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2022年1 月 1日 (土曜日)

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手放しで喜べない! トヨタ9年後に年350万台のEV生産。

トヨタ新EV戦略

  トヨタの豊田章男社長は、昨年12月14日いきなり記者会見を開き、今年5月の計画を白紙に戻し9年後の2030年にはEV生産を全体の35%にあたる350万台とすると宣言した。EVの開発や生産設備に4兆円、“電動車”全体で8兆円の巨費を投じるとした。
  会場は閉館間際になったお台場のメガウェブ。未発表のSUVのEVやスポーツカーのEVなどなど10数台を背にしての記者会見は、いやがうえにも世界一の自動車メーカーの一大決意を示すものだった。
  この迫力ある記者会見のおかげで、数週前「全固体電池の5年後導入に向けて2兆円の投資をする!」という日産の宣言はすっかり霞んでしまった。まさに企業規模の違いを印象付けた。
  それにしてもだ。今回トヨタが、半年にも満たないで、軌道修正した理由は何か? 環境保護団体グリーンピースによる気候変動対策の最下位評価やニューヨークタイムズ紙の「クリーンカーを遅らせているメーカー・トヨタ」という悪評をかわす狙いが背景にある。加えてEV専門メーカーのテスラの株式の時価総額がトヨタの3倍以上となったこともある。
  ホンダが2040年までに新車販売をEVかFCVにする、ドイツのVWが2030年にEV販売比率を50%にする、フォードも2030年までにEVを4~5割にするなど華々しくEVシフトを宣言している。トヨタの首脳陣にとって、こうした動きは外堀を埋められつつある気分だった! というのは言い過ぎだろうか。
  それにしてもだ。全体の生産比率から言えば35%はそう多くはない。「テスラモーターは年間のEV生産が50万台に過ぎない。うちは350万台を目標としている。ここを評価してもらいたい」「たとえばノルウエイは水力発電が背景にあり、EV比率が7割と高いが、バイオエタノールを燃料としたエンジンが主役となっているブラジルでは、ガソリンより安いバイオ燃料が背景にあり、そこにEVを売ろうとしても無理がある。トヨタはグローバルにクルマを販売している」世界を相手にしている自動車メーカーであることを章男社長は、強い言葉でにじませた。「急速な脱炭素、つまりエンジン不要となれば100万人の雇用が失われる」という章男社長に次の手はあるのか? そして、安易なEVシフトで、走行時のCO2発生は抑えても、肝心の電気をつくるのに化石燃料を用いてCO2を大量に発生させる! という愚行に陥る心配はないのか? だからと言って原発の活用には踏み切れないし。

カーライフ大助かり知恵袋1

『トヨタがトヨダであった時代』(第5回)

豊田喜一郎

  生まれ落ちた国のために仕事をして、自国を外国に誇示するべし! という国威掲揚を教育のど真ん中に置いていた。ココロザシのある人物は、“このままでは日本がだめになる!” そんな危機意識が募ったのは当たり前ともいえた。
  ちなみに、喜一郎は、父親の豊田佐吉からこんな薫陶を受けていたという。「わしは織機を作ってお国に尽くした。お前は自動車をやれ」。このまま手をこまねいていると、アメ車が日本の市場を埋め尽くしてしまう、という危機感は、当時の日本の起業家や資本家の気持ちとしては共通していた。
  だが、本格的な量産を目指す自動車産業に挑戦するとなると、リスクが大きすぎる。広大な工場施設や大量の優秀な労働力、機械設備、高い技術力、量産力、サービス体制、部品の購買力など数え上げたらきりがないほどの総合力が要求される。これらをすでに世界的企業となりつつあるフォード、GM相手にするわけだから、いわゆるクレバーな既存の資本家や起業家(具体的には三井、住友、三菱、渋沢、安田、大倉などの財閥)の大部分はやりがいのある事業だとは理解してはいるが、リスクの高いビジネスとして自動車産業にそっぽを向くか、二の足を踏んでいた状態だった。
  こうしたリスキーな事業に果敢に飛び込んでいったのが、トヨタと日産だったというわけだ。2社ともに新興勢力ともいえた。いまの言葉でいえばスタートアップ企業、あるいはベンチャー企業。
  ただ、このころの流れを注意深く調べると、トヨタも、正面切っての自動車製造に着手したというわけではない。むしろ日産の鮎川義介の方は、ワンマン企業だったこともあり、果敢に挑戦したといえる。
  この物語の主人公の豊田喜一郎は、豊田佐吉の息子とはいえ、その当時豊田自動織機製作所の常務に過ぎなかったからだ。喜一郎の独断で、「はいこれからうちの会社でクルマを作ろうと思います!」なんて宣言までには時間が必要だった。社長は、佐吉の長女の婿養子である豊田利三郎(1884~1952年)。喜一郎から見ると、10歳上の義兄である。喜一郎は、自分の夢を実現するには、外堀と内堀を少しずつ埋めていくしかなかった。
  (写真は1920年ごろの豊田喜一郎)

カーライフ大助かり知恵袋2

ぼくの本棚:中部博著『和風クルマ定食の疾走-日本的自動車づくりの発想』(JICC出版局)

