「挟む」ための工具のラジオペンチは、昔からの個人的思いとしては、“どれもこれも掴むとなんだか、頼りない感じ! 上あごと下あごの剛性がいまひとつ足りないものばかりだ”という印象が強い。もっともこれはお手軽に買える安いラジオペンチだからということは、頭の隅で理解はしている。ドイツのクニペックスとかアメリカのスナップオンなら、満足いくのだろうが、ブランド品は高すぎる! 国産のブランド品も、いま一つのクオリティで、正直似たり寄ったりだ。
先日、とあるホームセンターを歩いていたら、「これはいいかも!」というラジオペンチが目に入った。「ゴルフグリップ・万能ラジオペンチ」。中国製の、はっきり言って無印製品。購入価格は1280円。
切断能力は鉄線2.0㎜、銅線2.6㎜、呼び長さ150㎜というのはスペック。
さっそく手に持つと、実にいい感じなのだ。ゴルフクラブのグリップ部を思わせるグリップのフィールで、油のついた手でも滑らない感じだ。通常ピボット部にブランド名がレーザー文字で刻まれているのだが、文字通り無印。“気持ち悪い!”と思うかもしれないが、使うと俄然いい。先端部がねじれないのだ。
製品名に「万能」と謳う理由は、ハーネスの被覆を剥く受け部とターミナル部を圧着できる受けを設けているからだ。ブリスター部に材質が明記。金属部:炭素鋼S-60C、グリップ:ゴム+綿糸、とある。発売元は、㈱カインズ ℡0120-87-7111 である。
米国式倉庫型スーパーマーケットであるCOSTCOを散策していたら、面白いものを発見した。
Dickies(ディッキーズ)の「ヘビューデューティ・カーブーツ・ライナー」(商品名)。簡単に言うと、高い耐久性を狙ったトランクルームの敷物、である。BOOTというのは、イギリス英語で、トランク、という意味だそうだ。ちなみに、ディッキーズは、ワークウエアなどで有名なアメリカの老舗ブランド。
これが面白いのは、手持ちのはさみで、自分の車のトランクの形状に合わせ、フィットさせられる点だ。
かなり肉厚のあるゴム製で、たぶん冬場でも硬くなりづらい感じ。ある程度肉厚なので、端がペラペラしないのがいい。かといって、重量はさほど重くないので、取り外してすぐ隅に折りたためる。表面はノンスリップ形状で、もし汚れても、汚れを拭き取りやすい。質感も悪くない。原寸は、横137センチ、縦110センチ。
トヨタ・シエンタで使ってもみた。横方向は十分だが、サードシートを倒した状態だと前後方向がやや不足する。でも、価格が2,298円と安いことを思えば、あまり文句は言えない。
装着してすぐ、走り出したら、ゴムの臭いが車内に充満し、いまにも窒息しそうな気分になったが、2~3日したら、慣れたのか、それともある程度臭いが飛散したせいか気にならなくなった。アウトドア道具を積むドライバーには悪くない選択だと思う。
コンビネーション・プライヤーは、少し前までクルマの車載工具の一つとしてラインナップされていた。
この付録のコンビ・レンチ、お世辞にもいい工具ではない。ジョイント部のガタは大きいし、そもそもハンドル部が細くて同じ作業を続けると、指が痛くなる、そんな代物である。お世辞にも、愛着を抱けるハンドツールではなかった。
でも、「タダ(ではないが)ほど安いものはない!」という暗黙の了解で、いつの間にか、このおまけのコンビ・プライヤーは工具箱の中で、定位置を占めて、何か事あるごとに出動し、いつしか、「コンビ・プライヤーはこんなものか」という思考停止に陥っていた! 愚かだったことか!
