通常のメンテ作業では、あまり使わないが、あると便利な工具というのがある。
たとえば、オルタネーターやプ-リーを取り付けているボルトを緩めたり締めたりするとき、フラットタイプのメガネレンチが必ずと言っていいほど必要となる。奥まったところにあるボルトに対してはロングタイプが具合いい。
私の記憶では、20年ほど前からか、ロングタイプのメガネレンチがメガネレンチのバリエーションの一つとして市場に出てきたようだ。たぶん、事の始まりはスナップオンではなかったか? そのころスナップオンのレンチは「確かにいいけど価格がね」というとらえ方をする整備士が多かった。「でも永久保証だから長い目で見れば安いかも」と評価する人もいた。
いま、この超ロングのフラットメガネを探してみると、KTCネプロスにもあるし、SK11(藤原産業)にもある。長さ、メガネブの寸法などは、似たり寄ったりだ。
スナップオンはフランクドライブを謳い、ネプロスはプロフィットを主張する。早い話、面接触でトルクをより多くかけられるという理屈。サイズ10-12ミリで価格はそれぞれ、5620円、4710円だ。
かたやSK11の方は、台湾製ということもあり、なんと価格が1180円。鏡面加工で、見た目もかなり近い。メガネブ片側には突出形状にして、へこみにあるボルトに対応できる形状で抜かりはない。1/5のプライスで手に入るのだから、試しに使ってみたい誘惑が起きてこようというものだ。サイズは、写真の10×12のほかに、8×10、12×14,14×17ミリもある。(ちなみにネプロスには13×15,16×18,22×24ミリなどがある)
工具のカタログを眺めるのが趣味である。
製品の写真とその近くにその製品のディメンジョンである長さ、高さ、口径、奥行き、重さなど表組してある。なかには価格も明示している。競合メーカーのカタログと比較すると、まったく同じもので、「なんだOEM供給(相手先ブランド)されている間柄なんだ」なんてこともわかる。などと思わぬことが発見できたりする。
KO-KENのカタログは、320ページほどあるのだが、大半がソケットツールだ。
同じサイズで、6角タイプ、12角タイプ、ディープタイプ、セミディープタイプ、エクストラディープもあるし、トルクス、インチタイプ、英国規格BSWなどなど、あまりじっと見つめ頭の中であれこれ考え整理しはじめると、逆に整理しきれずに、こんがらがっていく……。
その中で、「サーフェスソケット」を見つけ出した。かなり昔から存在するのだが、あまり知られていないというか再認識した。サーフェスとは英語のSURFACE、表面の意味。6角部のかどを痛めたボルトやナットでも、これを使うとうまく回せるといういわばマジック・ソケットである。
写真は、差し込み角3/8インチの12ミリ(価格820円)だが、KO-KENの凄味は、サイズのバリエーションである。5.5ミリから、6,7,8,8,10…と1ミリ刻みで、27ミリまで、計23サイズ。これが、差し込み角1/4インチも1/2インチでもそろっている。しかも、しかもだ。「サーフェス・ディープソケット」までそれぞれスタンバイしているのである。これってすごいことなんですね。在庫をしっかり抱えていないといけないわけだから! 意外なところで、頭が下がります。
ズバリ! 「多機能ツール搭載のデジタルタイヤゲージ」である。
価格は977円となると、おのずから中国製だと推理できる。うん、確かにメイド・イン・チャイナとある。
ところが、安い割には合格点を上げられそうなので、ここで紹介してみよう。
工具は、「まず手に持ったところから!」ということで、握ってみると気抜けするほどに軽い。単4乾電池1個入りでもわずか71グラムだ。ふだんよく手に持つTVのリモコンが150グラムなので半分以下だ。しかも、最新の樹脂ボディによくある手にやさしい感触である。
肝心のタイヤゲージとしての機能はどうか?
