車検は、4つのブロックに分けられている。
一つ目のブロックが前回の「同一性の確認」と「外観検査」。今回は第2ブロックである。
第2ブロックのメニューは、「サイドスリップ検査」「ブレーキ検査」それに「スピードメーターの検査」の3つ。
サイドスリップは、クルマを1m進めたときにタイヤの横滑り量が5mm以内かどうかをみる試験。5mm以上だとアウトだ。写真にあるような鉄板の上を白線に沿ってゆっくり進めればいいだけ。タイヤの横滑りに応じてその鉄板が左右に動くことで、横滑り量をみる仕掛け。このとき大切なのは、白線に沿ってできるだけまっすぐ、つまりハンドルを動かさずに進むこと。「ブレーキ検査」は前輪のブレーキ力、後輪のブレーキ力、それに駐車ブレーキ力をテストするもので、頭上の電光掲示板お指示に従いてきぱきと、ブレーキをがっちり(普段より多少きつめに)踏みつけること。
「スピードメーターの検査」は、ローラーの上にタイヤを載せ電光掲示板の指示にしたがい徐々に速度を高めていき、時速40キロのときに素早くパッシングする。言葉では簡単そうに見えるが、初心者にはパッシングするタイミングが難しいかもしれない。でも1,2度の失敗は大丈夫なのでトライすること。
通常車検ラインに並んで、最初におこなわれる「同一性の確認と外観検査」というのはどんなことがおこなわれるのか?車体番号が車検証と同じか? エンジンは車検証と同じか? ナンバーも車検証と間違いないか? 封印がちゃんとついているか? 形状が同じか? 車体各部に問題はないか?(突起物や余計なものが付いていないか?) クラクションが鳴るか? ワイパーが作動するか? タイヤ周辺に問題がないか?(ホイールの緩みを検査官が検査ハンマーで叩きチェック!) ヘッドライト、ブレーキランプ、ウインカー、リバースランプ、ライセンスランプ、ハザードランプなどがきちんと点灯するか?こうしたごくごくふつうのことが検査ラインの手前で検査官により確認されるので、事前にホイールキャップを外すこと、エンジンフードを開けておくこと、書類をまとめて検査官にすぐ渡せる体勢にしておく。運転席側の窓を開けておき、外の音が聞こえる状態にすることも大切。意外とここで失敗するのは、ライセンスランプの小さなバルブ切れ。即修理して再検でOKとなるが、灯火類は基本のキだね。
いよいよ車検当日だ。もし、途中でトラブルが起きても対処しやすいことから午前中の受付をお勧めする。
書類は複数枚なので、バインダーで止めるか、クリアカバーに入れるなどするのがいい。万が一にも移動中に紛失しない工夫をしておくべきだ。
車検場の全体の見取り図が書いてあるボードがあるので、これを確認するのがひとつ。自賠責保険を延長する場合は、その窓口でまず手続きを済ませる。さらに継続検査(車検)に必要な書類を窓口で手に入れ、記入例を見ながら落ち着いて書き進むこと。ボールペンで記入すべき書類と鉛筆で記入する書類があるので、間違えないこと。
書類はすべて揃ったら、ユーザー車検の窓口に進み、書類を提出。そのとき、もし書類の不備があれば指摘してくれるので、聞き逃さないこと。書類がすべてOKならいよいよ≪検査ライン≫にクルマに乗り込み、列の後ろに並ぶ。その前に、検査ライン横にある見学コースで一通りどんなことをやるのかを歩いて眺めることをお勧めする。
「同一性の確認と外観検査」から始まりサイドスリップ検査、ブレーキ検査、スピードメーター検査、排ガス検査、ヘッドライト検査、下回り検査・・・と進む。同一性の検査というのは、車検証の記載事項と現実のクルマが同じものなのか、という基本的なことをエンジンルーム内のそのクルマのIDプレートで、まず調べられる。検査官は小さなハンマーでホイールを叩きナットの緩みを確認する・・・。このあとは、次回で。
