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2022年9 月 1日 (木曜日)

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キッズエンジニアに見る女子力向上リアル!

スバル4駆模型1

スバル4駆模型2

マツダマフラー1

マツダマフラー2

マツダマフラー3

「かれこれ、7~8年このイベントをおこなっているのですが、女子の参加が目に見えて増えていることに目を見張る思いです!」
こう語るのは、長年スバルで車両開発に携わってきたOB。「キッズエンジニア」(主催は自動車技術会)を取材してふと耳にした現場の声である。たしかにこれまで男性社会だと考えられてきた技術の世界にも多くの女性が活躍している。女子がサイエンスを苦手とするのも思い込みだ。(ちなみに半世紀前の話だが、筆者が卒業した工業高校には全学年でわずか2人しか女子がいなかったが、いまは全体の10%を軽く超えている。それでも世界レベルから見ると低い?)
このイベント、2008年から横浜と名古屋、大阪を会場にして基本、毎年開かれている。が、長引くコロナ禍で、ようやくリアル開催が今年から復活した横浜パシフィコ会場。
小学生を対象にしているせいか、「レベルが低いから取材対象にはならない」とハナから思い込んでいるメディアが少なくないせいか、記者の姿がまばら。たぶんこれは“難しい技術をいかに易しく説明するか?”に関心がないせいだと思う。自慢ではないが、ほかでは類をみない面白いイベントだと見抜いて、かれこれ両の手指ほどの現場に足を運んでいる。
このキッズエンジニア、いずれも10~15名ほどの教室で時間が1時間ほどのワンテーマで進められる。プログラムは全部で20個ほどある。プログラムの提供先は、自動車メーカー、自動車の部品メーカーなど、なかには大学の工学部が子供を対象に、科学への好奇心に火をつけようという試み。狙いは将来の優秀なエンジニアがそだってもらいたいという切なる願いだ。
冒頭のスバルは、「2駆と4駆の違いを模型をつくりことで実感してもらう!」というもの。田宮の工作キットをベースに単三電池2本で駆動するモーターを備えた、ゴムバンド駆動の自動車の模型(写真)。ドライバーさえあれば簡単に組み立て完成するが、初めて工具を持つ小学生(ばかりか付き添いの父母も!)なので、意外と苦労していた。というのは、ナットが供回りしないようにボックスレンチで押さえるコツが要求されるからだ。2駆と4駆の違いはゴムバンド後輪にかけるだけで完成する。めっちゃシンプルな仕掛けなのだが、これを写真のような階段あり砂地ありのいわゆるラフな路面で走らせ、競争させると、思わず身体が熱くなる! ジェンダ―フリーのリアルが見られた!
シンプルと言えば、マツダのプログラムは、さらに面白かった!
ペットボトル、段ボール、紙コップ、タピオカ用太めのストロー、それにティッシュペーパー。ごくごく身近にあるものを使って、マフラーを製作。それを実際マツダ車のマフラー作成で活躍する集音器を使い、チューニング具合をパソコンでリアルにみることができる! そんなプログラムである。ペットボトルが共鳴部(レゾネーター)、段ボールが仕切り板(拡張部)、紙コップが入力の集音部、そしてストローがアウトプットのテール部で、ティッシュが吸音材(本来はグラスウール)というわけだ。いわれてみれば、なるほどだ。
 横には、例のロードスターのリアルなマフラーのカットモデルがあるので、より理解しやすい。筆者の場合、トライアルバイクのくたびれたマフラーを開腹し、なかのグラスウールを新品にしたりした経験が何度もあるので、このイベント他人事には思えない。
 小学生が造り上げたマフラーを集音器で、入力するが、その言葉(排気音)が「ロードスター」と小さく叫ぶことだった! PCに録り込んだ波形を見て、集音器の紙コップを小さくしたり、大きくしたりすることで変化(チューニングの実際)を嬉々として楽しんでいた(写真)。これってすごいよね!

