みなさん!知ってますCAR?

2021年10 月 1日 (金曜日)

TOP NEWS

五輪は許されても4輪、2輪は許されない、との豊田章男氏の発言にひとこと

ポルシェのEV

  先日、鈴鹿サーキットでおこなわれたトヨタの社長豊田章男氏の発言が、話題を呼んでいる。
  日本自動車工業会会長として、という前提で「五輪は許されても4輪と2輪は許されないことに、不公平感を抱いていて、大いに不満だ」と発言。その場にいた記者にこのフレーズを記事の見出しとして使ってほしいとまでアピールした。
  言い回しの妙に座布団1枚という声もあるが、このボヤキ、わからないでもない。
  コロナ禍の状況下で、オリンピック・パラリンピックを開催したのに、日本で開催予定だった国際格式のモータースポーツはことごとく中止に追い込まれたからだ。F1日本GPをはじめ、世界ラリー選手権WRC,世界耐久選手権WEC,2輪のモトGPや鈴鹿8時間耐久レース、もてぎで開催予定のトライアル世界選手権などがことごとくキャンセルとなった。しかもトヨタとしては、五輪のメガスポンサーの一つとしておおいに協力したのにナゼだ! という思いが章男氏の強い言葉の裏にある。
  当局は、モータースポーツのアスリートをアスリートとして見ていないのか? そんな発言も章男氏の口から出た。
  この差別には根深いものがある。そもそも、日本人の大半はモータースポーツを100m走やマラソンといった駆けっこ、水泳競技と同じようには見ていない。運動場やプールの数ほどには、サーキット場がないからだ。自動車やバイクは生活のなかに溶け込んではいるが、それを使っての競技となると、遠い存在だからだ。エンジンのチカラで走るのだから、それを操る人間はオペレーターであって、アスリートではないんじゃないの? というのが大半の日本人の発想だ。
  これってやはり日本が自動車とバイクの生産大国であっても、自動車やバイクをめぐっての文化が、ほとんど根付いていないということなのだ。
  象徴的なのが、科学博物館だ。ヨーロッパ、たとえば第1次世界大戦まで欧州の中心地だったウイーンの科学博物館には、自動車の初期のころの電気装置が展示していたり、若き日のフェルディナンド・ポルシェがつくったホイールインモーターのEV(写真)が展示されている。加えて20世紀初めのころの自動車レースの膨大な動画が保存され、だれでも見ることができる。敗戦後、経済を立て直した自動車そのものの展示は、日本の科学博物館にはほとんどない。
  自動車の扱い方についても、ほとんど議論されないことも、日本に自動車文化が根付いていない証拠だといえる。たとえば、高齢者ドライバーがブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違える事故が最近話題になっている。これなど「左足ブレーキ」を身につければ、まず、暴走事故は激減するはず。ところが、日本の自動車学校でも、「左足ブレーキはむしろ危ない」として、議論しようとしない。著名な自動車ジャーナリストであるポール・フレール(1917~2008年)も「左足ブレーキ」を推奨しているのである。
  じつは、トヨタも1970年代のオイルショック以後、モータースポーツをほぼ封印していた時期が長くあった。当時のトヨタマンの口から、「レースはいわゆる金食い虫」というフレーズを聞いた。レースに足を染めている豊田章男氏の代は大丈夫だが、次の代でもし不景気にでもなれば、企業は態度を180度転換するものだ。
  自動車文化の創造は長いスパンで考えるべきだ。そこで章男氏に提案したいのは、次世代を担う子供たちが楽しめるモビリティのワンダーランドの創設だ。「こども庁」の発想もあることだし、ここは、鈴鹿サーキットやもてぎをさらに進化させた子供ファーストのモータースポーツランドを国内に5,6個といわず10個ほど作ってみてはどうか。

カーライフ大助かり知恵袋1

遅れてきたお雇い外国人 ウイリアム・ゴーハム伝(第18回)

日産NB型サイドバルブエンジン

  1945年8月15日、ようやく長い戦争が終結した。
  東京、横浜は、爆撃で大半のところは焼け野原となった。とくに軍需工場の被害はすさまじかった。ところが、日産の横浜工場は軍用機のエンジンを製作していたにもかかわらず、ほとんど被害を被ることはなかった。あとでわかったことだが、戦後アメリカ軍が接収して、敷地だけでなく、設備一式を活用しようと考えていたからだ。
  だから、この年の10月から日産は、トラックの生産を再開することができた。もちろん日本の復興のためのトラックである。ゴーハムは、このとき取締役技術長として、大車輪の活躍をした。機械設備の再編成、資材の調達など寝る間を惜しんで働き続けた。このころのゴーハムは、部下たちからひそかに“ブルドーザー”というニックネームを頂戴している。
  日産の復興にめどがついた時点で、ゴーハムは次の仕事に取り掛かった。
日本および東南アジア各地に戦争で放置された車両を回収し、修理できるものは修理、部品取りするものは部品、スクラップになるものはスクラップという分別業務を展開する会社「富士自動車」という新会社を立ち上げ、元日産の社長・山本惣治(1888~1962年)とともにおこなうのである。
  日本国内の車両修理業務は、日産同様トヨタもおこぼれにあずかり、朝鮮戦争(1950年)で、特需景気が起きるまでのつなぎの業務として、事業永続のカギを握った。南洋諸島や東南アジアにある車両は、戦車陸揚げ船(LST:タンク・ランディング・シップ)や上陸用舟艇(ランディング・クラフト)で運ばれてきた。富士自動車が1958年までに再生した米軍の車両は、のべ23万台ほどだったという。
  ちなみに1955年、独自開発した超小型3輪自動車フジキャビン。これは富谷龍一(1908~1997年)のデザインで、FRP(強化プラスチック)ボディの斬新なものだったが、量産性も悪くけっきょく試作85台ほどで終わっている。富士自動車という企業は、いまから見ると不思議な会社だった。
  (写真は、日産トラック480型などに載せられた当時のサイドバルブ直列6気筒エンジン。アメリカのグラハムページ社の技術でつくられたエンジン。排気量3670㏄、圧縮比6.8、最高出力95HP)

