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2021年9 月15日 (水曜日)

TOP NEWS

全固体電池を使ったトヨタのEV戦略が見えてきた?!

トヨタLQ

  前回取り上げた水素エンジンを搭載したカーボンニュートラルなレーシングカーへの挑戦など、このところトヨタのニュースが多い。今回のホットニュースもトヨタがテーマだ。
  夢の近未来バッテリーといわれる全固体電池を搭載した電動自動車(ハイブリッドもしくはEV)が、来年には登場するというのだ。そういえば、賛否が分かれた東京オリンピックのマラソンなどの競技に登場したトヨタ車がTV画像に登場していたのを記憶しているだろうか? それこそ次世代をホーフツとさせる斬新なかたちをした「LQ」という名のEVだったのだ(写真)。じつは、このクルマ、昨年2020年8月にナンバーを取得し試験走行していたのだという。オリ・パラ用の試作車とはいえ500台も作ったという。
  このLQに載っているのが話題の全個体電池である。全固体電池は、高出力、長い航続距離、それに充電時間の短縮といいことづくめのバッテリーだが、“負極にできがちなサルフェーション(劣化物)により接触面積が減り、寿命が短め”などの課題があるといわれる。この課題もほぼ解決するめどが立ったようで、来年中頃までに発売予定のEVのSUV「Bz4X」に搭載するという。
  電池のコスト比重が3割を占めるEV。その電池製造コストを2030年までに半分にするという。
  それとトヨタが懸念しているのは、日産のリーフのようにリセールバリューがガクンと落ちて、中古車市場を形成できないことだ。具体的に言うと、日産リーフは、走行4万キロあたりで10年落ちだと、40万円を切るプライスタグしか中古車市場で付けられないという。高価な電池が早期寿命となっているので、中古車としての魅力が損なわれているというわけだ。
  Bz4Xは、10年後でも90%の電池寿命量をキープでき、中古車としてのリセールバリューを確保できるという。このあたりの視座はさすがトヨタというべきか? 三河商法の真骨頂というべきか? 余談だが、かつてのマツダのクルマが中古車価格がガタ落ちで、せっかくのユーザーを取り逃がし続けた苦い歴史を思い出す。
  なお、トヨタの試算だと、HV3台分で、EV1台分のCO2を削減する計算だという。これまで累計1810万台のHVを世に送り出してきたので、これはEV600万台に相当する計算だ。「だからHVもCO2削減に有効なのだ!」と言いたいらしい。理屈としてはそうかもしれないが…。
  とにかくトヨタは、9年後の2030年には、全固体電池などを採用したEVを約200万台、同じく全固体電池などを使ったハイブリッド車を約600万台。合わせて電動車800万台を販売するという。そのために、約1兆5000億円をかけ、電池の製造ラインを70ラインも作り上げるという。クルマの世界はどんどん変わりつつある!

カーライフ大助かり知恵袋1

遅れてきたお雇い外国人 ウイリアム・ゴーハム伝(第17回)