ホームセンターで手に入れたKTCの定番「コンビ・プライヤー」を手にした瞬間、これまでのことがまるで走馬燈のごとく浮かんできた。自分が思考停止になっていたことを、気づかせてくれたのだ。
品番PJ-150-Sという製品だ。手に持つと、いつも使っているおまけのやつにくらべ、確かに重い。
でも、おまけのプライヤーは、ガタがでかく、使えなくはないが、なんとも貧しい! ホームセンターにて1229円で手に入れたこれは、俄然いいのだ。なにがいいかというと、持っただけで、安心感がまるで違う。グリップのフィール、モノをつかんだ時の確かさ、アゴ幅を広げるさいの節度感。付録のコンビ・プライヤーとは似ても似つかない。月とスッポンとはこのことだ。
こんなことなら、なぜもっと早くこれに変えなかった? 今までのショボい工具を使った時間を返せ! そんな思いが込み上げてきた。ちなみに、重量は200グラム、全長163ミリだ。
マークトーウェンのトムソーヤやハックルベリーフィンの物語に共感する男子は、こうした「道具」を手に持つと、かならずや心が騒ぐに違いない。
ホームセンターで見つけてきた「11徳の小型ペンチ」である。
クルマやバイクの整備には使えないが、アウトドアやフィッシング、ホビーには重宝しそうだ。左右のハンドル部には、小さなプラスドライバー、栓抜き、缶切り、ナイフ、マイナスドライバーの小、中、大、爪やすり、爪そうじ、波型のロープ切り まで備わる。ペンチとしての機能も小型ながら、使えそうだ。コッヘル(アルミの容器)を捕まえるのに重宝しそうだ。
この道具が面白いのは、くるくるっとハンドル部がフォールディングして、たとえばナイフをつまみ出せば、立派な(とは言えないか?)ナイフに早変わりするのである。材質はステンレス製なので、錆には強いと思われる。購入価格は594円とお買い得。メイド・イン・チャイナだ。扱いは、(株)高儀 電話0258-66-1233 である。
先日お台場にあるビッグサイトで開かれた「国際オートアフターマーケット」で見つけた面白製品を紹介しよう。「グリッパーズグローブ」という名の、左右兼用の薄手のニトリルゴム製の作業手袋である。
ニトリルゴムの作業手袋は、いつの間にか日本の整備サービスシーンでかなり浸透している。爪のあいだに廃油の入るのを防ぎ、手の傷つけ防止、清潔感向上などいろいろなメリットがあるからだ。とにかく汚れが付着しづらいからあとで手をゴシゴシ洗わなくてもいい。
ところが、このニトリルゴム、意外と長持ちしない。あまりに薄いこともあり、ちょっと引っ掛けただけで破れたり、あるいは薄すぎることもあり、取り外す時に裏返しになり、再使用が面倒。
この製品は、通常のニトリルゴムの手袋の1.5倍以上の強度を持ち、しかも表面に魚のウロコ状の凹凸を施しているので、グリップ力をぐんと高めているといえる。ロングライフなので、手袋の使用量を減らすことでごみの減量にもつながりそうだ。サイズは、M.L,XLの3種類。
価格は未定。扱いは原田産業㈱ 電話06-6244-0975である。
「そうですね、年間いま2000本ですから、スナップオンのブルーポイント・ブランドやアルミホイールメーカーなどOEMとしても複数のブランドで発売しているものですから、累計は、どうですか軽く3万本以上は世に出ていますね。ただ、すでに行き渡った感はあります」
すでに登場して12~13年ほどたったという。超コンパクトなクロスレンチ「スパーダ(SPADA)」のKDR(小寺製作所)の営業マンのお話。まさにロングセラーである。「ただ、ラリーのお客さんなどは、楽太郎というやはり軽量のクロスレンチを使われていますね」 使用頻度の高い場合は、オーソドックスなクロスレンチに限るようだ。
とにかくスパーダは、1本のパイプと1本の6角棒で構成されており、6角棒は使わないときは、パイプの中に納まり、付属の収納袋にいれておれば、実にこの上なくコンパクトなのである。クロスレンチが本来持っている、整理のしずらさ! からは完全に開放される。ホイールナットの対応サイズは、2面幅17,19,21ミリの3サイズ。
使い勝手も、悪くないのである。組み立ても簡単だ。30秒ぐらい!
パイプにある差し込み穴に6角棒を差し込んで使うだけ。もちろん、「半がかり」の状態で作業しないとか、足でレンチを締めないとか、ハンマーがわりにレンチを使わない、といったことはほかのクロスレンチと同じだ。ちなみに、パイプの素材はS45Cで、6角棒の方は、クロームモリブデン鋼であり、耐久性は問題なしのようだ。㈱古寺製作所 電話0256-35-2121
WERA(ベラ)といえばドイツのドライバーメーカーの名門である。
ドライバーの専門メーカーといえば、スイスのPB、日本のベッセルがすぐ頭に浮かぶが、ベラは、ドイツの有名ブランドでもともとはドライバーでスタートしたのだが、このところラチェットハンドルやメガネレンチなどのレンチ類づくりにも意欲を見せる注目ブランドである。
そのベラのドライバーセット。しかも「絶縁タイプのドライバーセット6本組+検電ドライバープラスドライバーホルダー」のトータルで、消費税込み2780円なりで売りに出されていたのだ。アメリカ系大型倉庫型スーパーマーケットCOSTCOでだ。よく知られるようにコストコは、常時同じ商品が置いていないという面があるので、この記事を見てすぐ買えるか? とういうと、そうではないこともあり、こちらとしてもつらいのだが‥‥。
絶縁タイプとはいえ、通常のドライバーのようにして使える。
