だった。とても庶民には手がとどかない。
  ちなみにT型フォードは約2000円で、シボレーはそれより高く2400円ほどだった。
  しかも、3輪車ということで少し無理なコーナリングをおこなうとすぐ転倒してしまう。このことを知らず4輪車のような運転をするドライバーが多かったことから事故が少なくなかった。価格が高すぎるというだけではなく、3輪車特有の癖が十分行き渡っていなかったこともあり、売れ行きは思ったほど芳しくはなかった。そこで、てこ入れとして大正12年に4輪車に変更した「ゴルハム4輪車」を作った。基本設計はほぼ同じだ。
  だが、あにはからんや、こちらも売れ行きは芳しくなかった。いまから見ると十分に市場調査することなく、ただ思い付き先行の、中途半端な性能のクルマだったからだ。
  けっきょく3輪と4輪合わせ合計250台程度で終了してしまった。
  その後、こうした反省のうえで本格的な4輪車を企画した。それが大正12年に完成した「リラ―号」(写真)である。
  リラ―とは花のライラックの意味で、藤色のボディカラーだった。4人乗りで、V型2気筒1260㏄ 8.4馬力、最高速56㎞/h。箱型、幌タイプ、ロードスター、トラックタイプなど車種も豊富にそろえた。デフを備えた本格的乗用車だった。価格は箱型で2000円。このクルマは、ゴーハムから薫陶を受け、のち日産でも活躍した後藤敬義らが中心に開発したものだ。クルマは200台ほど生産されはしたが、採算の合う商品までにはならず、やがて生産中止となった。実は、リラ―号の発売の2年ほど前に、ゴーハムは、販売不振を理由に責任を取り「実用自動車」を去っていた。

カーライフ大助かり知恵袋2

ぼくの本棚:篠田節子『田舎のポルシェ』(文藝春秋社)

田舎のポルシェ  独断と偏見というバイアスがあるかもしれないが、クルマやバイクが登場する小説や映画の作品で、人さまに勧められるメイド・イン・ジャパン製の作品は片手の指で数えるほどしかない。ひそかにそう思っている。
  たぶんそれは、クルマやバイクがその物語にがっちり食い込んでいる小説や映画は、作り手としてはつくりづらいのかもしれない。主人公の心理描写にクルマやバイクが投影しづらいからかもしれない。日本人の生活に、クルマやバイクがそれほど深く浸透していないからなのか?「日本人にはまだ車やバイクを生活のなかで語れるほどの物語を紡ぎ切れていないのでは?」ともいえなくもない。
  この小説は、少し褒めすぎかもしれないが、そんなぼくの先入観を見事に打ち破ってくれた。
  登場するのは、お世辞にもカッコよくはないくたびれた軽トラックだ。でも、エンジンの鼓動と主人公の鼓動が響き合うかに思えるほどの、よくできた小説なのである。
  物語の始まりは、岐阜の図書館で地味に働く中年に手が届きそうな未婚の女性・翠(みどり)、その彼女が八王子の実家に向かうところから。実家で収穫されたお米360㎏を取りに行くため、バツイチで強面(こわもて)ヤンキーがハンドルを握るオンボロ・軽トラックの運転で、向かうのである。それも台風が北上するなかでだ。
  「訳あり女と男・オンボロトラック・嵐の前の静けさ」という3つ。
  いわゆる物語のおぜん立ては、これで揃っている。筆者の篠田節子(しのだ・せつこ)は当年65歳で、名うてのホラー小説家。それだけに、ストーリ-展開に長(た)けているので、読者をグイグイ物語世界へと引きずり込み、途中で投げ出すなんて気持ちなど起こさせない! 意味深なタイトル『田舎のポルシェ』は、軽トラックが、ポルシェと同じリアエンジンのリア車輪駆動方式だということもあるが、ホンモノの真っ赤なポルシェを物語に登場させ、タイトルの面目を保っている!
  「行きは空車で乗り心地がいまひとつだったが、帰りは荷物をしっかり積んでいるので、乗り心地がいくらかましになる」なんて、カー雑誌顔負けの軽トラックの特性をしっかり描写。クルマ通にも納得の表現があちこちに散見。できの悪い息子を見る母親のようにヒヤヒヤしないで、読了までこぎつける。
  ところで、主人公が旅をしていく、その先々で起きる出来事を描く小説のことを「ロードノベル」なんて呼ぶそうだが、この小説もわずか1日2日の出来事を丹念に描くことで、人生の深いところも味わえるようになっている。
  実は、この単行本110ページほどの小説、縦糸はロードノベルなのだが、横糸があることで、物語をググっと深めている。横糸とは、意外や意外、長いあいだ日本人の主食とされてきたコメ問題だ。
  ふだん米(コメ)といえばコンビニのおにぎりしか思い浮かばないのだが、手作りの無骨な塩おにぎりも登場するし、嵐のなかの避難先で食したおにぎりの味が、よだれが出るほどにリアルに迫ってくる。思わずコンビニのおにぎりを頬ばる読者もいるかも。まじめな話、そのおにぎりを通して日本の農家の現状を透けてみせてくれるのだ。
  エンタメ小説でありながら、想像もできなかった日本のコメ問題という新しい発見ができる小説。さながら主人公と一緒に旅をした気分となった。読後の余韻に浸ってふと気付いたけど、コメも軽トラックも、日本人を語るうえでの最重要キーワードだよね。この2つを選択して物語を紡いだ筆者の慧眼に脱帽しちゃいました。
  (表題の「田舎のポルシェ」のほか「ボルボ」など計3篇収録。税込み1760円)

