スパナ、コンビネーションレンチ、ソケットレンチなどハンドツールの仲間でもレンチと呼ばれる工具は数多い。その中で、一番信頼性が高く確かな作業に応えてくれるのがメガネレンチではないだろうか。
相手のボルトの6角部やナットにがっちり捕らえトルクをしっかり相手のボルト・ナットに伝える。ゆえに堅く締まったボルト・ナットを緩めるのが大得意の工具である。
よく言われるようにメガネレンチを揃えるときはサイズをダブって購入する。たとえば8-10,10-12,12-14,14-17ミリといった具合。これは通しボルトなどを緩めるときに同じサイズがあったほうが作業をしやすいからだ。(同じサイズのスパナを活用する手もあるが)
メガネレンチをいろいろな作業で使い込んでくると、長いメガネレンチ、短いメガネレンチが必要なときがでてくる。長いのになると300ミリぐらい長いタイプもあるし、短いのとなると100ミリほどのタイプもある(いずれもサイズは10-12ミリで)。もうひとつはメガネレンチには「立ち上がり角度」というのもある。軸とメガネ部のなす角度がストレート、15度、25度、45度、75度という具合で、これもさまざまな状況にあるボルト・ナットと付き合うと遭遇する。
基本は45度なので、初心者の場合、3~4本メガネレンチを手に入れ、必要に応じて買い足してゆくのが楽しい。一度に買い揃えるというひともいるが、不足を感じてモノを求めたほうがそのものの価値が数段深くなるのである。
言い忘れたが、メガネレンチの表面の仕上がりの違いは2つある。
多少油がついていても滑りにくい≪梨地仕上げ≫と、油が付着していた場合、さっとウエスで拭き取りいつも輝きを維持する≪鏡面仕上げ≫の2つである。前者はドイツの工具メーカー(ハゼットやスタビレー)が専門だし、後者はアメリカンツール(スナップオンやMAC)だといえる。実際の作業ではあまり気にならないともいえるので、趣味というか好みの領分である。
数十年前のこと、生まれてはじめてSST(特殊工具:スペシャルサービス・ツール)を手にしたのは確かオイルフィルターレンチだった。当時はクルマのエンジンルームは排ガス関係のデバイスもなければエアコンのコンプレッサーもないためスカスカの状態。そのためオイルフィルターの”家庭環境”もすっきり、つまり作業性がよくいわゆるいろいろなサイズのフィルターに適合するユニバーサルなレンチでも十分対応できた。
ところが時代がめぐり≪マンマキシマム・メカミニマム≫というクルマ作りコンセプトのためもあり、エンジンルームには手が入りづらい状況。オイルフィルターの周辺も立て込んでいるため、オワン型のフィルターレンチでないと用を足さないケースがほとんど。 写真のようなコンパクトなユニバーサルタイプのレンチもあるが、やはりオワン型が一番使いやすい。中央に3/8インチの差し込み角部を持つので、ここにエクステンションバーを差し込み、ラチェットレンチをドッキングして使う。もちろん、フィルターの周辺事情で、レンチに直接ラチェットハンドルをつなぐしかないケースもあるが、いずれにしろダイレクト感が高いので使い勝手は上等だ。
新しいオイルフィルターを取り付けるときは、手の力で締め込み、締め込んだのちにオイルを注入しオイル漏れがないかを目視で確かめる。Oリングの働きでオイルをシールするのである。これが大切だ。
余談だが、海外旅行に出かけた折カー用品店で見つけたさまざまなカタチの10数個のオイルフィルターが書斎にはあり、ときどきそれを眺めてはSSTを開発製造した人たちに思いをはせる。
かつてサンデーメカニック向けの某整備雑誌でながねん用品のテストを試してきた筆者は、ケミカル用品に対しては、クールなものの見方しか出来ない。カンドーと呼ぶべき製品もあったが、大半は、見掛け倒しの「ざんね~ん!」というケースが多い。
でも、今回は、こうした先入観が見事外れ、“ばんざ~い”を叫びたいほど・・・といっても大げさではない。 使ったのは、今年で18年を迎えるいささかくたびれたNA6CEロードスター(走行7万5000キロ)である。2年ほど前ストリート用のスポーツダンパーに交換しているが、正直言ってごつごつ感が大きく、自宅からわずか60キロはなれた箱根ですらこのクルマで出かけることがなくなった。西湘バイパスの路面の継ぎ目を越えるときゴツンゴツンという不快感を想像すると、少し気後れし、無難な乗り心地のコンパクトカーで出かけるのである。
