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2021年10 月15日 (金曜日)

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パラリンピックでの事故で見えた! 自動運転車両の課題

Eパレットに群がるメディアの人たち2019年東京MS

  すでに旧聞になるが、パラリンピック選手村での自動運転車両の事故を覚えているだろうか?
  8月26日のお昼頃、いわゆるオリパラの選手村で選手たち関係者の送迎を低速走行していたトヨタ製の自動運転の小型EVバス「eパレット」(写真:2019年の東京モーターショーに登場。お披露目した際に多数のメディアが集まった)が右折した直後、歩道を渡ろうとしていた視覚障害のある選手と接触した。選手は転倒して2週間のけがを負った。選手のケガ以上に、ショックだったのは、自動運転車両の開発者だったようだ。 はからずも自動運転の難しさを浮き彫りにしたからだ。
  事故の詳細を振り返ると、こうだ。
  バスは、右折直後、交差点内に人がいることを感知し停止した。バスに乗っていたトヨタ社員のオペレーターが、交差点の周辺を目で確認した。「横断歩道近くにいた誘導役の警備員が横断歩道を渡りかけた選手を静止しているように見えた」ので、オペレーターはクルマを発進させた。その直後、横断してきた選手を車両のセンサーが感知して、自動ブレーキが作動した。オペレーターもあわてて手動の緊急ブレーキをかけたが、バスは止まり切れず時速1キロほどの速度で選手とぶつかり、選手を転倒させてしまった、というのだ。
  このクルマは自動運転のレベルでいうとレベル2だ。歩行者、誘導員、オペレーターの3者が、安全を確保する構造だ。つまり、停止すべきだと判断した機械(システム)に対して、オペレーターは横断する選手の行動を読み違えて、クルマを止めなかった。ここに落とし穴があったわけだ。
  高速道路など「特定の条件下」での自動運転を許容するレベル3の車両は、すでに市販されている(あまり台数は多くないが)。レベル3では運転手がいて、すぐに自動運転をキャンセルし、手動に切り替えられる世界。ところが、運転手がいない状態で走行するレベル4(実用化は2025年とされる)やレベル5では、果たして人のかかわりをどうするのか? このへんの基本的なことが、今回の事故で浮き彫りになったといわれる。基本的なことだけではなく、交通事故の形態(天候、路面状況、車両環境など)が多岐にわたり、ひとつずつつぶしていく作業は膨大となる。
  それでも、年間3000人近くの死者数と36万人以上の負傷者が発生している日本の道路で、自動運転車の普及は間違いなく交通事故ゼロへの道筋となる。

カーライフ大助かり知恵袋1

遅れてきたお雇い外国人 ウイリアム・ゴーハム伝(最終回)

ゴーハム氏の家族

  その数なんと20万台を超え、自動車として修理され復旧したのは75~80%だった。船が直接接岸でき、近くに工場があるということで、横須賀市追浜にある元海軍工廠を活用した。この業務は、約10年間にわたりおこなわれ、昭和33年には、その工場跡地に日産追浜工場がつくられ、ブルーバードなどが生産されることになる。これは昭和37年だからはるか先の話だ。近くに野島公園があり、そこからテストコースが見渡せるところだ。
  ゴーハムは、この富士自動車の副社長をしながら、実は、「ゴーハム・エンジニアリング社」を設立し、さまざまなモノづくり工場のコンサルタント事業を展開している。その数なんと30社で、トヨタ自動車、キヤノン、ピストンのアート金属、バッテリーの湯浅電池、矢崎電線、理研柏崎工場などそうそうたる企業ばかり。ゴーハムの高い技術力もさることながら、欲得抜きの真摯な生き方に共鳴して一流企業の経営者が、ゴーハムのところに集った、という側面も見逃せない。
  だが、別れは急に訪れた。昭和24年、10月24日腎臓を患い、亡くなるのである。61年の波乱の人生だった。その半生は、日本の自動車産業の礎を築いたといっても過言ではない。明治期の「お雇い外国人」は、2~3年、長くて5年ほどで帰国するケースが多かった。いわばパートタイムジョブだったが、ゴーハムは日本を愛し、日本人を愛し、日本人からも慕われ、愛され、日本の自動車産業の礎を築いたひとりとなり、そして日本の土になった。自動車殿堂入りしてもおかしくない存在である。(写真は、桂木洋二著『日本人になったアメリカ人技師』から)
  参考文献/橋詰紳也『人生は博覧会・日本ライカイ屋列伝』(晶文社)、桂木洋二『日本人になったアメリカ人技師』(グランプリ出版)、『日本自動車史年表』(グランプリ出版)、『21世紀への道・日産自動車50年史』(日産自動車)、『国産車100年の軌跡』(三栄書房)、「日本史年表」(岩波書店)、工藤美恵子『絢爛たる醜聞 岸信介伝』(幻冬舎文庫)、広田民郎『クルマの歴史を創った27人』(山海堂)
  ◎次回からは、トヨタの戦前の物語を描く『トヨタがトヨダであった時代』(仮)をお届けします。