側面の赤いボタンを押してONにして、さっそく空気圧を測定したところ、265KPAとでた。昔の表示なら2.65㎏/c㎡だ。たしかにかなり以前から「キロパスカル」の単位にはなってはいるが、近くのタイヤショップのおやじでも「2.4キロにしてあるよ」なんて平気で言っている。活字の世界では新しい単位に変化しても、普段の会話のリアルワールドでは、そうはいかない。和裁の世界で、鯨尺がいまも使われているようなものだ。
タイヤゲージの完成度はまあ、合格点に近い。でも不満を言えば、短くてもいいから付属のエクステンションホースを付けるとベストだ。ホイールのデザインやバルブステムの位置が奥まっている場合、とても使いづらいからだ。
このツールには、LEDライトが付いていたり、車内に閉じ込められた際に使うというシートカッターやウインドウブレーカー(窓ガラスを破損して、脱出する!)の役目もする。この辺はテストするにはばかられるが、頭の隅に置いておき、いざというとき使う。そのために運転席の周辺に置いておく・・・。しゃれた専用の黒色のケース付きだ。輸入元は、コストコホールディングジャパン(株)www.costco.co.jp
1949年以来トルクレンチ一筋にモノづくりをしてきた東京・大森に本社を持つ東日製作所は、今や世界のブランドTOHNICHIを築き上げた。
部品同士を締結するときに最重要となるのは締め付けトルクである。ところが、ボルトの数が多くなったりすると、ついポカをして締め忘れたり、締めすぎたり、逆にゆるく締めたり・・・というトラブルが起きがち。
そこで、ここ数年工場の組付けラインでは「発信機を組み込んだトルクレンチ」が普及しているようだが、整備工場などではそこまでの設備投資は無理だし、非現実的で必要ない。
今回登場したマーキング・トルクレンチは、昔ながらの規定トルクに締めた確認の意味で、マークをする…そんな昭和時代をホーフツとさせる職人気質じみた愚直な手法をよりスマートに行おうとするシステムである。
ヘッド交換式のスパナ部のへこみに棒状のマーカーが組み込まれている。既定のトルク値に達すると自動でマーカーが少し押し出され、ナットの辺にマーキングする。一つのマーカーで約2000回マーキングができ、マーカーが乾燥する時間は3~4時間だという。
マーキング・トルクレンチの品番はMCSPで、トルク範囲で、3タイプあり、10~50Nm(全長282ミリ/重量0.65㎏)で4万9100円、20~100Nm(355ミリ/0.9㎏)が5万2300円、30~140Nm(418.5ミリ/1.0㎏)が5万4400円。地味な工具ではあるが、日本のモノづくりや信頼耐久性を支えている製品だ。
マルチサイズを持つレンチは、たとえばバイクツーリングのお供だけでなく、日常のちょっとしたメンテナンスにも何かと便利である。
みなとみらいにあるホームセンターで見つけてきたマルチサイズのレンチを紹介したい。
「ギアーテック4in1 ラチェットレンチ」(品番MGR-0813)である。8ミリ、10ミリ、12ミリ、13ミリの4サイズが組み込まれている。8ミリの裏側に10ミリが、12ミリの裏側に13ミリがスタンバイしている。左右の切り替えノブは8ミリと13ミリ側の2つ付いている。つまりそれぞれ裏返して使う感じ。切り替えレバーのフィーリングはスパッスパッという感じで、いいし、ラチェットフィールもシュシュッという具合で悪くない。全体は鏡面研磨仕上げで、光り輝いている。
測定重量は、99グラムで比較的軽い。全長が100ミリとほぼ手のひらに載る長さで使い勝手は上々だ。ギア数72、つまり送り角度5度となかなかのスペック。本締めOKとあるが、オーバートルクで内部のギアは破損したときはリペアパーツで対応できそうにないのが玉にキズか。
というのは、台湾製だからです。発売は、兵庫県三木市にある藤原産業。購入価格は、1625円だった。この上のサイズの14-16-17-19ミリタイプもあるようだ。
前回もそうだが、ドライバーは、なんだか不当に安い印象である。
先日、横浜みなとみらいのホームセンターで手に入れたプラスドライバーはベッセル製だ。
ベッセルといえば、大阪にある創業1916年(大正5年)のドライバー一筋の老舗ドライバーメーカーだ。何度も取材に伺った経験があるが、一度も工場自体に足を踏み入れたことがない。そのせいか、正直に告白すれば、その都度リアリティのない、なんだか手応えがないモヤモヤが残る気分で記事を作ってきた。(むろん、工場を見たからといって新たな発見ができ、記事がレベルアップするという保証はないが)