カーライフ大助かり知恵袋2

ぼくの本棚:ポール・フレール著『新ハイスピード・ドライビング』(二玄社;小林彰太郎、武田秀夫共訳)

IMG_7611

  世界的な自動車ジャーナリストにしてルマンなどで活躍したレーシングドライバー、ベルギー人ポール・フレール(1917~2008年)の硬派なドライビング・テクニック教則本である。
  文は人なり、とはよく言ったもので、良くも悪くもポール・フレールさんの生真面目さが前面に出た教則本だ。活字を通して彼のロードインプレッションなどをいくつも目を通してきたが、ベルギーの裕福な家族のもとで育ったおかげで、実にまじめで真摯に対象をとらえ、仕事に打ち込んだ人物だということがわかる。
  だから、この本は、ドライビングポジションの決め方からスタートし、ギアチェンジ、ブレーキングとすすむのだが、クルマをあやつる、つまりカードライビングは、クルマのメカニズムを知ること、さらにはクルマのメンテナンス(ブレーキフルードの劣化など)まで話が及ぶ。こうした運転の各動作を深堀することで、クルマを深く理解し、理想的な運転テクニックに結び付けていく。
  しょうじき告白すると筆者(広田)は、こうした教則本が苦手。ところどころにあらわれる数式に面食らうし、そもそもバイクもそうだが、運転というのは失敗してなんぼの世界だと信じているフシがあるからだ。ともあれ、翻訳はカーグラフィックの元編集長が監修しているので、まず間違いないと思われる。
  この本の魅力は、運転免許を取った初心者から、サーキットで競技を楽しむレーシングドライバーまでを対象にしている点のようだ。サーキット走行を安全におこなうまでのスキルや知識がとりあえず述べられている。とりあえずと言ったのは、この本はいまらか50年以上前に書かれた本(翻訳は1993年12月)だから、現在の状況とはかけ離れたことがあるからだ。でも、基本はあまり変わってはいない。
  数年前、ホンダがもてぎのショートコースで展開しているサンデードライバー向けのレーシングテクニックの初歩の初歩講座を取材したことがある。自分のクルマで、普段できないフルブレーキなどが楽しめるところが魅力だ、こうした講習会は、「ふだんの自分の運転を見直すきっかけになる!」として意外と人気である。こうした意識高い系ドライバーは、この本でまず“畳の上の水練”をおこない、もてぎや鈴鹿サーキットで実践をおこなうのがいいのではなかろうか。

愛車メンテのプラスアルファ情報

ネットで手に入れた中国製のラチェットドライバー!

デュラテク1

デュラテク2

デュラテク3

  ラチェットドライバーほど、使い勝手のいいものはない。でも実際、もろ手をあげて合格点をあげられるのは、あまり世の中には存在しない。……ということは十分承知していながら、先日スマホをいじっていて、たまたま発見したのが、この商品。
  MADE IN CHINAではあるが、DURATECH(耐久性のあるテクノロジーの意味合いか?)という何やら質実剛健そうな感じのブランド名。それと、グリップ内に両頭ビットを仕込んでいて、しかも、その数が6本、つまり合計12のネジに対応する! 渥美清演じるトラさんの「啖呵売(たんかばい)」の世界と同じで、人はときに怪しげなものに惹かれるもの。ついクリックしてしまい、購入してしまった。なんと価格は1880円(税込)! という廉価だったこともあります!
  いわばお化け屋敷に足を踏み込んだ感じ(オーバーですね)だが、読者を代表して購入した甲斐は十分あったといえる。
  ズバリ言えば、予想した通りガタがやや多い。これは厳しい言い方をすれば、手にじかに握るドライバーとしては、致命的な欠点だ。ラチェットのギアは、24と多くもなく少なくもないが、山を越えるときの作動力が軽すぎて、まるで昔の安っぽいラチェットドライバーを思い起こさせた。そこまで吟味して商品化していない証拠だ。
  でも、美点はそれなりに発見した。
  全長90㎜の両頭ビットがうまくグリップに収まっており、指で押すことで出し入れするシンプル構造。コンコンと叩いただけで飛び出すか、やってみたが、適度な摩擦抵抗があり、その心配はない。いわゆるチャックに両頭ビットを装着するには、ただ押し込めばいいだけ。取り外すときは、黒色のスライドカラーを手前に少しずらすだけ。この作動力が軽いのは、うれしい。
  このラチェットドライバーの美点は、なんといっても豊富なネジに対応できる点だ。プラス1番、2番、3番、それにマイナス4㎜、5㎜、トルクスの10,15,20,25、それにスクエア(SQ)1,2,3……合計12のネジに対応だ。スクエアというのは真四角の凹みのあるネジに対応するもので、家具などに使われているネジだ。ヘックスボルト向けのビットがないのは、不思議な感じがするが、手持ちの1/4インチ(6.35㎜)のビットが流用できるので、とりあえず良しとしよう。
  ちなみに、全長は215㎜で通常のドライバーとほぼ同じ。重量はビットの数が多い分242gと、手持ちのPBが208gにくらべて2割増しで重い。グリップの形状は、親指が収まる凹みがあり、悪くない感じだ。価格のわりには、よくできた製品と言えそうだ。


▲ページの先頭に戻る

Copyright © 2006-2010 showa-metal .co.,Ltd All Rights Reserved.