愛車メンテのプラスアルファ情報

マグネタイザーは意外と便利。 使うべし!

マグネタイザー  マグネタイザーという商品をご存じだろうか?
  工具の先端部をあっという間に、磁力を帯びさせる小道具である。写真にあるように手のひらサイズの製品である。プラス側の穴に工具の先端を差し込む。説明書には数回とあるが、1回2回の往復で、先端部に磁力を帯び、取り付けようとするビスが工具の先端からポロリと落下するなんて厄介な事態を避けることができる。とても便利だ。
  逆に、磁力を消すこともできる。
  マイナス側の穴に、工具の先端部を差し込目が、あら不思議さっきまでの磁力がなくなり、あっけなく普通の状態となる。
  これって、何度やっても、同じように効果が現れる。ただ、期待するほどの強力な磁力ではない。写真のヘキサゴンレンチはサイズ6㎜だが、相手のM8ボルトになるとやや重いので、かろうじてくっついている感じ。M5とかM6ボルトならもっと安心してくっついてくれる感じである。簡単にマグネット式のドライバーやヘキサゴンレンチに変えられるところがミソだ。
  磁力を得ることを「着磁」とか「帯磁」といい、逆に磁力をなくすことを「消磁」とか「脱磁」というそうだ。
  原理は、小学校の理科の時間にやった実験と同じだ。つまり磁石にくぎをこすりつけると、釘自体にも磁力を帯び、まわりの安全ピンなどをくっつけた経験があると思う。あれと全く同じだ。難しい理屈は、理科の教科書にまかせるとして、わずか数百円で手に入る。写真の製品は、品番SMT01B。台湾製で藤原産業株式会社〈℡0794-86-8200〉扱い。ホームセンターで690円+税だった。
  長さ50㎜×幅20㎜×奥行き12㎜と極めてコンパクト。工具箱に入れておいて邪魔にならない。お勧めだ。

2021年6 月 1日 (火曜日)

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クルマのデザインと美学の関係は?!