このドライバーは、通称「デュアルトーンドライバー」と呼ばれ、品番が「400D P.2×100」。つまりプラスの2番で軸長が100ミリのごくオーソドックスなドライバーである。ところがこのドライバーをよく眺め、調べてみると面白いことが見えてきた。
なにが面白いかというと、3つある。一つは、手に持ってすぐ感じるのだが、やけに軽い。重量81グラム。非貫通ドライバーのプラス100ミリはだいたい90~100グラムのなかに納まるのだが、例外的に1割ほど軽いのである。その秘密は、この工具のデザインポイントである赤と黒がせめぎあう独特の味わいの6角断面のグリップ。プロプロピレンという樹脂グリップにあるようだ。通常の樹脂グリップはもう少し重い印象だ。
2つ目は、このグリップは、実はエコドライバーを標榜する金属軸と樹脂のグリップが分離分別できるリサイクル性の高いドライバーと同じ形状。どうやら金型自体を共有化しているようだ。コストダウンを図ったとみた。
3つ目は、エコドライバーのときは洗剤を付着させても確実にトルクがかけられたのが、このドライバーは(つまりポリプロピレン)スルスルで、まるでトルクをかけられず滑るばかりだった。
エコドライバーは、エラストマーと硬質樹脂のハイブリッド構造で、しかも表面に細かな凹凸を設けていたが、こちらはその工夫がないからだ。
それにしても、購入価格が248円はすごい。ネットを調べると150円を切るサイトも見つかった。コンビニのコーヒー一杯(サイズはトール)とほぼ同じなんだから。急いで、大阪のベッセル本社に問い合わせたところ「あれは別ラインの製品で、タイの工場で造っています。十分もうけを計算して生産しています」とのこと。どうも心配することはないようだ。
「これってグローバル経済の福音かしら?」
ふとそんなフレーズが頭に浮かぶほどの多幸感で胸が満たされた。
例の倉庫タイプのスーパーマーケットのCOSTCOで見つけたのが、このドイツ・ブランドWERA(ベラ)の6本組絶縁ドライバーセットである。
絶縁ドライバーといっても絶縁の必要のないときにも、普通に使えるドライバーだ。
最大のアドバンテージは、先端部だ。WERA得意のカムアウト防止のレーザーチップが施されている。つまり、ドライバーの先端がねじの溝から外れて、ねじ溝が舐めてしまわないような工夫があるレベルの高いドライバーなのである。
プラスはフィリップタイプの2番と1番で、マイナスが先端の刃の長さが、2.5,3.5、4.0,5.5ミリの4本。2.5ミリ以外はすべてレーザー加工が施されている。恐る恐る指で触ると、ギザギザが感じられ、いかにも相手のビスの頭の溝をとらえる。1,2回使えば消えちゃうというたぐいのものではない。このあたりはいかにもドイツ流の質実さが感じられ好ましい。(生産地はチェコだけど)
グリップはゼブラデザインの丸みを帯びた感じだが、ユニークでかつ手になじみ、作業台から不用意に転げ落ちないように軸近くに6画断面を施している。
ちなみに、使用頻度の高いプラス2番は、通常の貫通ドライバーと比べ87グラムと軽く、愛着が持てる。専用のホルダーに検電ドライバーまで付録して、トータル価格2780円(税込)はグローバルエコノミーの“なせる業!”だけでは説明がつかない!?
兵庫県の三木市にある工具メーカーSEK(末蔭産業)は神戸からローカル線に揺られ約1時間ののどかな街にある。2,3度取材に伺ったことがあるが、ユニークなツールメーカーの印象だ。
ふるくから輸出にも熱心だったようだが、このところ海外の工場(おもに台湾)で魅力的な製品を作り出し、日本のホームセンターの工具売り場を鮮やかなものとして一役買っている。
先日も、みなとみらいのホームセンターにふらりと入ったら、面白いツールを発見した。
「フレックスコンビレンチSFC100」だ。フレックスというのは、片側が首振りタイプのボックスになっていること。狭いところでの作業がやりやすい。
思わず、目が行くのは、このボックス部がオレンジ色のメッキが施されている点。スパナ部を含め、軸部分はピカピカの鏡面加工だ。オレンジとシルバーのコントラストが、なんとも怪しく魅力的だ。ワクワクしながら作業が行えそうだ。(サイズを識別するようにサイズごとにシルバー、オレンジ、ゴールドなどにしているようだ)
実はこの工具、見た目だけではない。ボックス部の内部をよく眺めると、例のスプライン加工形状なのだ。台湾ツールのホニーソケット!? 写真は、10ミリだが、3/8インチ(9.5ミリ)にも対応できるとトルクスのE12ボルトにも使える。