戦時中の日産

  満州国というのは、よく知られるとおり清朝最後の皇帝溥儀(ふぎ:1906~1967年)を擁して建国した傀儡(かいらい)国家だった。国務院をはじめ大半の大臣は満州人だったが、各部の部次長には日本人を配し、実権は日本人が握っていた。
  そして満州の利権は、すべて満州鉄道(満鉄)が握っていた。ここにいきなり、鮎川の日本産業が、大挙して押し寄せてくれば、満鉄の利権が脅かされる。これをまるで魔術師のごとく排除して、鮎川に「満業」を営業させたのが、昭和の妖怪とも呼ばれた岸信介なのである。当時の日本産業は、いまの日産をイメージすると大間違い。傘下には、日立製作所、日産自動車、日本鉱業、日本化学工業など関連会社まであわせると130社、約15万人の従業員を抱えた一大コンツェルンだった。日産は、満州進出にあたり、2億2500万円を出資、同額を満州国が出し、計4億5000万円で事業がスタートしたという。当時の1円は、現在の1767円というデータから計算すると、約8兆円となる。
  岸の青写真には、ソ連の5か年計画の満州版があった。ソ連の5か年計画とは、1928~1932年のあいだに、ソ連のスターリンの指導のもとおこなわれた、急激な重工業と農村共同化を柱とした社会主義建設計画のことだ。
  岸は、新国家を運営するうえで、鮎川の資金と経営能力を高く買っていたのである。当初は、戦線拡大にともない、重工業が特需に見舞われ日中戦争拡大のなか、日産の業績は順調だった。満州国の運営には、非合法なアヘンの売買があったなど、いまも謎に覆われている部分が少なくない。
  いずれにしろ、莫大な資金や財産をめぐって、怪しげな人々が暗躍していた。そのなかに日産も位置付けられていたのだ。こうした財産、汗や血で積み上げてきたものが、完膚(かんぷ)なきまでの敗戦で、露と消えたのである。満州国はわずか16年で消えたのだ。
  余談だが、岸信介が権勢をふるった商工省の跡地に戦後、日産が本社をそっくり移している。このビルは筆者が駆け出し時代に何度も通ったなじみのあるビルで、地下鉄の駅から歩いて1分ほどなので、雨の日でも傘なしに出入りできた思い出がある。ともあれ、2010年に横浜に引っ越すまで、日産は、旧商工省の跡地に半世紀以上存在したのである。

カーライフ大助かり知恵袋2

ぼくの本棚:海老沢泰久著『帰郷』(文春文庫)

帰郷

  短編である。文庫本でいえば、わずか35ページの短編である。小一時間で読破できる。
  ところが、一息いれて振り返るとなんだか500ページを超える長編小説を読んだ気分になった。山椒のように小粒だが、ピリリと辛いのとはいささか違う。栄光の日々を暮らしてきた男の人生が、3年でがらりと暗転する物語。そんな運命を背負ってしまった主人公に共感せざるをえない人生の重さが、わずか35ページのなかに濃縮されているからだ。
  タイトル名である「帰郷」という文字は、たぶん読者に誤解を生むにちがいない。一昔もふた昔も前の、いまや死語になりかけている「帰郷」。てっきり戦場から帰ってきた兵士の物語をイメージしがちだ。
  数行読み進めると、F1エンジンを整備するレーシングメカニックの物語であることがわかる。主人公は、栃木の工業高校を卒業し、故郷の街にある自動車エンジン工場に就職。乗用車のエンジン組み立て工員となる。20人の工員が順々にエンジンを組み上げていく、その一人だ。この工場の部署を様々移動することで、3年でエンジンのすべてのことを覚えてしまった。エンジンはボルト1本まで含めて約600点の部品から成り立っているが、その組み立て方、締め付け具合、微妙な世界まで肌感覚で身に付けた。筆者(広田)も取材で、まるで「このひと、エンジンの化身では?」 という人物に出会ってきたが、この主人公もそれに近い。
  そんな時、たまたまF1マシンの整備士を募集していることが主人公の耳に入った。強い意思と周りの勧めと推薦もあり、競争率300倍の難関を突破し、見事F1レーシングメカニックの仕事に就くことができた。ただし3年間という期限付きだ。F1エンジンは、ふだん組み付けているエンジンと重量こそあまり変わりはないが、パワーが約3倍。回転数は1分間に1万3000回転、剥き出しの排気管が真っ赤に染まり、防音装置の付いていないF1はすさまじいエキゾーストノートを発する。でも、それに引き換え、耐久性は10時間とは持たない。レース時間内で、フルに活躍するだけの耐久性しかない。
  主人公は、メカニックとして世界中のサーキットを飛行機で飛び回り、緊張と不安、そして爆発する喜び、戦場にいるのと同じような生活を3年間送る。そして、ふたたび退屈な生活へと戻る。「故郷」に戻った主人公は、大きな喪失感に襲われるだけでなく、付き合っていた女性との心の乖離を覚える。
  ・・・・数か月前だったか、このサイトで「クルマの登場する小説でろくなものはない」、そんなことを迂闊に書いてしまった。いささか無知蒙昧でした。海老沢泰久(1950~2009年)の描くクルマの世界は、一皮もふたかわも剥けた完成度の高いリアルな世界を展開する。余談だが、モデルになったホンダの栃木エンジン工場は、EVに全面的に方向変換することで、4年後の2025年に閉鎖する運命。その意味でも、記念碑的な小説である。(1994年の直木賞受賞作)

愛車メンテのプラスアルファ情報

バイクのシートの表皮張替え作業から、家庭用椅子の表皮張替えまで!