カーライフ大助かり知恵袋1

『トヨタがトヨダであった時代』(第19回)

トヨタの労働争議

  トヨペットSA型乗用車は、隈部一雄の趣味性が投影され、当時としては意欲的なハイメカだったが、はたせるかな営業的には失敗だった。わずか200数台しか売れなかった。
  そこで1948年4月4ドア版のSC型が作られたが、悪路での足回りをめぐるトラブルは解消できなかった。販売不振の背景には当時はまだ』オーナーカーが育ってはおらず、大きな市場であるタクシー業界で使われなければ量産ベースにのらない、という厳しい現実があったからだ。
  1949年10月にようやく乗用車の生産制限が解除されはしたが、悪性インフラが進み未曾有の不景気が襲いかかり、製造業を中心に倒産が相次いだ。いわゆるデトロイト銀行の取締役でGHQ財政顧問が来日し、急激なインフレ克服策を取ったため、いわゆる「ドッジ不況」が起きたのだ。
  こうしたなかで、トヨタも例外ではなく、資金繰りに苦しくなり、倒産寸前とまでいった。労働者側との交渉が難航し、2か月にもおよぶ労働争議が展開された。1949年11月から翌1950年3月にかけて、7600万円(現在の貨幣価値で約30億円)の赤字を計上。対応策として1600人の希望退職者を募集、残留者は10%の賃下げを中心とする経営合理化案を提示。
  組合は当然これを認めず、1950年4月11日の1日ストを皮切りに、4月10日から7月17日まで36回におよぶ団体交渉がおこなわれた。つまり再建策として、一部工場の閉鎖、希望退職者による人員整理と引き換えに、喜一郎も退陣せざるを得なくなった。
  全生涯をかけての自動車づくりから身を引く喜一郎のそのときの気持ちを想像するに・・・・察するに余りある。浪花節的表現だが、これって花が開く前に、身を引くつらさ。このとき副社長の隈部一雄も身を引いている。

カーライフ大助かり知恵袋2

ぼくの本棚:都築卓司著『ベンツと大八車日本人のアタマVS西洋人のアタマ』(講談社)

ベンツと大八車

  ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎氏に師事した物理学者の日本の科学技術文明エッセイである。
  30年ほど前、「ベンツと大八車」という刺激的なタイトルに惹かれて手に入れた単行本。ところが、ベンツや大八車のことは、いくらページを繰っても出てこない。
  「ハハ~ン、これはろくに熟読しないで、エイとばかり売れるタイトルをひねり出した担当編集者のせいだな。著者には、タイトルをつける権利が日本ではないようだから・・・・。サブタイトルの“日本人のアタマVS西洋人のアタマ”が先にできて、これだと凡庸なので、一発カマスうえで“ベンツと大八車”を大タイトルにしてしまったに違いない!」
  そんな夢想をついしてしまったが、当たらずとも遠からずだ。
  じつは筆者の都築卓司さん(1928~2002年)は、同じ講談社が発行するブルーバックス・シリーズの初期のころのメインライターだった。ブルーバックス・シリーズといってもピンとこない読者もいるかと思うが、自然科学や科学技術のテーマを一般読者向けにやさしく解説した新書。1963年創刊で、2022年時点ですでに2200点もあるという。都築さんは、このシリーズで「超常現象の科学」「不思議科学パズル」「タイムマシンの話」「誰にでもわかる一般相対性理論」など20冊近くを読者に届けている。
  今回取り上げた「ベンツと大八車」は、いまから半世紀近く前に出た本。だからPCはおろか、スマホも影も形もなかった時代の科学技術論だから、かなりのズレがある。逆に言えば、そこになんとも言えない面白みを見つけることができる。いまやグローバル経済で、人の行き来が頻繁で、国別文明論や人種別技術論がかなり怪しくなりつつある。だから一昔前、ふた昔前の日本人がどういう価値観で生活していたか? 
  この本が出た時点からさかのぼること33年前の1944年末、日本がアメリカとの戦争で、追い詰められた日本の軍部は、2つの切り札を具現化しようとした。ひとつは中島飛行機の粋を競った「富嶽(ふがく)」という名の未完の重量級爆撃機で、アメリカ本土に爆撃をする取り組み。もう一つは、なんと直径10mほどの紙風船をつくり、そこに焼夷弾をぶら下げ、ジェット気流に乗せて直接アメリカ本土空襲をおこなうというものだ。
  この風船爆弾の縮尺模型が、江戸東京博物館に展示してあり、たまたま同行したイラク戦争で狙撃兵だったアメリカの元兵士に説明。当方のテキトーな説明では不十分とばかり英文の説明文を読み始めると笑い転げ始め、しばらくその場から動けなくなった。この風船爆弾、楮(こうぞ)の和紙を3枚に重ね、こんにゃく糊で球状に仕上げたもの。組み立てるのに、広くて天井が高い場所がいるため、東京宝塚劇場、両国の国技館、浅草国際劇場などが使われたという。千葉や福島、茨城の海岸から計約9300個も放球され、うち約1000個ほどがアメリカ大陸にいきつき、6名ほどの死者を出したといわれる。
  いま思えば、こんなコスパ(費用対効果)の薄い、素人じみた風船爆弾を具現化して実際に飛ばした日本人。ここに現在の日本人にも通じる「手抜きを嫌う性癖」を見ると筆者は指摘する。たしかに胸に手を当てて考えると、わが風船爆弾は、少なからず数個ある。たとえば、のべ半世紀以上もだらだらやっている英語学習だ。英語脳になれとか、例文をとにかく暗記しろとか圧がかかるも、ひとつもネイティブには近づけない。
  日本人の自画像とは? 日本人に科学する力があるのか? それをこの物理学者は、スマートに解き明かしてくれる。(1977年11月発刊)