通常のコンビレンチに比べ細身で、やや長めなので、トルクがかけやすいのも悪くない。表示部がレーザー加工で美しい。購入価格は980円だった。安いだけに使い込むとどうなるかが見ものだ。
「いまやスマートフォンなしでは生きていけない!」
そんな読者が多いのではなかろうか? かくいう筆者もそのひとり。カーナビとしてもTVとしてもラジオとしても、音楽ソースとしても、実にマルチに大活躍。からだの一部となっている人も少なくないと思う。そこで、車内でもスマホをごくごく身近に置いて、使いまわしたいという欲望が繁殖する。カーショップコーナーだけでなく、ネット通販サイトには、それこそゴマンと『スマホ車載ホルダー』が販売されている。
ざっくり見渡したところ、オーソドックスなインパネに強力吸盤で取り付けるタイプからはじまり、ドリンクホルダー固定型(イマドキのクルマはドリンクホルダーが多いので!)、フロントガラス吸盤タイプ、サンバイザー取り付けタイプ、CDスロット取り付けタイプなど実に百花繚乱だ。
今回面白半分の気分で手に入れたのは、≪エアコン吹き出し口取り付けタイプ≫である。㈱ニアバイダイレクトジャパン(http://www.ravpower.jp/)で発売する「マグネットモバイル・ホルダーセット(MOBILE HOLDER & CHARGER SET)」。従来タイプのインパネ上に取り付けるゲル吸盤式モバイルホルダーも付いているが、エアコン吹き出し口にも取り付けられる部品もあり、ユーザーが2者択一できる。
ウリは、アルミボディのUSBが2口付いているカーチャージャーで、これをシガーライターに差し込み電源を取る。保護回路が内蔵している割には実に軽く、振動で、外れるというトラブルが起きづらい。
使い方は、スマホ本体は非磁性体なので、あらかじめスマホ裏に付属の鉄板を張り付け、マグネット機能を持たせてモバイルホルダーに取り付ける。「スマホ本体をエアコン吹き出し口に取り付けると熱風が当たり逆によくないのでは?」と思われたが、夏場は逆に冷風がスマホボディにあたり冷却してくれ都合がいいという理屈のようだ。なるほどね・・・イマドキのカー用品の開発陣の苦労を垣間見た気がした。COSTCOで購入したのだが、価格は1498円と格安だった。
ひとりで出かけたときなど、車内で軽くランチを取りたい気分になったとする。そんなときイマドキのコンビニはとても便利。お弁当やおにぎり、サンドイッチなどリーズナブルな価格で手に入り、お気楽ランチにもってこい。
ところが、いざ車内を見渡すと食事をするようにはできていない。助手席のシートは食べ物を置くようにはできていないし、インパネはカーブしていることが多く、運転席回りにテーブルに替るような空間がないのだ。
そんな時かつてカーショップで見かけた用品を思い出した。ステアリングホイールに引っ掛けるだけで使える小型のテーブルだ。『ワンタっちゃブル』(SFJ㈱ www.sf-j.co.jp)という少し人を食ったネーミングの商品。“1秒ですぐ!”というのがキャッチフレーズ。2780円と少し高い気もしたが、思い切って購入した。40×29.6センチに厚みが2センチ。樹脂(ポロエチレン)製の黒色の四角いお盆と考えれば分かりやすい。丸ハンドルの下部に引っ掛けられるように形状を工夫しているところが最大のミソ。
逆向きに付けると、13.3インチほどのノートパソコンなら置けて使える。耐荷重が約5キロという。どんな具合か手で少し抑えてみたが、お弁当を2つ3つ載せても問題なし。フラツキ度も許容の範囲だ。
ただし、コーヒーカップや味噌汁カップも置けるヘコミがあるが、飲み物はやはり車内のカップホルダーのほうが無難だ。2、3回車内で食事をしてみたが、このテーブル1人用と考えればぎりぎり合格点が与えられるが、そもそも車内での食事自体に疑問符が浮かんだ。食べ物の臭いが染み込みやすい。臭い消し作業に苦労することになる。たとえば中華どんぶりなど強烈なものは車内に持ち込まないほうが得策だ。
このリポートを終了後、アマゾンで検索したところ、1783円で新品がゲットできることが判明して、ガーン! トホホな気分となった。この値段なら文句なく合格点だ。なお、大型車などには付かないし、プリウスなど異型ハンドルの場合、逆向きにして付けるそうだ。
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