カーライフ大助かり知恵袋2

山川健一著『快楽のアルファロメオ』(中公文庫)

快楽のアルファロメオ

  いきなりだが、イタリア経験を冷静に呼び覚まし指折り数えてみる。
  90年代にベータ(BETA)というイタリアのトライアルバイクに乗っていた時期があるし、観光先のニューヨークのアルマーニ店でTシャツを手に入れた。それにイタリア在住だった須賀敦子さんのエッセイや小説にはずいぶんのめり込んだ時期もある。同業者である日刊自動車新聞社の知人のアルファロメオ164Lのオイル&オイルフィルター交換をやったこともある。
  アルファロメオ164Lのオイル交換作業は、強烈に記憶している。このクルマFFのV6エンジンだが、オイルフィルターエレメントがどこにあるのか、上から覗いても、下にもぐり探したが、見当たらない。徐々に不安げな表情が濃くなるオーナーを尻目に、ときどき水中から出て息を吸うアワビ取りの海女さんのように、何度も何度もクルマの下にもぐって、30~40分たった頃ようやく見つけた。ロアアームの上のごく狭い隙間に収まっていたのだ。門型リフトならいざ知らず、フロアジャッキと馬(リジッドラック)で持ち上げたわずかな空間では自由に横を振り向けず、発見が遅れたわけだ。しかも、不思議なことにフィルター自体は手でも回せるほど初めから緩んでいた。フィルターレンチを潜り込ませられないほどロケーションが悪く、前任の整備士さんが手抜きしたに違いない。はっきり言ってヤバい状態だったのだ。
  かつてのイタリア車は、しょっちゅう壊れるので、走っている時間よりも整備工場に入院している時間の方が長い、なんて悪口をいわれていたが、最近はドイツ車に迫る信頼耐久性があるという(アルファロメオの整備士コンテストを取材した際に、耳にタコができるほど聞かされた!)。
  少し前のイタリア車のオーナーは、腹を抱えて大笑いするほどの奇想天外なトラブルを体験しているはずだし、ジャパニーズ・インダストリーとは異次元のイタリアン・インダストリーの醍醐味を感じているはず。
  ところが、筆者山川氏はどうもメカニズムに関心が薄く、不具合を追求して言葉にする好奇心が薄いと見受けられる。そこが少し残念。それでも、活字の世界や映画に登場するイタリア車を紹介したり、独自の取材力でイタリアの、言うに言いがたい魅力に分け入ろうとする。つまりはアルファロメオ車に恋した日本人の一人の男のエッセイなのだ。(文庫版発売は1998年6月)
  筆者のイタリアへの偏愛具合は、大いに興味が持てる。イタリアは、中世のヨーロッパの田舎の臭いがするし、季節でいうと秋なのである。どこか投げやりで、それでいてフレンドリーなアルファロメオの良さがぐいぐいと伝わってくる。数年前ジュリエッタのステアリングホイールを数時間握って横浜の街を走ったことがあるが、そのとき窓外の景色がイタリアンデザインに縁どられた錯覚に陥った。同時にアダージョ(緩やかに)、フォルテ(力強く)、カンタービレ(歌うように)、クレッセンド(だんだん強く)、ダカーポ(曲の最初から繰り返す)、それにフィーネ(曲の終わり)といった音楽の世界の用語が、頭のなかをかけ巡ったのだ。
  コメの飯を食っている日本車オーナーも、懐(ふところ)とパーキング事情が許せば、イタリアン・フードを食べている人がつくるクルマを所有したい。