愛車メンテのプラスアルファ情報

わずか500円で手に入るパーツトレイは使えるか?

アストロの500円トレイ

  いまどきのクルマはあまり触りたくはなくなったが、少し旧いクルマの部品を取り外す際、必要になってくるのが、パーツトレイ。
  パーツをどこに一時保管するかを考えずに、いきなり分解作業に入って戸惑ったり、ひどく後悔する経験は何度もあるからだ。たとえば、後先を考えずやみくもに分解して、徐々に増えていくボルトやナットを「組付けるときを想定して整理しておかなくちゃ!」という考えが頭をもたげると、次にどこを外すのか!? という思いと交錯して、混乱するものだ。安直に手近で見つけた段ボールの箱に入れておくと、ちょっと触れただけで、なかのボルトやナットがごちゃ混ぜになり、あるいは箱から飛び出したりして、最後に組むとき頭を悩ませることになる。
  大げさに言えば“後顧の憂い”を絶つ意味でも、安心の『パーツトレイ』を準備することが、よい整備をおこなううえでの必須事項である。たぶん、というか優れた整備士はみなこのことをよく知っていて、事前に準備している。
  以上のことをふまえて、今回のパーツトレイを眺めるみる。
  ほぼ手のひらサイズの大きさの長方形。深さ33mm、横縦同じく33mmのスクエアなボックスが3×5、全部で15個ある。取り出すとき指の太さなどを考えての寸法だ。バイクのアクスルナットなら収まる。ただしアクスルボルトは長すぎて収まらないので、もう一つ別タイプのパーツトレイに入れておけばいい・・・・たぶん優秀な整備士は、事前にここまで考えるのだと思う。
  重量は300gとやや重めだが、それこそ迂闊に触れただけでひっくり返ることはまずない。底にマグネットが付いているので、工具箱にぴたりと張り付く。
  計15のスクエアがあるので、使ううちにそこに埃やゴミが堆積する。そこで時々、綿棒などでそこをきれいにする必要が出てくる。考えられる難点といえば、そこだけだ。価格も500円なので、2つぐらい準備しておくと安心だ。発売元は、㈱ワールドツール http://www.astro-p.co.jp


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