内容は、フィリップの1番と2番、マイナス2.5,3.5,4.0,5.5の4本、それに検電ドライバー。
驚くべきは、一番小さいタイプをのぞき、先端部にレーザーチップ加工を施してあり、ネジ山の溝をがっちりグリップするデザイン。つまり外に逃げるという「カムアウト現象」を極力抑制する形状なのである。先端部に目を凝らしてみると、「そんじょそこらのドライバーとはわけが違う!」そんな声が聞こえてきそうだ。しかも、全体に軽い(もちろん貫通タイプでないので、ハンマーでは叩けない!)のも美点だ。
いやはや、この価格で、この充実ぶりはまるで、盆と正月が一緒に来たような、そんなドライバーセットである。
「3枚合わせに限る! チカラを加えた時のバランスは3枚合わせがより理想に近いから!」
そんな、ウオーターポンプ・プライヤーにまつわる、ある意味“小さな信仰”を後生大事に抱えている筆者。自分でもいささか短兵急とは思いながらも、3枚合わせ! にもかかわらず価格が1500円というのにググっと心ひかれた。
近くのホームセンターで見つけたものだ。
よく見ると中国製で、兵庫県の三木市にあるビッグマン工作所が輸入販売しているという。そこで、眺めたり、触ったり、使ってみると……梨地の仕上がりは、どこか手持ちでいえばスタビレーに近いが、重量自体は、330グラムとスタビレーより100グラム以上も軽い。でも、最軽量級のクニペックスにくらべると、わずか35g重い。
このWPプライヤーの一番のウリは、スライド式のあご幅調整機構である。言葉でいうと物々しいが、下部の柄にピストン式のばねが付いていて、上部の柄を握ると自動で、グググッとばかり、あご幅が縮み簡単につかむ相手の径に合わせることができる。ちくいち両手で、あご幅の調整が不要! ということはスピーディな作業ができるということである。実にこころにくい作りだ。
ただ、惜しむらくは上部の柄の先端にマイナスドライバーを兼ねさせている点だ。良かれと思い、作り込んだつもりだが、使うとき、いちいち気になる。先端部が鋭利な形状なので、いつ手を傷つけやしないか、近くのモノをひっかけないか! とつねに心配になるのである。全長150ミリタイプで、あご幅が最大47ミリと十分であるだけに、実にもったいない。
お手軽ラチェットドライバーである。
とあるホームセンターで、998円で手に入れた中国製のラチェットタイプのドライバーである。家庭で、ちょっとしたときに使うドライバーであり、これでクルマやバイクの整備をしようとは、初めから思わない。
ところが、工具ウオッチャーとしては、なかなかに面白いのである。
どこが面白いかというと、普通サイズのドライバー(もちろんラチェットタイプ)だけではなく、グリップが2つに分かれ、スタビタイプのラチェットドライバーに大変身するのである。思わず『なんだ! なんだ?』と突っ込みを入れたくなる製品だ。
グリップがスプリット、つまり2つに分かれるということは、それだけガタ(遊び)が増える。1/4インチ(6.35ミリ)のビットが刺し込み式なので、このビットとグリップ側の受け側のガタもある。ダブルで、ガタを背負いこんでいるわけで、普通のリジッドのドライバーに馴染んでいる人には、「まるでお話になりません!」状態の“遊び”(ガタ)なのである。
ラチェット自体も、なんだか節度をはじめから失っている感じで頼りない(昔からこの手のラチェット機構はこうした味だった!)。でも、ガタガタと細かいことに突っ込みを入れなければ、家庭で十分使える便利な工具といえなくもない。ちなみに、1/4インチのビットは長いほうが110ミリでプラス2番とマイナス6ミリの両頭ビット。短いほうも両頭タイプで、こちらはプラス1番とプラス2番である。左右の切り換えは、グリップエンドのつまみを回すことでおこなう。重量は149グラムと比較的軽い。心配なのは、小さいビット。収納ができないので、使ううちにどこかに紛失する恐れがある。
そもそもバイスグリップというツールは、プロの板金さんが溶接などをおこなう前工程で、2つのモノをがっちりジョイントするときに使う道具。そんなふうにとらえていたのだが、実は数年前から小ねじをがっちりとらえる道具としても、使えるということに気付いていた。
ところがである。これまで市場に出ているバイスグリップでは、その「困ったときのねじ回し」としても役割は十分ではなかった。
咥えるあごの形状が、少しばかりアバウトだからだ。小さなネジを咥えるデザインではなかったのだ。もう一つの不満は、グリップの表面がざらざらした板金肌なので、どう考えても人間工学的な作り込みをしていないのである。
「ネジザウルスシリーズ」でヒットを飛ばしてきた大阪のエンジニア(電話 06-6974-0028)という企業は、このへんをよく研究したらしく、とりあえず、満足いく製品を送り出してきた。横溝のほかに縦溝を持ついわゆるネジザウルス先端部(顎部の)を持つのである。本体自体は従来通りの梨地肌の板金製だが、樹脂グリップをかぶせているのである。緑色のベース樹脂は硬めで、指に触れる部分は柔らかめの樹脂を使うというハイブリッド構造である。このへんがこころにくいデザインである。適用ネジサイズはφ3ミリから9.5ミリだという。
全長145ミリのわりに重量が205グラムとやや重く、手に持つとずんぐりしてはいるが、使ってみるとなかなか頼もしい工具である。ホームセンターでの購入価格は2180円だった。バイスグリップとしてはやや高めだが、価値はあると見た。
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