ふそうデザイン1

ふそうデザイン2

  4月に取材した三菱ふそうのイベント「デザイン・エッセンシャルズ」は、苦手にしてきたクルマのデザインに対する感触をいくらかソフトなものにしてくれた。
  そもそも、トラックのデザインは乗用車にくらべ、特段デザイン力がなくても大丈夫というか、販売にさほど左右されないのでは? そんな思いが捨てきれずに長年の間、頭の隅に巣くっていた。ところが、「それって逆じゃない? 働くクルマのトラックだからこそ、より優れたデザインに仕上げる必要がある! 乗用車にくらべ、確実に永年使われるんだし」ということに気付いたのだ。
  そこで、三菱ふそうのデザイン担当者は何を原則にしているかを尋ねると、フィジカルデザイン、プロダクションデザイン、それにアドバンスデザイン、この3つだという。
  なにやらカタカナ文字で、ストレートに理解できないのがつらい。
  じつは、アドバンスデザインはすでに前々回取り上げた近未来をリサーチする先進的世界のデザイン世界だ。
  では、はじめのフィジカルデザインとは何か? 写真にあるようにクレイモデルで造形していく。川崎デザインセンターには30年ものキャリアを持つ職人がいるという。彼らのいわば神の手で、立体的なフロント回りの造形を作り上げていく。最初は、1/4クレイモデルから始まり、1/1の原寸大クレイモデル(写真)。その途中に職人の手作業プラス最新データモデリング技術による3Dプリントや数値制御データ切削が融合しているのだという。昔ながらの感性の職人技に、数値データを組み合わせているというのだ。こうした融合で、より緻密な造形に仕上げていくのだという。その間には、口角泡を飛ばす議論が長く続くのかもしれない!?
  2つ目のプロダクションデザインとは何か?
  機能的なデザインと見た目の美しさ、同時に快適な乗り心地、安全性、効率性、経済性、メンテのしやすさなど、ときには相反する要件を高度なレベルでつくり上げていくこと。それがプロダクションデザイン力だという。具体的には…‥新型キャンターに採用された「ブラックベルト」のデザインコンセプト(写真)。横長の力強い黒いラインだ。これは外観だけにとどまらず、車両組み立ての優位性にも貢献しているという。色や形状変更がともなう場合にフレキシブルに対応できるからだという。このデザインを大型観光バスの「エアロエース」「エアロクイーン」にも採用することで、ヘッドライトの共通化が実現し、開発コストと生産コストの低減にプラスできたという。
  こうして、たかがトラックのデザインを取材していくと、どうも“美学”という、より不案内な世界に迷い込む気分になる。美の本質、原理などを研究する学問が美学だという。“感性の学問”だ。感性に特段自信があるわけじゃないし、感性を磨いたという覚えもない‥‥。そもそも感性とは何だろうか? 気付きの先にあるものなんか? いい悪いの単純な2元的な価値ではないようだし。“非言語の世界”で、言葉で説明されると煙に巻かれたような気分になり、溺れてしまいそうになる!?

カーライフ大助かり知恵袋1

遅れてきたお雇い外国人 ウイリアム・ゴーハム伝(第11回)

実用自動車の工場内部  この工場の完成は大正9年7月。建坪は1349坪、鋳造、熱処理、工作機械、塗装、組み立てなどの工場のほかに、エンジン試験室、検査場、材料倉庫、製品置き場など、自動車工場として必要な設備はすべて整っていた(写真)。
  工作機械として、複雑な穴を加工するブローチ加工機をはじめ旋盤、ネジをつくる転造マシンなど当時の先端のモノづくりマシンが30台ほどそろえていたという。いうまでもなく精度を管理するシステムを導入しており、日本での初の近代的な大量生産方式を導入した工場だともいえた。板金に使う鉄のパネルは、品質の安定したアメリカから輸入。スターターなどの電装部品もアメリカからの輸入だった。
  ちなみに、大会社の重役が月150円程度の時代、ゴーハムの毎月の収入は、破格の1000円だったという。技術レベルの高い外国人に超高給を与える。これは、まさに「お雇い外国人」の扱いである。でもゴーハムはそうした期待に応えるに十分な働きをした。
  そして完成した自動3輪車は、「ゴルハム式自動3輪車」と命名された。「実用自動車」の従業員は、150名ほどいたという。
  なぜ、ゴルハムかというと、GORHAMを無理やりローマ字読みすると、ゴルハムになるのである。残念ながら当時の現車が残存していないので、正確ではないが、エンジンはハーレーダビッドソンのエンジンと同じV型2気筒の1200㏄、空冷タイプの7馬力で、車両重量は400㎏ほどだった。
  全長2420㎜、全幅1060㎜。リアにエンジンを付けチェーンで後輪を駆動する。ハンドルは、バイクと同じバーハンドルだった。最高速度は時速30マイル、時速48キロだったという。のちに隆盛する計3輪のルーツと言えなくもない。
  大正9年9月に試作車が完成し、その年の11月に量産され、販売された。

カーライフ大助かり知恵袋2

ぼくの本棚:真田勇夫・絵、高島鎮夫・文『じどうしゃ博物館』(福音館書店)