「ドライルーブforダンパー」を4本のダンパーのロッドに吹き付けてみた。
フロアジャッキで少し車体を持ち上げるだけで、フロント2本のダンパー・ロッドが顔を出し、難なく吹き付けられた。リアの2本は、ジャッキアップしてタイヤを外し、吹き付けた。作業時間は約15分だった。
乗り味の変化は、1ブロック走るか走らないだけで、明白だった。それまであったゴツゴツ感が嘘のように消え、路面の突起にもマイルドに反応するためワングレードアップした乗り味となった。ストリートとは名ばかりの突き上げの多いダンパー特性が、待ち乗りに適したダンパーに激変した。これなら、箱根はおろか、名古屋往復もらくらくこなせる。それほどの激変である。おそらくこれが初期の入力がスムーズに、フリクションが小さくなったためと思われる。
ダンパーはスプリングの動きをコントロ-ルするが、伸び→縮み時、静→作動時に動作が一瞬間とまる。この状態で路面から衝撃を受けると減衰力の発生がないため、衝撃がダイレクトにボディに伝わり、乗員は不快感として受け止める。ダンパーにはオイルのリークを防ぐためにゴム製(正確にはEPDMなどの合成ゴム)が使われていて、実はあまり知られていないが、このシールは摩擦係数が大きいためロッドとのフリクションを発生、減衰力を発生するにタイムラグが生じ、乗り心地悪化となって表れる。
こうしたフリクションを劇的に低減したのが、この「ドライルーブforダンパー」ということらしい。主成分はフッ素樹脂(PTFE)で、固体潤滑剤(二硫化モリブデンなどが有名)のなかでは一番摩擦係数が小さい。これがゴムの表面に長い時間コーティングされることでフリクションが下がり、乗り心地の見事な向上と結びついた、と推理できる。”謎解き”はともかく、ぜひ試して欲しい。御代は1000円台である。
★ 問い合わせ先 東洋ドライルーブ 電話03-3412-5711
≪愛車の管理はオイル交換からはじまりオイル交換に終わる!≫これはあるベテラン整備士の常套句。
エンジンオイルの定期的な交換の大切さを表現したものだが、リアルワールドでは、いかに≪オイル管理≫がないがしろにされているかをズバリ言い当てているフレーズ。このことはいわゆる≪出っぱなし状態の中古車マーケット≫であるオークション会場のクルマを調べればすぐ裏が取れる。私の経験では約半数のクルマがオイル管理まるでゼロ、もしくはそれに近い!シリンダーヘッドカバーのフィラーキャップを外し、中を覗けばスラッジだらけのクルマが約半数ということだ。
石油元売り会社の研究所のエンジニアを取材したところ、面白いことがわかった。世界で一番エンジンオイルのやさしくない商売のクルマは何だというと≪パトカー≫だというのである。お巡りさんが乗るパトロールカーは、容疑者を追いかけるときは全開で走るためエンジンが高温となり内部のエンジンオイルが劣化、巡回中は逆に低温状態なので、エンジンオイルに水が入りやすく、さらに燃料の混入が進み、劣化が早まる。オイル内の清浄分散材や酸化防止剤といった添加剤がみるみるなくなり、オイルの働きが劇的にダウンするという。これがだいたい5000キロあたり。高いオイルなら長持ちするかというとほとんど変わりないという。このパトカーの走り、実はウイークデーはスーパーに買い物、休日はパパが高速高負荷運転・・・というパターンとほぼ同じ。サンデードライバーにごくごく当てはまるクルマの使い方とも言える。
愛車のエンジンを長持ちさせたいなら・・・ターボエンジンで走行5000キロごと、NAエンジンで走行1万~1万5000キロごとにオイル交換は是が非でも守りたいね。
先日18歳になったロードスター(NA6CE)を久々に湾岸に持ち出し走らせるチャンスがあった。エアコンのガスを補充するために都内の友人が経営する整備工場に向かうためだ。
お気に入りの音楽にリズムを取りながら気持ちよく流していたところ、突然タコメーターの針がふらふらし始め、見る見るうちに1000rpmほどに落ち込んだ。水温計は異常を示さないし、とりあえずエンジンも順調に回っている。頭をフル回転して「何がどうなったんだ!?」ハイウエイでエンコでもしたら危険度がぐんと上昇する。目的地の出口まで約10キロある。オーディオもエアコンも止め、次の川崎で降り、一般道路を走ることにした。そのあいだ約10数分間の長かったこと!