タッカ―1

タッカ―2

タッカ―3

  10年ほど前、「お値段以上」というコピーでおなじみのニトリで購入した食卓の椅子の表皮が、いつのまにか傷んできた。
  よく見ると、太ももや膝頭の裏が当たる前側のヘリの表面が剥がれ落ち始めていた。一番負荷がかかる臀部の前方(太もも)が当たる表皮には、細かいひび割れが生じている。かつて数多くの解体屋さんで見かけた郵便局でフル活躍された軽トラックのドライビングシートが異様にボロボロになって、なかにはアンコ(ウレタン)が顔を出しているシートもあった。このことを思い出した。乗用車ではここまで使い込んだクルマなど見たことがない。郵便ポストにたまった郵便物を取り出す作業で運転手がその都度乗り降りする、その頻度の凄まじさを異様に傷んだシートがリアルに物語っていたのだ。・・・・ふと「お値段以上」というキャッチコピーをかみしめる!?
  今回は、食卓の椅子は表皮だけが経年劣化しただけで、なかのウレタン(硬いウレタンと柔らかめのウレタンが2種類はいっている)はとくに問題はないようだ。
  そこで、ネットで調べ椅子の表皮(合成皮革製)を手にいれた。135cm×100cmのサイズで3脚分採ることができた。価格は1400円ほどだった。
  これとは別に今回購入したのが、写真のタッカーだ。タッカー(TACKER)は、建築用のステープル(ホチキス)で、鋲打ち機、あるいはステープル・ガンとも呼ばれる工具。大型のホチキスと思えば間違いない。これもアマゾンで手に入れたのだが、意外と安いのに驚いた。1098円。もちろん台湾製だが、メタル製でいっけん頑丈そうに見える。ステープル、つまり替え芯は、付属品として200本入っていた。
  椅子の表皮の張替えは意外と簡単だ。ちなみにユーチューブでやり方を見つけたので、ざっと作業手順を頭に入れられた(便利な時代になったものだ!)。旧いステープルを取り除く作業では小さめのマイナスドライバーが活躍した。数が多いので、この作業が意外と手間取った。
  表皮の張り具合が難しいと思われたが、角部分をいかに美しく仕上げるかがポイント。タッカーは、本体を押し付けハンドルを握るとガチャンとばかりステープルが飛び出す。その音にやや驚くが、慣れれば誰にでもできる。調子に乗り、計4脚も修理してしまった。ちなみに、出来具合だが、角部の処理がプロ並みとはいかなかったが、そこまで調べる人はまずいないからOKとしよう。
  最近のバイクは、完成度が高くなったせいか、シートの張替え作業は、あまりしなくなったようだ。むかしは、女性ライダーなど足付き性を高めるため、なかのアンコ(ウレタン)を少し抜くのだが、そのとき活躍するのがタッカーである。
  ホチキスのように書類を綴じるときにも使える。メモ帳を作ろうと、不要な紙を半分に切り30枚ほどこのタッカーで綴じようとした。ところが、これがうまくいかない。針(ステープル)が途中で折れ曲がり、最後まで貫通しないのだ。表面に無様にグチャッとくだけた姿を見るばかり。3回ほど試してみたが、ダメだった。たぶん紙という素材は意外と硬い素材だということのようだ。通常のホチキスの針とくらべ幅12mm、高さ10mmの張りは、太いという点も貫通力を阻害しているのかもしれない。ノギスで測定すると0.5mmvs0.7mm(写真)。つまり0.2mm太い。作用する力はさほど変わらないから、紙とは言え突破力に差が出たようだ。


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