前回に引き続きスエカゲツールhttp://www.suekage.co.jp/の製品。「スーパーテンメタル・ラチェットハンドル」という商品名のラチェットハンドルだ。
数あるラチェットハンドルの中でも、これは見た目がきわめてスマートであることがまずアドバンテージ。
ハンドルの指が入るところを樹脂にし、上部のメタルと、いわばハイブリッド構造であるところがユニーク。フィット感に優れ、ともすれば時間に追われぎくしゃくするメンテナンスの作業時間が、これを握ることで、一息入る気分がしないでもない!? 使った時のバランス感も悪くない。
差し込み角は3/8インチ。プッシュボタン式なので、ソケットの脱着もしやすい設計だ。ギア数は72山と細かいので、タイトなところでの作業も無理がない。もちろん、プッシュボタンが付いているので、ソケットの脱着が楽だ。プッシュボタンの操作力は重くもなく軽くもない感じで好印象。
値格は、1/4インチが3,350円、3/8インチが3,950円、1/2インチが4,800円だという。
可変吸気システムに可変バルブタイミング、可変バルブリフト機構などいまどきのクルマのエンジンは、≪可変≫というのがキーワード。これにより高出力なのに燃費がよくて低速トルクも侮れない! 実はこれって、一昔前ではありえない性能を出せる理由のひとつなのである。
可変メカニズムをラチェットハンドルに取り入れたらド~なるか?
そんな壮大なココロザシを製品に込めたラチェットハンドルがデビューしたのだ。
前回に引き続きスエカゲツールhttp://www.suekage.co.jp/の製品。「伸縮式フレックスロック・ラチェットハンドル」という商品名のラチェットハンドルがそれ。
ハンドル自体が2重構造になっていて、全長255mmから最大370mmと6段階で調節できる。普段は一番短い状態で使っているが、いざ大きなトルクをかけたいときは最大限に延ばし使えば固く締まったボルトも楽々緩められるという寸法だ。
しかもヘッド部がフレックス機構になっていて、180度首を振ることができる。12段階15度刻みで角度調整して固定できる。ラチェットのギア数は、72山(送り角5度)でしかもヘッド角度を細かく調整できるので、振り幅が制限される場所でも使いやすいというのが最大のウリだ。グリップは樹脂製。差し込み角は3/8インチ。プッシュボタン式なので、ソケットの脱着もしやすい設計だ。価格は、7,900円だという。
いまどきのクルマはエンジンルームはじめ、手が入りづらいところにボルト・ナットがある。これを緩めたり、取り付けたりするのが実に厄介なケースが少なくない。
スエカゲツールhttp://www.suekage.co.jp/ の「フルターン・ラチェットハンドル」は、そうした時に威力を発揮する。かつて紹介したスナップオンの通称ベンツラチェットのコンパクトバージョンと考えるとわかりやすい。
このフルターン・ラチェットハンドルは、丸型タイプで、ヘッド部が自由自在に動くところがポイント。ヘッド部分の力点が回転軸にあるため、スムーズな動きができる。通常のラチェットハンドルが不可能な、まるでドライバーのように真下からクルクルと回せる。全長145ミリ、幅が30.5ミリ、重量120gと超コンパクトであるも利点だ。
ギア数が40なので、送り角度が9度で、きめ細かい動きも得意。作業性のすぐれた一品で愛用のツールボックスにしのばせると重宝する。
気になる価格は、1/4インチ、3/8インチともに磨きグリップタイプが6500円。樹脂のソフトグリップタイプが7400円だ。
ドアノブの周辺をはじめ、いまどきのクルマにはトルクスボルトと呼ばれるボルトが使われるケースが少なくない。
とくに樹脂パーツなどに使われているのが穴の奥にある(見栄えを高めるため!)トルクスボルト。これを取り外すのに取って置きのハンドツールが登場している。
KO-KENの「トルクスビットソケット」がそれで、軸部分が丸断面なので、奥まったところにあるトルクスボルトへのアクセスができるのがだんぜん有利。全長が100ミリと長いところが使い勝手が二重丸のゆえんである。