一般道路でもエンジンを絶対切らないようにして30分遅れで、友人の修理工場に滑り込見、ほっと胸をなでおろした。エンジンが冷えるのを待ち、まずベルトを指で触ると・・・案の定だった。やや緩んでおり、発電不能になっていたのである。もし途中でエンジンを切っていたら完全にエンコ状態! ただし、不思議とウォーターポンプはなんとかオーバーヒートしない程度に回っていたのである。なかには例外もあるがたいていのクルマは、Vリブドベルトで、オルタネーター(発電機)とウォーターポンプを回している。だから始業点検に、このベルトの異常&張り具合点検が含まれているのである。上がったバッテリーを充電器につなぎ、工具(12ミリのショートメガネとプラスドライバーなど)を借りて、30分でベルトの張りを正規に戻し完璧リペア。メンテの単行本を数冊書いている筆者としてははっきり言ってトホホの体験。でも、この体験をちゃっかりこうして恥ずかしげもなく開陳しているところが、自分で言うのは何だがジャーナリスト根性なんだろうね。
(写真:指で差している吸気系の樹脂パーツを取り外すとVベルトが顔を出す!)
マフラー回りなど熱でがちがちに堅く締まり、あらかじめ浸透潤滑剤を塗布しても・・・通常の工具ではとても間に合わない!
そんな時活躍するのが、ヒンジハンドル(別名:スピナーハンドル)である。ラチェットハンドルにくらべ約2倍以上の長さがあるため、大きなトルクをかけることができるソケットツールの仲間である。
柄が長いためエンジンルームなどの手が入りづらいところではほとんど出番はないが、足回り、下回りではこのヒンジハンドルの登場する作業は少なくない。
ヒンジハンドルは先端に差し込み角部を持っていて、そこにソケットを差し込み相手のボルトやナットに対するのである。ラチェットハンドル同様、柄の部分がローレットタイプ、樹脂タイプ、磨きタイプなどがあるが、このへんは好みである。とりあえずよく使う差し込み角3/8インチと1/2インチの2本を持っていればパーフェクトである。柄が長いぶんソケットがボルトの頭から抜けがちとなるので、この工具の使用は意外と難しい面がある。基本は、ソケット部を押さえて力を加えること。
もし、ヒンジハンドルでも堅くて緩まないときは、パイプを注ぎ足し用を足そうとするが、原則的にいえばNGである。工具を破損したり、ケガに結びつくからである。
(写真は上が樹脂グリップのMACツール、下がKO-KENロングタイプ:いずれも差し込み角3/8インチ)
ドアミラーを脱着するときもソケットツールが活躍する。おそらくソケットツールは、クルマの部品脱着作業の世界で半数のシーンで活躍するハンドツールだと思うね。
そのソケットツールの中心的存在は、ラチェットハンドルと呼ばれるハンドルで、先端に四角部分を持ち、そこにソケットを取り付けボルトやナットを脱着する・・・。ソケットツールは、使用頻度が高く、しかもやや高価なので、ブランドにこだわるのは何もハンドツールマニアと呼ばれるひとだけではありません。ピカピカの鏡面仕上げの好きなひとはスナップオンを選択する傾向だし、梨地の質実剛健さを愛するひとはハゼットがいいし、日本人のやや小さな手にジャストフィットするフランス生まれのファコム、それと日本のソケットツール専門メーカーのKO-KENを選択するという友人もいる。(写真は上から以上の順です。指し込み角はすべて3/8インチ)
工具ショップで実際手にとって見てほしい。ラチェットの音のスムーズさと音色を聞いたり、グリップ部を握りその感触(重量も含め)を確認するなどで選択してもらいたい。手に持ち比較すると意外に差異があるのを発見するはずです。同じコンパクトカーでもメーカーが異なるとまったく乗り心地や操縦性が異なるのと少し似ています。数年前から輸入ブランドと国産ブランドの価格差が少なくなり、輸入工具もぐんと身近になったので、選択の幅が広がっています。