和風うクルマ定食

  『自動車伝来物語』でユニークなノンフィクション作家の地歩を固めている中部博(1953年生まれ)の国産自動車メーカー訪問記である。メカには詳しくはないが、めっぽうクルマが大好きな筆者の中部氏は、ふと「クルマはどんな考えでつくっているのか?」という好奇心がむくむくとわいてきて、地道にカーメーカーを訪ねまくり、その答えを求めようとする。
  そもそもクルマのことを詳しく語ろうとすればするほど、他者に伝わりづらいものだ。頭を冷やして考えれば、ただの個人的な移動手段に過ぎない乗り物。でも、ふだん足として使うクルマを“愛車”(すでに死語!?)と称したり、なかには愛玩動物のごとくニックネームを付けたり(私の友人はゴンタという名前を付けていた!)、あるいはかつての電車のように○○号と名付ける御仁までいる。そこまでいかなくても、クルマというカタマリのなかに人格が宿っている、と心の隅で思いがちである。たぶんそれは“自分の手足の延長”ということ。だから、クルマは人に語りかけたり、ときには支配までしてしまう。
  この本は、日本のクルマづくりにかかわってきたエンジニアや商品企画担当者、営業マンに素朴な疑問をぶつけ、ときには筆者が子供の頃から積み上げてきた自動車へのあこがれや価値観のなかで自問自答を繰り返す。
  ともあれ、この本のインタビュー時期は1980年代中頃。いまから35年前ほど。登場するクルマは、かなり古い。マークⅡGX81,ソアラ、ホンダ・インテグラ、7thスカイライン、デボネア、マツダ・カペラ、スバル・エルシオーネVX,ダイハツ・リーザ。どんなクルマだったのかにわかには思い出せないクルマが大半。
  当時のクルマはようやくキャブレターから電子燃料噴射にシフトしていった時代。現在のクルマのように、自動ブレーキも付いていない。1台のクルマのなかに10個も20個ものコンピューターを搭載して、エンジンだけでなく、ブレーキ、シャシーの緻密な制御をおこなってはいない。安全性という切り口で比べてみても、隔世の感がある。でも、それは逆に言えば失っているものもある。
  失くしたものの最大級のものは、モノづくりの現場とユーザーの距離感かもしれない。80年代までのクルマは、ちょっとしたメカ知識があれば、手持ちのハンドツールで、自分のクルマの修理が楽しんでやれた。もっとも、イマドキのクルマもメンテナンスだけは、DIYでやれちゃうのだが、手が入る余地の見えないエンジンルームをのぞいただけで、いまどきの若者は門前払いを食らった思いをするのではないだろうか?
  本のタイトル自体が、なんだかゲテモノ風に思えるが、ごくごく普通の感覚のインタビュー記事だ(単行本のタイトルは筆者の手を離れ編集サイドが決めるから)。
  そして読了してみての感想は、けっきょく個々のクルマをあれこれ考えることは、ハンドルを握る自分を見つめることだと気づくことに。「自分は何をクルマに求めているのか?」という問いに始まり、「自分とは何なのか?」「何を人生の目標としていくべきなのか?」そんな哲学めいた問いかけをし始める。(1988年12月発売)

愛車メンテのプラスアルファ情報

見掛け倒しの軽量タイプ? ストレートのラチェットコンビレンチ。

ストレートの新型コンビレンチ

  コロナ禍のせいもあり横浜の都筑(つづき)にある工具屋さんのストレートに久しぶりに足を運んだ。
  お店のPCで顧客履歴を閲覧してもらうとなんと、4年ぶりの来店だというから驚く。いかにパンデミックが取材活動を阻害していたかがわかる。それはともかく、この店は門外漢の人には異常なほど、相変わらずぎゅうぎゅうの感じで工具があふれかえっている。
  今回見つけたのは、ストレートのオリジナルの『ラチェットコンビネーション軽量タイプ12mm』(品番11-7712)だ。写真(手前)で見るように柄の部分に2カ所肉抜きをすることで、軽量化を図ったというコンビレンチだ。メガネ部には、ギア数72のラチェットが組み込まれている。価格は960円とリーズナブル。
  この製品を一目見ただけで「ハハ~ン!」である。なにがハハ~ンかというと、肉抜きコンビはすでに新潟にあるASAHIが、「ライトツール」(写真の奥)という名称で7年ほど前から市場に出している。全長140mmで、今回のストレートの約30%短いし、重量は33gでストレート78gなので半分以下の超軽量だ。ちなみにASAHIは、メガネ部はラチェット式ではないが、ラチェット式のメガネブを持つタイプのコンビレンチは、大阪のTONEからやはり7年ほど前に登場しているのだ。TONE・RMシリーズ(写真中央)で、グリップ(軸)がエンタシスの断面のようなふっくらしたタイプ。
  つまり、若干いやらしい言い方に聞こえるかもしれないが、このASAHIとTONEの2つのコンビレンチのいいところを合わせた感じの製品だといえなくもない。
  そこで、一番気になる軽量かどうかだ。じっさい秤で計量してみた。意外や意外、肉抜きしていないTONEのRM(もちろん同じサイズの12mmだ)より12gも重い。割合にして16%も重い。これはもちろん、全長が25mm長い195mmもあるからだ。ここまでの長さがあれば、より大きなトルクをかけやすいが、果たして必要かどうかは、別問題。むしろ、私の経験ではショートタイプのコンビレンチの方が使い勝手がいい。
  ついでに苦言を呈しておくと、メガネ部にスパナ部同様15度の角度をつけてある点だ。
  スパナは、たしかにひっくり返すことで、振り角度を大きくできタイトな場所での使い勝手を高めている。ところが、メガネ部は、逆回転の切り替えができないので、ひっくり返して使うというわけにはいかない(ひっくり返せば緩んでしまい、元の木阿弥だ!)たぶんこれは、デザイン上の遊びなのかもしれない。スパナ部、メガネ部ともTONEに比べやや厚いのも気になった。ちなみに、仕上がりは鏡面で悪くない出来だ。


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