車検が切れる1ヶ月前から、次の車検を受けることができる。そこで車検を受ける日時をまず決めよう。 近くの車検場(陸運支局や自動車検査登録事務所)に電話で予約を入れる。午前と午後があるができれば午前を勧める。もしトラぶったとき、修復したり再検査を受ける余裕が生まれるからだ。受験日からさかのぼって定期点検、必要書類の収集をすればいい。定期点検は前回話したとおり、メンテナンスノート(定期点検記録簿)にそってチェックする。必要書類のなかでよく手元にないのが納税証明書。もし見つからなければ近くの県税事務所に直接出向けば再発行してくれる。自賠責保険は、車検場近くの損保会社でも手続きができる。 車検の前日には、書類の手配と点検は済ませておきたい。そして、車検に出かける前に洗車場に出向き300円前後を奮発して下回りの清掃をしておくこと。これは車検でクルマの下回り検査に備えるためである。スキードライブなどに出かけ下回りが汚れているクルマはなおさらだ。検査員の仕事がスムーズにおこなえる心配りである。この気配りで、検査を受けるこちらも心の余裕が生まれるというものである。 次回は、いよいよ車検場でのコツをお伝えしよう。
車検というのは愛車の継続審査、つまり2年毎のお上(国土交通省)による「このあと2年間乗るためには不具合がないかをあれこれ調べ、そのさい税金や自賠責保険にも入らないと乗れませんよ」という決まりごと。
2年、つまり24ヶ月点検の前に12ヵ月後と、つまり1年毎の点検義務がある。
グローブボックスにある「定期点検記録簿」(メンテナンスノートともいう)を見て欲しい。24ヶ月点検は約60項目だが、12ヶ月点検だとこれよりもうんと少ない項目数。この表にそってひとつずつ点検し、異状がなければレの印を付けていけばいいだけだ。意味不明の項目はとりあえず飛ばして、わかる範囲でやってみる。わからないところはメカに強い友人に聞くか、車検の本を本屋で手に入れ調べる、整備工場やディーラーで聞いてみるというのも手だ。
車検は車検が切れる1ヶ月前から受け付けてくれるので、余裕をもって日時をきめ車検場に電話予約し、そこから逆算して24ヶ月点検、書類の取り寄せ、洗車などをおこなえばよい。
車検を自分で経験することで、この国の車両検査にあり方、クルマの保守点検法などいろいろ学べいろいろ考えさせられる。クルマ好き嫌いにかかわらず貴重な体験だ。
初年度は3年後だが、そのあと2年に一度はやってくる車検。
車検ごとに税金を払ったり、自賠責保険に入りなおしたり・・・お金のいるセレモニーである。
たいていのひとはディーラーや近所の整備工場任せだと思うが、少しチャレンジ精神のあるひとならぜひ自分で愛車の車検をとることに挑戦して欲しい。
車検はそのクルマを登録した車検場でなくても近所の車検場ならどこでも受け付けてくれる。 書類をそろえたり、作ったりしたのち車検場に予約の電話を入れて、当日までに自分で24ヶ月点検をする。当日予約時間に愛車に乗り車検場に出かけ車検を受ける・・・というのが全体の流れ。 「24ヶ月点検なんかやったことないからわかんないっ!」 という多少メカに弱い君でも、やれちゃうのである。わからないところはメカに強い友人、もしくは整備工場にずうずうしく聞くのもありだ。次回からステップバイステップでやさしく説明していくので期待して欲しい。 参考図書:「ユーザー車検完全合格マニュアル」(広田民郎著:山海堂)
新型パジェロは、これまでの防錆鋼板使用率を40%からいっきに70%台に引き上げた。
さっそく“錆(サビ)博士”の異名をとる10年来の友人エンジニアのUさんに電話を入れたところ「赤字覚悟でやりました!」との第1声。
防錆鋼板は通常の鋼板より15%も値段が高いからだ。「世界で活躍するクロスカントリー車の認知度を高めスリーダイヤモンドマークのブランド力を高めたいッ」という気分もあるが、冬季の融雪剤に対する錆対策に防錆鋼板は一番有効だからである。
ところが、日本では表面錆と穴あき錆保証はそれぞれ3年/5年(一部の軽自動車は1年/3年だが)となっているが、欧州ではリサイクル法が施行された8年ほど前から穴あき錆び保証12年(表面錆び保証はない)となっている。