差し込み角は、3/8インチ(9.5ミリ)で、T20からT55まで計8サイズがラインアップしている。価格は1本1450~1620円。8本セットでは1万2300円だという。
真ん中に突起が設けてあり、いわゆる「いじり止め」タイプのトルクスボルト用のT○○H(品番名で、○○にはサイズが入る)もスタンバイしている。こちらは1本1650~1850円。8本セットで1万4000円。
安かろう、悪かろう・・・そんなキャッチフレーズをつい付けたくなるイメージがついてまわった台湾製ハンドツールが、このところがぜん魅力を増している。
台湾台北に本社を持つFUCOもそのひとつ。FUCOのクラフトボーイ(CRAFT BOY)というブランドのハンドツールがお奨め。ソケットツールセット、レンチ類など種類の豊富さ、サイズの豊富さ、フィニッシュのよさ、ハンドツールとしての斬新性など、心に届くハンドツールが少なくない。
首振りコンビネーションスパナセット、フレックスクローフットレンチセット・・・・欧州やアメリカ、日本にはあまり見かけないツールも少なくない。
クロスレンチ(写真)も、単なるコピー工具ではなく、1歩、もしくは半歩工夫を凝らしている。工夫とは、たとえばデザインだったり、使い勝手であったり、フィニッシュであったりするのだが、台湾製の工具がそれまでの経験の積み重ねで、成熟期に入りつつあることの証明といえそうだ。
FUCOのホームページは、http://www.fuco.com/
いまどきのクルマは、≪見栄え≫をよくするため、エンジンルームや下回りを除いて、ボルトやナットを露骨に表面に出しているケースは、まったくといっていいほどない。バンパーの周辺も、まさに見栄え重視の部品取り付け手法である。ビス、クリップの数、ボルト&ナットの数が多い。しかもクルマによりその様子が異なるので、メカニックを悩ませるところでもある。
なかでも奥まったところにあるナットを外すとき、緩めた拍子にナットがソケットから脱落。後処理にずいぶん時間がかかったというケースが出てくる。
そんなときに、『これは重宝する!』という工具が登場したので紹介しよう。
KO-KEN(http://www.koken-tool.co.jp/)のナットグリップ・エクストラ・ディープソケット(品番3350M)。長い商品名の通り、全長120ミリと長いので、奥まったと部位にあるナット(サイズは10ミリと12ミリ)を楽々緩め、しかも内壁に2つのスチールボールがあるので、ボルトやナットをしっかりつかみ、脱落を防ぐ。安心して確実な作業ができるのである。
このソケット、やや凝ったつくりのため、1個3300円とやや高価。だが、一度有り難味を味わうと手放せないツールのひとつになりそうだ。
先の42号で紹介した『ヒューズから電源を取り出す!』は市販品のパーツを使ったケースだった。
実は、このヒューズから電源を取り出す手法は、自作できちゃうのである。
作り方は意外と簡単だ。準備するのは、予備ヒューズと半田(ハンダ)ごて、ハンダ、それにコードである。半田ごては、ホームセンターに足を運べば、1000円前後で手に入る。ブレード型ヒューズは、カーショップまたは中古自動車部品店で、格安(場合によっては無料)でゲットできる。
手順は・・・ブレード型ヒューズの樹脂製の肩口をニッパーで3ミリほどカットし、ヒューズの金属部を露出させる。このときいっきにカットしようとせずに徐々に切り開いていき、必要なところで止めること。
この金属部分に、コードの銅線をハンダで接続するだけである。ハンダをてんこ盛りにするとヒューズホルダーに収まらなくなるので注意すること。
コードの先端に端子を取り付ければ、完了。これでETC電源を取るときも、カーオーディオの電源を取り出すとき、はたまた照明灯などアクセサリーを付けるときにも重宝する。もちろん、規定のヒューズ容量を守ることはいうまでもない。
クルマには30㎏ほどのワイヤーハーネスが使われているのだが、そのなかでいささかカタチの変わったケーブルが採用しているところをご存知だろうか?