ボンネットを脱着するときもそうだが、数あるハンドツールのなかでソケットツールほど便利なものはない。そこで、ソケットツールをかしこく使うためのノウハウを2回に分けてお話してみよう。ソケットツールの一大特徴は、組み合わせて使うハンドツールだという点。スパナやメガネレンチ、ドライバーはそのものズバリなのだが、ソケットツールは、ラチェットハンドルを中心としてエクステンションバー、ソケットなどのジョイント工具なのです。
組み合わせ工具であるソケットツールで知っておいて欲しいのは、差し込み角。たとえばラチェットハンドルにソケットを差し込んだときの、その差し込み四角部の2面幅の大きさをインチで表示する。小さいものから1/4インチ、3/8インチ、1/2インチ。それぞれメートル法でいうと・・・・6.35ミリ、9.5ミリ、12.7ミリです。初めてソケットツールを手に入れるひとなら、3/8インチがお勧めだ。というのは対するボルトの頭の大きさ(ソケットサイズと同じです)で下は8ミリから上は24ミリあたりをカバーするからです。1/4インチはさらに下の5ミリサイズのボルトまで回せるし、1/2インチなら32ミリあたりまでカバーできハンドルも長いのです。だから足回りで使うなら1/2インチが重宝します。
ソケットツールは、一番使用頻度の高い工具でしかも比較的高価なので、いいものをぜひお勧めしたい。次回はソケットツールのブランドの知識を教えちゃおうと思います。
ドライバー、英語で言うと「スクリュードライバー」。どこの家庭にも1本か2本はあるハンドツールの代名詞みたいな存在です。先端がプラスとマイナスの2タイプがあり、クルマで使うのはプラスが大半です。あまりにも身近にあるドライバーですが、意外とこの工具は奥が深いのです。どこが深いかというと、2つあります。
一つは、使い方。ドライバーはただ回せばいいというものではありません。相手のネジの頭に押し付けるチカラを伴いながら回す。これが基本のキです。これを手抜きすると、ネジの頭がなめます(グチャグチャになる!)。2つ目にはプラスドライバーを使うときは相手の+溝に合わせた大きさのドライバーを使うこと。プラスドライバーには小さいほうから1番、2番、3番があり、たいていは2番ですが、たまに2番を使わないビスもあります。無理に使うと、同じくグチャグチャです。
もし新規に購入する機会があるなら、ぜひグリップを気にかけて欲しい。ドライバーの握りには、木柄、ゴム、樹脂の3タイプがあり、最近は樹脂製が多数派。実際に握ってみてしっくりいくものを選んで欲しい。そのとき手のひらにグリップエンドを押し付けて早回しのフィーリングもチェックすること。小人のようなコンパクトなスタビドライバーもありますが、機会があればお話します。
コンビネーションレンチは片目片口レンチ、あるいは略してコンビレンチとも呼ばれ、ソケットツールについてもっともよく使われる工具のひとつ。スパナ部が軸に対し少しオフセットしているので、狭いところにあるネジに対し使いやすくできている。専門用語で「振り幅(あるいは振り角)」というのだが、この振り幅(振り角)をスパナを逆にすることで稼ぎ出しているのだ。
表面のぴかぴかの鏡面仕上げと少しざらざらして多少の油が付いてもすべりにくい梨地仕上げの2タイプがある。アメリカのスナップオン、MACツールは前者だし、ドイツのハゼットやスタビレーは後者である。サイズは、今回使ったのが10ミリだが、クルマのメンテで使用頻度の高いのは、8ミリ、10ミリ、12ミリの3本。この3本をまず手に入れ、しかるのちに買い足していくのがいいね。
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