愛車メンテのプラスアルファ情報

舐めてしまったヘックスボルトも脱着できるヘキサゴンレンチセット!

エキストラクター付き工具1

エキストラクター付き工具2

  エクストラクターの機能を備えたヘキサゴンレンチ9本組みセットである。
  他メーカーにはラインアップしていないハンドツールを意欲的に出している兵庫県三木市にあるスエカゲツールの製品だ。品番は、BPWS-9Sだ。
  いまどきのバイクが特にそうだが、内6角ボルト、つまりヘキサゴンボルトが好んで使われるようになった。いわゆる「皿キャップボルト」と呼ばれる頭部が丸みを帯びたヘキサゴンボルトは、でっぱりが滑らかになるデザインに貢献できるため、とくにバイクのボディやカウル、フェンダー周辺で多く使われている。ヘキサゴンボルトを脱着する工具は、スパナやメガネレンチでは不可能。ヘックスレンチの出番だ。
  ヘックスレンチには、L字型、ソケットタイプ、ドライバータイプ、ナイフ形などいろいろあるが、L字型が一番ポピュラーで、比較的リーズナブルな価格で手に入るため、多数派となっている。L字型は、長手方向に約200mmあるので手が入りづらい、つまり奥にあるキャブレターを脱着するときなど活躍する。(ラチェット機構が付かないので、ややもどかしい感じになるが)
  このL型レンチは、6角の線材を加工するだけ。といっても切断、曲げ、先端部の加工、熱処理、表面処理などの工程があるが、ソケットをつくるうえでの圧入などがないぶん比較的容易にできる。そのためか、数多くの製品が市場に出ている。販売価格も2000~4000円と比較的手に入りやすい価格帯である。
  そこで、選択の決め手は、サイズの豊富さ、ブランド、使い勝手の3つとなる。
  この製品、サイズの豊富さは負けていない。下から1.5,2,2.5,3,4,5,6,8,10と計9種類。一番使用頻度の高いネジ径M8用の6mm、それにねじ径6mmに対応する5mmである。オフロードバイクの場合、転倒による破損や変形で部品の取り外し、取り付け作業が日常的となる。故にボルトの頭部の溝が舐める頻度も高い。こんなとき、このエクストラクター機能が断然有効となる。
  EXTRACTORとは、抜き取り工具、のことである。ネジの頭が破損してもげた場合、鏨(たがね)のようなエクストラクターをハンマーで打ち込み強引に折れたボルトを抜き取る……そんな手法が昔からあるが、このヘキサゴンボルトのエクストラクター機能は、頭部の6角の凹みが舐めた場合、通常のレンチでは役立たない場合、断然役に立つのだ。この工具のミソは、6カ所のうちの角3つを少しえぐっている点(写真)だ。これにより舐めた穴溝でも工具がすんなり入り、トルクをかけられるという寸法だ。
  凄いのは、一番小さなサイズの1.5にまで、この特殊形状を作り込んでいる点だ。なお、長軸側には、ボールポイントタイプにしていて、斜めからボルトにアクセスできるデザインである。使い勝手については、新デザインの樹脂ホルダーがよくできている。向かって左端をスライドさせることで、上蓋が持ち上げられ、必要とするサイズの工具を速やかにピックアップできるのだ。その動きもスムーズにできる。重量は約400gで、価格は3850円だ。


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