自動車の絵本1

自動車の絵本2

自動車の絵本3

  大人になるとあまり見ることがない絵本。でも、子供だけに見させているのはもったいない! そんなとっておきの絵本を今回は紹介しよう。
  絵本のすごさは、コトバだけでは伝えづらいモノの形や色をリアルに読者に伝えられることだ。だから、活字以上のことを想像させられたり、呼び起こさせられたり、もちろん語りかけられもする。   短い説明文は、簡にして要を得ている。たとえば、フォード・モデルTのキャプションはこうだ。「1909年、アメリカではどの国よりも早く自動車が広がりました。このT型フォードは1908~1927年の19年間に1500万台以上も作られ、当時の世界の自動車の3分の1をしめました」わずか90字足らずで、このクルマを説明。あとは緻密に描かれたクルマを眺めれば、つい夢見心地にさせられる!?
  この絵本、紀元前4000年ごろの牛車から始まり古代ローマ帝国の2頭立て戦車、16世紀のレオナルド・ダビンチのゼンマイ仕掛けの自動車、そして17世紀ごろから現れた蒸気自動車、19世紀末に登場するガソリン自動車。スピードと技術の限界に挑戦するレーシングマシンも豊富に登場する。2人乗りFRレイアウトのスポーツカーをモデルに、クルマの仕組みを詳細に解説している見開きページもある。20世紀中ごろからどんどん庶民のものになっていったころに登場するクルマもあざやかに描かれている。消防自動車やごみ収集車、パトカーなど身近に見かける働くクルマももれなく登場している。
  この絵本、わずか31ページだが、登場するクルマの数は、135台。1ページ当たり5台の勘定。
  書斎の本棚の隅に置いておき、疲れたら、眺めているとなんだか疲れが霧消する、そんな本だ。
  でも、それでいて、この福音館の『じどうしゃ博物館』は、巨大な自動車ミュージアムと引けを取らない役割をしている気がする。リアルなミュージアムは、予算や敷地、それにそれぞれのオトナの事情でどうしても片寄った銘柄になりがち。その点、この絵本は、そうした課題を軽々と乗り越え、子供や大人に、自動車の世界を表現している。1992年発行ということはいまから30年ほど前のため(当時価格1200円)、とくに働くクルマは、古さを感じさせはするが、それはそれで癒される。絶版だが、古書としてなら出回っているようだ。

愛車メンテのプラスアルファ情報

洗練されたハンドルフォルム」は本当か? 中国製ドライバー!

格安ドライバー2本1

格安ドライバー2本2

  いまや工具業界は、戦国時代たけなわである。
  国産のブランドを誇る工具、輸入ブランドの工具、それに台湾製もしくは中国製の工具。この3つがしのぎを削る状態が、ここ数年続いている。なかでも台湾製の工具が、低価格を維持しながら、ぐんぐんクオリティを高めていっている。これは、日本の商社などの厳しい要求とモノづくりの注文が功を奏しているからだと思われる。
  とりわけ、ドライバーの世界が煮えたぎっているように見える。
  今回近くのホームセンターで、手に入れたプラス2番とマイナス6㎜、2丁セットで価格437円というのは中国製とはいえ、正直たまげた。百均で手に入れたのではなく、正真正銘ホームセンターである。この値段でよくエンドユーザーに販売できるのが不思議だ、という印象だ。しかも、キャッチコピーには「洗練されたハンドルフォルムでねじを回す」とあり、いかにも自信ありげ。
  ここでふと、こんなことを考える。…‥なんだか、安くて低価格を続ける食品の優等生アイテムが卵(スーパーでは10個200円台!)だとすると、ネジ回し、もといドライバー(正確にはスクリュードライバーというのだが)は、工具界の“卵10個売り”に近いのではないだろうか?
  さっそく使ってみた。手に持ちあれこれいじってみる。
  ひとことで言えば、死角がないかに見える。全長は200㎜でごく標準。非貫通ドライバーをこれまで30ブランドほど試してみたが、遜色なしだ。重量はたいてい90~115gに入っているが、これは87gと軽い部類で好ましい印象。そして何よりいいのは、グリップの出来だ。硬い樹脂をコアに配し、外皮には手になじみやすいやや柔らかめの樹脂を組み合わせたハイブリッドタイプ。丸型は、個人的にはあまり好きではないが、手にするとよくできている。指に収まるレイアウトがこころにくいほどによくデザインされているのだ。見た目のデザイン性と機能上のデザインがバッティングしない。軸の根元にスパナがかませるようなデザインもある。
  丸型ドライバーは作業台のうえで転がる恐れがある。という反論にも丸部分を一部そぎ落とし、ソフトグリップとハードグリップとの距離をとるなどでぎりぎり対応している。
  …‥それにしても、何度も言うようだが、これで2本セットで500円足らずで販売できる、というのは、相当数が出る製品だからだ。食品の“卵10個”なみに販売する!? ドライバーは、メガネレンチやソケットツールにくらべ、一桁販売数が多いからだと思う。金型でグリップを成形し、軸部の加工も大量生産システムが構築されている。このドライバーを眺めていると、そんな舞台裏までもが見えてくる。
  発売元は兵庫県三木市の藤原産業(株) ℡0794-86-8200。商品名は「ガルボールグリップドライバー2本組み」。


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