フラットケーブルと呼ばれる、文字通り平らなワイヤーハーネスだ。
導体の厚みが0.035~0.25ミリ、まわりにPETフィルム(PETボトルのPET:ポリエチレン・テレフタレート)でコーティングしたもので、総厚み0.125~0.47ミリだという。いわばラミネートされた電線である。
屈曲性が高いので、いまどきのSUVのスライドドアに必ずといっていいほど使われているこのフラットケーブル。そのほかに、ハンドルの根元にも使われていることはあまり知られていない。
ステアリング内にあるエアバックを事故時に瞬時にして膨らませるべく、電気信号を送ったりする役目。そのほか、ホーンやエアコン、カーオーディオなどのスイッチの電気信号を伝達する電線として活躍している。
内部を見るとフラットケーブルが幾重にも巻きつけられ、ハンドルを切っても絡まることなく、有線で電気信号が確実に送れるようになっている。
この部品を開発するエンジニアに言わせると、ハンドルをまわすたびにカサカサという擦過音(さっかおん)が当初発生し、その対策に苦心したとのことだ。
ETCを取り付ける、レーダー探知機を付ける、イルミネーションをセットする・・・こんなとき必要になるのが≪どこから電源を取り出すか?≫である。通常はヒューズボックスから、エレクトロタップといったやや野蛮で信頼性のない手法が従来タイプだった。これはワイヤーハーネスの被覆をせん断するため、表面の酸化皮膜で接続不良になったり、使用途中で断線トラブルが起きる可能性があるのだ。
そんなとき、カーショップをのぞくと、便利なものを見つけることができる。
エーモン工業(フリー℡0077-2369-8745:http://www.amon.co.jp)の「ミニ平型ヒューズ電源」だ。写真のようにホンモノのヒューズに管ヒューズ(5A)を介してハーネスが伸び、無改造で電源を取り出せるという便利製品である。ちなみに筆者は、ネットを通して無料で手に入れたETC車載機を取り付ける際に、差し替え側10Aのタイプ(価格は390円前後)を購入、無事電源を確保した。ACC(アクセサリー)のヒューズに変えて、この「ミニ平型ヒューズ電源」を取り付ける、後はアース線を車体ボディにつけ、ETC車載機を説明書どおりインパネ上につけた。作業時間はゆっくりやって40分ほどだった。
なお、このシリーズには平型ヒューズタイプ、低背タイプなどがあり、容量も10Aのほかに7.5A,15A,20A,30Aがある。
どんな世界にも知られざる「定番」という存在がある。
KO-KENの差し込み角1/4インチのエクステンションバー2769Fは、さしずめハンドツールの≪知られざる一品≫といっていい。KO-KENは静岡に本社を持つ、いわずと知れたソケットツールの専門メーカー。この会社の分厚いカタログには「スピンタイプハンドル」という商品名になっている。スピンSPINは「回転」の意味だから”グルグル回して使えるハンドル”という意味らしい。
この工具のどこがすごいかというと、ハンドルとソケットを結ぶエクステンションバー(延長棒)でありながら、先端にソケットを付けることでドライバーとしても役立つという点だ。先端に付けられるのはソケットだけでなく+、-、ヘックス、トルクスなどのビットにも対応。つまりこの延長棒は単なる延長するだけの棒ではなく、使用範囲を広げることができるフレキシブルな「棒」だ。ただ、たとえばプラスビットを付けてドライバーとして使うと、隙間(ガタ)が気になる。脱着できる便利さは遊びというデメリットも生んでいるのである。ドライバーという一番身近で手になじむ工具の場合、この微小のガタがとても気になるものなのである。
このガタをなくす工夫がなければ満点だが、それでも発想の豊かさとユニークさで85点を差し上げられる工具である。
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