これは1㎡あたりの亜鉛メッキ層の厚みの違い。5年vs12年! これほどクルマという商品に対する彼我の違いを端的に示した数字はないと思うね。ちなみに欧州向け日本車は12年保証を付けているし、日本で販売している欧州車も12年保証である。
クルマは約2万個の部品から成り立っているから“家電とは比べものにならないほど凄い”とか、逆に“航空機は約200万点の部品だからクルマ作り世界はたいしたことない”とかいろいろな比較評価がなされる・・・。
ディープな話だが、部品同士の組み付けはボルト止め、リベット止め、溶接などがあるが、もうひとつ樹脂ファスナーというのがある。ドアのトリム(内張り)やトランクルーム内はじめクルマのいたるところで使われているもので、さほど強度はいらないがワンタッチで締結ができるメリットを備え、鉄のように錆びることがない。1台のクルマには100個以上の樹脂ファスナーが活躍している。
先日、この樹脂ファスナーの専門工場に取材に行った。当初せいぜい樹脂ファスナーの種類が500ぐらいだろうとたかを括っていたところ、なんと3万アイテムだと聞いてのけぞってしまった。挿入しやすく外れにくいが求められる樹脂ファスナーの基本だが、この工場では年間2000型以上の金型をつくり次々に新製品を世に送り出しているという。チャンスがあれば、ぜひこのマニアックな樹脂ファスナーからクルマの世界をリポートしたい。
カーライフには直接関係ないと思われるかもしれないが、ぜひお勧めしたいことがある。時間を見つけ、ときにはモノづくり博物館へ足を運んでもらいたいってことだ。
たとえば名古屋市内にある「産業技術記念館」(http://www.tcmit.org/)はわずか500円で、1日楽しくクルマの仕組みをお勉強できる。クルマの部品のヒストリー、クルマ作りの工場の仕組みだけでなく、実は日本のクルマ作りのルーツが明治期からの紡織産業にあることを知り“目からウロコ”の体験ができるはず。
クルマ作りは鋳造技術、鍛造技術、プレス技術など多岐にわたり、素材から加工まで、この博物館にいけば全部見ることができる。戦前のトヨタのクルマ作りがベテラン職人たちに支えられえていたこと、その技術を機械化し、オートメーション化していく流れが見渡せる。
このところのニュースで、全国の高校約300校5万人近い高校生が、世界史の履修不足で卒業できない危機に立たされている。高校が予備校化し、受験速成の目先の勉学だけのいびつな教育、ここに極まった感ありだ。バカにされている世界史の教師からの声が聞こえてこないのも変な話。歴史は未来を考える貴重な手がかり。モノを考える大人なら歴史の知識の大切さを知っているはずだ。
前回はヘッドガスケットが主人公だったが、今回はシリンダーヘッドカバーのパッキンの話題だ。一昔前のクルマのエンジンは6万キロあたりからヘッドカバーの周辺にオイルにじみ、ひどいのになるとオイル漏れが起きたものだ。にじみを発見して「増す締め」をおこなうとますます漏れやにじみがひどくなる・・・というパターン。ところが、最近のエンジンは、ほとんどそれが起こらない。
パッキンのゴムの材質が向上したこともあるが、「定寸締め」という手法を取り入れたからだ。定寸締めというのは、ヘッドカバー本体とヘッドのあいだにカラーを介して、≪これ以上締め付けられません≫というごく単純な物理的な仕掛け。これによりパッキン自体が多少硬化しても密着性が長く続き、シール性が飛躍的に向上したということだ。
ちなみに、もしパッキンが劣化(硬化)してオイルにじみが生じていたら、新品のパッキンに交換してほしい。パッキンの価格は4気筒エンジンなら4000円前後で手に入り、交換作業も、手元の工具で30分前後あればできてしまう。ぜひチャレンジして欲しい。
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